旧編:湖の騎士の力を何故か得ていた転生者の話   作:何処でも行方不明

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固有結界ってようはこういうこと。(若干ネタバレ?)


第50話 《剣士(セイバー)VS疑似(デミ)剣士(セイバー)

打撃音と爆音がビルの合間にこだまする。

白いオーラを迸らせた白音が美那の腕を気に練りこんだ一撃を浴びせるが美那は意にも返さず脚部から至近距離で光学兵器を放つ。

だが発射部が水に覆われ屈折率が変わり明後日の方向にあったビルの窓を焼く。

 

(そのまま近接戦でいい。拳にジュワユーズのオーラを引き出しておいた。思いのままにやれ!)

「えい」

 

白音の頭にリヴィの声が響く。

それもそのはず。

グレモリー眷属の《番外の駒(エクストラ・ピース)

目覚めたのはリヴィだった。

 

擬似の駒(デミ・ピース)

眷属の一人を触媒にリヴィが融合し《番外の駒(エクストラ・ピース)》と《悪魔の駒(イーヴィル・ピース)》二つの特性を得た役にする力。

今回は開幕から白音と融合させ《擬似(デミ)暗殺者(アサシン)》として投入されている。

必殺級の気と聖剣のオーラを纏った拳。

无二打(ニノウチイラズ)とは言わないが一発当たるだけで悪魔であるならばほぼ確実に魔を祓うオーラで倒され、もしそれを耐えきったとしても膨大な気が流し込まれ昏倒し今回のルールならばそのままフィールドの外へ落とされ撃破(テイク)となるはずなのだ。

だが美那は先ほどから白音の拳を数発受けているにもかかわらずほぼダメージをは見られない。

 

「ティア!」

「おうさ!」

 

それにこの二人のコンビネーションは異常なほど洗練されている。

美那が作った隙にすかさずヒスティアが電撃を飛ばす。

白音の拳が胴体にあたるような軌道になった場合はヒスティアの能力だろうか。

突如としてシールドが攻撃の間に滑り込みその攻撃を防いでいる。

 

(正直なところジリ貧です。どうしますか?)

(どうしようもない。あの盾ごと粉砕するか?)

(……なるほど。結局は力押しですか。テクニックタイプのくせに?)

(テクニックタイプのくせに、だ)

 

リヴィとの脳内会議を終わらせた白音はオーラを増幅させ右手に集中させる。

 

「ティア~、何か嫌な予感するんだけど……」

「衛宮パイセンなら勝てたんだろうな……ふむり、パーツ変えて逃げようぞ!」

 

そういうとヒスティアの周囲に魔法陣が展開される。

 

「RRSAでいくぞよ!」

「了解!」

 

魔法陣からは何やら物品が射出される。

ドリル状のパーツが二つに魚の背ビレのような部位がある足。

そして漁船についてあるようなアンカークレーンだ。

それは等間隔で美那に迫る。

 

「……誤射?」

(さすがに質量で押し切ろうとは考えんだろうからそれはないだろ)

 

美那に物品が着弾すると……

両腕、両足がポロリと取れ、射出された()()()に組み替えられていた。

両腕はロケットに。足にはスタビライザー。そして片足には追加でアンカーがセットされている。

 

「ティア行くよ」

「オッケー」

「逃がしません……!」

 

だがロケットが噴射され白音の攻撃は届かなくなった。

二人を追おうとする白音は蝙蝠となってあたりに散っているギャスパーに呼び止められる。

 

『白音ちゃん、リヴィ先輩、ゼノヴィア先輩の方に衛宮先輩が来ました』

「部長はなんて?」

『リヴィ先輩をゼノヴィア先輩と合流させるようにって』

「わかった。解放(リリース)

 

白音の体が発光し、光が止む。

そこにはいつもの少女姿に戻った白音とリヴィが立っていた。

 

「ギャスパー、距離はどれくらいだ」

『だいたい700ぐらいです』

「ざっと10秒ってところか……行ってくる」

「頑張ってください」

「ああ、任せろ」

 

黒鎧に身を包み悪魔の翼と光の翼(エナジー・ウィング)を展開しリヴィは暴風とともにゼノヴィアのもとへ向かっていった。

 

『白音ちゃんはこのまま進軍だって。変な気を感じたら撤退することとも言ってたよ』

「うん、わかった。ギャーくんも無理しないでね」

『これぐらいまだまだ大丈夫!』

 

※※※

 

ギャスパーを通して援護をリアスに要請したゼノヴィア。

その相手はリヴィたちに伝えられたようにブエル眷属の剣士(セイバー)衛宮士だった。

まるで木場の魔剣創造(ソード・バース)のように数々の剣が屋上に突き刺さっていた。

 

「さすがはデュランダルだな。投影した剣じゃまるで歯が立たない」

「そう思うのならば、一思いに決めたらどうだ?」

 

デュランダルを片手にゼノヴィアは肩で息をする。

対する衛宮は全くと言っていいほど息が上がっていない。

そして……

 

「そうさせてもらうよ。あいにくとここで時間をかけるわけにもいかないからな」

 

といい魔法陣から何かを召喚させる。

大きな弓のようなオブジェクト。

それは衛宮が投影したと言っている剣たちを吸い込んだ。

剣たちはオブジェクトの矢として新生する。

 

「マアンナ。これが俺の切り札のひとつだ。悪いけど反応すら与えずに倒させてもらう」

「やってみろ!」

 

衛宮は宙に飛びゼノヴィアを見据える。

今から放たれるであろう一撃は足場にしているビルさえも倒壊するであろう一撃。

本来なら足場が崩されることを避けゼノヴィアも空に飛び上がるべきだろう。

だが、ゼノヴィアが空に飛び上がることはなかった。

確かに耳に届いた風切り音。

それはゼノヴィアの想い人の到着を知らせるものだった。

 

「やるぞゼノヴィア!」

 

リヴィが吠える。その声は衛宮の耳にも届き。

番えられていた矢を即座に放とうと引き絞る。

 

「ああ!」

 

ゼノヴィアはリヴィの方へ駆け出しその手を掴む。

 

「「夢幻召喚(インストール)!!」」

 

矢が光となり放たれた。

だがその一撃はゼノヴィアには届いたがビルが倒壊することはなかった。

その手に握られたデュランダルとジュワユーズ。

そして腕を守るように展開された黒鎧がその一撃を防いだ。

 

「ハルトマンが……消えた?」

 

衛宮の言葉の通りリヴィの姿は白音の時と同じように消えていた。

到着して即座に融合をしたのだ。

今回の駒は《擬似(デミ)剣士(セイバー)

ジュワユーズやゼノヴィアの手にまとわれている黒鎧……本来はリヴィの神器(セイクリッド・ギア)である騎士の誉(ナイト・オブ・オーナー)からわかる通り今のゼノヴィアはリヴィの力を扱える。

また、ゼノヴィアの容姿は白音ほどではないが変わっていた。

元々ショートカットだった髪は腰に届くほどに延びた。

 

「全く、これほどの長さだと手入れするのが大変そうだな」

(いいから前向いてろ!二射目くるぞ!)

 

二射目を二本の聖剣が共鳴し膨れ上がった聖なるオーラを纏った斬撃で切り払う。

 

「さて、これで形成逆転だ」

 

ゼノヴィアは光の翼(エナジー・ウィング)を展開し、衛宮と同じ高さまで飛翔する。

 

「確かにデュランダルとジュワユーズなんて一等級の聖剣二本があるんじゃ俺の勝ち目は薄い。だけど負けるほどでもないさ」

 

衛宮は胸に手を当て呪文を唱え始める。

 

「体は鉄でできていた。心も血潮も仮初のモノ」

「何をしようとしてるかわからないが……思い通りにはさせない!」

 

ゼノヴィアが突撃し衛宮に二本の聖剣を振るうが衛宮の前に七つの花弁が展開されたそれを防いだ。

 

「二つの世界を歩き夢はなく」

 

ゼノヴィアは変わらずに聖剣を振るい続けるが花弁の一枚が砕け散っただけだった。

 

(龍神の力、全力で行くぞ!)

 

それをゼノヴィアの目を通して知ったリヴィはジュワユーズの輝剣を展開しハイドロブラストの準備をする。

 

「なるべく手早くしてくれ!」

(任せろ)

 

こうしている間にも衛宮は呪文を唱え続ける。

 

「過去に闘争は一度もなく、現在は剣を手に取る」

 

唱えられる呪文は転生した衛宮の人生を唄うモノ。

 

「理解者は今生にて得たり」

 

ゼノヴィアの攻撃で花弁は一つさらに減る。

そしてリヴィが放つハイドロブラストによりさらに一つ花弁がはがれる。

 

「蒼い水平を上塗で彩る」

 

だがそれでも。花弁の半数を失っても衛宮は詠唱を続ける。

ゼノヴィアは更にリヴィの力を引き出し聖剣に暴風を纏わせさらに薙ぐ。

 

「ならばこの生涯には答えを」

 

花弁を落とし最後の一枚。

だが……

衛宮の呪文は最後の一節を迎えてしまった。

 

「だが魂は、自分のモノだと理解せよ!」

 

※※※

 

蒼い炎が風景を塗り替える。

一面が水面に。

蒼くただ広い空に。

水面はまるで鏡のように二人を映し出していた。

 

「……ここは」

「これが俺の固有結界。まだなにもない。何も生まれていない原初の惑星。だからこそ無限の可能性を内包する世界。ここにいる限りは俺は【衛宮士】であり【何者】でもある」

 

水面が泡を浮かべる。

その泡に映る衛宮の姿は……

 

(イッセー!?……もし、衛宮のいうことが仮に本当だと仮定するならば……)

 

嫌な予感がゼノヴィアと融合しているリヴィの脳裏に過ぎる。

衛宮は左手をフラリと出すとこう呟いた。

 

「……【赤龍帝の篭手(ブーステッド・ギア)】」

 

手のひらに緑の宝玉が現れそこから見知った赤い篭手が展開されていく。

 

『Boost!』

 

いつも聞く赤龍帝の篭手の倍加を知らせる音声。

だが、それは味方のイッセーではなく敵の衛宮の腕から聞こえた。

 

「原作は……悪い。アニメ勢ってやつだから【赤龍帝の篭手】もなにか凄い篭手ぐらいしか知らない。だけど、今ならわかる。俺自身に兵藤を投影させた今なら。今や赤龍帝でもある俺なら!」

『Boost!』

 

そうしてまた泡が浮かぶ。

今度は邪の主のような少女の姿だった。

……もし、邪の主だというのなら。今、衛宮が手にした剣は……

 

(ゼノヴィアまずい!)

「言われなくともわかっている!」

 

デュランダルに危険なまでオーラを纏わせる。

だがそれでもわかっていた。

共通の友人で眷属仲間が持つ力はこんなものでは中和できないほどの力を持ち合わせている。

 

『Transfer!!』

 

衛宮は軽く右手に握る聖剣を振るう。

それだけでゼノヴィアの周囲に展開していた輝剣は粉々に砕け散った。

 

「……力が大きいと扱いにくいな」

(やはり統合されたエクスカリバーか!)

 

否。

衛宮が握るのはそんなものでは無い。

決して折れることの無い星が造りだした【神造兵装】

またの名を《最強の幻想(ラスト・ファンタズム)

 

約束されし勝利の剣(エクスカリバー)

 

ここに転生者がいたら間違いなく絶望するだろう。

右手にはFateという世界観において規格外の力を持つ宝具。

左手にはハイスクールD×Dという作品において主人公が持つ力。

神が造ったとされる聖剣

神を殺せるとされる神器

そのふたつを持ち合わせた衛宮を前に

ゼノヴィアとリヴィはただ前を見据えるしか無かった。




神造兵装、神滅具
そのふたつを一時的にとはいえ手にした者。
龍神の戦姫と後に謳われる少女はその存在を前にして何を考えるのか。

次回
第51話 《真名解放》

吠えたける龍の叫びは水面を震わせる。

リメイクとかした方がよき?

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