(禁手化なしで)どうやって戦えばいいんだ!!   作:赤いUFO

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最初の予定では原作陣営の主人公はデュリオだったんですよね。周りに出番を奪われて影が薄くなってしまった。これから活躍させないと。



後、どう考えても5話じゃ終わらない。


10話:嘆きの音

「なんだよこれっ!?」

 

 景色が変わる。

 まるで剥がれていくような。塗り潰されるような。駒王町の景色が見知らぬモノへと変化していく。

 駒王町の各地で警戒態勢に当たっていた面々はその変わっていく景色に面喰っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「影に世界を作ったのなら、表の駒王町と入れ替えることも可能なわけだ。まったくトコトンこっちを驚かしてくれるね」

 

 変わっていく世界を見ながらデュリオは苦々しい表情をする。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……町の人たちを逃がしたのを見計らっての対応なのでしょうね。ここまではおそらく滅却師側のシナリオ通りってわけね」

 

 リアスが唇を噛んで自分を抱きしめる。

 

「リアス……」

 

「こんな手段を取った以上、ここは彼らの陣地。向こうに有利な戦場よ。戦力を分散させたのが完璧に裏目にも出ている。それでも、敗北は許されないわ」

 

 ギリッと歯を噛んで変わった景色で遠くに見える城に睨めつけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これで、外からの援軍が来ることもなくなったわ。これで互いに思う存分に力を振るえる」

 

 影の中で造った城に戻ってきたマヌエラが反転された町を見下ろしながら各地点にいる敵勢力を確認する。

 そこでルートヴィヒが声をかけた。

 

「では、行ってくる」

 

「えぇ。お願い。まだ、龍神に動かれると面倒だから」

 

 ルートヴィヒが頷くと飛簾脚でその場を去る。

 

「さぁ、無限の龍神だった者。お前の存在そのものが間違いだったと思い知りなさい。有限に堕ちるのでは足りない。その精神もズタズタに切り裂いて、自ら死を望みなさい。その時、私たちがお前を――――」

 

 マヌエラは歪に口元を吊り上げた。

 

「この世界から、消滅させてやる――――!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「始まったわ」

 

 外の準備が整ったことを察してカミラは膝枕をしていたアーシアから離れた。

 くるりとアーシアの方を向く。

 

「どうする、アーシア?今ならまだ、ここで大人しくしてるだけでもいいわ」

 

 別に仲間と戦わなくていいというカミラにアーシアは首を横に振った。

 

「一緒に行きます。カミラちゃんと離れたくありませんから」

 

「ありがと」

 

 嬉しそうにカミラは笑い、抱きつく。しかしそれもすぐに離れ、アーシアの手を取った。

 

「さぁ、行きましょう。私の愛しい人」

 

「はい」

 

 手を引かれて部屋を出る2人。

 その時のアーシアの首にかかった、滅却十字(クインシー・クロス)が鈍く輝いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うわぁ。もう駒王町の面影ないですねー」

 

「瑠流子!軽率に動かないで!どこに敵がいるのか分からないんですよ!」

 

「はい!」

 

「……」

 

 変化した駒王町に仁村瑠流子・花戒桃・そして、狼男であるルー・ガルーがチームを組んでいた。

 突如変化した駒王町に動揺しながらも警戒しながら辺りの状況を確認している。

 

「とにかく近くにいる味方と合流して……」

 

「避けろっ!?」

 

 桃が考えていると突如叫んだルー・ガルーが2人を突き飛ばした。

 同時にルー・ガルーの体を光が通過する。

 瑠流子と桃がルー・ガルーを見ると、そこには心臓から腹半分が持って行かれたルー・ガルーがいた。

 

「クソ……!」

 

 その言葉を最後に崩れ落ちる狼男。

 

「ルガールさん!」

 

 瑠流子がルー・ガルーに駆け寄ろうとすると高速で接近してきた敵に首を掴まれて体を壁に叩きつけられた。

 叩きつけたのはこの町の住民をゾンビに変えた男、ドミニクだった。

 

「わりぃが、こっちもちょいと戦力不足でな。お前たちにはこっちの陣営に就いてもらうぜ」

 

 ドミニクは抵抗する瑠流子に腕を噛んで流れた血を浴びせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「この!聞き分けがないね、君も!」

 

「悪いが貴方はそちら側でもっとも警戒すべき戦力のひとりだ。同盟関係だった教会の者を手にかけるのは気が引けるが、邪魔をするのならここで消えてもらう!」

 

 滅却師から射られた矢を躱しながらデュリオは相手の戦意を削ぐための隙を伺っていた。

 矢を撃ち終えた僅かな隙を突いてシャボン玉を飛ばした。

 

「【虹色の希望(スペランツァ・ボツラ・デイ・サポネ)】!」

 

 虹色のシャボン玉が滅却師に触れる。

 

 虹色の希望。攻撃力こそないが、シャボン玉に触れた相手の大切なものを想い出させ、戦意を奪う技。

 これで向こうの戦う意思を消沈できれば――――。

 

「邪魔だっ!」

 

 しかしシャボン玉を受けた筈の滅却師のエトウィンは構わずに攻撃を繰り返した。

 効かないことを半ば予想していたデュリオは舌打ちして矢を避け続ける

 

(まだ確信半分ってトコだけど……もし俺の予想通りなら、ここでの戦いはあまり意味がないんだよね)

 

 デュリオは自身の中にある予想が外れていて欲しいと思っていた。

 外れていれば今のシャボン玉で滅却師の戦意を喪失出来たこともそうだが、当たっていればそれはあまりにも哀し過ぎる。

 だからできればこれ以上、予想が当たるような材料が揃わなければ良いと願っていた。

 そこで相手から話しかけられる。

 

「確か、シャボン玉に触れた者の大切なものを想い出させる、だったか。無駄だ。僕たちは大事なものなど何1つ忘れていない」

 

「それはどうかな……」

 

 しかしここで負けるわけにはいかないのは変わらない。デュリオは覚悟を決めてここからは攻撃の態勢に入った。

 だがそこでこの戦闘に割って入る人影が現れた。

 

「ハッ!」

 

 魔剣グラムを装備した祐斗が背後から襲いかかる。

 それを弾き着地した祐斗は剣を構え直した。

 

「木場きゅん……」

 

「行ってください!彼は僕が倒します」

 

 祐斗の宣言にデュリオはいやいやいやと首を振る。

 

「せっかくだし、2人がかりで一気に決めようよ」

 

 デュリオの提案を祐斗は拒否した。

 

「一刻も早くこの戦いを終わらせるには、滅却師側の頭目を捕縛する必要があります。貴方は、禁手に頼らずとも絶大な力を持つジョーカーだ。それに、何かを気付いていて見据えた上で行動してる。違いますか?」

 

 祐斗の考えは大方当たっていた。

 この戦いを終わらせるには滅却師側のリーダーに早く接触する必要がある。

 彼女たちを止めるにはおそらく――――。

 

「僕は彼から禁手を取り戻します!だから、行ってください」

 

「……わかったよ」

 

 観念したようにデュリオは祐斗の案に乗ることにした。

 

「でも木場きゅん。絶対に死んじゃだめだ。この戦いでは命を落としちゃいけない」

 

 どこか含むような言い方。しかし裕斗はそれを聞かずに頷く。

 

 天使の翼を広げてデュリオは祐斗に後を任せた。

 

 それを見送った滅却師のエトウィンは残念そうに息を吐く。

 

「出来れば、彼はここで仕留めて置きたかったが」

 

「追わせないよ。君はここで僕が討つ」

 

 グラムを構えて祐斗は自分の禁手を奪った滅却師と対峙する。

 そこで彼はそうだ、と思い出したかのように聖魔剣を創造した。

 

 無造作に持った聖魔剣を見ながら祐斗にとって最大限の挑発を始めた。

 

「ギャスパーだったか?君の仲間の吸血鬼は」

 

 祐斗の肩が跳ねた。

 

「あの吸血鬼の首。とても狩り易かったよ。君の禁手を奪ったことで楽に首を落とせた」

 

 その言葉に祐斗は歯を鳴らした。

 

「まさか君は、その剣でギャスパーくんを……!」

 

 今の仲間とかつての同志たちの魂で至った禁手。

 その剣で、自身の仲間を殺したことを知った祐斗は怒りで顔を歪ませた。

 

「今度は君の首をこの剣で狩ろう。そうすればこの能力は完全に僕のモノとなる」

 

 その言葉を合図に2人は高速で動き始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 オーフィスは自分が居た教室が消え去ったことで立ち上がることを決めた。

 これ以上、今の家族を失わないために。

 かき集めた虹龍の卵の入った器を置いて、オーフィスは傍に居たリリスを守りながら戦線に加わろうとした。

 しかしそこで上空から声が届く。

 

「悪いが、まだ大人しくしててもらおうか」

 

 聞き覚えのある声。上を見上げるとそこには兵藤邸に侵入した滅却師のひとりであるルートヴィヒが空中に立っていた。

 構えた弓から射られた矢が再びオーフィスたちを閉じ込めようとする。

 オーフィスとリリスを閉じ込める前にルートヴィヒが鏡を投げ込んだ。

 以前と違い、完成された檻は外の光も音も遮断する。

 

 閉じ込められたリリスが檻を壊そうと拳を握った。

 

「ダメ……!?」

 

 しかしオーフィスが抱きしめてリリスの破壊行為を制止した。

 最早こちらの声が届かなくなったと知っていながらルートヴィヒは呟く。

 

「気付いたか。その檻には俺たちが作ったサマエルの毒の模造品(コピー)が練り込んである。不用意に破壊すればその毒がお前たちに降りかかるだろう」

 

 即死ではないかもしれないが、只では済まない筈だとルートヴィヒは呟く。

 

「その鏡は外の情報をお前たちに伝えるための物だ。それで見ているといい。お前を守ろうとする者たちが、ひとりひとり潰えていく、その姿を……」

 

 それで言いたいことは言い終えたとルートヴィヒはその場を去った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ゼノヴィアさん……イリナさん……」

 

 別の場所でゼノヴィアとイリナはアーシアと彼女を連れ去った滅却師の少女であるカミラの前に立っていた。

 アーシアは首に提げていた滅却十字を手に持ち、滅却師たちと同様の弓を作る。

 

「!?」

 

 アーシアが持っている滅却十字は充電式の物だ。

 これなら誰でも弓が作れる。

 もっとも、充電式であるのなら当然中のエネルギーが尽きれば充電しなければいけない訳だが。

 

「お2人とも。そこを動かないでください。私は、お2人を傷付けたくはありません」

 

「アーシアさん目を覚まして!」

 

「なんと言われようと、私はここでお2人を足止めします」

 

 アーシアの眼は本気だ。

 操られているとはいえ、本気で自分たちに弓矢を向けている。

 

 ゼノヴィアはエクス・デュランダルを構えた。

 

「ゼノヴィア!?」

 

「分かっている。どうにかしてアーシアを気絶させるぞ。私たちもここで足止めされているわけにはいかない」

 

 各場所でおそらくもう戦闘は始まっている。援護に向かわなければ仲間が死ぬのだ。

 幸いにしてアーシア自身の戦闘力は高いとは言えず、一緒に居る滅却師の少女は少なくとも一誠の禁手を奪った者より強いということはないだろう。

 状況が切迫していることはイリナも承知なため、オートクレールを構えた。

 

「ゼノヴィア。どうにかして隙を作って。オートクレールの力でアーシアさんを元に戻すわ」

 

「あぁ、頼んだぞ」

 

「作戦は決まったかしら?」

 

 クスクスと笑う少女にイラつきながら親友(アーシア)を取り戻すために2人の騎士は動いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どりゃあ!」

 

「嘗めんなっ!」

 

 美猴はひとり、赤龍帝の鎧を纏う滅却師と対峙していた。

 フットワークの軽い彼は、住民が居なくなった町を散歩して人のいないコンビニから食べ物を失敬している最中に影の世界へと変化した町で目の前の敵と遭遇した。

 

 赤龍帝の鎧がもたらすすさまじいパワーを受け流しながら如意棒での反撃を繰り返している。

 彼の頭の中には既に仲間(黒歌)の敵討ちなど入っていない。完全に闘いを楽しんでいた。

 

 美猴の価値観を分かりやすく言えば楽しいかそうでないかだ。

 戦いが楽しいからテロリストの禍の団に与した。

 気の合う仲間であるヴァーリたちと行動をしていたのも楽しいからだ。

 

 だから今も赤龍帝の鎧を発動させている強者との闘いを楽しんでいた。

 

「ハハッ!楽しいねぃ!」

 

「白龍皇の腰巾着風情が!とっとと殺されろってんだ!!」

 

「おいおい!俺たちは別に上下関係があるわけじゃねぇんだぜぃ?」

 

「知るかよ!」

 

 矢の攻撃をすり抜けて兜を被った頭部に如意棒を叩きつける。

 しかし通じない。

 

「おうおう!頑丈だねぃ!」

 

 呆れながらも内心では笑みがこぼれていた。

 

 やはり闘いは楽しい。

 何も考えずに強者と闘える瞬間は何物にも勝る至福の時間だった。

 美猴の中では敵討ちなど敵を倒した結果でしかなく理由としてはあまり高い割合ではない。

 仲間意識はあるが、戦いに身を置く以上、そういうこともあると冷めた感性があるのだ。

 そういう意味では彼はヴァーリチームの中で陽気ながらもっともドライな性格と言えた。

 逆に美猴に言わせれば、家族や恋人の居るアーサーや死んだ黒歌。それにヴァーリも抱え込み過ぎていると感じていた。それに文句をつける気はないが。

 

 美猴は如意棒を伸ばし、棍の先を上へと跳ね上げて兜を外させる。

 露になった顔面に拳を叩き込んだ。

 

 しかし本来ならぶっ飛びそうな程に力を込めたそれは僅かに唇を切るだけに終わり、逆に拳を腹に叩き込まれた。

 大きく殴り飛ばされた美猴。

 

「その程度の拳が効くかってんだよ!」

 

 ペッと血の混じった唾液を吐き、よろけながら立ち上がる美猴に対してアドルフはバカにするように鼻を鳴らした。

 

「無様に懇願すりゃあ、ちったあ手加減してやるぜ?」

 

 そう吐き捨てるアドルフに美猴はハッと笑う。

 

「手加減……手加減かぃ。ハハ。ぶっ殺すぜぃ?」

 

 半眼で睨めつける美猴。

 手加減されるなど彼からすれば屈辱でしかない。コレが力の差が大きい相手なら実力を引き出せない自分を恥じるところだが、この程度の相手に手加減されるなどもっての外だ。

 結果自分が死のうと、それは些細なことだ。

 

 息を大きく吐き、美猴は自分の推測を口にする。

 

「でも、ちょいと見えてきたぜぃ。その生身での異常な頑丈さが。お前さんら、血管に気を流し込んで無理矢理防御力を上げてるな?」

 

 先程首の静脈辺りが光るのが見えた。

 おそらく、滅却師とはそういう能力持ちなのだろう。

 さて、どうやって攻略するかと考える。

 

「ハッ!別に防御だけじゃねぇぜ!動血装なら、更に攻撃力を高められるからな!」

 

 そう言ってアドルフはおそらく倍加の効果も相乗させた弓矢を構えた。

 それを見て美猴は笑みを浮かべる。

 

「それじゃあ、行くとするかねぃ……!」

 

 駆けながら美猴はこれまでのことを考える。

 ヴァーリと組んで色々なところでラーメンを食いに行った。

 仲間たちと色々な奴らに喧嘩を売って闘った。

 周りには迷惑だったかもしれないが、美猴にとっては楽しいと思えた日々。

 その結果、目の前の滅却師たちのような復讐鬼を生み出しても美猴からすれば知ったことか、である。

 向かってくるなら闘う。それだけだ。

 

 放たれた矢が近づくのを見て美猴は笑みを深めた。

 

(ヴァーリ……楽しかったぜぃ)

 

 親友に心の中で最後の礼を述べた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 既にその場にはアドルフはいなかった。

 口から血を流して美猴は空を見上げた。

 既に分離した上半身と下半身。

 美猴は太陽の見えない空に向かって手を伸ばした。

 その顔には相変わらず笑みが張り付いている。

 

「はは……最、高……」

 

 一度伸ばした手を握り、それが落ちると同時に美猴は意識を永遠に閉ざした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その匂いを辿って小猫は全速で駆けていた。

 目的の人物の下へと辿り着くと向こうは驚いたように小猫を見る。

 

「君か……わざわざ姉の後を追いに来たか」

 

 姉である黒歌を殺した滅却師――――ハイニを見つけて、小猫は歪に口元を吊り上げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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