毎年恒例の駅伝大会ネタです(笑)


 ネタなので、細かいところはご勘弁を。


 登場人物を思い描きながら、読んでいただけると幸いです。



 某マイナーSNSに日記として投稿したものと内容は同じです。


1 / 1
仮面ライダージオウ 駅伝

「ふはははははははは!」

 いきなりテレビに映った男の高笑い。

 

「ぶっ!?」

 食事中には、刺激が強かった。

 噴き出すソウゴ、ゲイツ。

 

「もう、汚いな。何やってんのよ。」

 ツクヨミの怒り。

 

「ごめん。いきなりだったから…。」

 謝るソウゴ。

 

「飯時に見るもんじゃないな。」

 ゲイツは言い訳。

 

 そして、三人はテレビ画面に釘付けになる。

 

「檀黎斗神!」

 両手を広げ天を仰ぐ。

「改ぇぇぇぇぇ!」

 

 上からのカメラアングルに目線が合う。

 

「檀黎斗王だ!」

 次は正面にカメラ目線。

 

「我が国の独立を記念して、イベントを行う!」

 顔のアップ。

「それは…。」

 

 溜め。

 

 固唾を飲むソウゴとゲイツ。思いの外大きな音。

 

「駅伝大会だ!」

 

 

『ズルッ!』

 効果音だけで、ソウゴとゲイツに何が起きたか判るだろう。

 

「な、何で駅伝大会なんだ…。」

 困惑するソウゴ…。

 

「駅伝大会だと?」

 普段見せないコケた姿を恥じらい、取り繕(つくろ)うゲイツ。

 

「本当…。何考えてるんだか…。」

 当然、ツクヨミも困惑。

 

 

 だが、そんな事など知る由もないテレビの向こうの檀黎斗王は続ける。

「大会の優勝者には、私から素晴らしい賞品を与えよう。」

 上から目線が止まらない。

「これだ!」

 同時に画面が切り替わる。

 

 

「えっ!?」

 ソウゴの驚き。

 

「何だと!?」

 ゲイツの戸惑い。

 

「そんな…。」

 ツクヨミの呆れ。

 

 

 優勝メダル。

 

 俗に、そう呼ばれる首から掛けられる勝利の証。

 

 そのメダルの部分が、ライドウォッチになっていた。

 

「中々、画期的な賞品だろう。更に、副賞として現金一億黎斗エーンだ!」

 自画自賛。

 

 *1黎斗エーン = 約1円 である。

 

「これを王である私、自らが授けよう…。」

 また、目を瞑り天を仰ぐ。

 

 暫時。

 

「大会は誰でも参加可能だ。」

 突き出された右人差し指は、威圧的。

「時は11月4日。スタートは、午前9時…。」

 両手を広げ、

「おっと、忘れるところだった…。」

 左手で目を被い、

「上位入賞者達には、我が国の市民権を与えるぞ!」

 

 アップ。

 

「こぞって、参加してくれ給え!」

 

 カメラに近付く。

 

「詳しくはホームページだ!」

 

 結果。

 

 テレビ画面に収まらない程に大きく映る檀黎斗王。

 

「ふはははははははは!」

 笑い声を残し、画面から消えた。

 

 

「どうするんだ。」

 ゲイツの質問はどちらに言ったものか…。

 

「出るでしょ。」

 ソウゴが答えた。

 

「出るの?」

 ツクヨミは質問で返す。

 

「とりあえずは、ホームページ見てみようか…。」

 

 

 

 

 大会当日。

 

「結構、参加者多いね…。」

 ソウゴの素直な感想。

 

「確かに…。」

 ゲイツの呆れ。

 

「皆、副賞狙いなんじゃない?」

 ツクヨミの予想。

 

「欲望、渦巻く大会か…。」

 ゲイツは更に呆れる。

 

「仕方無いさ。人は誰だってお金は欲しいからね。」

 ソウゴの重みのある言葉。

 

「そうだね…。」

 ツクヨミの諦め…。否、人の性(さが)の認め。

 

 

「だが、俺達の欲しいのは、ライドウォッチだ。」

 ゲイツの決意。

 

「解ってるって。」

 ソウゴの同意。

 

「うん。」

 ツクヨミの賛同。

 

 

「じゃあ、僕達は所定の場所で待ってるから。ゲイツ、頼むよ。」

 

「頼んだわよ。」

 

「ああ、任せろ。ぶっ千切りで、タスキを渡してやる。」

 胸の前で、右の拳を左の掌が受け止め、

『バシッ!』

 大きな音を出す。

 

 

「叔父さん。行くよ…。」

 準備運動していた常磐順一郎に声をかけるソウゴ。

「今日はね、頑張るよぉ。」

 両手で頬を挟み気合を入れた。

 

 

「ウォズも行くよ。」

 誰にも、何処にも、言うわけでは無く。

 単に、声を出したとしか見えなかった。

 

「はい。」

 だが、そこにいたのは紛れもなくウォズ。

 

 

 

 檀黎斗王王国創立記念日駅伝大会は、変則の五区間で行われる。

 

 チームトキワは、

 

 ソウゴ、ゲイツ、ツクヨミ、順一郎、ウォズ

 

 の五人である。

 

 

 

 スタート。

 

 巨大画面に映るのは、檀黎斗王。

 

「私が合図を出す。」

 高らかに宣言。

 

 ランナー達に走り出す合図を待つ緊張が走る。

 

「スタートだぁぁぁぁぁ!」

 

 ランナー達の静寂が、振動に変わり走り出す。

 

 

 

 肉薄。

 

 大会は混迷を極め、熾烈なゴール争いへ。

 

 

 

「ごめん…。」

 ソウゴの謝罪。

 

「まあ仕方ないよね…。」

 ツクヨミが庇う。

 

「どうするんだ! 三位では、ライドウォッチは手に入らないんだぞ!」

 ゲイツの怒り。

 

 

 ラストスパートで追い上げたソウゴだったが、惜しくも三位。

 

「とりあえず、表彰式に出ようよ。」

 ソウゴが促す。

 

「そうだな。チャンスを見て…。」

 ゲイツの企み。

 

「優勝者に訳を話せば…。」

 ツクヨミの正攻法。

 

 

 

 表彰台。

 

 始まる表彰式。

 

 上位の三組。

 とは言え、駅伝ならば人数は多い。

 

 

「ふはははははははは。」

 現れた檀黎斗王。

「おめでとう。諸君。」

 観客に一礼。

「これより、表彰式を始める。」

 

 舞台袖からアシスタントの女性が副賞の目録を持って現れる。

 

 

「優勝おめでとう。」

 檀黎斗王が懐から取り出しす優勝メダル。

 

 

 剛力。

 

 怪力。

 

 超力。

 

 

「ん!?」

 驚いたのは檀黎斗王。

 

 優勝メダルに横から掛かったか細い腕。

 それにこれ程の力があるとは。

 

「貴様は!」

 それは先程、目録を持ってきたアシスタントの女性だった。

 

「これは返して貰うわ。」

 更に込もる力と共に、

「ふんにゅ〜。」

 声が漏れる。

 

 限界。

 

 檀黎斗王の手から優勝メダルであるライドウォッチがもぎ取られ…。

 

「おのれ!」

 左腕が、トラ爪に変身。

 

 突く。

 

 狙いは、女性アシスタントの顔!

 

 

「危ない!」

 パーカーを目深に被った男性が飛び出し、女性アシスタントを庇い共に転がる。

 

「大丈夫?」

 パーカーが落ち顔が見えた。

 

「貴方は…。」

 見開かれた目は驚きと懐旧を湛える。

 

「何者だ! 貴様は!」

 怒り。

 檀黎斗王の声には、剥き出しの感情。

 

「俺は火野映司。」

 手にした物を見せ、

「これは返してもらった。」

 

「それは…。」

 掴まれていたライドウォッチが、そこに握られていた。

「おのれぇ!」

 憤怒。

 

 檀黎斗王の両手から放たれる光。

 

 その光は、途中でメダルへと変わる。

「一億黎斗エーンに惹かれた者達だ。さぞ、秘めた欲望も大きかろう!」

 

 駅伝大会の参加者達へ吸い込まれるメダル。

 

 

 ヤミー。

 

 メダル。

 それはセルメダルと呼ばれるグリード達が創る欲望を形にしたもの。

 

 人に憑き怪人へ変える。

 

 二人を囲むヤミー達。

 

 

「ヤミー。」

 火野映司が、あの女性を庇う。

 

 

「おい!」

 呼ばれ、

「あっ! ゲイツ。」

 我に返るソウゴ。

「ボサっとするな! 行くぞ!」

 

「あっ。うん。」

 

 二人の腰に巻かれているジクウドライバー。

 

「変身!」

 ソウゴが変わる。

 

「変身!」

 ゲイツが変わる。

 

 

「逃げて。」

 火野映司と呼ばれた男性に声をかける仮面ライダージオウ。

 

「ツクヨミは、みんなを逃がせ。」

 仮面ライダーゲイツの指示。

 

 

「行くよ。ゲイツ。」

 ソウゴが促す。

 

「言われなくてもな…。」

 ゲイツはいつも通りに、

「ソウゴ。」

 

 

 

「………。」

 

「……ゴ。」

 

「…ウゴ。」

 

「ソウゴ。」

 

 

「えっ!?」

 見えたのは心配そうに覗き込むツクヨミの顔。

「大丈夫?」

 

「僕は…。」

 今までヤミーと呼ばれる怪人と戦っていたはずだった。

 

「タイムマジーンの不調の影響がソウゴに現れたようね…。」

 

 そこは、タイムマジーンのコックピット。

 

「調整で、不調は治ったわ。」

 ツクヨミの報告。

 

「夢?」

 両の手を見詰めるソウゴ。

「それとも…。」

 

「夢じゃ無いわ。」

 ツクヨミの否定。

 

「じゃあ…。」

 呟きにも似た質問。

 

「それは、あったかもしれない未来…。可能性の時間…。」

 ツクヨミの持つ答え。

 

「そうなのか…。」

 ソウゴの手の平に残るのは、戦いの感触。

 

「さあ、行くわよ。」

 ツクヨミが調整していたパネルを閉める。

 

「解った!」

 ソウゴは操縦桿を握り、

「出発だ!」

 

 過去へ向かった。

 

 

 

 

 



▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。