『第2次レッドダイヤモンド戦争』   作:長命寺桜

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第13話 未来よ!

「岩がちな谷間と、裂け目だらけで身をひそめる場所に事欠かない地形。世捨て人や狂信者が住むにはうってつけの場所ですわね」

 ロリクステッドからリーチ地方に足を踏み入れたセラーナは、隣を歩くリディアに率直な感想を言った。リーチの起伏が激しい地形は、膨れ上がった人類軍の戦力を生かすのは難しい。その上相手はゲリラ戦を得意とするフォースウォーンで、不気味な黒い太陽が浮かんだまま。ホワイトランで快勝した人類軍の士気は高かったが、セラーナは一抹の不安を抱いていた。

「リーチはフォースウォーンのものだ!!」

 谷間に差し掛かった時、崖の上から男の叫び声がして、隊列に向かって矢が降り注いだ。次々と撃ち抜かれて悲鳴を上げる。ドラゴンの上空偵察も、リーチの地形とフォースウォーンの巧みな掩蔽には対処できなかったのだ! リディア達もすぐに弓で反撃を開始したが、高低差のある分圧倒的に敵に優位な状況。

「今日死ぬ気分はどうだ!?」

 

「このままでは全滅ですわ」

 空に向かってアイススパイクを放ちながら、セラーナが悲鳴を上げる。部隊は混乱に陥り、引き返そうとする者達が次々将棋倒しになり、そこに矢が降り注ぐ。絶体絶命、ここで吸血鬼でも現れ乱戦にでもなれば本当に部隊が崩壊しかねない。

 

「未来よ……サルモールよッ! しかと見よッ!」

 

 崖の上で大爆発が起きて、フォースウォーンの一団が燃え上がった。炎系最高位の破壊魔法、ファイアストームが炸裂したのだ。

 

「分からないか? エルフの支配こそ真理だ!!」

 

 戦争初期にマルカルスで孤立していたサルモールの生き残りを率い、再潜入していたオンドルマール卿率いるサルモール司法高官達が背後からフォースウォーンに対し奇襲を仕掛けたのだ。

 

「ははははは! 俺に勝てるとでも? 無理だな。燃えろッ!!」

 

 凄まじい吹雪が巻き起こり、フォースウォーン達が舞い上げられていく。ブリザード、これも最高ランクの破壊魔法である。フォースウォーンの死体が空から降ってきて、セラーナの眼前にドスンと落ちた。セラーナは即座に死体を操り、フォースウォーンに対する反撃を開始した。フォースウォーンが全滅するのに長い時間は必要なかった。オンドルマールは崖から降りてくると、セラーナ達の前に立ちふさがる。

「俺はアルドメリ自治領スカイリム派遣軍最高司令官、オンドルマールだ。お前たちの指揮官は誰だ?」

 アルトマー特有の高慢な声で高笑いをするオンドルマール。大層な肩書だが連れている部下はせいぜい数十人と言ったところ。しかし、サルモールがそれだけいればスカイリムの街を一つや二つ制圧することは不可能ではない。

 

「サルモール……いやオンドルマール指揮官、助かった。感謝する」

 バルグルーフがやってきて言った。仇敵サルモールの突然の登場を、ある者は憎しみを籠め、ある者は安堵と共に迎える。

「ふん……お前はホワイトランのバルグルーフだな。お前が指揮官か?」

「いや、俺はスカイリムの上級王ではない。今のところ、全軍を統括する指揮官は誰もいない」

「そんな状態でよく戦争しようなどと思ったものだ。ならば俺に軍を預けろ。ポテマに勝たせてやる」

「サルモールに従う訳にはいかないわね」

 ドーンブレイカーを輝かせてリディアが威圧するが、その声にはどことなく親しみがあった。2人はかつてマルカルスで会ったことがある。司法高官殺しとしてスカイリム中に指名手配されている従士であるが、ただ一人だけサルモールの友人がいた。それがこのオンドルマール卿なのだ。

「でもポテマと戦うというのなら、歓迎するわ、オンドルマール」

「いいだろう。俺達もお前達に合流しよう。アルドメリ自治領は奴に占領され、もはや定命の者同士で争っている状況ではないからな。だがこの共闘は一時的なものだ。いずれ我々サルモールがタムリエルを統治することになる」

 サルモールはポテマによって違法化され事実上壊滅させられている。今ここに、ポテマの立ち向かうための、人類とサルモールの同盟が成立したのである。

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