転スラに転生したら『最強』だった件   作:村田雄介先生の女の子絵好き野郎

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長らくお待たせしていました。
本当に亀更新なのです(T-T)

今回も見事に暴走しておりますが、暖かく見守っていただけたらと思います。


第4撃目「スライムに恋をした《最強》」

 

 恋をした《最強》は勢いを殺さずに、そのまま猛アタックに洒落込もうとしたのだが、恋した美少女はなんと《スライム》だったことに驚きを禁じ得ない。

 スライムって、ポ○モンでいうメ○モンみたいなもので、両性なんじゃないかとすぐにそれには思い出すサイタマ。そういうところはオタクな知識を持っている。無くした記憶の手掛かりになるかもしれない。

 

「スライムのリムルって言うんだ、けど。まさかアンタも、()()()()なのか?」

「異世界人?」

「その……この世界で生まれてこなかった者。この世界じゃない世界からきた奴のこと」

「……恐らく俺もそれだな。しかし記憶がない」

 

 そう言いながら、サイタマは己の格好や、分かったことをスライムのリムルに話す。

 

「向こうの、地球での知識とかは分かってるのに、名前や生活していたこと、家族の記憶とかが無いだって?」

「あぁ、まったくない」

 

 それはどれだけ不安だったのだろう。

 リムルはこの禿頭の男を少し悲しそうに見る。スライム状態だから分かってないと思うが、

 

「同情してくれるのか。ありがとうよ」

「なぬ!?」

 

 何故か分かった、と言わんばかりにリムルはサイタマを見るが、サイタマは別のことを考えていた。

 

「それより、スライムじゃなくてさっきの姿になっててくれよ。愛でたい」

「おい、常識はどこへやった変態」

 

 欲望が再燃してきた《最強(サイタマ)》だったが、リムルもリムルでサイタマを警戒する。二重の意味で。

 はっきり言えば恐ろしいほどの強さである。

 『普通』ではない。

 

 そうして、オーガたちの誤解を円滑に解決してみせたリムルたちは、拠点にしている村にへと案内してくれた。

 そこでは正しく、異世界知識で発展させてます、と言わんばかりに着々と何もなかったであろう森林の真ん中に立派な村が出来上がりつつあった。

 衣食住が揃い、原始染みた生活基準なんてどこかに行き、ランプなど鉄器製品も並んでいる。

 これにはオーガの一族たちも驚いている。

 一勢力が出来上がりつつこの現状に。

 しかし、サイタマは知ったことではなかった。

 己が持つ《最強(チカラ)》が無気力に変えていってしまうから。

 何やら宴を催していたのだろう。

 ご馳走などがずらりと並び、ゴブリンやドワーフ、魔狼たちなど三々五々に楽しんでいた。

 そんな中、楽しんで宴を盛り上げているところから離れた場所で、主にこの拠点の主要たる者たちが集まって、鬼の族長の息子の話を聞いていた。

 

豚頭族(オーク)大鬼族(オーガ)に仕掛けてきただと!?  そんなバカな!」

 

 リムルの里に移住してきたであろうドワーフ族の代表であろうカイジンと名乗った男は、飲んでいた酒を吹き出してそれにはお驚いた。それにはゴブリン族の族長・リグルド、そして息子のリグルもそれ追従する。

 それほどまでに異質だった。

 

「事実だ」

 

 重く、そして短く。

 大鬼族の赤い鬼はそう答えた。族長である父を思い出しながら。

 

「ありえるのか? そんなこと……」

「分かりません」

 

 酒が入った樽ジョッキを置いて、カイジンはリグルドに聞いてみるが、答えは同じ。何故か理由が分からなかった。

 そんな深刻そうに話してる中、ゴブタが肉串片手に持って気軽に入ってくる。

 

「そんなにおかしいことなんすか?」

「ゴブタ」

 

 リグルが『失礼だろ』と目で訴えているのに、それ気付かずモグモグ食べながら話を聞く。

 カイジンは記憶にある中、それに答える。

 

「当然だ。大鬼族と豚頭族(オーク)じゃ強さの桁が違う。格下の豚頭族(オーク)が仕掛けてくるなんてあり得ん」

 

 豚頭族(オーク)と大鬼族とでは強さが違っていにも関わらず、襲撃してきた。

 それ事態、無謀に思えることだったのだが、理由があった。

 武装し、鎧を身に纏い、森を埋め尽くすほどの圧倒的な戦力。

 豚頭族(オーク)たちよって蹂躙されたのが、大鬼族たちの里だった。

 人間たちが身に纏うフルプレートメイルを装着していたことに、カイジンは訝しげに眉を顰める。

 

豚頭族(オーク)がそんな高価なものを用意できるわけがない」

豚頭族(オーク)だけの仕業ではありませんな」

「その通りだ! そして、その軍勢の中に、()()()がいた」

 

 仮面の魔人。

 リムルと間違えた人物だった。

 ゴブタは『つまりどいうことっすか?』と首かしげに聞いてくると、リグルが纏めた意見を口にする。

 

「つまり……豚頭族(オーク)は誰か魔王の勢力のいずれかに与した……ということでしょうか」

 

 皆が口を重く閉ざして、深い溜め息だけを吐いた。

 災いの根元。破壊の体現者。

 

「ふむ……魔王か……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「魔王なんているのか」

 

 普通ではないサイタマの聴覚をもってして、その会話を寝ながら聞いていた。

 もしその魔王という奴が鬼の里を滅ぼしたというのなら、それ相応の報復があっても良いのではないか? などと一個人で決めることではないことを考えていた最強者に、可憐な少女のようで少年にも見えるこの村の長たるリムルがやってきた。

 

「もう飯はいいのかよ?」

「あぁ、食休み食休み~」

 

 集団より少し離れたところにいたサイタマにリムルも一緒になってその場に座った。

 

「さっきはすまなかった」

「あぁ、なんか俺のこと好きになったとか言ってたけどそうだよな。間違いだった……」

「いや、それは間違えてない。好きだ」

「………………」

 

 リムルこれには流石に閉口する。しかし、問題はそこではなかった。

 

「いきなり襲ったことだ。しかし、目前に仇の仮面を見つけちまっては収まりきれないと思ってな」

「アンタぐらいの力なら余裕だろ?」

()()()()? 気持ちまでは抑えきれる訳がないだろ」

 

 ほう、とリムルはサイタマの印象が少し変わる。

 実はリムルは警戒していた。

 同じ異世界人ならば、特殊能力(チート)を持っているだろう。

 そんな奴が、相手を思いやるぐらいの精神を持っていたことに少し安堵する。

 

「俺が意識をハッキリさせた時に世話になったんだ。オーガの里。……だから、あいつらを無下に出来ない。したくない」

「ほぅほぅ」

「それで、何か提案があってきたんだろう。ここの大将は」

 

 それぐらい察しがついたサイタマは、寝ていた体を起こした。

 

「今後の方針だよ。再起を図るにせよ。他の地に住むにせよ。仲間の命運はお前の采配だろ?」

「違う」

「違いませぬ」

 

 そこに、赤髪の鬼が側に近寄っていた。

 

「鬼の頭領が何言ってんだおめー」

「それが、先程の結果でございます」

 

 確かに、大鬼族たちの代表といえばこの赤髪の大鬼族の青年になるだろう。付いてきた仲間たちもそれを認めていたし、それ以外は認めなかった。

 だが、本人は悟る。

 

「俺にはまだ、鬼の頭領たる力量も裁量もまた不足。覚悟はしておりました。この命を張り、仲間を守り、強さを誇ることに!」

 

 しかし、と拳を強く握る。

 

「……リムル殿が提案してくれなかったら、俺は命を散らす覚悟で戦っていた。しかも見当違いの相手に、です」

 

 強く握った拳を、何とも情けなく笑いながら力をゆるめた。

 

「えぇ……きっと、サイタマ様が助けて下さったのでしょう。しかし、それではいけないと理解しました。自分に足りないものがあると、貴方の強さの前に知ったのです」

(マジで?)

 

 真剣に話している鬼の青年に対し、サイタマは驚くほど冷や汗を垂れ流す。

 自分の強さに何かを悟ったのか? と。

 

「ただ力を振るうことは、赤子でも出来る。亡き父からも教わった中の一つ。力を振るう者は、その振るう先をも考えなくてはならないと」

(待ってまってー……おれそんな大それた考えしてないからぁ、その場その場の勢いだからー)

 

 まぁ、落ち着けと。静止させようにも鬼の青年は止まらない。

 

「……俺が鬼の頭領となれるその日まで、サイタマ様が我ら鬼の代表です」

(ひぇーーー!!!)

 

 恐れいたことに。

 重大な責任がサイタマの考えなしの両肩にのし掛かる。

 

「まて……」

「いいえ! 俺の……いえ! 我らの考えは変わりはしません!」

 

 いつのまにか、鬼の青年の後ろには青い髪の鬼と、白髪の老鬼が一緒に頭を下げていた。

 

「まっ……」

「何とぞ!!」

 

 ひぃぃん! とサイタマは無表情(ポーカーフェイス)を決めながら震えていた。

 そんな中、リムルが意味ありげに『ふふふ……』と笑いながら提案する。

 

「じゃあサイタマが鬼たちの代表な。ハゲだけど。なんか良いじゃ~ん♪ 鬼たちを纏め上げているのがまさかの角無し鬼! いいなぁ」

「よくない!」

 

 ここはハッキリと断らないといけない。

 そう思い立ち、リムルに力強く訴えようとすると、赤髪の鬼青年が小さく耳打ちする。

 

「(もしかしたら……リムル殿のお近づきになれるやもしれませんぞ)」

「よぉし、分かった。オレが鬼の代表な」

 

 早くも鬼たちはサイタマの取り扱いを分かり始めてきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 早くも方針は決まった。

 

「オレの嫁になってくれ」

「いやだ」

 

 求婚だった。

 

「代表同士が結婚することで、異種族たちの繋がりはより強固になるんだぞ!? だったら結婚以外何もないだろ!?」

「お前それゴブリンやドワーフとか他の種族たちから話を聞いてから決心しただろ!? どうした日本人の慎ましさは!?」

「ここは異世界だぞ!? そんな日本ルール露となって消えた! さぁ!」

「嫌だ!」

 

 しかし、リムルは逃げられなかった。

 

(な、なんでスライムの俺が抜けられないぃ!?)

 

 何かの能力なのだろうか。

 リムルの《大賢者》による能力をもってしても、サイタマのステータスが分からなかった。

 いや、しかし遅々として少し情報が入ってくる。

 

氣力(ミエザルチカラ)だぁ!?」

 

 リムルが見たものは、既に狡いもの(チート)だった。

 何せ、能力名が分かっても、その肝心の内容が分からなかった。

 これにはリムルは恐怖を抱かずにはいられなかった。

 『捕食者』による能力を得る力と、『大賢者』による分析や解析、そして『捕食者』によって得た能力を更に改良、改善、改造して自らの能力へと使える誰にでも胸を張って言える『特典(チート)』だった。

 そんな無敵の強さを誇る能力を持ってしても、解析や分析出来ない相手が出てきた。

 

(けど! スライム本来のタプタプ感ごと何か俺を抑え込んでないか!?)

『危険……解析不能、分析不能』

 

 『大賢者』も恐れる相手って何!? と頼れる相棒(スキル)も怯えてるようじゃ無理だ。

 加えてリムルは思い出す。己が作り出した《黒炎》をデコピンだけで、魔力など使わずに()()()()()()()だけで吹き飛ばしたことを。

 『あれ、もしかして、最大のピンチなのでは?』と。

 もしも、ここでサイタマを放ってどこかに行ったらどうなるんだろう。

 

(あれ、これって……最大の選択肢(ピンチ)か!?)

 

 選べという!?

 このハゲ頭だけど間違いなく()()()()()()()()の男を味方にするか、しないかを!?

 リムルは神を恨む。

 やはり神は二物を与えないのか。俺がTUEEEEEEEEEEを許してくれないのか。

 

「じょ、条件がある!」

「飲もう」

「はやっ! 決断早いぞ!?」

「愛する者の条件だ。無理じゃないなら飲もう」

 

 一丁前に男前なことを言う。

 

「お、俺は元はお男だぞ? それでも良いのか?」

「構わない」

「お前が好きになったのは外見が良いだけのスライムだぞ」

「中身はこれから知っていく。たとえ男だろうと惚れた。中身が外道だったらオレが正道に戻してやる」

 

 それでもリムルはやはり簡単には飲み込めないでいる。それはそうだ。元は男である。今の外見は、きっと『捕食者』によって得た姿。大切な姿。

 

「お前が見てる人物は違う奴かもしれないぞ」

「オレは()()()()()()()()

 

 スライム相手に、このハゲは本気だった。

 つい最近会ったスライムに本気だ。

 それに、両性ともなったせいか、男だけの気持ちだけではなく、女性的な面の気持ちが芽生え始めてきたのかもしれない。

 今の言葉にグッときたものがあった。

 

「お前が嫁を持っても構わない。オレはお前の唯一の婿だからな」

「……なんだそりゃ。俺はこれから妻でもできるのか」

「あぁ、きっとできる」

 

 なんでそんなに力強く言えるのだろうか。解析不能だ。

 リムルの考えが、このハゲの言葉にどんどん解かされていくのが分かった。

 

「……はぁ。ここは男と女を上手く利用するところか」

「あぁ、存分に利用しろ。好きな相手と一緒に居られるならそれだけで本望だ」

 

 リムルは依然とスライムのままだが、決めた。

 何より身の危険と、我が街の為にも。

 しかし、何より。

 残念ながらこのサイタマという男は誠実にして真摯だった。この男の想いに嘘は無いと感じてしまった。

 

 こうして、何故か今後の方針(別の意味でも)が決まった。

 サイタマとリムルの政略結婚。国家間とは言えない小さな里同士の決め事だが、ここにそれが成った。

 

 

 今後、この二人が活躍することが(いや)が応でも知ることになろうとは、まだ誰も知らなかった。

 




感想やコメントお待ちしております。

今回も妄想が書けて良かった。毎回、夜勤明けの時に書いてるから誤字脱字があったら教えてください。

リムルに最初から告白するサイタマ。これは、常に妄想してました。リムルの隣にあの《最強》がいたら良いなぁ、リムルを女の子として守ってあげたいなぁ、って妄想をね、ずっとしてましたww
それを読んで、少しでも共感できる人がいたら嬉しいです。

それではまた次回。
亀更新ですが、気長に待ってもらえたらと思います。
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