世界で一番●●な君へ   作:もっち~!

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主な登場人物

相沢祐介
オリ主。兼業作家でペンネームはユースケ。イメージは『D×D』の兵藤一誠。

相沢桜
祐介の姉。兼業作家でペンネームはチェリーボム。イメージは『SAO』の結城明日奈。

相沢梅
祐介の妹。兼業のイラストレーターでペンネームは、ブラザーコーン。イメージは『青ブタ』のかえで。

相沢エリナ。
祐介の母。欧州系のハーフで、本名はエカテリーナ。出版社の編集者で、貞治、祐介、桜、梅など担当編集者でもある。イメージは『ふたり鷹』の沢渡緋沙子。

相沢貞治
祐介の父。推理小説家である。イメージは『名探偵コナン』の工藤優作。

円城寺遥
祐介のクラスメイト。兼業作家で、ペンネームはHAL。イメージは『青ブタ』の桜島麻衣。

佐田悟
祐介の本当の父親の弟。佐田財閥当主。イメージは『ハイスクールD×D』のサーゼクス・ルシファー。

真理亜伊集院
祐介の本当の母親の弟。真理亜財閥当主。イメージは『ハイスクールD×D』のミカエル。





忖度からの隔離

俺には姉と妹がいる。姉は、俺より1つ上の桜。長くてしなやかな亜麻色の髪、ちょうど良さそうな乳房…俺の妄想のおかずである。妹は、俺より1つ下の梅。ショートカットで固めの亜麻色の髪、胸は成長途中で、背も発展途上であるが、気が強いのが難点である。

 

俺は相沢祐介。この春から高校生になった若造である。

 

俺の親父は小説家で、母親は編集者であることで、俺も小さい時から妄想小説を書くのが趣味になり、中学生でラノベ作家デビューを果たした。ペンネームはユースケである。考えるのが面倒で、まんまにしたのだ。

 

作品は『世界で一番好きな人』というデビュー作だけであるが、シリーズ化している。内容は、現実には有り得ない姉と妹との妄想的日常を描いている。姉と妹から好かれる主人公…俺もそうなりたい。現実には、姉からは汚いから洗濯物を一緒にするなと言われ、妹からはキモいって言われている。現実の俺は姉妹に嫌われているのだった。

 

まぁ、その事が妄想を助長し、作品に反映されるので悪くは無いのだが、結構凹む毎日を送っている。学校に行っても、暑苦しい顔とか、目付きがエロいとか女子達に言われ、まぁボッチ系ではある。そんな俺のオアシスは、妄想小説を書く時間だけ…これって、青春なのかな?

 

 

家族には内緒にしていたいのだが、よりによって、担当編集者が、運命の悪戯か、自分の母親になったことから、両親にだけはバレてしまった。

 

「お前、妄想のしすぎじゃない。頼むから、家庭内犯罪は止めてね」

 

って、母親である担当編集に言われて、凹む。妄想したことを現実に起こす勇気は、俺には無いのに。

 

家で姉妹と会話をしない。主に、目の保養だけである。

 

「お兄ちゃん、キモい目で見ないでよ!」

 

キモい目ってなんだ?妹の目は怒りからか、涙が込み上げているようだ。俺は、自分の部屋へ逃げ込み、このモヤモヤ感を文字に変換していく。

 

『お兄ちゃん…そんな目で見ないで…感じちゃうよ…』

 

ってな感じに変換されていく。あぁ、現実は希有な物である。妄想世界で生きられたら、幸せだろうな。と、現実逃避をする。

 

「あの会話が、なんでこんなに化けるんだ?お前、天才か?」

 

って、母親は呆れながら褒めてくれる。まぁ、何にしても、褒められるのは気分が良い。

 

 

 

---相沢桜---

 

私には弟と妹がいる。祐介と梅…姉弟仲は悪くないはずなのだが、弟を異性と認識した瞬間、距離を置いてしまった。恥ずかしいというか…

 

弟の祐介は、所謂イケメン系では無い。爽やかさを感じ無いソース顔で、女性からの受けは良く無い。でも、そんな弟であるが、私の初めての男性である。幼い頃、全裸で抱き合って寝た。二人でお風呂にも入った。私のファーストキスは弟へ捧げた。だけど、今は距離が開きすぎてしまった。私のせいであるのは分かっている。だけど…

 

女の子の日で汚れてしまった私の下着。その下着が入っている洗濯篭へ、自分の下着を入れようとした祐介。祐介の下着が汚れると思い、

 

「汚いから、一緒に入れないでよ!」

 

って、私の言葉。祐介は、祐介の下着が汚いと思ってしまったようだ。あれ以来、祐介の下着を洗ったことがない。言葉の行き違い…言葉は難しい。同じフレーズでも、取りようによっては、クリティカルな言葉にも、優しい言葉にもなるのだ。

 

そんな弟を思う気持ちを小説に書き留め、母に見せたら、ラノベ作家デビューをされてしまった。母は出版社の敏腕編集者である。父と出会ったのも、作家と編集者という関係で、お互いを信頼できるパートナーだと実感した為、ゴールインしたそうだ。

 

私の記した想いは、『愛しい君へ』というタイトルが付けられ、シリーズ化されている。内容は弟に対する妄想記である。完璧すぎる姉が日夜、不出来な弟に対して、妄想するって話である。

 

今日も取り違えられた。

 

「そんな目で見ないでよ!」

 

って…私は抱き締めたくなるから、そう言っただけなのだが、祐介は違う意味で捉えたのか、凹んでいた。どうすれば、元の関係に戻れるのだろうか?

 

 

 

---相沢梅---

 

私には姉と兄がいる。姉の桜、兄さんの祐介である。兄さんのことは大好きであるが…ブラコンと思われないように、距離を置いた。幼い頃は素直に甘えられた。だけど、今は…

 

私の趣味は絵を描くことだ。私が兄さんといけないことをしている、私のイラスト…母さんにみつかってしまった。

 

「梅…あんたって子は…」

 

呆れている母さん。

 

「ねぇ、梅。イラストレーターをしない?」

 

編集者としての母さんの琴線に、私のイラストが触れたようだ。

 

「してくれないなら、祐介と桜に、これを見せようかな~」

 

有り得ない…私を強請る母さん。見せられないって…ブラコンってバレしまう。

 

「わかりました。取引に応じます…」

 

こうして、私は学生との兼業で、イラストレーターデビューを果たした。現在、担当している作家さんは、売れっ子のユースケ先生と、チェリーボム先生である。

 

イラストレーターの特権、発売前の生原稿を読めること。ユースケ先生のシスコン愛、チェリーボム先生のブラコン愛が、私のブラコン魂を揺さぶっていく。今宵も良いイラストを描けそうである。

 

 

 

---相沢祐介---

 

売れっ子作家の父、敏腕編集者で、売れっ子を数名担当している母のおかげで、我が家は裕福な方である。家族5人、それぞれ広めの個室を持っているから。まぁ、俺の稼ぎの一部を、生活費名目で母が天引きしているけど…欲しい物はお金で買えないので、問題は少ない。

 

『今回もいいですね~』

 

って、イラスト担当のブラザーコーン先生からメッセージが届いた。いいなら、良いか…キーボードを前にして、妄想を全開して文字に起こしていく。

 

相変わらず、俺を汚物だと思っている姉。ウザいって罵る妹…どう変化させるかな。主人公の汚い部分を舐める姉、主人公の言葉にメロメロになっていく妹…有り得ないことである。まぁ、妄想ってそんな物だ。割り切って、書き進めていく。

 

 

 

---相沢エリナ---

 

鷹の子供は鷹だな。つくづく、そう思う。売れっ子作家のあの人と私の間に産まれた子供達。まさか、自分の目に留まり、自分が担当編集者になるとは。現実は希有なものだわね。

 

子供達はそれぞれの裏の関係を知らない。知っているのは私とあの人だけ。現実では、交流のまるで無い子供達ではあるが、裏ではライバルであり、信頼出来る仲間って感じである。親としては複雑であるものの、仕事としてやり甲斐を感じる。

 

担当編集者にとって、作家は子供である。その子供が実の子供であるんだもの、やり甲斐がありすぎる。

 

しかし、祐介は不憫である。貞治さんに似ず、私にも似ず、あの見た目はダメだろう。モテる要素を見いだすのが難しいのだ。暑苦しいソース顔だけでもマイナスなのに、あの舐める様な目付き、中学校の時のあだ名はエロ大王だっけ。それでは姉妹達は本当の気持ちを言い出せないだろうな。

 

ちなみに舐めるような目付きは、祐介の視力の問題である。そう見ないとはっきり見えないようだった。眼鏡を勧めたのだが、レンズ越しに見ても真実は見えないなどと、訳の分からない理由で拒否しているし。現在は、レーシック手術をして、目付きは改善されたようだけど、過去の汚点はなかなか消えないものである。

 

まして、兄のあだ名のせいで、学校で梅が虐められ、

 

「お兄ちゃんなんか、大嫌い!」

 

と、学校で叫んだらしい。それを祐介は、別の場所で聞き、梅に嫌われていると思い込んだようだ。まったく、祐介は…

 

 

 

---相沢祐介---

 

学校の帰りに、近くの本屋へ行く。俺の本とチェリーボム先生の本が、並んで平積みされていた。デビューが早かった俺の方が、チェリーボム先生よりも、シリーズ累計発行部数は勝っているが、1作当たりの発行部数は均衡していると、担当編集者の母が言っていた。

 

確かに、このブラコン愛を綴った作品は、俺に夢を見せてくれている。姉に、こんな風に扱われたいって、夢を叶えてくれる。まぁ、妄想世界でではあるが。

 

チェリーボム先生の新刊を手に取り、レジへ向かった。

 

 

家に帰り、購入した本に目を通していく。今回の目玉は、弟とお風呂に入るという妄想であった。イラストのブラザーコーン先生の絵もいい。おぉ~、見えそうで見えないアングルかぁ。妄想が加速していく。

 

コンコン!

 

「お風呂、開いたわよ!」

 

って、姉の声。汚物である俺は、姉の次…最後に入る事になっている。が、最後に入ると言うことは、姉と妹のエキスが浸み出たお湯に入れるという、特権を得ることが出来るのだった。

 

着替えを持ち、お風呂場へ…

 

姉妹のエキスで満たされた湯船で、まったりとして妄想を加速していく。あぁ、さっきまで姉がいた風呂場…どんな風に身体を洗っているのか?もしかして、自慰をしながら…のぼせてきた俺は、鼻血が出そうな感覚が生じている。マズいな。出るか…

 

部屋に戻って、加速した妄想を文字に変換していく。

 

 

学校…俺はモブである。モブである俺には、誰も近寄って来ない。いてもいなくても良い存在であるんだと思う。

 

それでも学校には通う俺。お目当ての女子がいるのだ。柔らかそうな黒髪を長く伸ばし、颯爽と歩く姿が惚れ惚れするクラスメイトの円城寺遥。うちのクラスのマドンナ的な存在で、俺なんかが声を掛けられる存在では無い。

 

スタイル的には姉に近いかな。

 

「おい!エロ大王、我がクラスのマドンナを、そんな目で見るな。彼女が不愉快だろ?」

 

って、クラスメイトの男子に言われること、しばしば。視界に入るのは、不可抗力だと思うのだけど…

 

そうか…不愉快なのか…学校、辞めようかな。彼女を見る為に、来ているだけだし。専業作家も悪く無いなぁ。母が許すかどうかが問題ではあるが。

 

 

その夜、母に相談した。

 

「学校、辞めて良いかな」

 

「何か遭ったの?」

 

「俺がいることが、不愉快らしいんだよ」

 

「そんな事を言われたの?」

 

「あぁ。不愉快と思われてまで、通う意味が分からない。この先、専業でいいかな?」

 

「1週間くらい休んでいいから、辞めるのは保留よ」

 

と言う事で、翌日から、学校へ行くのを辞めた。母が言うように予定は1週間だけであるけど。

 

 

 

---相沢桜---

 

母と祐介の会話を聞いてしまった。祐介は学校で、そんなことを言われたの?怒りを纏う私。私の大切な祐介になんてことを言うのよ!タダ分からないこともある。祐介の言った専業って何?何かバイトをしているの?うちはお金に困ってはいないのに…祐介に何があったのか、物凄く心配になっていく。まずは、学校の件が先だな。

 

翌日、下級生から情報を集めた。どうやら「不愉快」発言をしたと思われるのは、祐介と同じクラスである円城寺遥のようだった。

 

帰り道で待ち伏せをした。

 

「あなた、円城寺遥ね!」

 

私の問い掛けに、顔を強張らせていく遥。

 

「え?!相沢先輩…なんで、そんな恐い顔なんですか?」

 

何故か、私を知っている遥。面識あったっけ?

 

「お前、弟に存在が不愉快って、言ったそうね」

 

「え!!言ってません。まさか、相沢君が休んだのって…」

 

「存在が不愉快って言われて、学校を辞めるって言い出したのよ。どう責任を取ってくれるのかな?」

 

「責任って…言ってませんよ」

 

私の顔が恐いのか、狼狽えている遥。

 

「なら、言っていないと証言しなさい!弟が問題なく、通えるようにしておきなさい」

 

言いたいことを言い、部活へと戻る私。

 

 

 

---円城寺遥---

 

翌日、学校で、みんなに訊いた。「不愉快」発言についてだ。その結果、皆が忖度した結果、彼を追い込んだことがわかった。

 

「私はそんな風に、思っていません」

 

自分の気持ちを伝えた。

 

「だけど、アイツはいなくてもいいんじゃない」

 

「あれは、犯罪者の目だよな」

 

「エロ大王だし。自主退学でいいんじゃねぇ」

 

クラスの男子は、いなくても問題無いと結論付けていた。そして、女子達も、

 

「遥が言わないなら、私が言うわよ。直接ね」

 

「キモいし、存在がウザいよね」

 

「女子トイレを覗きしていそうよ」

 

など、言いたい放題言われている彼…

 

「おい!クラス内での虐めは問題だぞ!まぁ、いないことに気づかない存在だし、いなくても問題は無いな」

 

って、担任の先生までも。彼は私の知らない処で、クラス内虐めに遭っていたようだ。

 

 

 

---相沢祐介---

 

母に呼ばれた。

 

「どうしたんだ?」

 

「お前の担任に話を訊いてきた。お前、学校辞めていいぞ。担任までも、お前がいなくても、問題は無いって。この国の教育現場は腐っているな」

 

って、書類を出してきた母。

 

「転入試験を受けろ。違う学校に通え!」

 

え!今更入学試験ですか…無理…妄想小説で手一杯である。そこに受験勉強などと言う余分な労力は入れられない。

 

「これは決定事項だ。あぁ、あの腐った学校には、退学届けを出してきたわ」

 

あれ?1週間保留で無いの?敏腕な母親は行動が早かった。

 

 

だけど、事態は急変した。翌日、教育委員会のエライ人と校長先生が、我が家に来た。どうやら、担任と母の激論が、エライ人の耳に入ったらしい。

 

「担任を含むクラス内虐めを確認しました。この退学届けはお返しします」

 

「返す?担任が出せと言ったから、出したのよ。何を今更…」

 

応対している母の怒りがヒートアップしていく。

 

「ですから、我が校は非を認めます。息子さんを通わせても、大丈夫にしますから」

 

「大丈夫って?まさか、息子を隔離学級に、入れるんじゃないでしょうね?」

 

ギクっとした校長。被害者の俺を隔離するんだ。確かウチの学校って、問題児を隔離するクラスがあったような。

 

「校長!君の行動も虐めだぞ」

 

教育委員会のエラい人が、校長を睨み付けている。どうやら、母が勤務先の上司に相談した為、系列の新聞社が、教育委員会へ取材に行き、問題が新聞に載るのを防ぎたいようだった。要は、俺のことよりも、保身ってやつだな。

 

あぁ、これもネタに使うかな。

 

 

 

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