世界で一番●●な君へ   作:もっち~!

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血の繋がらない親子枠

---相沢エリナ---

 

祐介を産んだ病院から連絡を貰い、駆けつけた。そこには、祐介の本当の両親の関係者の代理人の人が待っていた。

 

「代理人の伊集院です」

 

「祐介の母の相沢エリナです」

 

今更返せと言われるのだろうか。

 

「彼の両親は、駆け落ち中に事故に遭ったんです」

 

駆け落ち?

 

「二人の両親は共に、結婚に反対され、産まれた子供は始末するって言ったそうなんです」

 

始末…まさか、祐介を殺すの?

 

「祐介は私の子供です…」

 

「えぇ、それは重々、承知しております。ですが、彼の両親のそれぞれの家では、言い過ぎたと反省をしております。身元を示す物が無かったのは、身元がバレると二人のお子さんが始末されると思ったからで…」

 

だから、身元が不明だったのか…

 

「今更、返せとは言えないです。そもそも、孫として認知するつもりは無かった訳ですから」

 

祐介は生きてはダメだったのか?

 

「ただ、今さらですが、両家共に、跡取りがいないんですよ」

 

返せってことかな…お腹は痛めていないけど…でも…

 

「あぁ、泣かないでください」

 

涙が止まらない。あの子との想い出が浮かんでは消えていく。

 

「彼を養子に迎えたいと、言っているんです。酷いことを、言っていると私も思います。ですので、私が間に入って調整しているのです」

 

うん?

 

「私がもぎ取れたのは、今後の結婚相手は彼に一任すること、戸籍の移動は、彼が結婚するまで手を出さないことです」

 

祐介が結婚するまで、私達の子供でいられるのか?

 

「彼が結婚した後、夫婦養子として、迎え入れることに決定しました。今日は、そのことをお知らせに来たのです。あぁ、この事に関しての反論、異論は認めません」

 

「ちょっと、一方的じゃないですか?」

 

「えぇ、そうですよ。民衆のことに疎い人達ですからね」

 

民衆?

 

「どこの家なんですか?」

 

「言わないとダメですよね。佐田財閥と真理亜財閥です」

 

うん?財閥…それもライバル関係にある財閥なのか…

 

「わかっていただけましたね。この国、いや、世界規模での富を2分する感じの財閥同士の結論です。逆らえば、この星にいられなくなるって、恫喝してきましたが、それには『ふざけるなよ!』って、言っておきました。まぁ、困ったことがあれば、私に言ってください。対処はします」

 

 

 

---真理亜伊集院---

 

相沢さんが帰って行った。だいぶ、気落ちしているな。ガードの者を数名つけておくか。

 

「伊集院、脅し過ぎではないのか?」

 

紅髪の男が入って来た。佐田家現当主の佐田悟である。

 

「現実味を持たせようと…ちょっと言い過ぎましたね。反省しなきゃな」

 

俺は真理亜伊集院、真理亜家現当主である。

 

「やっと、姉さんの子供を見つけたんだよ。跡を継がせたいんだよ。お前もそうだろ?」

 

俺の姉が、祐介という名を付けられた子供の母親だ。

 

「あぁ、兄さんの忘れ形見だ。跡を継がせたい。俺はワンポイントでも、彼の下でもかまわない」

 

悟の兄が彼の父親である。先代同士いがみ合い、彼の両親の結婚に反対し、両家の血を持つ彼を呪われた子と言って、始末しようとしていた。俺達に代が代わり、頭の腐った先代達を始末して、彼を助ける側に回ることを悟と決めたのだ。先代達の決定が無ければ、姉さんも悟兄も、彼も、両財閥を上手く舵取りしてくれただろう。

 

「で、どうするんだ?」

 

「祐介を監視というサポートする。彼のやりたいようにさせる。ただ、彼に害を為す奴らは…。そんな感じかな?」

 

「俺も、似たようなことをするつもりだよ。ただ、彼の力量、器、性格、嗜好は把握して、将来的に、教育が必要であれば、していくよ」

 

「任せるよ。ただ、分かっているな?今更の申し出だ。彼のしたいようにが優先だぞ」

 

「あぁ、分かっている。彼には罪が無い。それは彼を育ててくれた、相沢家の夫婦もだ。罪深いのは俺達の先代の行いだからな」

 

俺は悟の言葉に頷いた。

 

 

 

---相沢祐介---

 

「何、じろじろ見ているのよ~!」

 

炎竜焔こと氷室 舞の行動を観察している俺。

 

「いや、次回作のモデルなんだよ」

 

「私が?どんなキャラよ~!」

 

Wピース先生が、鏡で舞に見せた。

 

「どういうこと?」

 

「あなた、そのままでぇ~す」

 

何故か、Wピース先生も俺の次回作について知っていた。

 

「はぁ?どういうことよ~!祐、何か言ってよ!」

 

永遠野先生が固まっている。みんなの視線を一身に受けているから。

 

「え?なんで、俺なんだ?」

 

「祐は私の彼氏でしょ!」

 

「えっ!いつの間に…告白されていないし、告白もしていないぞ」

 

あぁ、永遠野炎竜ペアの会話も録音している。作品を作る為の資料である。

 

「いい?相思相愛の場合、そういう物はいらないよ!」

 

そうなのか?

 

「兄さん、つきあっていたのですね」

 

涼花の冷たい声が、永遠野先生を襲った。

 

「涼花、誤解だ!付き合っていないって…」

 

「兄さんは脇が甘いから、ピンクトラップに掛かったのですか?」

 

「はぁ?涼花さん、それは誤解だって…」

 

永遠野先生は本物の永遠野先生に、言い訳をしていた。

 

「あぁ、そうだ!エルフ先生、アニメ化すると、こういう島って買えるんですか?」

 

素朴な疑問を訊いた。

 

「えっ!えぇ…そうよ」

 

「エミリー!嘘はダメだぞ」

 

って、エルフ先生の兄が注意している。エミリーとはエルフ先生の本名だそうだ。

 

「祐介君、ここは、印税で買った訳でないんだよ。両親の買った物を、エミリーが貰っただけなんだ」

 

って、山田さんの実家は資産家だそうで、エルフ先生の印税で買ったのは、和泉先生の隣にある古い洋館だけらしい。

 

「そうなのか…アニメ化程度では島は無理なのか」

 

「祐介、アニメ化して、グッズとかを売れば、わからないぞ」

 

って、詩羽さん。霞先生の本名は霞ヶ丘詩羽さんっていうそうだ。ごく自然に俺の優しい姉枠に収まっていた。

 

「グッズかぁ…」

 

「祐介、金を稼げたら、どうするんだ?」

 

「自分の家が欲しいかな。今は下宿住まいだし、かと言って実家には戻りたくないし」

 

「お兄ちゃんが家を買ったら、私も一緒に住みます」

 

って、涼花。お前の兄は、永遠野だろうに…

 

「二人だけだと、心配だから、私も住みます」

 

って遥。それは有りかもしれない。

 

「夢があっていいな。私もがんばるよ、兄さん」

 

って、花ちゃん。ムラマサ先生の本名は梅園花だそうだ。

 

「おい!俺の涼花を勝手に妹にするなぁ~!」

 

「兄さん!ピンクトラップに嵌まりまくっている人の物に、なりたくないです。もっと、しっかりしてくださいね」

 

って、涼花が永遠野先生を睨んでいる。それに怯む永遠野先生。裏で、永遠野炎竜ペアは、ポンコツ夫婦って、呼ばれ始めていた。いい始めたのは涼花なのは内緒である。

 

「う~ん、涼花、本当に俺はお前の兄枠でいいのか?」

 

「勿論ですよ」

 

って、心が蕩けるような笑顔を向けてきた。あぁ、ダメ…涼花と、もし一緒になった場合、尻に敷かれると思う。

 

「しっかし、祐介はよくわからないわよね~。彼女枠が増えないで、妹枠が増えるって、男としてどうなの?」

 

って、エリさん。

 

「彼女って存在は身構えちゃいますよ。俺、小心者ですから」

 

「そんなものなんか?ねぇ、マサムネ」

 

エルフ先生が和泉先生に訊いた。

 

「えっ!俺に訊くのか?どうだろうな。俺も彼女がいないし。そういうのは彼女持ちに訊いた方がいいと思うが…」

 

視線はポンコツ夫婦に集まる。まだ、痴話ケンカっぽい、いちゃつきを展開していた。

 

「確かに、こんだけのギャラリーの前で、見せつける強心臓持ちでないと、彼氏、彼女は出来ないのかもしれないな」

 

って、詩羽さん。

 

 

夜…詩羽さんに手ほどきを受けて、自分の部屋へ戻った。すると、俺のベッドに涼花が寝ていた。

 

「遅いよ、お兄ちゃん!誰と打ち合わせをしていたの?」

 

「あぁ、詩羽さんとだよ。恋愛観なんかを聞いてきたんだよ」

 

身体同士で会話をしていたけど…

 

「そうなんだ。で、どう?」

 

「どうって?」

 

「新作のモデルですよ。あんなポンコツでいいのかな?」

 

ウザい以前にポンコツ過ぎるって、皆からアドバイスを貰った。端から見てウザいのだが、当の本人である永遠野先生は、ウザいと思っていないで、喜んでいるように見えるし。

 

「する方も、される方もポンコツだよ」

 

そうなるとモデル探しは、一からかな。あっ!いた…ウザい女…姉さんだ。パワハラ、セクハラなんでもござれの、ウザさである。実の弟に告白の上、ことに及ぶって…弟の俺の精神をいたぶる天才でもある。

 

「いや、モデルを見つけたよ。俺の実の姉だ」

 

 

モデルが決まると、結構スムーズに書くことが出来た。

 

「う~ん、事実に基づいていると思うと、複雑ですねぇ」

 

って、涼花。事実は創作よりも希有な物である。

 

「これは、家出したくなるのがわかるレベルだな」

 

って、花ちゃん。えぇ、悶絶死一歩手前にいましたから。

 

「こんな姉がいるのか…」

 

絶句気味の詩羽さん。

 

「いるんですよ~」

 

って、遥。

 

「ユースケ先生!深夜5分枠をゲット出来ましたよ~」

 

って、Wピース先生。『腿太郎』がアニメ化決定したらしい。いいのか?あんな作品で…

 

「おめでとうって、言っていいのかな?」

 

って、和泉先生が苦笑いしている。あれがアニメ化って…嬉しいやら、悲しいやらだ。もっと、まっとうな作品をアニメ化して欲しい。

 

 

実り多き、合同夏合宿が終わり、帰路に着いた。お土産はどうするかな?干物類しか無いんだが…まぁ、買っていくか。

 

「じゃ、詩羽さん、アヘ顔Wピース先生、連絡をしますね」

 

伊月さんの家での食事会の件である。

 

「あぁ、頼むよ」

 

「まっていま~す」

 

 

久しぶりの下宿の俺の部屋…ベッドで横になる。落ち着くなぁ…柔らかい感触で目が覚めた俺。

 

「お帰り、祐介君」

 

ちっひーが添い寝をしていた。貼り付くような肌の感触で…

 

「いいのか?」

 

「うん…両親も納得してくれた。私の男嫌いが治る切っ掛けになるといいって。私の両親は祐介君を買ってくれているよ」

 

そうなのか?って、ちっひーは男嫌いだったのか?それが驚きなのだが。

 

「祐介君だけ…私から積極的にアプローチした男性は…だから、一緒にいてください」

 

頷く俺。この状況で拒否は出来ないだろ?ちっひー、ズルいぞ!

 

 

沢山の夏の想い出を得て、夏休みは終わった。うん?夏休みの宿題?何もやっていないんだけどぉぉぉぉぉぉ~!

 

居残り補習という名の、夏休みの宿題の消化…しまった。すっかり忘れていた。下校時間ぎりぎりまで、宿題の消化。校門まで行くと、ちっひーが待っていた。

 

「終わった?」

 

「いや…2週間くらい掛かりそうだよ。はぁ~」

 

「頑張ってね」

 

俺の腕に抱きつくちっひー。日々、胸の谷間が深くなっているようだ。ちっひーなりに成長しているのか。俺も成長しているのかな。どこかが…

 

夕食を終え、風呂を終え、仕事の時間である。合宿で書いたメモを見ながら、作品製作を進めていく。

 

 

 

---相沢梅---

 

久しぶりに兄さんの生原稿が入稿した。校正作業は終わっていて、挿絵を入れたい部分だけの原稿しか無い。姉対策か?

 

大まかなプロット、キャラ設定表などが貼付されている。それらに、目を通していく。うん?弟物…それも兄と弟なのか?いや。弟は実際は女性なのか。う~ん、また変化球か。

 

弟である宇佐美、通称ウザミンの性格…うぅぅぅ~、姉にソックリである。モデルは姉か?ウザいと思っているのか?まぁ、確かにウザいよな。

 

ウザミンのキャラ絵を数ポーズ描き上げ、担当編集者のチェックを受けた。すると、こんな感じにって、エロマンガ先生のイラストが送られて来た。まさか、イラストレーターの変更も視野に入れているのか?う~ん、確かにエロかわいい妹である。それに対して、私の妹は、色香を漂わせるクール系であった。姉をモデルにした結果だろうか。担当編集者はエロかわいさを求めているようだな。

 

更に数ショット、イラストを送った。

 

『もう少し丸みを…』

 

って、返信が来た。ここは正念場か?兄さんの担当イラストは死守したい。更に数点描き上げて、送信。

 

『設定をよく見なさい!』

 

って、返信だよ。設定…良く読む。あっ!見た目が幼い感じ…見落としていた。私の妹の年齢層は中学生くらいであるが、そうか小学生くらいに見えるようにすればいいのか。担当編集者との打ち合わせは数日に及んだ。

 

 

 

---相沢桜---

 

何?出版枠が消えた…どうしてよ~!母の部屋に直接乗り込んだ。

 

「何?」

 

冷たい視線の母。

 

「どういうこと?出版枠が消えたって?」

 

「あなた、スランプよね?作品のクオリティーが下がっているわよ」

 

うっ!それは認める。祐介への想いが暴走気味である。

 

「これはラノベでは無いわ。有害図書系に移籍も視野に入れているの」

 

それでは、祐介と同じ土俵にいられないではないか。

 

「どうする?有害図書系で良ければ、出版枠は確保するわよ」

 

その枠に入ると、ラノベ作家に戻るのは難しいかもしれない。

 

「いえ、出版枠ロストでいいです」

 

「では、ラノベとして、売れるレベルの作品に期待しますわ」

 

部屋から出された。あ…マズい…正念場だわ。恋愛感情の暴走を収めないと…祐介に会って、発散しないと…

 

 

 

 

 

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