転スラに転生したら『最強』だった件   作:村田雄介先生の女の子絵好き野郎

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 ※注意※
・作者の妄想話です。この妄想を少しでも面白いな、って思って読んでくれたら嬉しいです。
・サイタマ本人は出ません。


第1撃目「サイタマじゃない俺は一体何者なのか」

 

 

 

 

 意識が混濁している中。

 一筋の光が照らされる。

 そこから聞こえるのは、女の声。

 

『確認しました。あらゆる物理攻撃を無効化する身体を作成します』

 

 身体……?

 そういえば、俺の身体は、どこだ?

 俺の……からだ……?

 俺のからだって……どんな感じだったかなぁ……。

 ぼんやりと思い浮かぶものは、大好きだった漫画の主人公。

 絶対に負けることがないけれど、そのせいで無気力になってしまったヒーロー。

 ちょっとだけの修行だけで、『最強』になって爽快に敵を一撃ワンパンチだけで、ぶっ飛ばす最強のヒーロー。

 誰よりもヒーローというものを求めた『最強』。

 その最強になった代償が坊主(ハゲアタマ)っていうのも笑えた。

 

『確認しました。エクストラスキル《強者》を獲得しました』

 

 あのヒーローは、誰にも負けない『最強』だった、な。

 

『確認しました。エクストラスキル《強者》を進化させます。………………成功しました。エクストラスキル《強者》をユニークスキル《最強者》に進化しました』

 

 それは凄い。

 最強者、か。

 それは、きっと、さいこ、う、なんだ、ろう、な。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そこで意識が微睡みと共に暗闇に落ちていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 歩いてどれくらい経っただろう。

 

 本当に長い間歩くが、どうやらこの身体になって以来、方向感覚までおかしくなった。

 『この身体になってから』という言葉に引っ掛かるかもしれないが、そのままの意味である。

 緑溢れる大森林の中、ずっと歩き回っている禿頭(とくとう)を煌めかせ、背には白のマントを靡かせて、手には熱血の赤い手袋で拳を固く握らせ力強く呟いてみせる。

 

 

 

「俺は別に最強サイタマになりたかったんじゃねぇーー!!」

 

 

 

 叫ぶ。

 

 ただそれだけの筈なのに、その叫び声だけで近くにあった木々がキシキシッッ!! と悲鳴を上げる。それだけでなく、どこか地面まで揺らいだような気がする。

 改めて声を元のボリュームに下げ、またも呟く。

 

「なんで、どうして? なんで目が覚めたと思ったら変な森に来てるの? ここどこなの? なんで俺は漫画のキャラになってんの? 今時流行りの転生モノですか? 俺そーゆーのいいですから、マジで」

 

 誰が聞いてるわけでもなく、文句を垂れる。

 

「……あー、だからといってだ。俺の生前が全然思い出せない。なんでか都合が良く思い出せない。ご都合主義かこのやろう……。なんでここに居るのかさえ分からない。……ていうか、転生なの? それとも転移モノか? 俺は自分がなるのは勘弁願いたいけど、読むのは好きだったから色々思いだせる……。というか、俺は生前何者だったのか分からないというのに、そういうのは思い出せるのか……」

 

 何処に向かえば良いのか分かる筈もなく、宛もなく歩く。

 どうでも良いが、この森無駄に広い。

 

「誰かに会いたいもんですね~」

 

 ここが日本じゃないのは分かっている。

 さっき気持ち悪いほどデカイ昆虫に会った。

 怖かったので、腰を低くしてその場から逃げたものの。自分は『あのサイタマ』になってるんだから余裕じゃん、と思っているときには既に遅く。

 脳内で逃げたい! と強く思ったせいか。踏ん張った脚力でどこかの大岩に突っ込んでいた。

 正に弾丸のごとき速さ。

 そして自分の頑丈さに戦慄を覚えた。

 ()()()()()()()()

 まったく痛覚を覚えていない。ぶつかった、という感覚はあるが痛くはないのだ。

 実際、大岩を砕いて這い出てきて、タラリと冷や汗が流れ、一言。

 『マジか』のサイタマもよく言っていたものだった。

 下手すると、あのサイタマの軽い修行より酷いかもしれない。

 だって、本当になにもしないであの身体サイタマになれたのだとしたら。申し訳なさが出てきた。

 試しに空に高く跳んでいることをイメージしてジャンプするとどうだ。

 簡単に飛べた。

 

「うおおおおあああああああああーー♪♪♪!!」

 

 物凄く楽しかった。

 重力を無視する動き最高だった。

 しかし、そのあと襲い掛かる浮遊感。そして、落下

 

「うぎゃあああああああああああーー!!!!」

 

 悲鳴を上げながら落ちる。

 轟音響かせて地面に激突するが、

 

「うおっは! わは! わははは! ガハハハハ!! 痛くなぁーーい!」

 

 全然痛くない。

 

「ヤバイぞこれ! 中毒になるヤバイ!」

 

 語呂悪くなるぐらいテンションが上がっていのだが、そうも言ってられないモ・ノ・が見えた。

 さっき高く空を跳んだ際、見えた。

 

「……なんか、村襲われてね?」

 

 豚頭みたいな人の集団が、人間に角が生えた所謂『鬼』らしき人たちが襲われてる。

 

「……ヒーローとしては見過ごせないな」

 

 遊んでたお陰で、大分身体の使い方が分かった。

 それならば、この先どうするか決める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「逃げろ! お前たち!!」

 

 そう叫びながら、既に何体かの豚の人たちを斬り倒しているのか、刀には血糊が付き、ボロボロになりながらも守っている様子だった。

 

「親父っ!」

「父様!」

 

 そしてその家族らしき息子さんに娘さんを発見する。

 

「家族仲良く死ねェ!!」

 

 しかし、襲ってきたであろう豚の人たちは巨大な鉈なのか剣なのか分からない武器で容赦なく襲おうとしている。

 しかし、まるでスローモーションの如く動きが鈍く見える。

 そんな遅い動きをする豚の人たちを()()()()()みせたのだが、

 

「ごばぁぁあああああああ!!!??」

 

 物凄い勢いで吹き飛んでいった。

 砲弾のような効果音と共に。

 

「うそ~ん」 

 

 殴った本人でさえ吃驚(ビックリ)ものだった。

 集団。いや軍隊とも言えるくらいの大量の兵だった豚の人たちは一斉にこちらに視線を向けてきた。

 

「なんだあのハゲ頭は!? 大鬼族(オーガ)の仲間か!」

「関係ない! 我らに刃を向けたことを後悔させろお!」

 

 そう言って襲いかかってくる。

 何故さきほど殴った威力とかガン無視してツッコんでくるのだろうか。

 

「俺は、趣味でヒーローをやっている者だ」

 

 忘れるなかれ。

 俺、今サイタマ。

 普通にこんな決め台詞が出てきた。

 キャラに成りきってやがるよ俺!

 そんな俺の発言に青筋ピクピクの豚の人たちは口から汚いくらい唾を吐きだしながら怒り狂う。

 うわぁ~めっちゃ怖い。

 

 

 

「「「なにがヒーローだぁぁぁぁああああああ!!」」」

 

 数の暴力。

 絶対なる暴威が俺に襲い掛かってくるというのに、何一つ脅威と感じない。『怖い』という感情はある。生前怪我や病気にだってなったことのある俺だ。だから、あの豚の人たちに噛まれたら人間の柔肌なんか簡単に食い千切り破ること間違いなしだろう。

 怖いけど、脅威と感じない。

 

(対処できるからだろうか……)

 

 あの()()()()になった自分なのだ。

 

 絶対に()()()()()()()()()()()()のだ。

 

「一種の催眠効果かなコノヤロー」

 

 猛る叫び声を上げ、襲いかかってくる豚の人たちを、

 

「死ぬなよ」

 

 一撃(ワンパン)で終わらせる想像(イメージ)しかできなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 大鬼族の頭領である族長は、空いた口は塞がらなかった。

 魔人の一撃でも見たかのような。

 いや、『魔王』の一撃にも勝るその砲撃とも言える強大な一撃に。

 

「……魔力を一切使わないでの、たったの、拳一つで……」

 

 大鬼族の里を覆うように奇襲していた豚頭族(オーク)たちが、嵐にあったかのように吹き飛ばれていった。

 

()()()()()()……」

 

 持っていた刀を握る力も無くなるほど、脱力してしまった。

 大鬼族の里の近くにあったであろう山が、丸く綺麗に抉られていたのだ。

 あの攻撃を食らった豚頭族がどうなったのか知るよしもない。

 

「親父! 大丈夫か!」

「父様! ご無事で!?」

 

 最愛の子供たちが駆け寄ってくるが、残りある力で二人を後ろに下がらせた。

 

「お、お前たちは下がれ」

 

 大鬼族の代表として聞かねばならなかった。

 この『御仁』に、確認を、

 

「よぉ。無事か」

 

 どう声をかければいいのか迷っていると、向こうから声をかけてきてくださった。

 失礼のない態度を取りながら、

 

「は……はっ! 助けていだき感謝を!」

 

 本来、人間に舐められない態度を取るものなのだが、この御仁は次元が違った。

 『人間』の枠に収まるものじゃない。

 それに、人間だったとしても感謝しかない。

 大鬼族の若者を逃がすだけで大変だったというのに、今じゃ半数以上の大鬼族が生き長られた。

 家族の別れもせずに済んだのだ。

 禿頭の人間は、にこやかに微笑んで、

 

「無事なら良いんだけどさ。ここってどこか、分かります?」

 

 強さに驕らず、己よりも力弱い者に対しても礼儀正しく接してくれたことに軽く感動を覚える。もし自分があんな力を持っていたらなば、きっと力に溺れていたに違いないというのに。

 大鬼族の頭領がそんな考えをしているというのに、当の本人は『やべぇ何も反応ないの超気まずい。ていうかショック』と小心になっていた。

 

「どうか! 貴方様のお名前を御お聞かせください! どうか!」

 

 低姿勢のまま、本当に心の底から感謝してる鬼の人たちに頭を下げられて困っているハゲはとうとう、自分の名前を教えようとしたのだが……。

 

「…………俺の、名前なんだっけ?」

 

 

 名前も分からず、歩き回っていたのだった。

 

 

 

 




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2019/01/16 誤字修正。
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