彼女は一人また一人といなくなる場所で何を思うのか。
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フレンダラス丘にある連邦のブートキャンプ郡への襲撃作戦を終え、久方ぶりに家に帰ってきた。
レジスタンスの基地とは名ばかりの廃ビルに帰ってきた彼女はフレンダラスの大地で砂やら泥やらを噛みながらも、己が役目を果たしボロボロになった装備を引きずっていた。
窓から入る夕日がコンクリ張りの廊下を照らし出す、304と書かれたドアに鍵を差し込み鋼鉄製のドアを開き中に入る。
ドアの先には、埃っぽいいつもどうりの薄暗い部屋が広がっていた。
部屋に入り、すぐ左にある調味料が所狭しと並んだキッチン。
その横にある少し黄ばんだ冷蔵庫。
簡素なベットに白い天板の眩しい長机。
無機質なガンラック、写る者がいなくなりくすんだ姿見。
この光景を見る度に帰ってこれたと思うのである。
いつもの如く、部屋を開けた時間と比例し部屋の生活感は消え、埃っぽい空気のせいで独特の乾燥をした空気は部屋の雰囲気を空虚なものへと変化させていた。
部屋の中をみてため息をひとつはいた彼女は部屋に入り、ベットの上に装備を投げ捨てると窓を開けに部屋の奥へと向かった。
空気を入れ替えるために彼女は窓を開け放ち外の澄んだ空気を取り込む。彼女が歩いたことでまった埃は縦長の部屋の中を進み入口から吐き出されてゆく。
机の前に戻り背負っていたライフルケースを机の置いて鏡を見た。
姿見に鏡に写った私の顔は酷いものだった。
髪は後ろでまとめているものの、アホ毛が乱立している。
ナタリーが好きだと言ってくれた細目の三白眼も濁りきり、その下にはくっきりと深いクマが出来てる。
「こんな顔だとナタリーに顔合わせ出来ないよ。」
ため息を吐きながらクッションの萎み切ったパイプ椅子を長机のしたから引きずり出し、どかり腰を下ろす。
一度深呼吸をして、そこからはいつも通り。
銃を完全に分解し、汚れを取り、古いオイルを拭き取り、新しい油を挿しながら、命を守ってくれる
「~~♪ お疲れ様エリー。今回もありがとうアリア。またよろしくねティナ。」
しっかりと磨きあげられて、新品のような輝きを取り戻した彼女達をガンラックにしまい、ライフルケースをベットの下に蹴り込むと、私はジャケットの胸ポケットからライターとくしゃくしゃになった煙草を取り出す。
鈍く銀色に輝くライターの表には、盾を背にした双頭の獅子が描かれている。
今は無き私の祖国の旗印だ。
煙草を咥え火をつけ肺いっぱいに煙を吸い込み、吐き出す。
私は机の端に置いてある箱から針を取り出した。
少し力を入れスイッチを押すとカチリと小さな音とともに火が灯る。
蛍光灯の元にゆらゆらと力なげに揺れる火の先に針の先を重ねる。
一拍おいて針の先が赤くなったことを確認し火を消しライターを机に転がす。
赤くなった針が冷めて鉄の色に戻ったのを確認すると、針を耳の縁に当て刺し貫いた。
「……やっぱり痛いなぁ。痛いよリディア。」
奥歯を噛み締め涙が出るのを我慢しながら、タオルで耳を挟んで止血し、黒のピアスを開けたばかりの穴に通す。
これで九つ目だ。何度味わってもこの痛みになれない。寧ろ痛みは酷くなってゆく一方である。
共に飯を食い、共に汗を流し、共に寝た同士が死んでいく。
祖国を復興を夢見て、その夢を私に託して。
皆笑って死んでいくのだ。
なんで死んじゃったのかなぁ。
その言葉をぐっと飲み下す。
彼らは死ぬ時にこれも神の思し召しだと言って笑っていた。
笑って逝ったんだ。彼等が笑っていたのに私が泣く訳にはいかない。
でも、やっぱりこの痛みに慣れることはないみたいだ。