(禁手化なしで)どうやって戦えばいいんだ!!   作:赤いUFO

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なんとか2話目、です。ついでにお試し版の部分を削除。


2話:話し合いの余地は?

『貴殿らが例の滅却師の生き残りか?まだ子供ばかりじゃないか……』

 

 禍の団が本格的に活動を始め得た頃、教会と連絡を取って奴らの活動を喰い止めるために参加させてもらった。

 最初は十代前半の子供も居ることと滅却師自体が希少な存在であることと彼らが盟友だったことが重なりで教会側は滅却師の保護を申し出たがマヌエラを代表としてその申し出を受けることはなかった。

 

『禍の団。彼らを滅ぼすことで私たちはようやく帰郷で亡き同胞たちに花を添えることが出来るのです』

 

 それが、滅却師たちの言い分だった。

 禍の団に対して戦力が不足していたこともあり、彼らの受け入れることにした。

 

 最初に世話になったのは以前から何度か滅却師とチームを組んだことのある教会騎士たちだった。

 

『滅却師の連中には大分世話になった。彼らのおかげで私は何度も危機を脱してきた。その恩返しという訳ではないが、貴殿らの想いが真っ当されるよう、我らも尽力しよう。だから、決して死ぬな。貴殿らが命を落とせば、命を懸けて守った彼らの犠牲が無駄になる』

 

 そう諭してくれた騎士が居た。

 

 大人に頼らず過ごした数年。滅却師としての力を磨き、()()()()()を使いこなすために時間を費やした。しかし頼れる大人は誰ひとりとして傍に居なかった。

 安堵を覚えるのは自然なことだった。

 

 だから滅却師たちも父らがそうしたように自分たちも彼らを守ろうと誓った。

 

 しかし――――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『禁手化!?この局面で!!』

 

 禍の団の一派閥である英雄派が各勢力に闘争を仕掛けてくる。

 この日もその討伐に数名の滅却師が力を貸していた。

 敵の戦闘員を駆逐し、神器使いの頭をマヌエラが矢で射貫く。

 

 すると最後に残った神器使いの様子が急変した。

 仲間を失った怒りか悲しみか。精神の変化は禁手へと至らせる。

 触れた物の重さを倍にする神器だった筈のそれは触れずとも重さを加えていく。後に判明したことだが重力を操る類の禁手だったらしい。

 

 教会騎士たちが為す術もなく地面に吸い付けられている。

 マヌエラは矢で敵の神器使いを射抜こうとしたがその重力範囲が届こうとしていた。

 

『ぬぅおおおおおおおおおおっ!!』

 

 地に伏していた筈の教会騎士。その隊長が力を振り絞ってマヌエラのところまで走り、その身体を手で突き飛ばした。

 最後に見た彼の表情は安堵したように微笑んでいて。それを最後に人であったことが判らない程に潰れた肉塊へと変わった。

 そこで禁手へと至った神器使いは転移され、マヌエラを含む滅却師と後方に居た教会の騎士たちだけが生き残る。

 

 ――――せっかく、力を付けたのに、何も守れなかった。

 

 故郷を滅ぼされた時とは違うと自信を持っていた。

 だが現実は、また守られ、守ってくれた人たちを死なせてしまった。

 どうして自分はこうも無力なのか。

 

「――――――ッ!!」

 

 喉が裂けんばかりにマヌエラは慟哭し、手が潰れんばかりに何度も地面を殴った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんだ!禁手が無かったらなんにも出来ないじゃないか!!」

 

 目の前に自分が今まで身に纏っていた筈の赤い鎧がある。

 振り上げられた拳を左手の籠手で防御すると受け止めきれずにそのまま左の骨が砕かれる

 

 

「グァアアアアアアッ!?」

 

「イッセーさんっ!?」

 

 左の骨が砕かれて殴り飛ばされた一誠にアーシアが駆け寄った。

 急いで神器の治療に入るがカツカツと態と音を鳴らして敵が近づいて来た。

 

 それにアーシアが禁手化を行おうとすると、一誠が止めに入る。

 

「ダメだアーシア!アーシアの禁手まで奪われたら、ホントに打つ手が無くなっちまう」

 

「で、でも!?」

 

 混乱して泣きそうなアーシアに一誠はノロノロと立ち上がって右手を構える。

 

「へぇ。まだ()んの?禁手奪われたんだから、無様に逃げまわりゃいいのに」

 

「うるせぇ!人から禁手奪っただけのくせに、粋がってんじゃねぇぞ!!」

 

 一誠の怒声に少し思案すると敵の少年は禁手化を解く。

 

「どういうつもりだ?」

 

「別に今のアンタなら禁手(コレ)を使わなくても充分殺れると思っただけさ」

 

「嘗めんじゃ――――!?」

 

 言葉は最後まで続かなかった。

 突如消えた少年は一誠の前に現れて腹に拳を叩き込む。

 堪え切れずに膝をつく一誠に少年は余裕そうに見下ろした。

 

「飛簾脚。足元に作った気の流れに乗って移動する滅却師(クインシー)の歩法だ。まさか俺たちがホントに禁手を奪うしか能がないなんて思ってねぇだろ?」

 

 一誠の身体を蹴り飛ばす。

 アーシアの悲鳴が響いた。

 

「別段、気にすることもないだろ。他の所も似たようなことになってる筈だしな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 木場祐斗は禁手を奪われながらも戦っていた。

 両手に魔剣と聖剣を持ち、一心不乱に剣を振るう。しかし――――。

 

「脆いな」

 

 刃は敵の腕に傷を与えずに止まる。

 

「こんな鈍らじゃあ、僕の静血装(プルート・ヴェーネ)は突破できない」

 

「プル……?」

 

「知る必要はない」

 

 木場の剣を弾くと小さな弓を作り片手で矢を放ち、腹を射抜く。

 

「つっ!?」

 

 左右からイリナと小猫が接近し、オートクレールと気を乱す仙術の拳が捉えた。

 だが、攻撃が当たる寸前に敵の姿が掻き消える。

 

「速いっ!?」

 

 禍の団と幾多の死線を潜り抜けた2人が一瞬見失うほどの移動速度。

 敵は近くの屋根の上に立っていた。

 

「まったくもって煩わしい。大人しくこちらの要求に従えばいいモノを。仕方ない。答えたくないなら、答えたくなるまで追い込んで――――」

 

 手を挙げるがその動きがピタリと止まった。

 

「?」

 

「マヌエラさん。うん……うん……」

 

 数度頷くと手を下ろし興味を失ったかのように踵を返す。

 

「待ちなさい!!どういうつもり!こんなことをして、貴方たちは何が目的なの!?」

 

 イリナが問い質すと敵の少年は背を向けたまま簡潔に答えた。

 

「僕たちの目的はそちらが保護している2体の無限龍の討伐。よく考えると良い。自分たちが何を庇っているのかを」

 

 それだけ言うと黒い影が少年を覆い、気が付けばその痕跡は消えていた。

 

「なにが起こっているのよ……」

 

 

 イリナの呟きに答えられる者はこの場には居なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一誠と少年の間に雷が落ちた。

 

「いやーイッセーどん、どうしたの?ボロボロじゃん。禁手なんで使わないの?」

 

「デュリオ!?」

 

 現れたのは教会最強のエクソシストであり、転生天使でもジョーカーの役割を担う神滅具の所有者のひとりである。

 彼は一誠に近づいていくと手を差し出して立ち上がらせる。

 

「こいつ、禁手化を奪う力が有って……それで俺の禁手化も奪われちまったんだ……!」

 

「うえ!マジで?それってかなりマズいじゃん。まぁ、アーシアちゃんの禁手を奪われなかっただけでも運が良かったのかな?」

 

 禁手化が奪われるという事実にも大きな動揺は見せずに飄々とした態度で崩さず一誠の前に出た。

 

「滅却師だね。ジャンヌ殺害の件で君たちを拘束しろって上から命令が来てる。出来れば大人しく捕まって欲しいんだけど」

 

 にこやかに対応するデュリオに一誠が問いかける。

 

「あいつらを知ってるのか!?」

 

「まあね。教会(うち)とは長い間仲良くやってた一団だし。禍の団が世界中で暴れてた時も手を貸してもらってたから。その説明は追々とね。それよりどうだい?大人しく投降すれば手荒なことはしないよ?」

 

 デュリオの質問に敵の少年は鼻で笑って見せた。

 

「誰が行くかよ!そっちこそ俺たちの邪魔すんなら容赦しねぇぞ!」

 

 高速で移動し、デュリオの横に回ると拳を突き出す。

 しかしデュリオは向かってくる腕の手首をあっさりと掴んだ。

 

「速いね。飛簾脚ってやつか。それに力も強い。大したもんだよ」

 

 あくまでも温和に語りかけるデュリオに少年は苛立たし気に手を外させる。

 そんな少年に対してデュリオは哀し気に言葉を重ねる。

 

「もう、止まれないのかな?君たちがいつまでも暴れ続けても何も解決しない。悲しみが広がるだけだよ。だからもうこんなことは――――」

 

「ふざけんなぁ!!」

 

 これまでの余裕を全て捨て去るように叫びが響く。

 

「壊されて踏み躙られて、それを忘れて無かったことにして!ヘラヘラ笑ってりゃみんな幸せってか!!テメェの勝手な価値観を俺たちに押し付けんじゃねぇ!」

 

 再び突き出される拳。しかし今度は防がずにデュリオは顔面でそれを受け止めた。

 閉じた眼で一瞬黙祷し、呟く。

 

「哀しいね」

 

 腕を動かし、反撃に転じようとすると少年の体が黒い影に包まれた。

 

「チッ!時間かよ……!?」

 

 忌々しそうに吐き捨てデュリオに告げる。

 

「俺たちは忘れない。故郷と家族を踏み躙った禍の団の奴らを……!それを全て滅ぼすまで、俺らは絶対に止まらない!!止めたきゃ、お前たちが俺らを滅ぼしてみせろ!」

 

 そう叫んで少年はその場から姿を消した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 決してそこに入ってはいけないと言われた。

 滅却師たちが祀っている最初の滅却師の亡骸が安置されている祠の奥。

 彼の眠りを妨げれば、きっと良くないことが起こると。大人たちに注意されていた。

 それでも故郷を離れる今は、その滅却師の始祖に祈りを捧げ、自分たちの目的が完遂されるように願いたかった。

 

 きっと何百年も誰も立ち入ってなかったのだろう。

 祠の中は誰かが踏み入った形跡は発見できず、もう忘れ去られた場所だった。

 

 ここで、私たちは誓った。

 同胞の仇を討ち、憎むべき者たちに必ず報いを受けさせると。

 強く、強く、誓った。

 

 その祈りに今は亡き滅却師の始祖に通じたのか。私たちに新たな力を宿すこととなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 椅子で眠っていたマヌエラが目を覚ます。

 するといつも通りルートヴィヒが傍に控えている。

 

「起きたか。駒王町で行動していた面々がグレモリーと交戦したらしい。禁手化を奪い、残り星章化できるのは俺たちを含めて5人になり、半分が埋まったな」

 

「そう。カミラは?」

 

「駒王町を回りながら順調に()()とやらを増やしている。出来れば巻き込みたくはないがそれもグレモリーとシトリーの出方次第だろうな。それと、教会からデュリオ・ジェズアルドが派遣されたようだ。彼の力は禁手を使わずとも脅威になるな」

 

「どちらにしても、こっちの手札がバレたなら、向こうも禁手化しないでしょうね。敵の神器使いの牽制になっただけ良しとしましょう」

 

「それで、これからどうする?」

 

 ルートヴィヒの質問にマヌエラはそうね、と頬に指をあてた。

 

「こちらの準備が整い次第、文を送りましょう。上手くすれば、これ以上犠牲者を出さずに無限龍を引き渡してくれるかもしれないし」

 

 そうなったらいいな、という僅かな期待を胸にマヌエラは早速手紙を書き始めた。

 

 

 彼女たちは止まらない。

 

 怨恨。そして復讐の炎は簡単には消えてくれないのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次話を投稿する前に滅却師側のキャラ紹介を活動報告などで上げます。
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