愉悦道中記(凍結)   作:壇クロト

6 / 10
ここから投稿時にはアニメでやっていない部分の話になってくるので、ネタバレ注意が必要となります

1巻最後の戦闘後~水の町の討伐後のお話です

今回は時系列が飛び飛びな上に、オリ主の1人称とセリフパートとがごっちゃになっているので、また読み辛いかもしれませんが、お許しください


4話

彼がギルドの同僚に助力を願い、あの牛飼い娘のいる牧場を守った。という話を聞いたのは、事件から数日が経ってからだった。俺としては、その光景を実際に見たかったのだが、同時期に現れた魔神王の軍勢を殲滅するために招集されていて向かうことができなったのだ。全く、あの程度の雑魚ごときの為に俺の楽しみを奪うとは許せない。俺抜きでも対処が出来るように新たに白金等級の小娘を作ったというのに、件の小娘と仲間たちは別件で動いていたという。これには、流石に腹がったのでお灸を据えておいた。

・・・俺が彼に対して働きかけてやる要件もほとんど無くなってきている。俺の目的を果たすために俺がなんにでも介入していたのでは、意味がない。あくまで決めるのは彼であり、彼の心を射止めるのが誰であろうといいのだ。彼が人生の墓場にぶち込まれて四苦八苦する様を見れれば俺は満足なのだから!

 

それでも様子だけは見に行こうと思いギルドに行ってみれば、彼の人徳を見込んで昇級審査の立会人を頼まれていた。彼は自分が選ばれたことに疑問を持っていたが、受付嬢の飾ることない称賛を受けたからか立会人を引き受けることにしたようだ。俺としても彼にはゴブリン退治だけでなく、こういった銀等級の冒険者が任されることのある仕事をこなしてもらいたいと思う。結婚した暁には、自分一人の命で好き勝手に動くことなどできなくなるのだから、もう少し落ち着きを覚えて欲しいと思っている。

 

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(ん?あれは確か・・・。ゴブスレ君を暗殺しようとして返り討ちに遭うレーアか・・・。見るからに憤慨しているようだが、俺の目的が崩れる可能性もある。ここで始末しておくか?)いや、あいつには原作通り咬ませになってもらおう。その方があの受付嬢との距離が縮まる。万が一暗殺が成功しようものなら俺が妨害すればいいだけだ。

 だから、まだ生かしておいてあげるよ。咬ませ君?

 

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そんなやりとりがあった数日後。彼の下に水の町の大司教、つまり剣の乙女から依頼が来た。

原作でもいろいろなフラグが立つ所だけに是非とも直に見学したいところではあるが、剣の乙女に俺は顔が割れているし、なにより奴は俺の変装を見破ることができる。近くで見るとも叶わず、使い魔越しでも気付かれる可能性があるから今回に至っては完全に結果を知ることだけに重きを置くとするか。原作通りならあの腹黒乙女さんは彼に惚れるだろう。彼の一行が町を離れた時に確認するとして、俺は彼らの冒険がいきなり頓挫することのないように、魔神の手先を先んじて始末することにしよう。丁度、あの新人白金等級も向かっていると聞いたから一緒に灸もすえるとするか。

 

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「やあやあそこまでだ!ってボク一遍言ってみたかったんだよね!」

―地下に潜み生贄を用いて計画を進めていた魔神の手先にそう声高に告げたのは、最近白金等級として認めれた少女。その脇には仲間である同じ白金等級が2人いる。彼女らの出現に対して、憤る手先であるが、コイツのそして彼女たちにとっての絶望が直ぐに現れた。

 

「声高に自分の存在を告げる前にこの程度の塵芥直ぐに片付けろ。この場所を見つけ出すために俺を刈り出させたというのに今さらのこのこと黒幕に対峙している時点で自らの無能さに気づけ」

―不機嫌。正にその一言が当てはなる声色がどこからか聞こえてくる。声だけなの押しつぶされるような錯覚に陥る声の持ち主など一人しかいない

 

「っ!この声は!?先輩!?」

―かろうじて声を出せたのは先程意気揚々と現れた少女。他の2人は身が竦んでしまったのか声を出すことができない。

 

「何時聞いてもきゃんきゃんと煩いやつだ。お前達は此奴を見つけるまで何をやっていた?」

 

「!僕らだってこいつを探すためにあちこち行ってたんd」

 

「黙れ。ならば何故お前達より後にこいつを探し始めた俺に追いつかれる?貴様らは白金等級ということに満足して弛んでいるんじゃないか?」

―あまりにも一方的な発言に対して反感を覚える一同だが、目の前にいる男がどういう存在なのかを思い出し堪える。最も堪えることのできない間抜けがここに1匹いるのだが・・・

 

「ごちゃごちゃと何を言っている!魔神様の仇ここで執らせてもr(ry」

―全て言い切る前に魔神の手先は細切れにされていた。少女達が動いた素振りなどなかったため、成したのは誰か一目瞭然だが、男の方もまた動いた様子などなかった。だが、男の周りには確かに変化があった

 

「それが、スサノオというものですか・・・」

―先程から一言も喋らなかったフードを被った少女がポツリと溢す

 

「この程度の奴に使うまでもないが、不愉快な上に煩わしかったのでな。それよりもお前たちは自分の身の心配をした方がいいんじゃないか?

 不愉快な思いをさせられたのはお前達からでもあるんだ。丁度ここに人はいない。先輩に仕事を押し付けて成果を出せなかった後輩に教育的指導といくか」

―その発言を聞いて竦みあがる3人組。ありていに言えばこれから行われるのは、自分たちが全員で戦っても返り討ちにされるような相手からの八つ当たりなのだから・・・

 

「魔神の軍団よりもあなたの方がよほど悪魔ですよ・・・」

―鎧を身に纏った女が絞り出すかのように一言告げた後、戦闘は始まった。

  いや、戦闘と言うには余りにも一方的な蹂躙であった・・・

 

―後日王都へ白金等級の3人組が帰還したが、全員怪我をしており、震えていたという・・・

 

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ふむ。八つ当たりを終えて幾分か不機嫌を直した俺が向かったのは、あの見た目は淑女腹の中は真っ黒と魔神の手先に評された剣の乙女の下だった。ただ単に彼に対する評価を聞きに行っただけのつもりが大収穫だ。あの魔神を討ち果たしたという伝説の元冒険者が恋い焦がれる町娘のような貌をしているじゃないか。これは、下手にちょっかいを掛けるより火種を放り込んだほうが得策判断した俺の行動は素早かった

 

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「おーおー。剣の乙女ともあろう存在が珍しい表情をしているじゃないか」

 

「あなたは・・・。いくら白金等級の冒険者といえど、いきなり淑女の後ろを取るのはいかがなものかと思いますが?」

 

「冗談はよせ。どこに淑女がいるっているんだ?」

 

「あら?貴女の目の前に居りますでしょう?目の見えないわたくしより目が悪いのかしら?」

 

「抜かせ。まぁ、お前と口喧嘩をするためにここの赴いた訳じゃない。お前が依頼を出した冒険者が依頼を達成できたのか確認しに来ただけだ。」

 

「そうでしたか。ならばわたくしが認めましょう。あの方々は見事わたくしの依頼を達成してくれたと」

―そう言い切る剣の乙女の顔は晴れがましかった

 

「お前がそんな貌をするなんて珍しいな。なんだ?あの一行の誰かにでも惚れたか?」

―分かり切った質問をして動揺をさそう

 

「ぇ?あ、いえ、そうではなく。あの、えっと・・・」

―しどろもどろになりながら否定するが徐々に顔が赤くなっていく

 

「確かお前の依頼はゴブリンの退治・・・。あぁそうか。辺境の町にいるというあの何と言ったか?ゴブリンスレイヤーだったかに惚れたか?」

 

「!!・・・っ。」

―顔を真っ赤にしながら小さく頷く剣の乙女

 

「図星か・・・。だが、それなら尚の事茨の道だな」

 

「それはどういう?」

 

「なんでもあの変人の周囲には意外にも彼に好意を向ける女が多いと聞いてな。近場で水面下の闘争をしているのに、こんな離れた町での遠距離恋愛は流石に形勢不利だと思っただけだ」

 

「っ!それは・・・困りましたわね・・・」

―意気消沈していく

 

「まぁ、手が無い訳じゃない。またこの町にゴブリンが出たら依頼を頼めばいいし、お前の人脈を活かしてゴブリンに困っている者を見つけ、お前が彼に依頼の手紙を出したりすればいいんじゃないか?己の感情も載せて送ってやれば鈍感だとしても、多少意識するだろうよ」

 

「それはいいアイデアですね!しかし、なぜ貴方がわたくしにそこまで助言をくださるのかしら?」

 

「何、昔のよしみだ。このままだとお前結婚出来なさそうだから。年長者のお節介とでも思っておけ」

―そう告げると用は済んだのだろう。剣の乙女に背を向けて出口へと歩いて行った

 

「相変わらず口の悪い人ですね。わたくしだって結婚したいですよ!

相手だって見つけましたし。しかし、敵は多い模様・・・。彼の助言は大いに役立たせてもらいましょう」

―人知れず決意する剣の乙女であった。

 

 

 

 

傍観者が手を出せることは多くない。あと少しで役目は終わる。その際傍観者が見るのはどのような結末か。いまは誰も分からない

 




本日は多分この1話で終わりかな?

プロローグから続いてきたオリ主のちょっかいもあと1回で終わりを迎えます。
それからどういった結末を辿るかは作者にもわかりませんw

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