転スラに転生したら『最強』だった件   作:村田雄介先生の女の子絵好き野郎

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第2撃目「最強でも護れない」

 

 まったくといって良いほど、好待遇を受けることになった自称・記憶喪失の青年、禿げ頭の男。

 今この瞬間から逃げ出したいと考えている禿げ頭が、ピンチのところを助けて下さった恩人である禿げ頭男を頑なに何処にも行かせようともしない大鬼族(オーガ)の人たちから様々な融通を聞かせてもらった。

 まず住む場所だが、屋根と衛生的に普通な所ならどこでも大丈夫だった禿げ頭だったが、大鬼族の長が住まう江戸時代の日本のお城のようは立派な建物のある一角の部屋を借りる。

 

「さぁさぁ、()()()()様。この城は自分のものと思い、お(くつろ)いくださいませ」

 

 大鬼族の長であろう燃えるような赤髪と立派な角を持っている族長は、その立派な巨躯でありながら洗練とした動作で、江戸時代の侍がお殿様に何か言う時みたいに両の拳を床につけ、深く頭を垂れてそんなことを言う。

 どちらかというと絶対にここの城主は誰かと聞かれたら誰もがこっちだと思うくらい堂々とし、雄々しくも知性溢れる瞳を持つこの男だ。

 因みに。

 禿げた頭なのに大鬼族より鬼強いマント男は《サイタマ》と名乗った。

 生前の名前が思い出せないなんて凄いショックを受けていた自称・サイタマ。

 しかし、自分の今の姿は紛れもなく《最強のヒーロー》サイタマなのだと自覚する。自覚しない方が危険だ。

 

(能力だってサイタマみたいにぶっ壊れた強さ(チート)に違いない)

 

 ズルして最強(チート)スタートしていると何だか気分が下がっていた自称サイタマだったが、本腰を入れて『サイタマ』になろう、と思い始める。

 

「まぁ、余り畏まるなよ。そりゃあバカみたいな力持ってるけどさ。なりふり構わず暴れることなんて無ぇんだから」

「はっ。サイタマ様はお心までご寛大でございますな。しかし、感謝の意をどうか御受けいただきとうございます。我ら大鬼族は豚頭族(オーク)によって壊滅寸前まで追い詰められておりました」

 

 そんなところを、サイタマがたったの一撃でそれを全て吹き飛ばした。

 

「この世は弱肉強食。弱き者は強き者にの言うことを聞くもの。そんな世だというのに弱者たる我らをわざわざ助けて頂いた貴方様には返しきれない御恩があるのです。どうか我らを、貴方様の配下にさせていただきとうございます」

(とんでもねぇ事になってんじゃねーか)

 

 助けを求められたら助けるのがヒーローというもの。

 だから別に配下にしたいからって助けた訳でもないサイタマは、それをにべもなく断ってしまうが、それでも食い下がる大鬼族の族長。

 

「いいえ! どうか我ら大鬼族(オーガ)を貴方様の配下に!」

「いいって別にマジで」

 

 サイタマは自分が居るからこんな状態になっているなら今すぐでも出て行こうか? 等と族長に言うと、『とんでもございません! 分かりました。申し訳ありせんでした……執拗に過ぎましたね。どうか、どうかここでお体をお休みくださいませ』と巨躯の癖にシュン、と体を縮込ませた族長は、給仕の者にサイタマの世話を申し付け、どこかに向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 大鬼族の族長とて、《大鬼族(オーガ)》の誇りは勿論あった。

 『鬼』は何者よりも強く、そして大らかではないといけないのだ。

 しかし、その全ての大鬼族の里を救ってくれたのは脆弱な筈の人間で、禿頭(とくとう)が特徴の青年はその強さが常識を軽く上回っていた。

 しかし、全滅を恐れ、後継者たる鍛え抜いてきた自慢の息子と、そして里における重職である巫女にして最愛の娘たちを救ってくださったあの青年には既に過大な恩があり、頭が上がらなかった。

 先程言った言葉に偽り無し。

 この世界では『弱肉強食』。

 弱き者は淘汰される。

 

「なんとかあの方を我ら大鬼族の味方につけなければ」

 

 赤い髪を揺らしながらも、その強き瞳を持つ鬼の族長は決意を新たにしようとするが、

 

カンカンカン!!

 

 襲撃され、未だ建て直し途中であった物見櫓から鐘の音が村に鳴り響く。

 

「そんな! まさか!」

 

 既に豚頭族(オーク)の軍勢が夜襲に備え、襲ってきたのか!

 大鬼族の族長は真っ赤な髪とは裏腹に、真っ青になった顔で再び物見櫓に向かおうとするも、悲鳴が多く聞こえてきた。

 豚頭族(オーク)の鬨の声が族長の耳まで聞こえてきた。

 最早手は打てない。

 族長は大鬼族の種を絶えさぬ判断をしなければいけなかった。

 

 

 

 

 

 

 

「……またきやがったのか」

 

 サイタマは立ち上がった。襲われている鬼の人たちを助けるべく、ヒーローマントを靡かせて、立ち上がる。

 しかし、それを遮るべく男も立っていた。

 

「お待ちください。サイタマ様」

「鬼の族長……? なんだ、早く行かないと仲間がブタにやられ……」

 

 決意に満ちた瞳を向ける鬼の族長に、最強の力を持っているサイタマは初めて気圧された。

 『決死の覚悟』を込めた瞳は、サイタマの声を押さえ込むことに成功させる。

 鬼の族長の後ろには既に若い大鬼族の者たちが集まっていた。

 中には族長に似た者もいる。

 

「察して頂き、誠にありがたい。流石はサイタマ様」

「……俺も」

「いいえ。後顧の憂いさえ……サイタマ様にお願いできるのなら、本望」

 

 言葉少なく、鬼の族長はしっかりと告げる。

 武より越えし『神』が宿った拳を持つ男に、紅に燃える朱髪を揺らして頭を下げる。

 

「どうか……どうか我が子と、里の者たちをお守りお願いしとうございます。何とぞ……何とぞ」

「……あんた……」

「残りの戦士たちも、若き芽を護る為に戦っております。私も後に残り、戦士たちの魂と、豚どもの腐った魂を焼き炙りながら共に黄泉にへと参ります」

 

 誇らしげに笑うその鬼の男は、日本に生きた誇り高き戦士(サムライ)のそれだった。

 美しい波を打つ刀を抜き、それを一寸眺めてから、背後に居る息子にへと渡す。

 

「……まだ教え足りぬことばかりだが、これも弱肉強食の世。いずれやってきた結末だ。強くなければ滅びるまで」

「……………………」

「お前は、きっと俺より強き大鬼になれるであろう。自慢の息子よ」

「……ぐっ!……いま、まで、一度も褒めたことが、なかったくせに……」

「当たり前だ。図に乗るからな」

 

 そう言って、同じ赤い髪をした青年の鬼に刀を渡し、そして胸に拳を当てる。ただそれだけで息子は涙を少しだけ流し、必死に感情を切り替えようとしていた。

 

「娘よ、妻に似て美しく育った姫よ。そなたには沢山の家事を任せてしまっていたな。苦労ばかり掛けた……。良いことがあるとすれば、お前を嫁にする男を眺めずに死ねることよ。まぁ……孫は見たかったな」

「……ぅぅぅ……ちちぅぇ……ちち、うえ……父上ぇ」

「泣いても良い。しかし決して歩み止まるな。振り返ること決して許さぬぞ。もしも黄泉の国に来たならば再び鬼の拳骨を食らわせようぞ」

 

 そう厳しく言いながらも、族長は娘を優しく抱き寄せて、最後の抱擁をする。

 他の者にも声を掛けていき、泣き崩れる者ばかりの中。

 サイタマはこの理不尽さに黙ってはいられなかったが、この鬼の族長の覚悟を踏みにじることが出来なかった。

 救えるかもしれない、しかし何故このような方法を取ったのか。

 

(今は勝てる……けどその後は? ずっと離れずに居れば良いってか……?)

 

 無理だ。分身でも出来れば良いが、相手は必ず一人ずつ確実に潰してくる。

 そうなっては意味が無い。

 死んで護っていった大鬼族の戦士たちの死が、無駄に終わってしまうのだ。

 この世界にきてすぐに出会った種族だが、とても愛情ある種族で、命を懸けて護るその姿は、人間と同じであった。

 サイタマは、族長と向き合う。

 

「貴方とであえて良かった。戦士として、存分に戦えて、終えることに……。そして面倒事を押し付けてしまい、本当に……」

「……面倒じゃねぇよ。必ず護ってやるからな」

「……かたじけない……」

 

 そう言って、城から裏道に繋がる隠し通路を進んで大鬼族の里を脱出したサイタマと大鬼族一行は、ジュラの大森林の中に迷い込んで行った。

 

 




気軽にコメントお待ちしております!

鬼の族長の名前とか考えていたりしていましたが、それを考えると鬼の里での暮らしとか考えたり、ベニマルやシオンとかの絡みとか妄想が止まりませんでしたが、この序盤だと、そういえば名前がまだ無いんですよね。だからすごく書きづらいな、とか(-_-;)
随分と更新が滞り申し訳ありません。本当に、持続力がもたないwww
そして集中力ですよね。自分、携帯で小説を書いているのですが、指が疲れるともうそこから進まなくなってしまい本当に続かないです(T_T) 
本当に申し訳ありません(T_T)

次はとうとうリムルとか出したいwww
アニメも終わってしまい、コミック版まで進んでいてとても焦っています。自分《小説家になろう》から転スラを知っていはいるんですが、最後までは読んでいなくて、コミック読んで、書きたいな、と思ってここまで踏み込んでので、最高コミックまで進んだ場所までしか書けません(>_<)

それでもお付き合いできる方がおれば、是非にこれからも読んでいってください!



※2019/03/19 修正と追加。
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