それとラスプーチン実装もおめでとうございます(未所持)(石がFate/Zero)
この街はどうにも不可解だ。
霊脈がそうさせているのか、それともまた何か別の原因があるのか。
とにかく、悪霊の類が他と比べて多い。
とはいえ、対処しきれないというわけでもない。
それに大体は放っておいても自然消滅するモノばかり。
いくら自身が神父の身とはいえ、こうして夜の街に繰り出してわざわざ潰して回る必要性はあまり無い。
ここ冬木の街にも管理者はいるのだから。
「…………ふむ」
——だが、自宅の近くに沸いて出るモノは放ってはおけない。
何故なら自宅にはアレがいる。
悪霊に魅入られ、病魔に好かれる体質の己の妻が。
悪霊を放っておけば、確実にアレは取り憑かれ簡単に死に至るだろう。
そう断言できるほど、妻は驚く程の霊媒体質だ。
それならば、この街から出れば良い。
日本に来たのも、元々は父親の仕事の関係で一時的に住むつもりだっただけだ。
用が済めばまた引っ越すつもりだったのだが……
『ねぇ、綺礼さん。ここは良い所ね』
アレが気に入ってしまった。
わざわざ己にとっての死地を気にいるとは、何という皮肉だろうか。
しかし、その事を妻に伝える事はしなかった。
伝えたところで、アレはこの地に骨を埋めれる事を喜ぶだろう。
故に自分は、こうして偶に沸いて出るモノを神のもとに送り返す。
職業柄、間違った事はしていないのだから咎める者も居ない。
「こんな所か……帰るとしよう」
そろそろ日付が変わりそうな時間。
心配性のアレがそろそろ騒ぎ出す頃合いだ。
言峰綺礼は帰路についた。
「ね、ねぇカレン……もう充分でしょう?」
「何を言っているのですかお母さん、あと百枚は撮りましょう」
「もう良い子は寝る時間——」
「夜更かし最高、残念ですねお母さん。あなたの娘は明日まで悪い子なのでまだ寝ません」
もうダメだ。
恥ずかしさのあまり熱が出そうだ。
しかしこんなにも楽しそうに、目をキラキラさせている愛娘の要求に付き合いたいというのも事実。
しかしこれは流石に——
「あ、あのねカレン……お母さん流石にこういうのを着れる年齢じゃない気がするの……」
「何を言うのですか。年齢や性別など些細なモノ、何も問題はないです。それにお母さんは言うほど老けていないですよ。日本では充分に若妻を名乗れる年齢です」
「そ、そうなの? けど家の中とはいえこれは流石に……本当に服なのこれ? 下着じゃなくて?」
「えぇ、場所によってはそれが正装らしいですよ。主にカジノとか」
娘の言葉に耳を疑う。
そして自分の今着ている服——正確にはカレンがどっからか持ってきた『バニーガール』という服を。
……やはりこの露出度は下着は水着の類ではないのだろうか?
『お母さん、来年は卯年なのでこれを一緒に着て写真撮りましょう』
カレンがそう言って帰ってきた時は、まさかこんな恥ずかしい目に遭うとは思いもしなかった。
娘とペアルックの記念撮影が出来るなんて純粋に思っていた自分がもはや懐かしい。
それにしてもカレンは堂々としている。
同じ格好をしているのに、羞恥心は何処に置いてきたのだろうか。
「……おや、フィルムが——ちょっと買ってくるのでまだ着ててください」
「え、ちょ、カレン!?」
娘は新しいフィルムカメラを買う為に、ウサギの付け耳だけ外して身体を隠すようなコートを羽織って出て行ってしまった。
あんな格好で外に出るなんて、もはや勇者だ。
「…………脱ぎたい」
しかしそうすると娘がガッカリする。
しかしこのままだと、そろそろ彼が帰ってくる。
そして見られる、この恥ずかしい格好を。
「……私も何か羽織れば——」
あとは娘が帰ってくるまで、娘の部屋に隠れていよう。
夫は娘から部屋に近付かないように言われて、それを律儀に守っている。
つまり娘の部屋なら安全だ。
そうと決まればと、自室にコートを取りに行くとしよう——
「…………あ」
「…………」
そして、運悪く、玄関の扉が開いた。
カレンではない。
帰ってきたのは、夫の綺礼さんだった。
互いに見つめ合って十秒。
「あ、あぁぁぁ〜……」
私は羞恥心が臨界点に達したのか、変な声を上げながらヘナヘナとその場に座り込む。
そして腰に力が入らなくなってしまった。
「……持ち上げるぞ」
夫は瞬時に状況を理解したのか、妻を軽々と抱き上げる。
「あ、あ、綺礼さん……これには深い訳が」
「大体は想像できる。言いたいのなら止めはしないが」
「うぅ……」
そのまま大人しく自室に運ばれるのを待った。
「——似合っているぞ」
「——はぅ……」
そんな事もありつつも、言峰家は今年も無事に過ごせた。
来年もどうか、この幸せが続きますように——
普通に考えて母親をコスプレさせる娘ってヤバくない……?
でも好きだからヨシ!