奥多摩個人迷宮+   作:ぱちぱち

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ちょっとにニヤつこうと思って感想を開いたらデップーネタが運営に怒られてた。結構厳しいんですね(震え声)

誤字修正。244様ありがとうございます!


第百二十七話 西伊豆にて

 俺は今西伊豆の海辺をのんびりと歩いている。潮風が心地良い。現代社会で疲れた心身が癒やされる気がするなぁ。

 

「その心身が疲れた理由は誰のせいかな?」

「そう。ワタクシめのせいです」

 

 最近ストレスが溜まってるのか一花の当たりがキツイです。いや、ちゃんと仕事で西伊豆に来てるからね? 病院の人員が結構な数確保できてるので、彼等にも実習という形で冒険者になって貰ったのでその教育に来てるんだ。

 

 これはヤマギシという会社自体の方針なんだが、基本的にヤマギシグループのどこかに所属する社員は全て冒険者の資格を取らせるつもりだ。

 

 これはダンジョンからの産物が会社の根幹を担っている事もあるが、恭二が魔法を初めて使った時の騒動もあるし、冒険者という存在がどういうものなのかをせめてうちの社員には理解して貰わないといけない、と真一さんが社長に訴え、それを社長が受け入れた事から始まった。

 

 現在ヤマギシ全体ですでに数百名が働いているが、彼等は全員一時期冒険者部に研修という形で所属し、最低でも一種免許を取得して貰っている。中には空いた時間に臨時冒険者の講師に出たりしている人も居て、下手な国全体よりも冒険者の数が多かったりする。ちなみに殆どの人間がマスター門下生だ。

 

「偶に自分がどこに向かってるのか分からなくなるんだよね」

「分かる」

 

 兄妹二人並んで黄昏ていると、リア充の恭二=サンが沙織ちゃんとケイティを侍らしながら看護師さん達のビーチボールに凸しているのを目撃する。 

 畜生。こないだの件でより一層周囲の睨み合いが加速して周りに女っ気がない俺への当て付けか?

 

「シャーロットさんはどないしたんよ」

「あの人ほど明確にファンの立場で来られたらさ。その、な?」

 

 最初の頃は互いに距離感を掴みそこねてたけど、最近はもう完全に『ヒーロー()』と『サポーター()』の間柄だからな。マネージャーみたいな事をしてくるし周りもそれが当然だというように彼女を止めないから、今では映画等への出演依頼なんかはほぼシャーロットさん経由で入ってくる。

 

 それらにヤマギシとしての仕事も受け持っているから激務の筈なんだが、結構小まめにスパイディ動画の撮影現場に顔を出しに来るし基本元気一杯だしで撮影班や上層部からはある種の怪物だと思われてる。

 

「もしかしたら、そういう類の特性持ちなのかもね」

「何その社畜作成用の特性」

「お兄ちゃんのソレもあんまり人の事言えないからね?」

 

 ソレ、と右腕を指差して一花は顔を曇らせる。まぁ、現在一番実害っぽいのが出てるのはこいつだからな。今現在で一定以上に魔力が成長した人間で、はっきり特性らしきものを発現したのはヤマギシチームで3名。恭二、俺、一花だ。

 

 恭二は例の目というか、奴の魔法への適性自体が殆ど異能に近いから外すとして、俺の右腕と一花のカリスマ。良く分かってない恭二を除いて、はっきりとした異能はこの二つ何だが、どちらも割と後に影響が残るというデメリットが出て来た。

 

 俺の場合はどうも多用したらそちらの姿に引っ張られるという事。一花の場合は影響力がデカくなりすぎること。何せ今ではちょっと話しただけでマスターイチカの門下生に成りたがる位に周囲にカリスマをばら撒いているらしい。

 

 ある程度以上に魔力があれば影響はないから、今現在はマスターイチカの指導を受けるのはある程度育った冒険者で有る事が条件になったのだが、その事で何を勘違いしたのかマスターイチカ門下生共は『マスターイチカの指導を受けた経験がトップ冒険者の証』という言い方で自身が指導する後輩達にいつかマスターの指導を受けられるよう努力しろ、と発破をかけているらしい。

 

「たまんねっすわ」

「ハードルガン上げやね」

「私まだ花も恥じらう高校2年生なんだけどなー」

 

 ははっと笑うイチカの頭を撫でる。学校の方ではすでに腫れ物というか女王様みたいな扱いらしい。何せ芸能人が多く通う学校だ。魔力持ちが多くおり、その殆どは抵抗力がない程度の魔力しか持っていない。

 

 父さん母さんが一度文化祭か何かで訪れた時は、一花の後ろを総回診の如く見知った顔の(子役やアイドルの)娘達が付いてきていたらしい。後何故かウィルが居たそうだが、こいつは例の事件もあったからとイベントの際は護衛として極力参加しているんだとか。

 

『マスターの側に従者の一人も居ないのはやはり問題だからね』

『やかましい』

 

 肩をすくめるウィルと久々にマジのバトルになりかけたのは良い思い出である。そんなんだから一花が新興宗教の長とか根も葉もない噂が立つんだぞ? あいつら本当に自重しろよ。

 

「新興宗教って言った! 言わないでって言ったのに言った!」

「ああ、ごめんて。泣くなよ」

 

 良し良しと頭を撫でてやると抱きついて来た一花がグズるように愚痴を言い始める。うん、6割位が俺とウィルに対するものなのは本当にごめんな。お前には本当に苦労かけてるわ。お前は頑張ってる。だからあんま気にすんなよ。兄ちゃんが何とかしてやるから。

 

「本当に申し訳無いと思ってるなら試写会であんな事やらかさない!」

「大変申し訳無い気持ちで一杯です、はい」

 

 西伊豆に来た理由それだもんな。うん。流石にびっくりしたわ。まさかもうミギーが喋るなんて思わなかったからさ。




魔法の右腕(発展系):これでもまだ未完の魔法。完成形があるかもわからない。鈴木一郎の右腕を模しており魔力によって形を保っている。

 現在分かっている特性は【変形】と【変質】、そして新たに【変容】。変形は文字通り右腕の形と機能を変えること。変質は右腕に魔力を集めることにより魔法の発動を変質させる能力。変容は変形の影響を全身に及ぼし
、容姿まで変えられる事(頭脳にも影響あり)。変容により使用者の体はより右腕の機能に合わせて上書きされていく。

 また、熟練度の上昇速度は模した変形の種類によって変わるという事も今回分かり、鈴木一郎に近い年齢、特に日本人男性は非常に熟練度の上がりが早いと思われる。
 鈴木一花はこれを親和性と名付け、現状最も親和性が高いのは高槻涼か泉新一と思われる為、ジャバウォックへの変身は禁止された。
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