(禁手化なしで)どうやって戦えばいいんだ!!   作:赤いUFO

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この作品には関係ないですけど、自分はうしおととらの主人公2人の記憶を封印して他人扱いされる辺りとか。
BLEACHの月島が行った自分の存在を挟み込んで一護を周りに責め立てる辺りとか読む分には結構好きです。

自分で書いたら心が折れるだろうけど。


ちょっと作品の矛盾。名前とか性別とかが違ってた部分を修正しました。まだあるかもしれないけど。

R18版と最新話の序盤のシーンからガールズダグを追加しました。



7話:悪意は途絶えず

 昨日連れてきたアーシアを椅子に座らされて彼女の髪をカミラは上機嫌に整えていた。

 アーシアはカミラに連れてこられたときの私服ではなく白いワンピースドレスを着せられている。

 その最中にカミラが思い出したように話す。

 

「そういえば昨日、わたしがお姉さん連れてきたぐらいの時にね。お姉さんの仲間の吸血鬼。ギャスパーって人が殺されたんだって。わたしの家族に」

 

「そう、なんですか……」

 

 突然知らされた事実に大した反応を見せず、アーシアはカミラに身を委ねている。

 悲しくないわけではないが、感情の揺れ幅が小さいのだ。アーシアを知る者からすれば在り得ない程に。

 それよりもカミラが自分に触れてくれることの幸せの方が大きかった。

 

「はいおしまい」

 

「あ――――」

 

 カミラの手が離れると名残惜しそうな。物欲しそうな表情をするアーシアに後ろから抱きつき、指でその顎をなぞり、頬にキスをする。

 

「さ!お披露目に行きましょうか。わたしのモノになったお姉さんを。それが終わったら、またいっぱいいっぱい愛してあげる!」

 

「は、い……」

 

 カミラの手を取って立ち上がるアーシア。その顔はとても幸福に包まれていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうした白龍皇っ!!御自慢の半減で俺の力を奪ってみたらどうだ!」

 

「……そうだな、そうさせてもらおう!」

 

 突き出された拳に躱すと同時に触れてると半減を示す音声が聞こえた。

 だが成功したのはたった一度だけだった。

 

「遅えっ!?」

 

 捕まれた手を力づくで外し、ヴァーリの身体を吹き飛ばす。

 その僅かな間に奪った力は元に戻された。

 

「10秒ごとに敵の力を半減して奪うんだったか!そんな時間、待ってやる訳ねぇだろ!大体禁手を使う俺とじゃあ、倍加と半減の時間差は歴然だからなぁ!」

 

「……」

 

 ライバルの禁手を使う少年に目を細めてヴァーリは回避に専念する。

 いつものように禁手の鎧で敵の攻撃を無力化するなどが出来ないために全神経を集中させて回避に専念する。

 ヴァーリは育ての親と言えるアザゼルをトライヘキサとの戦いに送り出す結果となり、彼なりに守るための戦いを考えるようになった。

 しかしそれはあくまでも人的被害に関してだ。

 建物や公共物に関して彼は一切気を使わない。そもそも彼らの戦いで地形の損害まで気にしていたら此方が殺されると理解しているからだ。

 壊れた建造物に関してはこの地を治めるリアス・グレモリーがなんとかするだろうと事後処理を投げることにした。

 精々ヴァーリが考えるのは張ってある結界の外に出さなければいいだろう程度。

 

(こちらは禁手が使えず、向こうは奪った禁手を使い、一撃を喰らうだけで死ぬな)

 

 そう思いながらも恐怖はなかった。

 

(面白い!)

 

 胸の内に有るのは強敵との遭遇による歓喜。自身の全力が出せないのは煩わしいが、時にはそんな戦いもいいだろう。

 美猴と一緒に須弥山に渡って基礎能力の向上に努めたのが功を無し、今のところは直撃を喰らっていない。さすがに衣服はところどころ傷が出来ているが。

 

「ハッ!各地の魔獣や化物に喧嘩売ってた通り魔なだけはあるな!この禁手の持ち主よりいい動きするじゃねぇか!」

 

「そういう君は動きが大分雑だな。禁手のパワーに振り回されているぞ」

 

 言いながら拳のカウンターとして右手に集めた魔力を至近距離から砲撃として放つ。

 しかし手応えから多少距離を稼いだだけで碌にダメージを受けてないことを感じた。

 

 砲撃の爆発が消える前に高速の矢が放たれ、ヴァーリは急降下してその攻撃を避けた。

 

 上空を取った滅却師はそのまま再度弓を構えている。

 

光の雨(リヒト・レーゲン)……!」

 

 その名の通り射られた矢が雨のように降り注ぐ。しかしその攻撃1つ1つが小手先ではなく上級悪魔の身体に穴を空ける程の威力を誇っている。

 

 ヴァーリ、そして近くで戦っていた匙やゼノヴィアも全力で回避に回った。

 

「どうだ!今まで散々頼ってた神器に攻撃されんのはよっ!」

 

 哄笑する滅却師の後ろから大剣が迫る。

 

「不愉快だ。だからすぐにそれを一誠に返してもらおうっ!!」

 

 ゼノヴィアのエクス・デュランダルを弓で受け止める。

 

「マスター・リアスの眷属騎士改め、赤龍帝、兵藤一誠の騎士、ゼノヴィア・クァルタだ!君たちの暴走はここで止める!!」

 

「やって見せろよ!俺はアドルフ!"The Overkill"のアドルフだ!」

 

 エクス・デュランダルを捌くと弓矢を構えるがその僅かな間に匙が神器を取り付け、力を吸い始めた。

 

「うざってぇ!?そんなもんで多少俺の力を奪っても、直ぐに元に戻んだよ!!」

 

 接続された黒い龍脈を無視して匙に弓を向ける。

 繋がっていることが足枷となり、動きを制限されるため、すぐにラインを解き、矢を避ける。

 その僅かな隙を狙ってヴァーリがアドルフに取り付き、半減を行う。

 

「意味ねぇって言ってんだろ!」

 

 1回の半減を受けるも鼻で笑うがそのすぐにもう一度半減の音声が流れる。

 

『Divide!』

 

「なっ!?」

 

 驚いて咄嗟に掴んでいる手を離させる。

 

「どういうことだ。お前の神器、10秒ごとに半減するんじゃねぇのか」

 

「そんな弱点をいつまでも放置しておくわけないだろう。ある程度短縮したさ」

 

 敵の力を10秒ごとに半減する。

 しかしわざわざ十秒間も敵に触れ続けるのは至難の技だ。

 だからヴァーリは白龍皇の力をもっと効率良く使うために10秒ごとというデメリットを克服した。

 これはいずれ闘うであろう兵藤一誠との戦闘で、向こうの倍加を上回る速度で半減を行うための訓練だったが。

 その努力は実り、今では通常の神器でも2秒毎に半減が行えるようになった。

 しかしその成果をアドルフは鼻で笑う。

 

「だからどうした!そんなもん、結局は焼け石に水だろうがっ!!」

 

 滅却師の攻撃は続く。

 打ち合わせた訳ではないが、3人の戦いはゼノヴィアが前に立ち、隙を突いてヴァーリと匙がアドルフの力を削るという物になっていた。

 

「クソッ!さっきからチマチマと鬱陶しい!」

 

 苛立たしげに矢を放ち、打撃を行うアドルフ。

 その様子を観察しながらヴァーリがポツリと呟いた。

 

「……そろそろかな」

 

「俺の力を奪っても無駄だって何度言えば――――っ!?」

 

 突然アドルフが手を地面に付け、禁手化が解除された。

 肩で息をし、明らかに疲弊していた。

 

「なんで……?」

 

「ガス欠だ」

 

 アドルフの疑問にヴァーリが答える。

 

「俺がなんの考えもなしに君の力を奪っていたと思うか?倍加にしろ俺の半減にしろそれ相応に体力を消耗する。慣れていないまま多用すればすぐに力尽きるのは当然の結果だ」

 

 兵藤一誠も禁手を習得した当初はそれなりの制限があった。

 通常の神器で倍加の反動を体に馴染ませることで負担を軽減させてもそれだ。肉体が悪魔のものでも、倍加の連続使用にはかなりの負担と消耗がある。

 

「禁手を奪ったばかりの君が、それを、ましてや神滅具クラスの力を扱い切れるわけもない。あまり神器の熟練を軽く見るなよ?そら、向こうも決着が着いたようだ」

 

 みると、パウロの方もアドルフと似たように消耗で追いつめられていた。

 

「中々面白い戦いだったが、やはり今代のドライグの力は俺のライバルにこそ相応しい。その力を返してもらおうか」

 

 ヴァーリがアドルフの意識を奪おうと術を行使しようと動いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ヴァーリと同時期に駒王町に現れたアーサーも滅却師2人との戦闘を優位に進めていた。

 聖王剣コールブランドの力で後方にいる長髪の滅却師であるシャルロッテの矢を悉く空間を割って自身を素通りさせ、接近してくるターニャの方も剣というリーチを利用して取り付かせない。

 

「フッ!!」

 

 一息と共に振るわれた斬撃。それがターニャの片腕を斬り飛ばした。

 それに先程まで表情を動かさなかったシャルロッテの表情が動く。

 

「ターニャッ!?」

 

「チッ!?静血装がほとんど意味を為さねぇ!なんだこの化物!」

 

「失礼な。私はれっきとした人間ですよ。そちらも狙いがあからさま過ぎて避けやすい」

 

「なら、これならどうだっ!!」

 

 ターニャがアーサーを弾き飛ばすと同時に腕から線のような物が伸び、地面を走る。

 

「どうだ!痛ぇからしたくなかったが、こうして地面にあるアタシの神経に触れれば忽ちテメェも肉塊だ!」

 

 アーサーは人間であり、空中を移動する手段は限られている。ましてやこんな咄嗟で対応に遅れてしまう。

 ここに居たのがアーサーひとりだったのなら、この策も通用したかもしれない。

 だが、ここに居たのはアーサーだけではなかった。

 アーサーが着地する地点に仮面が数個配置される。

 

 それは草下憐耶の人工神器である”怪人達の仮面舞踏会”だった。

 

「感謝します!」

 

 アーサーはその仮面を蹴って一気にターニャへと接近する。

 

 聖剣の刃がターニャの体を斬りつける。

 即死ではないが、流された血から意識を保つのも難しいだろう。

 

「さて、貴女たちには訊きたいことがあります。御同行願いましょうか」

 

 シャルロッテに剣を向けてアーサーは冷たい笑みを浮かべた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 兵藤邸の地下に置かれている大きな卵。

 虹龍の卵だった。

 そのドラゴンの卵を黒歌が見ているとオーフィスと小猫がやって来た。

 

「黒歌がここに居る。珍しい」

 

「にゃはは。ちょっとやることないから家の中をぶらぶらしてたにゃん」

 

 負傷した黒歌はアーシアが居ないことで通常の治療しか出来ず、自宅待機していた。

 ここには一誠と小猫が残り、他は現れた滅却師たちへの救援に向かっている。

 

「……姉さま。怪我をしてるんですからあまり動き回らないでください」

 

「ごめんにゃん」

 

 妹が気遣ってくれるのが嬉しいのか頭を撫でてあげると子供扱いしないでください、と顔を頭をずらす。

 

「リリスはどうしたにゃん?」

 

「お昼寝。今、ルフェイが見てる」

 

 そう、と相槌を打ち、虹龍の卵に視線を移す。

 

「これ、いつ孵化するのかにゃ」

 

「わからない。でも我、楽しみ」

 

 小さく笑みを浮かべるオーフィス。見た目が極上の美女ということもあり、異性同姓問わず絆されそうなほどに魅力的だった。

 かつて、クリフォトの襲撃を受けた際に卵と兵藤夫妻を人質に取られた際に無抵抗に嬲られた。

 それほどまでに今のオーフィスにとってここの家族。そしてこの卵は特別なのだ。

 

「ここに来て。イッセーたちと出会って。我、少しずつ変わってる。ずっと変わらないままだった我が。不思議。でも、とても心地良い」

 

 だからこそ今回の騒動はオーフィスにとって胸を痛める事件だ。

 出来ることなら自分が動いて騒動を収めたい。しかしそれはそれでリアスたちに迷惑をかけてしまう。

 結局は言われた通りにここで留守を待つしかないことへの苛立ちがあった。

 以前の彼女ならそれすら気にしなかっただろうに。

 

「そっか」

 

 そんなオーフィスの独白に黒歌は嬉しそうに微笑む。

 しかし、そこから思ってもみなかった言葉が飛び出した。

 

「なら――――この卵を目の前で叩き壊してやったらさぞショックだろうねぇ」

 

 その笑みが一変して歪んだ。まるで中学生くらいの子供が陰湿な虐めを行う時の笑みに変わる。

 

「え?」

 

「……姉さま、何を」

 

 言っている、と小猫が言おうとすると黒歌はクスクスと笑う。

 

「せっかくヒントを与えてあげたのに、まだ気づかないか、な!」

 

 顔に手の平で覆うと、何かが剥がれるような音が鳴る。

 黒歌の姿が少しずつ変化し、着ていた和服は白い制服のような服に変わっていた。

 変化して現れたのは中性的な顔の少年だった。

 

「貴方は……!?」

 

 その少年は、先日小猫に道を尋ねた少年だった。

 驚愕する2人に少年は口元をさらに歪なモノへと動かす。

 

「さぁ、貴女の全てを壊し、蹂躙するショーを始めようか」

 

 既に悪意はその懐まで迫っていた。

 

 

 

 

 




アドルフ 16歳
”The Overkill”
滅却師勢の中で1番好戦的な性格。
生き物を殺せば殺す程に力が上昇する能力持ちなため、駒王町に来てから一般人や野良の動物を100近く殺害していた。
1話の百人は野良の動物を含めての数字。
殺した遺体はドミニクによってゾンビ化されている。
作品中で説明している暇がなかった。


もうちょっと黒歌のことは引っ張っても良かったかな、と思いましたけど早々に正体を明かしました。それに伴い黒歌は、ね。
明言しておきますが、作者は黒歌がD×D女性陣で5指入るくらいには好きですよ。
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