なんとなくこの二つのコラボが見たかった

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刀使ノ巫女×ワートリ

今日は珍しく非番だった。本を買いに行こうとショッピングモールへ歩いていると、空間が軋み、次いで警報が鳴り響いた。

 

その警報は敵──トリオン兵──の侵入を伝える音。大通りということもあり、人が多い。

 

この密集地のど真ん中にゲート。おい、ボーダーの誘導装置、仕事しやがれ。

 

「トリガーオン」

 

右ポケットに入っていたノーマル(玉狛特別製)のトリガーホルダーを握り、いつも通りトリガーを起動させる。

 

トリオン体に換装し、暴れている敵のもとまでグラスホッパーで跳ぶ。

 

そこで暴れている敵は今まで見たことがない敵だった。赤黒い体に二足歩行の異形。

 

空中から、今にも敵に襲いかかりそうな敵に狙いを定めて太刀を振るう。

 

「旋空」

 

太刀川さんには届かないが、剣閃が三本、異形の首を跳ねる。続けてもう一本の弧月を抜刀し、もう一度旋空を起動。異形の首が三つ飛ぶ。

 

「逃げろー!」

 

「どけや!」

 

「こどもが!まだ子供が!」

 

「さっさと行ってよ!」

 

周囲は一刻も早く戦いの余波が及ばない範囲まで逃げようと必死だ。

 

ゲートからは今もぞろぞろと出てくる。それらをただひたすら切り裂く。

 

警報が鳴ってからおよそ一分。そろそろ現場に他の隊がつく頃だろう。

 

「きゃー!」

 

異形の集団に囲まれ、弧月を構えながら束の間の休息を取っていると、後ろから悲鳴がした。振り向けば、中型犬サイズの異形が少女に喰いかからんとしていた。

 

「!旋空」

 

咄嗟に旋空を起動。刃を伸ばし、その異形のものを一刀両断。

 

しかし、隙を見せた代償は大きく目の前にいたゴリラのような異形のものの腕を受けた。

 

弧月を腕の間に挟め、自ら後ろに跳んだお陰で傷はなかった。

 

グラスホッパーを斜めにして後ろに設置し、さっきの少女の近くに着地する。

 

「そこで大人しくしてろよ」

 

大型犬より二周りはでかい四足歩行の異形が横から二匹、地を這って一匹迫っていた。

 

弧月を鞘に納め、手に変幻自在の剣であるスコーピオンを作り出す。

 

横から迫る二匹の異形はスコーピオンで頭を貫き、地を這って脚に噛みつこうとする異形には脚から出したスコーピオンで胴体を突き刺す。

 

「アステロイド」

 

掌にトリオンキューブを作り出して、4×4×4に分割し、今もぞろぞろとゲートから吐き出される異形に撃ち、蜂の巣にする。

 

ゲート発生から一分ぐらいたった頃、辺りには異形の残骸が多く転がされていた。

 

ゲートから吐き出される異形が減ってきた。これでもうすぐ終わりかと思ったのだが、どうやらそういうわけにもいかないみたいだ。

 

今まで動かなかった異形の残骸が蠢き始めた。

 

直感が不味いと囁く。

 

後ろの少女を抱え、シールドを張ってから分割せずにメテオラを射出。

 

轟音と衝撃。下のコンクリートが砕け、砂が舞い上がって煙が視界を覆い尽くす。

 

訳もなく、冷や汗が流れる。これは本気でかからないと本気でヤバそうだ。

 

煙で正確に視認はできないが、肌を刺激する威圧感は本物だ。

 

「トリガーオフ。雷刃オン」

 

バチっと空気が爆ぜる。緑と黄色が混ざったようなスパークが俺の周りを取り囲む。

 

常時トリオン消費で、速度を上昇させる。周囲のスパークはトリオンが消費されてる証であり、触っても無害。

 

その速さは韋駄天よりも数段早く、方向転換も可能。刀に雷を纏わせて振り抜けば、雷が刃の形を形成して飛ばすこともできるが、範囲は十メートルと旋空よりも狭いが、速さはまさに雷。

 

突如、煙に穴が空いた。穴を開けたのは赤黒い丸太のような腕だった。

 

少女を抱き抱え、その場から離脱する。

 

地面が揺れる。もう一度砂煙が舞う。視界を遮ってくれているのは、チャンスだ。

 

さっきのメテオラの余波で窓ガラスが壊れていたデパートの中に駆け込む。

 

「ごめんね。隅っこで頭を抱えて我慢してて。ちょっと揺れるかもしれないけど絶対に顔を上げないで」

 

「は、はい」

 

「うん。いい返事だ。それじゃ、待っててね」

 

 

 

歩きながら本部に連絡を入れる。

 

『未確認の生物と交戦。トリオン兵かも分からない。強さは黒トリガー級だと思われる。太刀川さん、迅さん級の戦力じゃなければ足手まといになるだろうことが予測される』

 

 

 

 

 

 

 

刀を抜いて、構える。

 

砂煙はとっくに晴れていて、その異形の姿を見ることができた。

 

さっき見たゴリラ型の異形から余計な部分を削ぎ落としたような、引き締まった体躯。体長は二メートル弱の二足歩行。

 

その人型の異形が動き出した。その速さに舌を巻く。雷刃にやや劣る速度だ。

 

雷刃を使う上で要求される動体視力は高い。急激な速度での移動中にも周囲を普段と変わらないように見るために必要なのだ。

 

余裕とまではいかないが、見切れる速度だ。

 

上から振り下ろされる腕を半身になってかわし、跳び跳ねて首を切りつける。

 

硬質な音が響く。出来たのは掠り傷。並の使い手じゃ、傷ひとつつかない硬度だ。

 

刀と腕がぶつかり合う度に衝撃が空気を震わせる。

 

こちらは隙を見て何度も切っているのだが、未だ致命傷は与えられない。

 

ちんたらやってる場合ではない。トリオンも無限ではないのだ。

 

───この一刀に全てを賭けよう

 

全身から出るスパークの色が黄緑から紅色へと変化する。それに呼応するように刀も紅い雷を纏う。

 

雷の名に恥じない、間違いなく俺の最高速度。

 

景色が後ろに流れ、目の前には人型異形の腹。刀を横に真っ直ぐ薙ぐ。

 

人型異形の胴体に線が入り、斜めにズレル。どしゃりと上半身が地面に落ちる。

 

十秒待ったが動く様子はない。つまり。

 

「終わったー!」

 

普段は勝鬨など上げないのだが、今回は別だ。

 

「終わったの!お兄ちゃん!」

 

俺の声が聞こえたのだろう。建物からひょっこり顔を出し、敵を倒したことを確認するとこちらへ笑顔で走ってくる。

 

「終わったよー。走ったら危な───ッ!」

 

ゲートが開いた。それも少女の真後ろ。狙ったとしか思えない位置。ゴリラ型の異形が一体、少女の肩を掴もうとしていた。

 

少しだけ、トリオンを脚に流し込み速度を上げる。少女の横に移動し、体に負担をかけないように横に突き飛ばす。代わりに俺がガッシリ捕まれ、ぐいっと引っ張られ、俺はゲートをくぐった。

 

せめてもの反撃として、ゴリラ型の異形は首を撥ね飛ばした。

 

 

 

 

 

 

「のわっ!」

 

投げ出された先は………神社の境内。鳥居があり、石畳の地面が続いている。

 

夜ということもあって辺りは薄暗いが、満月が出ているため物の輪郭ははっきり分かる。

 

「とりあえず日本………だよな」

 

近界民の世界じゃなさそうだ。

 

「とりあえず人を───っ!」

 

───カキンカキンカキン!

 

金属同士がぶつかり合う音が夜中の境内に響く。

 

何事かと思い、音がした方に向かってみれば、刀を持った少女が斬り合っていた。

 

おもちゃではなく、どう考えても真剣だ。それなのに、恐れることなく斬りあっているのを見ると、トリオン体のような仕掛けがあるのだろう。

 

薄ピンクの髪の女の子と、黒髪の女の子が斬り合い、白髪の女の子が庇われている状況だ。

 

明らかに薄ピンクの女の子が押している。このままじゃ、黒髪の女の子が斬られるだろう。

 

「本来、他人の戦いに首は突っ込まないんだけどな」

 

薄ピンクの女の子の甚振るような態度は気に食わない。

 

薄ピンクの女の子の刀が黒髪の女の子の胸を貫く寸前で弾き飛ばす。

 

「「!?」」

 

「おっとと。おにーさん誰?」

 

「人に名前を聞くなら自分からだよ」

 

「折神紫親衛隊第四席、燕結芽。まあ、一番強いけどね」

 

「俺は西城刀也。ボーダー………って言っても通じそうにないし、特に言うこともないな」

 

「ふーん」

 

興味なさそうに鼻を鳴らし、俺の首めがけて突きを繰り出してくる。その速度は雷刃よりは遅いが見切れる人は限られるだろう。

 

刀の腹に雷刃を添えて角度を変え、燕の足を払おうと蹴りを繰り出したのだが、それをバックステップでかわされた。

 

「!?へぇ!これをかわすって、おにーさん、強いね」

 

「自慢じゃないけど、結構強いつもりだよ」

 

燕がもう一度突貫する。さっきよりもさらに速い。

 

速度に合わせて胴を凪ぎ払うが、それを上体を反らしてかわし、片腕をついてバク転しながら斬り上げる。

 

その刀は俺の顔を真っ二つにする軌道で放たれている。

 

───見ずにここまで正確な斬撃を放てるとか天才だな。

 

身を少し後ろに引く。燕が地面に足をつけ、後ろに退こうとするタイミングに合わせて、足に少しのトリオンを流し込み、後ろに下がった燕の懐に潜り込む。

 

「!?」

 

距離を取ったと思った相手がいつの間にか、手を伸ばせば届く距離にいることに驚いている。

 

刀を横一文字に振るう。少女の胴体が真っ二つにされた瞬間、何かが解かれ、無傷な少女がその場に膝をつく。

 

「写シも貼ってないのになんで私より早く動けるのかなー?それよりも何で男の人が御刀を持ってるのかな?」

 

「俺の武器は特殊だからね」

 

「そう。今のは油断しただけ。私はまだやれるよ」

 

「あと一回負かせば引いてくれるのかな?」

 

「そんなことはありえない、よっ!」

 

真上からの振り下ろしを半身になってかわす。

 

刀が地面につく前に方向を変え、俺の胴へ凪ぎ払いをかける。それを刀を盾にし、後ろへ跳ぶ勢いに変換。

 

燕が素早く移動し、着地の瞬間を狙って逆袈裟に斬りかかりにくる。

 

それを後ろではなく前に向かい、燕の刀を握る小さな手を上から掴み、腕を雷刃の峰で強めに殴打する。

 

「ぐっ」

 

刀を離した直後、彼女を覆っていた膜が解けた。刀を持っていないと今の技は使えないようだ。

 

「これでおしまい。大人しく引いてくれないかな?」

 

手を離し、二歩程度後ろに下がる。これで収まってくれたらいいのだが。

 

「まだだよ」

 

ヤル気満々。戦意を滾らせている。

 

そこで、またしても横槍が入る。まあ、一度目は俺なんだけどさ。階段を上ってやってきたのは、性格きつそうなおばさん。

 

「何をしている、結芽。下がりなさい」

 

周囲を刀を持つ少女たちが取り囲む。

 

燕が不機嫌そうに眉を潜めると、取り落とした刀を拾い上げて、歩き出す。

 

そして、おばさんの横を通りすぎる瞬間、もう一度白い膜を張って剣を抜いた。攻撃対象は俺───ではなく、他の刀を持っていた少女たち。

 

少女たちは、一瞬で斬られ、糸が切れた人形のようにその場で倒れ伏す。

 

俺の横を通るとき、俺にしか聞こえない声で。

 

「邪魔が入っちゃった。また今度やろうね。刀也おにーさん」

 

と、伝えてきた。その声は弾んでいて、逃げられそうにないな。面倒なのに目をつけられたかもしれない。

 

どこの世界にも戦闘狂っているんだな。

 

トリガーを解除して、この場から離れる。

 

「これからどうしようかなあ。とりあえずお腹減ったし、コンビニにでも行くかな。っていうか、お金って使えるのかな」

 

「あの?」

 

「ん?」

 

「さっきは助けてくれてありがとうございました!」

 

「………ありがとう」

 

「どういたしまして。礼の代わりにいくつか聞いてもいい?」

 

「?はい?」

 

「三門市って分かる?」

 

「………いえ聞いたことありません」

 

「じゃあ、ボーダーとかトリオン兵とか分かる」

 

「いえ、全く」

 

「やっばり異世界………というより、パラレルワールドか」

 

「あの、大丈夫ですか?」

 

「んー。まあ、多分大丈夫だ。それじゃあ、またいつか縁があればね」

 

「は、はい。あ、困ったらここに電話してください。お力になれることがあると思うので」

 

「ありがとうね」

 

 

 

 

 

 

 

ぶらぶらと街中を散策しつつ、どこか穴場な飯屋でもないかなと思っていると、後ろから声をかけられた。

 

「西城刀也だな」

 

「ん?誰?」

 

「折神紫親衛隊第一席、獅童真希」

 

茶髪で凛凛しい雰囲気を持つ女性。

 

「同じく親衛隊第二席、此花寿々花です」

 

こちらは、赤い髪の毛にお嬢様な雰囲気を持つ女性。

 

「その親衛隊が何か用?」

 

「君には今から一緒に来てもらう」

 

「何で?」

 

「紫様の命令ですから。ご同行願います」

 

「断る」

 

「紫様の命令に逆らうのですか?」

 

「知らない人についていったらいけないって母から習ってるので」

 

「そうか。来るつもりはないのか。それなら、少し荒っぽいが」

 

「ええ、仕方ありませんわね」

 

二人とも刀を抜き、俺に切っ先を向けてきた。

 

「こうなるのかよ。トリガーオン。グラスホッパー」

 

これ以上面倒なことになりたくないので、もちろん逃げの一択。グラスホッパーで跳び、住宅の屋根を伝い走る。

 

「逃がさん!」

 

「逃がしませんわ」

 

「是が非でも逃がさせてもらうよ」

 

建物の上を走りながら、この先どうしようか考える。後ろを見れば、刀を片手に俺を追う二人組。

 

しばらく鬼ごっこを続けたが、なかなか諦めてくれない。

 

しょうがなくこちらから折れて、近くの公園に降りる。二人も続いて着地する。

 

「君たちには負けて帰ってもらおうか」

 

「あら?親衛隊二人を前に随分と余裕そうですね?」

 

「舐められたものだ」

 

「それじゃあ、行くぞ。メテオラ」

 

分割したメテオラを俺と二人の中間にばらまく。衝撃と轟音と煙がこちらの姿をくらます。

 

その隙にグラスホッパーを無言で起動し、逃げる。

 

「くっ、目眩ましか」

 

「一体どこから」

 

…………………

 

……………

 

………

 

 

「来ませんわね」

 

「来ないな」

 

「これはもしかすると」

 

「逃げられたな」

 

 

 

 

 

屋根を駆けながら、電話をかける。

 

「もしもし、突然で悪いんだけど、親衛隊にバレないような場所ってない?」

 

『えっ?!急にどうしたの?』

 

「さっき親衛隊に襲撃されたんだよ。全く一般人になんていう仕打ちか」

 

『あははは。私たち、今、舞草っていうところに行くんだけど、そこならバレないから、一緒に来る』

 

「お願いする。どこにいけばいい?」

 

『えっとね、───だよ』

 

「了解。十分でつく」

 

「待て!」

 

「見つけましたわ!」

 

「変更。あとで電話する」

 

『えっ!だいじょ───』

 

ピッと通話終了ボタンを押して後ろを振り返れば、あの二人組がまだ追ってきている。

 

「しつこい!」

 

「卑怯ですわよ?!」

 

「戦いに卑怯も何もない!」

 

「君は絶対に連れて帰る」

 

いい加減腹が立ってきた。普段温厚な俺もちょっとブチッときちゃった。

 

「いい加減にしてくれないかなあ?こっちの都合も知らずにさあ。殺すよ?」

 

「「ッ!?」」

 

「いいよ。相手してあげるよ。構えなよ」

 

鞘から弧月を抜き───

 

「行くぞ」

 

「二対一でも卑怯と思わないでください」

 

「思わないよ。旋空」

 

────刀の刃が伸び、此花の首が宙を舞う。

 

「はっ………」

 

「へっ………」

 

横にいた獅童も斬られた此花も状況が呑み込めてない。

 

「はい。君達の負け。さてと、本当は洗いざらい吐いてもらいたいところだけど」

 

「まだ戦えますわ!」

 

刀を手にもう一度、白い膜を張ろうとしている。

 

「だと思ったよ。アステロイド」

 

容赦なくトリオンキューブを打ち出す。分割なしのアステロイドは此花の腹に当たり、その体を吹き飛ばした。

 

ボーダーのトリガーは一般人にはダメージを与えない作りになっている。ただ気絶する程度の衝撃だけだ。

 

「きゃっ!」

 

「寿々花!何をした!」

 

「気絶しただけだよ。今から俺を追うとするなら、その少女を置いていくか背負っていくしかないけど、背負っていけば俺には追い付けない。置いていったら、その娘がどうなるか分からないね」

 

「ぐっ」

 

「それじゃあね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そのあと、邪魔はなく二人と合流できた。柳瀬の執事が運転する高級車に揺られ、その気持ちのいい振動にいつしか寝てしまい、起きたのは車が目的地についたときだった。

 

外は夕方、場所は山に入る一歩手前。

 

山に続く道の奥から元気な女の子が猛ダッシュしてきて、柳瀬に抱きつく。

 

「舞衣ちゃーん!」

 

「可奈美ちゃん!」

 

「舞衣ちゃん、えっと、えっとね!私、舞衣ちゃんに話したいことたくさんあるんだ!」

 

「私もたくさんあるよ」

 

「あっ、紗耶香ちゃん。聞いた通りだ!紗耶香ちゃんも来てくれた!」

 

「それで可奈美ちゃん。こちら」

 

「西城刀也です」

 

「私と紗耶香ちゃんを親衛隊の人から助けてくれたんだ」

 

「………うん。すごく強かった」

 

「へぇ!今度私とも手合わせしよう!」

 

「いいよ。今度ね」

 

「約束だよ!」

 

「ウェルカーム。舞草は二人を………ん?三人?」

 

「おい、エレン。どういうことだ?」

 

「ちょっと待ってくだサイ。今、確認を取りマス」

 

「あー、すまん。俺は途中で合流してここに来たから知らないのは当たり前なんだ」

 

「どういうことだ?」

 

「えっと、境内を歩いてたら柳瀬と糸見が親衛隊に斬られかけてたから助けて、倒して、柳瀬から連絡先を貰って。次の日になって、親衛隊の一席、二席に絡まれて一人首飛ばして逃げたんだけど、あの様子だとまだ諦めて無さそうだからどこに逃げたらいいか柳瀬に相談したところ、ここに流れ着いた」

 

「聞き間違いじゃなければ、親衛隊を二人倒したと言ったな」

 

今まで一言も話してなかった黒髪ロングの女の子が驚いた様子で尋ねてきた。

 

「燕の方は普通に倒したけど、獅童と此花は面倒くさいから初見殺しの裏技を使ったから、倒したって言っていいのかどうか」

 

「第四席の人に勝ったの?!」

 

「勝ったよ。それで目を付けられたけどね」

 

「いいなぁ。あの人強いからもう一度戦いたいなぁ」

 

根っからの戦闘狂だよ、この人。向こうの三バカと並ぶレベルかもしれない。

 

「可奈美ちゃん………」

 

横の柳瀬も流石に苦笑い。

 

「変われるものなら変わってやりたいよ」

 

俺も半ば呆れていると、袖を引っ張られ、か細い声で呼ばれた。

 

「………西城」

 

「ん?どうした?」

 

「………ごめんなさい」

 

「?何で謝るの?」

 

「………私を助けたせいで親衛隊の人に追われたから」

 

「俺が勝手に首を突っ込んだだけだよ。気にすることじゃないよ」

 

「………うん。ありがとう」

 

「それでは改めて、舞草はあなたたちを歓迎しマース」

 

金髪少女が満面の笑みで手を広げて、歓迎の意を示し、横のピンクっぽい少女の頭に乗っていた奇妙な生き物が柳瀬に飛びかかる。

 

「ねねー」

 

「落ち着け、このエロ魂」

 

柳瀬の胸にダイブする前に尻尾を引っ張られ、ギリギリ届かなかった。その顔は無念、とでも言っているようだ。

 

「何?この生き物?」

 

「ねねは悪さをしない荒魂だ」

 

「へー」

 

頬を触ると鳴き声を漏らす。少女の手からするりと抜けて、その生物は俺の腕を伝い、肩に居座る。

 

「ねねー」

 

「驚いた。ねねが男に懐くなんて初めてだ」

 

「ん?そうなのか?」

 

「こいつは胸が大きいか、大きくなるかで懐く人を選ぶ。ちなみに今のところ懐かれてないのは、あそこのナイペッタンの十条姫和だけだ」

 

「叩き斬るぞ!」

 

そんなこんなで騒がしくしていると、黒塗りの高級車が一台、近くに停車して中から女性が出てきた。

 

「ようこそ、若き刀使達よ。舞草はあなたたちを歓迎します」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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