ARMORED COREⅤ DAY AFTER DAY   作:キサラギ職員

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CHAPTER1 Destination Unknown
Mission 00 "Opening"


 『塔』

 正位置:崩壊、破滅、障害、争い

 逆位置:問題、困難、再生、誤解

 ――――大アルカナ22枚中より

 

 

 

 

 

 Mission 00 "Opening"

 

 そびえたつそれが天を貫いていた。

 銀とも鉄色ともつかぬそれは地上数百mという高度さえ生ぬるく思える巨大さをもって地上から天空までを繋いでいた。

 その塔を遥か遠方に望む砂漠地帯に、巨大な壁が存在した。表面は経年劣化により掠れてしまいかつて描かれていたと思しき文字列も消え去っていたが、黒ずんだ異様な巨大はいまだに存在していた。横っ腹には何者かが酷い力で焼き切ったような巨大な穿孔こそありところどころが傷を受けながらも、異常な長さ――7kmにも及ぶ巨体は、なお、砂漠に佇んでいたのである。

 どこに潜んでいたのか、赤い瞳をした大鴉たちが壁の上で翼を休めていた。彼らは世界で蔓延する破壊を見てきた末裔だった。人の死骸を突き、汚染を避けて羽を進める流浪の民。

 鴉達が、血のように赤い瞳で空を見上げると、翼を広げて舞った。壁が作り出す上昇気流に乗ってハゲタカのように周回すると、砂漠を舐めるようにして去っていく。

 その壁のようなものは、修復を受け、改造されている最中であった。大型のクレーンが在中し、作業用ロボットが徘徊していた。盾を構えたR14タイプ及び、狙撃型や支援型とも呼ばれるS77タイプが壁の上や地面で警備にあたっている。ACたちもそれぞれが武器を構え、敵の襲撃に警戒していた。

 その壁はあまりに巨大であり、高さも並大抵のものではない。さらに周辺は砂漠である。警戒は比較的楽に思われた。

 壁の上部に据え付けられた――後付の砲が、一斉に別の方角を向いた。丁度、壁の横ではなく正面方向である。

 一斉に砲が咆哮し、ミサイルが放たれ、戦闘ヘリ及び偵察型とも呼ばれるA-84型が出動する。

 敵襲。サイレンが鳴り響いた。

 遠方に次から次へと砲が放たれ、ミサイルが飛んでいく。敵は地平線のかなた。もはや人の目では感知できない世界での戦いである。

 砂煙をあげて、敵方の偵察型が悍ましい速度でやってきた。速度に特化したそれはミサイルをチャフ・フレアの波をもちていなすと、一斉に腹に抱えた対地ミサイルを放った。砂を巻き上げ、一斉にミサイルが高度を上げると、盾を捨てて両脇にガトリングを備えたR14の数機の頭部に大穴を空けて炎上させた。

 対空砲によってハリネズミと化している壁の能力がいかんなく発揮され、偵察型はものの数秒で粉々にされて砂漠に散った。

 その隙を狙い、無数のジェットヘリが飛来した。タンデム式のそれはコウノトリよろしくACを抱えていた。ローター上部に大型のレーダーを備えた武装ヘリが攪乱のために一斉にロケットを放つ。

 降り立った数十ものACらが、チャフとフレア及びスモークを周辺にばらまくや、グライドブーストを機動して戦闘ヘリを楽に凌駕する速度域にて肉迫する。

 壁から放たれた実弾の遠距離砲がタンデム式ヘリを正面から貫き、地面に落伍させた。

 安価な拡散ロケット砲が壁より放たれるや、ACたちに突き刺さりダメージを与える。壁の上部や、壁の側面にいるACたちは慌てず騒がず遠距離用のスナイパーキャノンで応戦していた。

 ACたちは遠距離砲やロケットを放ち応戦するも、敵の物量に押されて明らかに振りな状況であった。

 拠点攻めには通常三倍の戦力を要するという。その鉄則さえ踏むこともない馬鹿正直な戦闘。どこか、安楽な雰囲気さえ漂っていた。対空砲や遠距離砲なども数十のACへと照準され、いよいよ絶体絶命となった。

 それを見計らったのか、レーダーに引っかからない高さで接近してきた三機の全翼型の爆撃機が飛来した。

 爆撃を行う――のではなく、爆弾庫から次々ACを投下。一機につき四機すなわち一二機のACをばら撒くと、急激に高度を上げつつ離脱していく。

 完全に虚を打たれた拠点側は、しかし辛うじて対空砲とACにより反応することができていた。対空砲が次々放たれ、ACによるガトリングやライフルなどが降下してくるACを迎え撃つ。

 彼らの目的はただ一つ。

 敵の巨大な壁の内側に潜り込むこと。

 一機のACが呆然と見上げていた。爆撃機から投下されたうちの四機が一切の減速をしようともせず、自由落下しつつ迫ってきていたからだ。もし自由落下のまま着地すれば機体は著しい行動制限がかけられ、たちまち弾幕に包まれ落ちるというのに。

 四つの影はまるで申し合わせたかのように一斉に武器を構えるや、壁の上に立って硬直する一機に射撃を実行。ロケットが、レーザーが集中し、ACの頭部から内側に攻撃が浸透、爆散する。

 うち一機が横殴りの砲弾に食われてはじけ飛ぶも、三機は“そこ”目掛けて射撃を続けた。

 壁のような巨大施設にはいくつかの欠点がある。かつてのように動くことができないことと、建設中であること、ところどころに穴が認められること。

 鉄板で塞がんと修復中のそこへ弾丸がなだれ込み完全に破壊した。

 三機は速度を殺さずに穴の奥へと飛び込んでいくや、屋内で武装を交換中だったタンク型ACが呆然として身動ぎする真上から襲撃をかけた。一機がフルチャージのレーザーライフルを放ち頭部に直撃させ、一機がショットガンの銃火を両腕から咲かせ、一機は着地衝撃をハイブーストで殺して火花を両足に抱きながら肉迫するや、コア目がけ蹴りをブチ込み吹き飛ばした。無限軌道の摩擦で火花が起きるも、次の瞬間には横転して真っ黒い火炎に包まれる。

 三機の内、二機は彼らから見て後方へと進撃を開始。中量二脚型の一機は右手に盾を、左手にブレードを握り、R14らの一斉射撃を受け止める。ガトリングが、パルスマシンガンが一斉に放たれ、爆発した。

 盾を持つR14が射撃を中止。爆炎に包まれた中量二脚型ACの動向を確かめようとした。

 白い煙の中、青白くカメラアイが輝いた。盾に刻まれた無数の弾痕、溶解の痕跡。機体の各部から昇る煙は確かに着弾したことを示していたが、いまだに健在なことも示していた。

 再度射撃が行われるも、中量二脚型は地面を蹴り、グライドブーストとハイブーストを起動。瞬時に最高時速へと達すると、盾を犠牲に肉薄し、先頭の一機に盾を投げ捨てて攪乱する。ハンガーユニット起動。失った左盾の代わりに突撃型ライフルを装備すると、ハイブーストで得た出力を転換して急旋回。レーザーブレードの一撃で盾を装甲ごと焼き尽くし、振り返り様に胴体に一発。

 盾持ちなる愛称を持つ二機のR14がかたき討ちとでも言わんばかりに殺到し、盾で殴りかかる。

 刹那、一機の盾を蹴りブーストドライブ。真上に駆け上がった中量二脚型は肩部からロケットを乱射した。整備途中だった機体、兵士、そんなもの無関係に次々突き刺さり蹂躙していく。

 ゆっくりと高度を落とし、着地する。

 無数の準人型の兵器の墓場と化した屋内の奥から、別のACがやってきた。軽量二脚型。

 相対する二機。

 均衡は、更に奥からUNACのマーキングを成された四脚型ACが二機やってきたことで崩された。

 一対三。しかし、侵攻側である中量二脚型ACは怯えることもなく背後のブースタに火を灯すと、突撃した。

 

 

 

 

 戦いが終わった。

 巨大な黒壁の各所からは黒煙が吹き上がっており、クレーンはへし折れ、膝をついた無数のACが砂地に転げていた。

 勝敗などに興味はない大鴉達がやってくると、黒壁の天井へとたむろする。

 人の出すゴミか、もしくはカナブンにでもありつければいい。

 そんな現実的な光を宿した赤い瞳が眺める先には大地に屹立する不気味な塔の姿があった。

 




オマージュなシーンとか色々あります。ピンと来たらあなたは凄い
最近書けなくなって頭を抱えた結果、今書きたいのを書けばいいじゃんということで筆をとりました。完結は期待しないでください
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