旧編:湖の騎士の力を何故か得ていた転生者の話 作:何処でも行方不明
リアスのチームワーク統一特訓が終わり、だらだらと疲れた体に鞭をうちながら帰路についていると、花屋の前で店員と談笑しているアミティエを見つけた。
リヴィはその二人を横目に通りすぎようとしたが、当のアミティエに肩を捕まれ、歩みを止められる。
「級友とすれ違うのに、声もかけないのはどうかと思うよ。リヴィ君」
「いや、楽しそうに話をしていたからな。当方が声をかけない方がいいと思ったんだ」
少し不機嫌そうなアミティエに疑問を覚えるも、リヴィはそう答える。
「そんなこと気にしなくていいのよ?私も仕事があって離れないといけないことだってあるから。それに、こういうのはおばちゃんよりも、若い二人にする方が見てて癒されるしね」
そう言うと、店員のおばちゃんは店の奥に引っ込み、自身の仕事に戻る。
「と、言うことらしいよ」
「みたいだな」
二人の間を静寂が包みこむ。何を話せばいいのか、話題が見つからない、という感じだ。
そんな空気を「青春してるわねぇ……」と呟く店員がにやにやと見続けること、数分。
その静寂をぶち破ったのはリヴィだった。
「アミティエは何でここに?」
「最近、花に興味が湧いてね。リヴィ君は特訓帰り?」
「あぁ。意味があるのかはわからないけど」
「リアスは空回る時はとことん空回るからね」
「確かに」
苦笑いを浮かべながら、それを肯定すると、また静寂が場を支配した。
そして、今度この空気をぶち破ったのは、特訓の終わったイリナだった。
「あ、リヴィくんとアミティエさんだ。おーい!二人ともーなにやってるのー?」
遠くから二人を見つけたイリナが手を振り、近づきながら、声をかけてくる。
それに、二人揃って助かったと大きなため息をつき救世主のごとくイリナを内心で褒め称える。
「あぁ、花に興味があってみていたら、リヴィ君から声をかけてくれたんだ」
「声をかけてきたのはアミティエだろう?」
「うん、冗談だよ。それより、紫藤さんはどうしてここに?」
「ほら、来月には体育祭があるから、ゼノヴィアと走り込みをしていたの」
「そのわりにゼノヴィアが見当たらないが?」
「まだ足りないみたいで私が抜けたあとは別のことしてたわ。もう少し女の子らしいこととかすればいいのに」
「それは、ひとそれぞれと言うものだろう?」
「そうなんだけどね」
長年の付き合いからゼノヴィアと言う少女を知るイリナは、苦笑いをしながら、そう答える。
「それじゃあ、私は師匠から料理の指導を受けるから、またあとでね。アミティエさんも機会があればお花について教えてください」
「ボクもまだにわか知識だけどね……いや、そうだ。これからボクもリヴィ君の家にお邪魔してもいいかな?」
そう言って去ろうとするイリナになにか閃いたのか、アミティエがそんな提案をしてきた。
「母さんならいいと言うと思うが、なんのために?」
「君の妹さんに興味が湧いたんだ。それに、同い年の友達の家に遊びにいくのはアオハルっぽいでしょ?」
それに、イリナは同意しそれじゃあものの次いでだし、三人で一緒に帰ろうということになった。
※※※
「で、また新しい女の人ですか?」
という経緯を辿り現在、当方の家には先に帰っていた彩南と当方と帰ってきた紫藤さん。そして本日の来客であるアミティエがいる。
……少々彩南はご立腹のようだが。
「お客さんが来るなら先に言っておいてください」
「リヴィ君に似てしっかりとした子だね。はじめまして私は……」
「アミティエ・ブエル先輩ですよね?はじめましてリアス先輩たちからお話は伺っています。今度の兄さんのお相手は貴女の眷属とも聞いてます」
「なるほど。こっちの事情についてそれなりに詳しいみたいだね」
「それは……まあ。私は兄さんの巫女なので」
「巫女?」
聞きなれない言葉に疑問符を浮かべるアミティエ。
姉さんは日本文化がかなり好きだから彩南の巫女発言に相当反応していたが……
アミティエはどうなのだろうか。
研究の標的にされなければいいが。
「そういえばさ、リヴィくん」
「どうした?」
あたりをキョロキョロしている……
どうしたんだ?
「もしかしてリヴィくんってロリコン?」
「……は?」
かなり素であきれた声が出た。
……どういうことだ?
なんでそうなった?
「いやだって……師匠と白音ちゃんは……ほら、ちっさいじゃん」
「……正直なところ。外見はどうだっていい」
「ふーん……」
「こんな男を好いてくれたんだ。その気持ちになるべく応えるのが男というものだろう?」
そういうと荷物を下ろしに自分の部屋への階段を上がっていく。
「アミティエ、ゆっくりしておくといい……といいたいところだが。すまないが、晩御飯までには帰ってもらいたい」
「ま、ボクも急に押し掛けたようなものだからね。いいよ」
「……それと妹の頬をのばすのはやめてもらいたい」
むにぃ~と擬音が付くような感じでわが妹の頬を引っ張る総裁家次期当主様……
なにしてるんだ?
「いやね。龍神の子どもって割と興味あるからつい……好奇心が……それと柔らかそうだったし」
「……まあ、私はいいですけど……モルモット扱いは初めてですけど」
若干不服そうではあるが……どうやら嫌がってはいないらしい。
断ることを覚えたらどうだ?
………………
「よ!ほりゃ!」
「むむ…………あ、すみません」
「「サンダー!?!?」」
「……随分と仲がいいな」
楽な服装に着替え、二階へ降りると女子三人は某配管工の名前を冠するレーシングゲームで遊んでいた。
ちなみに今は彩南がサンダーを使って他二人を奈落に叩き落したところだ。
「アミティも同志だったのよ!」
「同志?」
「ようはボクも君を狙ってるのさ!そい!」
「緑充てるのうまいですね……」
「ボム狙ったように当てれる妹さんにいわれてもな……」
一旦レースが終わりアミティエは当方に駆け寄った。
少し女の子らしい匂いにドキッとさせられる。
「匂いは割と注意したし、それに病室に飾った花。いちおうアレ、ボクなりの告白だったんだよ?」
「告白……?」
「桃色の胡蝶蘭の花言葉【あなたを愛します】……やっぱり知らなかったか」
「ちょっと待て。どこで当方を好きになった?」
「うーん……なるほど。ボクにとっては救いの一手だったけどリヴィ君にとってはありふれた一手だったのか」
「……兄さん無意識の英雄基質ですからね」
「……一応聞くかい?我ながらちょろいなとは思うんだけどね」
「後学のために……頼む」
「オッケー。うん、どこから話そうか……」
※※※
あれは……だいたい十年前かな?
7つぐらいの時。ボクは既に悪魔社会での高等教育を終了していてね。
周りの年が近い悪魔たちはおろか、少々年上の悪魔も能無しの口たたきだと思っていたんだ。
我ながら嫌なガキだったと思うよ。
なにせほぼ全員を見下していたんだから。
次期当主はほぼ確定。
言葉を選ばないなら【クソガキ】っていうのがボクを形容していたんだ。
ボクがリヴィくんと初めて会ったのはそんな時だった。
グレモリーとブエルの次期当主の初顔合わせ。
リアスの横にいた君はそんなボクを見つけると迷わずかけてきて手を握ってこういったんだ。
「兄さんたちの許可は得ているから遊びに行こう!」
って。
正直【何バカいってるんだ?】
と思ったよ。
やれやれと大人ぶって一緒に遊んだ。
でもこれが……
割と楽しくて!
だって今まで私の周りにいた悪魔は総裁家の娘だからっていう理由で年齢一桁に媚びてくるようなゲスと
自分の家にブエルっていう箔をつけたい連中が大半を占めていた。
残ったあと少しも子どもだからって見下してくるような愚図ばかり。
あの時。
十年前の初めて友達と遊んだ時。
私は初めて世界に色がついたように見えた。
あぁ、彼ならきっとボクの外聞や血筋、能力を考えずにずっと対等にいてくれる。
そう思えた。
ボクは確かに君に救われた。
ボクの眷属が転生者ばかりなのも君の影響なんだよ?
あの子たちは神の加護を全く受けられない。
だからボクが一方的に手を取った。
君がボクにやったように手を出し続けた。
それがボクの眷属。
そして数年後。
君は人間の世界に帰った。
リアスには悪いけど内緒でニーナさんと接触していてね。
その一環としてリヴィくんにボクが人間の文明を真似て作った銃器の扱いとかを仕込んでもらって……
そして一気に現物を送り付けた。
そうすればリアスが君を連れて来てくれるって思ったからね。
いや~。久々に君に会えた時はつい抱き着きそうになって自制するのに苦労したよ。
そう。
会わないうちに君のことばかり考えているうちにさ。
好きになっちゃったんだよ。
そうなるとボクは一直線で止まるつもりはないからね。
※※※
「っていうわけで行動に起こしたんだけど……遠回しすぎたかな?」
「いいえ!アミティ!とてもロマンチックでとても女の子らしいと私は思うわ!」
イリナはたははと言いながら頬を掻いていたアミティエの手を取りそういう。
……花言葉か。ろくに調べる気すらなかったな。
「兄さんはただでさえ鈍感なんですから。記憶が戻ってない時にシロちゃんがずっと見てたの気づいてないですよね?」
「……その通りだ」
すまんな鈍感で。
……そういえばフェニックス戦の前の合宿で大怪我をした時、なぜか白音が起きていたのはそれが起因していたのか?
「思い当たる節はあるみたいですね」
「まあリヴィくんだし。そこはもう割り切ったよ」
「宣言したのにまだまだ女心に疎くてすみません……」
「逆に兄さんがいきなり百戦錬磨のナンパ師みたいになったらこっちが困惑します」
そういいながらアミティエを光り輝く車で跳ね飛ばすわが妹……
容赦なしだな。
「え。あ。ちょ!」
星赤弾丸。そのコンボによりアミティエのカートは場外に弾き飛ばされてしまっていた。
「ボクのこと集中狙いしてない!?」
「気のせいですよ。ええ。私を狙った赤甲羅を直撃させるように仕向けたのはわざとですが」
「なにそのテクニック!」
「私も狙ったかな。ちょうどいいところにいたし」
そんな風にガヤガヤと遊んでいる三人。
その光景を後目に当方はこうつぶやいた。
「【
目覚めた新たな力
冠された機能は
次回
第49話 《開幕レーティングゲーム》
白い猫は龍の力を振るう
リメイクとかした方がよき?
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よき
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よきくない