奥多摩個人迷宮+   作:ぱちぱち

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誤字修正。244様、アンヘル☆様ありがとうございます!


第百九十八話 恭二帰還

「ただいま」

「おう。何かしょっちゅう居るから出てた印象は無いけどな」

「まぁ、週の半分位帰ってたしなぁ」

 

 出向という扱いで出ていた恭二が戻ってきた。活字を眺めてると眠くなる病を患っている恭二は尻叩き役を求めて結構こまめに出先から戻ってきていたため、出向っていう感覚は最近薄れてたんだが。そろそろ回る場所もなくなり、大まかなデータが出そろった為に戻って来たらしい。

 

「で、こちらが」

「宮内庁の赤部と申します」

「内閣官房の池田です。お会いできて光栄です」

「あ、はい」

 

 恭二がいつもの調子で自身の後ろに立つ二人に声をかけると、彼らはペコリと頭を下げて自らの名前を名乗った。普段着の恭二の後ろに並んで立つピシッとしたスーツ姿の男女というアンバランスな組み合わせだが、その肩書も中々面白い。全然別の省庁じゃねーか。

 

 何でも、恭二への働きかけ自体は宮内庁が行ったのは間違いないらしいが、基本的に宮内庁は皇室関連に携わる省庁である。当然今回のような全国の重要文化財なんかを直接目で見るような事柄は基本的には管轄外となる。なるのだが。

 

 

「はっきり言えば洒落にならない状況だった、と申しますか。内閣官房の方にまで仕事が回ってまいりまして」

「は……はぁ」

 

 若干疲れた様な表情で語る池田氏のあんまりな言葉に、社長が気の抜けた返事を返す。どちらも疲れた顔をしているのは気のせいではない。直接話に加わるわけではないが、「貴方は聞いてください」と真剣な表情で同席を求められた俺も恐らく似た様な顔をしているだろう。

 

 恭二の能力が知れ渡った時、現在の政権は結構気楽に「おお、ステータスオープンって奴ですな!」とか言って笑ってたんだ。しかも閣僚会議で。ダンジョンなんて物が出てきたせいで最近ファンタジーに対する認識が大分変わって来たのもある。「知識を得る為にもファンタジー要素のあるゲームや漫画、小説、それに映画を見る」ってのが割と教養として求められるようになってきたんだな。

 

 まあ、そんなノリだから今回のこれも結構気軽に構えていたわけだ。詳しく見れるみたいだし、鑑定がてらどこぞの博物館の代物を見て貰おう、とか行ってみたら、まさかの村正が魔力反応を示したというトンでも情報が飛び出して。政権からすれば正に寝耳に水の話だったろう。色々な伝説は各地に残っていたが、それらのいくつかは本当に起きた事かもしれない。その情報は、これまでの歴史がひっくり返りかねない代物だ。

 

「宮内庁としては。はっきり言って知りたくなかった事ばかりですが、今知れてよかったという状況です」

「結構魔力がある人が触ると、そこから吸っちゃうみたいだからさ。お前なんか下手したら同化するかもしれんぞ」

「……村正が?」

「どっかの剣が本体のスタンドみたいになりたいなら止めないけど」

 

 嫌に決まってるだろうがこの馬鹿。

 

 その後も話を聞いていると、政府としては今回の事もあり恭二を何とか公務員にしようとしたらしい。しかしこの事に本人が「ダンジョンに入る時間がなくなるなら絶対に嫌だ」と真顔で言い切り、頓挫。とはいえ恭二をそのままにしておくことも出来ず、政府としてはこれを機に魔法関連の政府機関を公式に作る事を考えているらしい。

 

 魔法利権に関しては色々な省庁で綱の引き合いが行われていたが、その後もどんどん拡大していく利権の規模に、正直どこかの省庁が単独で持つことはほぼ無理だという結論が出てきている。どこも欲しい。欲しいが、どこかの省庁が一元管理してしまうとその省庁の影響力が強くなりすぎる。前に若手議員が言っていた魔法省の誕生が現実味を帯びて来たわけだ。

 

「陰陽寮の復活も考えているみたいです。折角過去にそういった公的機関があったのですから、これを使わない手はないと」

「実際、過去の陰陽道の秘儀も或いは本当に効果があったのかもしれません。それらを調べる事も重要な事です」

 

 そう語るお二人は今後も奥多摩に駐在し、ヤマギシと現政権との連絡係兼恭二の付き人のような形になるそうだ。国家公務員とかいうエリートさん達がそれで良いのかと尋ねると、むしろ今後数十年は日本経済のカンフル剤になるだろうヤマギシと近づける機会であり、非常に美味しいのだとか。

 

「国家公務員も結局どことコネがあるかですからねぇ」

「世知辛い話ですね」

「全くです」

 

 池田さんの言葉にそう返すと、二人は苦笑して頷いた。思ったよりも話せる人達らしい。彼らは今後冒険者協会が入っているビルに事務所を構えて出向という形でヤマギシに顔を出す予定らしい。直接は言ってきていないけど、多分恭二の護衛と監視も兼ねてるんだろうな。赤部さん物凄い美人だし、ハニトラも狙ってるか……?

 

 まぁ、沙織ちゃんとケイティという強力な壁をはねのけるのは難しそうだし、恭二にその甲斐性があるとも思えないからそっち方面は気にしないでも良いだろう。

 

「難しい話も終わったしダンジョン行こうぜ」

「おう。いやお前はもうちょい聞いとけよ」 

「分かってるって。兄貴もそこそこ落ち着いてきたって言ってるし、久しぶりに深層チャレンジだ」

 

 本当に分かってるのか分かってないのか判断できないが……まぁ、最近お決まりの相手しか戦って居なくて正直不完全燃焼も良い所だったからな。前の時から半年以上たってるし、もう我慢の限界なんだろう。

 

 ミノタウロス相手ならもう完勝出来る位には相手したし、最近むしろ食傷気味だったからな。こちらとしては望むところだ。目指せ40層って所だな。

そろそろ番外編見たいか否か。見たいなら何が見たいかもオナシャス

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