世界で一番●●な君へ   作:もっち~!

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忍び寄る闇

---相沢祐介---

 

我が家の最近のブーム…生モノ系BL作品「ショートケーキシリーズ」である。詩羽先輩が持ち込み、皆カルチャーショックを受けつつ、嵌まったらしい。

 

「お兄ちゃんも、男の子が好きなの?」

 

梅に訊かれた。

 

「まさか…お兄ちゃんはノーマルだよ」

 

「私のことは?」

 

「大好きだよ」

 

優しく抱き締めてあげると、喜んでいるようだ。

 

「しかし、生々しいなぁ、これ」

 

って、麻衣。

 

「作者は普通のJKよ」

 

エリさんは、作者を知っているようだ。

 

「取材できるかな?」

 

作品では無く、作者に興味がある俺。

 

「どうだろう。今度訊いておくね」

 

 

取材の許可がとれたそうだ。エリさんと俺、涼花の3人で会いに行く。指定された公園に佇むジャージ姿の女性。彼女のようだ。

 

「真緒ちゃん!」

 

エリさんが声を掛けた。

 

「あっ!エリさん…えっ、男子もいるんですか…」

 

真緒ちゃんと呼ばれた女性が、俺の全身を舐めるように見ている。あの作品のキャラのような醤油顔では無い俺をだ。

 

「エリさんの彼氏ですか?」

 

「違う。その二人は小説家で、今回取材を希望していた本人よ」

 

エリさんの彼氏…いや、想い人はエロゲーの作家さんらしい。取材したいとエリさんに伝えたのだが、そっちは速攻で却下された。

 

「ふ~ん」

 

眼鏡のレンズを上下させて、俺を観察する女性。まるでハンターのようだ。

 

「なるほど。じっくりと観察して、妄想を広げるんですね」

 

涼花が納得顔で頷いている。

 

「で、どんなことを訊きたいの?」

 

「あの作品ってモデルがいるんですか?」

 

俺の質問にたじろぐ真緒。

 

「あれ?南条じゃん」

 

真緒が男子に声を掛けられた。振り返らずに、彼女の耳が真っ赤に染まっていく。想い人かな?

 

「おぉ、桐生かぁ…」

 

真緒の想い人の顔…どこかで見た事がある。

 

「あっ!モデルの人かな」

 

涼花が声を上げた。あぁ、あの作品のケーキの方に似ている男子。薔薇族なのか?少し身構える俺。

 

「モデルって…おっ!」

 

立ちくらみを起こす男子。モデルにされているのを知っているようだ。

 

「なぁ、君って薔薇族なのか?」

 

俺は彼に質問をしていた。

 

「俺は…ノーマルだよ!南条の作品はフィクションなんだから…」

 

予想に反して、彼はノーマルのようだ。

 

「兄さん…有名人なんだね」

 

「違うって!」

 

彼の妹さんだろうか。どこか、おっとりとしていて、俺の周囲にいないタイプである。

 

「お前、南条の知り合いか?」

 

真緒の隣に立った男子。更に顔が紅く染まる彼女。

 

「いや、取材しているんだよ。生モノ系BLの作者にねぇ」

 

「取材?」

 

「すっご~、真緒ちゃんが有名人なんだねぇ」

 

彼の妹の声で、更に紅くなる真緒。大丈夫か?毛細血管がキレないのか心配である。あれ?あの子…

 

「ねぇ、ノーパンで通学って、どんな気分なんですか?」

 

彼の妹さんに質問をしてみた。風で揺らめくスカートの中に、見えてはいけない物が見えたのだ。

 

「えっ!なんで、わかったの…」

 

耳が少し紅く染まる女子。

 

「祐介の探求心はデリカリーが無いわねぇ」

 

エリさんが苦笑しているようだ。気になると、つい質問してしまう。状況を考えずに…

 

「どうして…兄さんにはバレていないのに…」

 

彼女の兄は、動揺しているようだ。しきりに妹のスカートを気にしているようだ。そんな兄妹の様子を、涼花が迷わずにメモしている。

 

 

BL本作家の取材は、多少のハプニングがあったものの、無事に終わった。家に戻り、涼花と二人で、取材で得た情報から、プロットを考えていく。

 

「ノーパン、ノーブラで通学する妹って言うのはどうですか?」

 

「ノーブラは難しいだろ?ブラウスから透けて見えちゃうし」

 

試しに涼花がノーブラでブラウスを着用し姿見の前に立った。

 

「確かに…乳首が目立ちますね」

 

納得している涼花。

 

「へぇ~、ノーパンでスカートか。その子、勇気あるわね」

 

麻衣が涼花がメモした取材ノートを見ている。

 

「強風だとスカートが捲れて、見えちゃう危険もあるよな」

 

作中キャラ的にはオーケーだけど、実際問題はどうなんだろう。もっと、彼女の取材をしたいなぁ。エリさんから真緒の連絡先を聞き出し、今日会った、あの子の取材をしたいと持ちかけてみた。

 

その翌日、エリさんから、来週の週末、真緒と、あの子、桐生瑞葉が、我が家に来ると連絡があった。

 

 

 

---南条真緒---

 

憧れのマンガ家である柏木エリ先生から連絡が来た。今度は瑞葉を取材したいそうだ。柏木エリ先生は、私と同じ同人誌からプロの少女漫画家に転向した先駆者である。まさか、同い年くらいとは思わなかった。いや、一番の驚きポイントは、瑞葉がノーパンで通学していたことか…勇気ありすぎる。いや、なんで兄である桐生は気づかないんだ?

 

『ねぇ、佐田グランドホテルのロイヤルスィートって、興味無い?』

 

エリさんから魅惑的な言葉が呼び出した。超が付く一流ホテルのロイヤルスィートに興味を抱かない女子はいないと思う。その部屋に、招待してくれるって…条件は瑞葉と一緒に来ることって、そこで取材するのだろうか。私と瑞葉のポンコツJKを取材するのに、一体どのくらいの大金を掛けてくれるのだろう。

 

ネットで調べて見た。佐田グランドホテルにはロイヤルスィートが2つあるらしい。そのうちの1つは、次期当主の部屋として使われているそうで、実質1つしか稼働していないようだ。その貴重な部屋を取材に使うと言うのだ。プロのマンガ家は大金持ちなのか?

 

舞い上がる私。そんな上機嫌な私に、イヤなヤツから連絡があった。エロ系作家のチェリーボムである。

 

『なぁ、挿絵のイラストをまた頼みたいんだけど』

 

金払いは良いんだが、コイツのエロは破綻仕掛けている。エロでは無くグロに近いのであった。

 

「いいけど、私の名前は出さないでよね。評判が落ちると困るのよ」

 

『桐生慧輝だっけ?BL本のモデルの男子』

 

なんで、バレているんだ?

 

『彼、口説いちゃおうかな?』

 

コイツ、作風と違い、見た目は清楚な女子である。結構モテるという噂を聞いたことがある。

 

「待て!」

 

『じゃ、頼むね』

 

グロの大家の脅しに負けた…

 

 

 

---相沢桜----

 

実は、既に桐生慧輝とは、偶然を装って、接触済みである。もう一人のモデルである秋山翔馬は調べた結果、ロリコンで既に彼女がいることが分かっているので、ターゲットを桐生慧輝に絞った。今後も真緒にイラストを描かせる為である。専属イラストレーターであった梅を失ったのが痛かった。大好きな祐介もどこにいるかわからないし。失った弟妹の代わりに選んだのが、桐生慧輝とと南条真緒である。

 

桐生慧輝はノーマルな女性を彼女にしたがっている。そんな情報を得た私は、彼に接触した。地を出さずに、学校で見せている私を前面に打ち出し、真緒の知らない場所で、彼にアタックしている。既にファーストキスは奪った。もう少しで…彼の全裸の写真を真緒に見せれば、彼女の作品の参考になるだろうし。一石二鳥であると思う。

 

取材ノートを広げる。彼の周りにいる女は、巨乳ドMの朱鷺原紗雪、平板ドSの古賀唯花、臭いフェチの藤本彩乃、血の繋がらない妹で露出狂の桐生 瑞葉、ツンデレでヘタレの南条真緒がいる。

 

こいつらの人間関係をモデルに作品を書くかな。ペンネームは『南条真緒』にして、タイトルは『不器用な私と、ド変態なライバル達』とか…ふふふ。祐介!同じ舞台に返り咲くから待っていてね~。

 

 

 

---相沢祐介---

 

瑞葉と真緒が来る日を迎えた。ノーパン女子が興味があるらしい面々が集結していた。エリさんは勿論、詩羽先輩、紗霧ちゃん、山田さん、花ちゃん、涼花、何故か麻衣。梅は興味が無いようだが、遊び相手がいない為、リビングにみんなと共にいる。

 

真緒から連絡を貰い、エリさんがロビー階へ迎えにいった。お客様と言うことで、ルームサービスで、軽食と飲み物を用意してある。出迎えの準備は出来ていると思うけど。緊張するなぁ。

 

そして、部屋に入ってきたゲスト2名とエリさん。参加者が多い為、固まっているようだ。

 

「スゴイ…この景色、いいなぁ~」

 

固まっている真緒を尻目に、瑞葉が窓際に移動し、景色を眺めていた。

 

「いらっしゃいませ、相沢梅といいます」

 

そんな瑞葉に頭を下げて挨拶をする梅。

 

「桐生瑞葉っていいます。よろしくね」

 

「うん」

 

大きな小学生に動じない瑞葉。

 

「え、え、エリさん…これってどういう集まりですか?」

 

動揺している真緒がエリさんに声を掛けた。

 

「どういうって…作家仲間と、その家族よ」

 

家族?俺と梅と麻衣のことかな?後のみんなは作家だし。

 

「作家って…マンガ家?」

 

「ラノベ作家とイラストレーター…あと女優さんもいるけど」

 

「まさかと思うけど…あの人…桜島麻衣さん?」

 

「そうだけど」

 

さすが、麻衣さんは有名人である。知名度が高いようだ。

 

「な、な、なんでいるの?」

 

「ここの住民だから」

 

「住民?えっ!こ、こ、ここって…佐田グループの次期当主の部屋?」

 

「あら、よく知っているわね。予習をしてきたの?」

 

「ひゃ…」

 

真緒が汗を大量にかきだしだ。極度の緊張状態による多汗のようだ。俺は隣に駆け寄り、肩を抱いた。

 

「ゆっくり、呼吸をして」

 

「う、うん…」

 

過呼吸一歩手前か?麻衣を呼び、二人で真緒をベッドルームで休ませることにした。

 

「エリさん、彼女って、緊張し易いの?」

 

「そうねぇ、ツンデレ系だし、人見知りも激しいし。ちょっと、新顔が多くて、パニクったかな」

 

それなら安心だな。

 

 

 

---南条真緒---

 

意識が覚醒していく。いつの間に意識が飛んだのだろうか。なんだろうか。胸元がすぅ~すぅ~する。手で触ると…まさかの下着姿である。まさか、あの男に…下半身に手を伸ばすと、パンティーは履いている。濡れてもいない。なんで、下着姿なんだ?ゆっくりと瞼を開けていくと、そこには若手人気女優の桜島麻衣さんがいた。

 

「あぁ、目が覚めたのね。大丈夫かな?一応、生理食塩水の点滴は打っておいたけど」

 

私…倒れたのか?

 

「私…どうなったんですか?」

 

「ホテルに常駐しているドクターの見立てでは、緊張による多汗と貧血みたいよ。祐介に感謝してね。いち早く、あなたの異常に気が付き、あなたの身体を支えて、アレコレ指示をしてくれたんだから」

 

あの男…そんなことをしてくれたのか。

 

「彼は何者なんですか?」

 

「この部屋の主よ。職業はラノベ作家なの」

 

嬉しそうに彼のことを話す麻衣さん。

 

「麻衣さんの?」

 

「私の大恩人よ」

 

いや、彼氏かどうかを訊こうと思ったんだけど…へ?この部屋の主?それって、佐田グループの次期当主では?以前、麻衣さんは記者会見で彼氏であると…確認したい気持ちはあるが、目の前にいる麻衣さんは堂々としていて、とても訊ける雰囲気では無い。だけど、私の心を読んだのか、

 

「彼氏かどうかは、まだ未定よ。彼の問題が片付かないと、それどころじゃないから」

 

彼の問題。瑞葉に挨拶した女性…彼の妹さんなのだが、中学生である彼女は、精神を病んで小学校5年生だと思って居るそうだ。

 

「あの妹さんが元に戻らないと、大きな娘のある家庭になっちゃうって…私は気にしていないんだけどね」

 

誰もが悩みや闇を抱えているのだろう。目の前の麻衣さんだって…

 

 

 




相沢桜の闇…復活です(^^;
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