チート転生したらしいが熊本弁しか喋れない   作:祥和

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ルーキー日間6位…だとぉ!?
ノリと勢いだけで書いてるので皆さまの満足できるものが書けるかどうか…ゴクリ

とはいえ感謝。圧倒的感謝。


第3話 混沌への誘い

あれから2年の月日が経った。

 

最近の専らの悩みは、自分の身体の一部分のせいでやけに肩が凝る事だ。

しかし、男時代は見るだけでもあんだけ興奮した禁断の果実が自分の身体に付いてる物となると途端に興味が薄れるから不思議な物である。

なので、ここまで成長したのは、自分の知的好奇心の結果というよりは、響ちゃんや未来ちゃんが挨拶代わりに揉んでくるせいだろう。

最近に至ってはやけに手馴れてきている感まである。

特に未来ちゃん。

この前のは危うく雌の声が出るところだったってばよ…

さすがに高校では控えて貰おう。

 

とまぁこのように、俺のおっぱいを犠牲にして、響ちゃんと未来ちゃんにとってもようやくあの事件が過去になりつつある。

しかし、将来の事もあるので、進学だけは過去にする訳にもいかず、他の連中が行く地元の高校ではなく、東京の高校に行く事になった。

 

えっと、リリアンだったか、なんかそんなところだ。

百合を冠する女子校とか今から胸がワクワクしてくる。

 

「でね、リディアンにはなんと!翼さんが通ってるんだよ!!」

 

「響、それもう今日5回目だよ…」

 

あ、そうそう、リディアンだ。

百合じゃなかった…残念。

…ん?今なんて?

 

「輝き持つ者よ、今なんと?」

 

「だから、リディアンには翼さんが通ってるんだよ!!」

 

………What?

ツバササンってあの翼さん?風鳴の?

ズバババンとかじゃなくて?

 

………ダメじゃん。

あの元ツヴァイウィングの青い方の人でしょ?

絶対一波乱あるじゃん!!

 

「蘭子どうしたの?」

 

「さぁ?翼さんと会うのが楽しみなんじゃないかな!?」

 

「それは響の事でしょ?」

 

そうやってウキウキしてる響ちゃんややや呆れ気味の未来ちゃんを脇目に、また事件に巻き込まれる可能性が非常に高い憂鬱とか、そういや奏さんの引退ライブさすがに行けなかったな、とか色々な感情がごちゃ混ぜになって一人悶絶するのであった…

 

「くっ、魔力が足りぬか…鎮まれ我が右手よ!」

 

「蘭子もノリノリだよね…悩んでるのか遊んでるのか私時々わからないよ…」

 

「うん…私もわかんない」

 

***

 

今さら一人だけ学校を変えるなんて訳にもいかず、ついに東京まで来てしまった…

 

まぁ、これ以上悩んでもなるようにしかならないので、今日は街を散策してみるか。

ちなみにだが、響ちゃんと未来ちゃんはルームシェアをして広めの家に住むらしく、当然俺も誘われたのだが、俺は一人暮らしの家の方を選んだ。

 

こんなコミュニケーション能力なのに、両親ともに俺への愛情をちゃんと注いでくれていて、大学を出るまでの学費と生活費は見てくれるとの事で、最低限、女の子が一人暮らしを不便無く出来る家を借りると張り切って両親同伴で契約したんだが…

あの…お父様、お母様?

女の子の一人暮らしに3LDKはやり過ぎじゃないですかね?

ウチの親、親バカにも程があんよ…

 

…まぁ、一人暮らしの方が能力の検証とかがやり易いとか、色々あったんだけど…

なんか改めて家の広さ見たら色々吹き飛んだわ。

 

気を取り直して、能力については現状、この能力に頼るしかない訳で、いざ事が起きた時に柔軟に対応する為にも、何が出来て、何が出来ないかを早急に知っておく必要があるにはある。

さすがに邪神の言う事を丸まま鵜呑みにする訳にもいかんしね…

 

おっ、あの銀髪の子スッゲー美少女。

しかもおっぱいでけぇ…

でも何か強面のスーツのお兄さんに絡まれてら…

 

「だから何でアタシがっ…!」

 

「笑顔です」

 

「笑顔なんてしてねぇっつうの!」

 

「しかし…名刺だけでも!なんとか検討をお願いできませんか」

 

「ちょせぇ!ついてくんな!」

 

……なんだ、ただのスカウトみたいね。

あんな強面だからてっきり危ない感じの人かと思ったけど、どうやらアイドルのスカウトさんらしい。

 

なんでわかったかって?

能力で名刺の内容見たからね。

 

しかし、あんな飛び込み営業みたいなスカウト方法でやっていけるんかね?

あ、今度は如何にもクールそうな黒髪ロングのJKに声掛けてら…結果はお察しだけど。

 

そうやって、人間観察がてらそのスカウトさんの撃沈っぷりを眺めていると…

 

「あの…少しお時間よろしいでしょうか?」

 

「…………我?」

 

いつの間にか目の前にいた。

 

***

 

「………」

 

「………」

 

何故か無言が続いている。

アイドルとか普通に無理だしどうにかして逃げたいんだけど…

 

「あの…アイドルに興味はありませんか?」

 

アイドルね…

見るのは好きよ?見るのは。

でも、響ちゃんも未来ちゃんもいるし、俺だけアイドルになるとか無理。

特に響ちゃんをメディアに出すとか論外だ。

 

そもそも、元男に群がる男性達とか見たら人間不信になりかねん。

よって却下だ。

がんばって仕事してるのにゴメンね?

 

「輝ける星を目指すなどに紡げる時は無い」

 

まぁ、そもそも断る云々以前にコミュニケーションが成立しないから、絶対無理なんだけどね。

 

「す…素晴らしい…」

 

…ゑ?

 

「素晴らしい個性です!貴女なら、必ずトップアイドルを目指せます!是非!是非検討をお願いできませんか?」

 

………ゑ?

 

「これは私の名刺です。気が向きましたら是非ご連絡ください」

 

……………え?

 

訳もわからぬまま、お兄さんは去って行った。

………あの人プロデューサーなのかよ…

プロデューサーが外回りのスカウトって…

どんだけ人手不足なんだよ…

 

***

 

あれから少しして、無事に私立リディアン音楽院に入学した。

あの名刺には当然連絡していないが、何故か捨てるに捨てられずにいる。

今のところ、翼さん側からのアクションも特に無い。

はぁ…このまま穏やかに過ごせないかなぁ…

 

「でね!蘭子ちゃん!!」

 

目の前で響ちゃんがカツ丼を頬張りながらハイテンションで語っている。

よく食うなぁ…

 

何故こんなにハイテンションかというと…

 

「今日、翼さんのCDの発売日なんだ!」

 

そう、今日でもう8回目になる説明だが、翼さんのCDの発売日らしい。

放課後はダッシュで買いに行くみたいだ。

そんなに急がなくても予約してるなら普通に買えるんじゃないかなぁ?

と思うが、あのライブから本当にファンになったみたいなので、まぁ水を差すのは止めておこう。

絶対変な単語になるしね!

 

と思っていると…

食器を返そうとしてた響ちゃんが当の本人とぶつかっていた。

なんか頬っぺたのおべんとうを指摘されてら…

いつも未来ちゃんにゆっくり噛んで食べろって言われてるのになぁ…

 

そんな感想を脳内で溢していると…

 

「放課後…屋上で待ってるわ」

 

すれ違い様に翼さんに声を掛けられる。

さすがに見逃してくれませんか…

 

***

 

放課後、屋上に行くと、翼さんが一人で待っていた。

 

「来たわね」

 

「我に何用か?」

 

そう答えると心なしか目がキラキラしたような…

さすがに気のせいかな?

 

「立ち話もなんだし、場所を変えましょう。ついて来て」

 

まぁ、ここでバックれると後が面倒そうだし、素直について行くか。

俺はただ平穏に響ちゃんと未来ちゃんと過ごせればいいんだけど、説明しても伝わらないだろうしなぁ…

 

しばらく歩くと、学生寮と思しき一室に通される。

 

()()散らかってるけど、上がって頂戴」

 

足を踏み入れた先は…

 

「混沌の魔境か!?」

 

「す、()()散らかってるだけよ!()()

 

何処が少しだよ!

超汚部屋だよ!足の踏み場無いじゃねぇか!

これが少しだったら何でも少しになるわ!

ていうか、よくここに人を招こうと思ったね?

 

「くっ、私は戦う事しか知らないのよ…」

 

うん…言うタイミングが全然違うし、今言われても言い訳にしか聞こえない。

 

「蒼の歌姫よ…」

 

翼さんの肩に手を置き、ニッコリと笑う。

 

「我と共に静謐を創り上げようぞ」

 

「ヒッ」

 

お片付けタイムが幕を上げた。

 

***

 

結果から言うと、翼さんはまったくの戦力外だった。

片付けようと思って行動してるつもりみたいだが余計に散らかるのだ。

なので、早々に戦力外通告を出してベッドの上でいじける作業に入ってもらい、途中から参加した奏さんと一緒に片付けをしている。

しかし全然終わらんな…

 

「いやー、一人でこれやると大変だから助かるわ」

 

奏さんはいつもこれを一人でやってるらしい…

素直に尊敬するわ。

 

「で?ちゃんと言えたのか?翼」

 

「それはっ!………今から言うのよ」

 

ん?どゆ事?

俺の能力とか色々洗いざらい話して貰うぜって場じゃないの?

翼さんが居住まいを正す。

 

「あの時は助けてくれてありがとう。君がいなければ、私か奏、どちらかが欠けていたかもしれない」

 

「アタシからも、ありがとな!また改めて礼はさせてくれ」

 

二人の急な畏まった態度にポカンとしてしまう。

 

そういや、両親と二人の親友以外に礼を言われるなんて初めての事だ。

何か熱い物が込み上げてきそうになるが…

 

急にけたたましいサイレン音が鳴り響く。

 

「これは…」

 

「ノイズ!」「禁忌の狩人!」

 

………久しぶりに刺さる視線が痛かった。




完全にタイトル詐欺。

混沌=翼さんの汚部屋

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