モンハン世界に転生したので祖龍様に結婚を申し込んでみました。 作:彼岸沙華
第二十一話 まじ、くぅ疲でエタノールファランクスにキャブトムシィ‼
どこにでもあるような酒場。ハンターであろう集団が、狩りが大成功でもしたのだろうか。
まさに、どんちゃん騒ぎと言った様子で、他の客のほとんどがそちらに意識を向けているか、一部のものが一緒に騒いでいる。
そんな、酒場の一角に、その喧騒を避けるように一人飲む者がいた。
フード付きの外套を羽織っていて、どんな風貌かは伺う事はできない。
テーブルには既に半分ほど無くなった料理が置かれていて、来てから多少の時間が経っていることがわかる。
その出で立ちと、近づきがたい雰囲気によって誰も声をかけることはなかった。
しかし、一人の男が周りの騒ぎに気を留めずその者に近づく。
「やっと来たか」
外套を羽織っている者は男の方を向かずに言った。
「悪いね。ちょっと色々あってね」
そう言いながら、男はその者の隣に腰掛ける。
「ちゃんと調べてきたのだろうな?」
「もちろんだ。だが、言う前に一つ聞きたいことがある」
「なんだ?」
外套の者は少しイラついたような声で聞き返す。
「これを知ってどうするつもりだ?」
「お前には関係ないだろ」
あからさまにイラついた声で答える。
「いやな、お嬢ちゃんみたいなのが、俺みたいなやつから、こんな情報を買ってどうするつもりだってことだよ」
男の言葉を聞いた外套の者改め少女は、先ほどよりもイラついた様子で、口を開こうとする。
しかし、男は言わせるつもりがないのかすぐさま言葉を続けた。
「見たところこっち側の人間ってわけでもないみたいだしな」
少女は目を見開いた。
ばれないと思っていたからである。本職の眼は誤魔化せないということだろう。
「それが、どうした」
少女はせめて動揺していることは、知られないようにと冷静を装いながら言った。
「いや、とくに意味はないが、嬢ちゃんからは危うい感じがするんだよ。今にも壊れそうだが、なにかが支えとなって壊れづにいる。しかし、それは決して褒められた感情ではない。まるで、復讐者みたいだな」
「……!」
自分の胸の内を当てられ思わず少女は男の方を向いてしまう。
さっきまであったイライラはもう既にない。
冷静を装うどころか。この動揺を誤魔化すことすら出来なかった。
「どうやら、図星みたいだな」
その言葉を聞いて少女ははっとしたように再び、テーブルの方を向く。
「別に止めようってわけじゃない。けど仕事柄、嬢ちゃんみたいなやつは何人も見てきた。そいつらの末路もな」
「……なにが、いいたい?」
男の言葉の意図が分からずに少女は聞き返す。
「いや、特に。ただ、嬢ちゃんみたいなのがこんなことをするのが意外でね。まあ、せいぜい。ギルドナイトには気をつけろよ」
そう言うと、男はポケットから紙きれを取り出し、少女の目の前に置く。
「まだまだ、若いんだからこれからの人生のことよく考えな」
「……」
紙きれを手に取り軽く中を確認した。
それを握りつぶすして外套の衣嚢に突っ込む。
「…………わたしの人生なんてもう、終わっているんだ。だから、これからなんてない。
なあ、そうだろう?シセラス」
そう言った、少女の柑子色の瞳はまるで、獲物を狙う狼のように輝いていた。
くぅ~疲れましたw これにて報告完了です。
実は、とりあえず、なんか適当に言えば誤魔化せるだろう思ったのが失敗でした。
本当はこんな大立ち回りするつもりなんてなかったんですが←
ご厚意を無駄にするわけには行かないので完全アドリブで挑んでみた所存ですw
以下、シャゲさんが報告をした感想ををどぞ。
「ああああああああああああああああああああああああああああああああ。
疲れた。しばらく、働きたくない。眠い。寝たい。シセラスママ抱っこして、それがダメならおんぶ!」
そう言って、俺は机にうつぶせになる。
片方の手にはジョッキにいっぱい入った炭酸飲料。
なんかあったので、とりあえず、入れてみたがぶっちゃけると炭酸は飲めないのでシセラスに押し付けよう。
「帰って来てからそうそう、お前は何を言っているんだ」
そう言ったのは、向かいに座っているシセラスだ。
なんか、帰ったら家の前に居たのでとりあえず、入れた。(引きずり込んだとも言う)
ちゃんと、アネモネ(花の名前だよ)に水はやっていてくれたらしい。
ツンデレかよ。
「お前だってわかるだろう!調査とかそういうのの報告のめんどくささがあああああああああああああああ!」
「別にそんなめんどくさいことなんてないだろ。ちょっとあったことを言って終わりだろ?」
「あああああああああああああああああああああああああああああああ、ぐは」
いてえ!
「叫ぶな」
だからといって殴る必要はないだろ。
確かに、自分でもうるさいとは思ったけどさ。
「せめて、最後まで言わせてくれ」
「最後までって。どうせただ叫んでるだけだろ?」
「いや、普通にあるよ」
具体的にはさ、報告すべきことがごっちゃごちゃだったり、言ったら確実にやばいことがあったりするときはめんどくさいじゃんみたいな感じなのが。
この様子だとこいつはそんなことになったことはなさそうだがな。
「とりあえず、そんな事より飯だ」
「おい!シセラス!」
まあ、こんな流れで無視されるのはいつもの事なのでいいや。
さすがにこれは言っといた方がいいかなって言うのはゴリ押しして言うけど、今回のは、別にいいだろ。
「この様子だと、飯は作らないとか言うんだろ?」
「うん」
めんどくさい。
その気持ちを表すかのようにうつぶせになって、ダラ―ってする。
「しょうがないから、今日は俺が作るわ」
「いつもそうしろー」
食費は俺もちなんだからさ。
ほんと、こいつ俺よりも料理うまいんだから毎回作ってくれてもいいのにね。
まあ、料理の腕に関しては俺が手の込んだものは作れないって言うのもあるんだけど(一部は除く)。
そんなことを思いながらキッチンの方に向かっていくシセラスに向けて思い出したように言う(実際に思い出したんだけどね)。
「あ、なんかヤバイやつあると思うから気をつけろよ」
「了解」
うん。危ない危ない。
シセラスはそこら辺大丈夫だと思うけど一応ね。
まあ、まさかこんなに家を空けることになるとは思わなかったからな。
そこら辺の処理はまったくしなかったんだよなぁ。
こんなことになるならしておけばよかった。
「うわ、くさ!なんだこれ」
うん。ご愁傷様です。
はあ、後が大変そうだだなぁ
「前来た時こんなんなかっただろ。これどうなってんだ。おーい!おーい!」
「ふう。とりあえず。寝るか」
キッチンから聞こえてくる怒声を子守歌にしつつ料理が出来るまで寝ることにした。
お休み!
「やっぱ。料理うまいはお前」
シセラスが作ってくれた料理を食べてもはやテンプレとかしたことを言う。
まあ、本心なんだけどね。
ちなみに、どうでもいい事だと思うが俺は箸。
シセラスはフォークとスプーンを使っている。
まあ、あれだ、文化の違いってやつだ。
うん。
「そりゃどうも。こっちはお前が寝やがったおかげで作るのに無駄に時間がかかったがな」
「すみませんね」
「そう言えば、お前、さっき報告がどうのこうの言ってたけどなんかあったのか?」
「うーん」
なんかねえ。
これは言ってもいいのかだめなのか。
一応、機密事項が含まれてることだけどうーん。
シセラスだったら別にいいかな。
いやでもな。
うーん。
迷うな。
よしここは、とりあえず。
「まあ、そんな感じだ。ちょっと、色々あってな」
「それで、なにがあったんだ?」
「銀陽からのへローキティにどっかんしてするるるるるるるってなり、ドドドドドドドドドでエタノールファランクスにキャブトムシィ‼ってなってから「もういい」なんで?」
まったく、シセラスから聞いてきたのに酷い!
「まともに説明する気の無い事だけはわかった」
うん。知ってた。
まあ、確かにまともに説明はしなかったけどさ。
実際のところしっかり説明したらしたで理解はしてくれるだろうけどするまでがめんどくさそうだしね。
ちなみに、報告の時に何があったのかと言うと。
クエスト報告に行く→その時に普通の職員じゃなくてギルドマネージャに直接報告しますっていう→一応、知り合いだし、信頼されてるし、ただ事じゃない感じで言ったので簡単に通った
→ギルドマネージャにぼかしつつも報告する(アネモネさんの事も言った)→完全にヤバイ事態扱い(当たり前だけど)でドンドルマまで飛ばされる。もちろん、家に帰る時間なんてない
→すっごい根掘り葉掘り聞かれまくる。誤魔化しがばれないように誤魔化す高難度ミッション。疲労でやばくなる→シセラスママ抱っこして!おんぶ!おんぶ!←今ココ。
「あ、そうだそうだそうだこれ飲む?」
忘れかけていたが、謎の炭酸飲料シセラスに押し付ける。
ほんと、何であったのかシャゲさん七不思議の一つである。
「なんだそれ?」
「しゅわしゅわしゅわしゅわ」
「お前炭酸飲めないんじゃないのか?」
あれで通じるとは流石、シセラスと言ったところか。
「うん。間違って注いじゃった。だから飲んで」
「はぁ。しょうがないな貸せ」
なんだかんだ言って、こういう時は頼みごとを聞いてくれるからなこいつ。
「ありがとう」
「いきなりどうした?」
ひどいな、突然お礼を言っちゃダメなのかよ。
まあ、確かに俺も突然言われたらそう言い返すことは確定的に明らかなんだけどさ。
「いや、なんでもない。それよりもシセラス」
「なんだ?」
「おんぶ!って、痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い。わかったからわかったから、ごめんなさーい!」
「アホか」
全く、だからといって抓る必要はないだろう!
まあ、色々あったけどやっぱりいつものこの感じが一番落ち着くな。
でも、
「…………アネモネさんもいたらなぁ」
「何か言ったか?」
「別に」
危ない危ない。
これはまだ、シセラスに知らせちゃいけない。
うん。今はまだ。
はぁ、なんだか、アネモネさんと話したくなってきたな。
帰り際に貰った《祖龍の厚白鱗》をシセラスにばれないように見ながらそんなことを考えるのであった。
あれ?そう言えば、なんか忘れているような。
なんか重要なことだった気がするんだけどな。
うーん。まあ、いいか。すこぶる不安だけど、大丈夫だろ。
その内たんぶきっとmaybe思い出すはずかもだから。
〖行っちゃたなー〗
改めて私だけになった塔で遠くの景色を眺めながらそう言った。
確かに、寂しいけど。
それ以上に、見える景色が美しく感じる。
数日前とは違う、心にしみる感じ、白と黒だけしかなかった世界に様々な色がつけられていくような。
いくらでも、見続けていられる。
シャゲさんのおかげで私は救われた。
あのまま、もし来たのがシャゲさんではなかったら、うう。
そんな未来想像したくない。シャゲさんがいない未来なんて。
でも、そうなっていたらきっと私は壊れてしまっていただろう。
人をもう、信じられなくなっていたかもしれない。
昔と同じようにこの景色を見ることが出来なかったかもしれない。
何も楽しめられなかったかもしれない。
〖今はシャゲさんは色々事情があって一緒に居れないけど、それが終わったらずっと一緒に居られるよね〗
出会ってから、まだそれほど長くはない。
特に私達にとっては一瞬ともいえるような時間だ。
けれど、シャゲさんの存在は私の中では替えが効かないくらい大きくなっているみたい。
シャゲさんは今はまだ友達だって言っていたけれど、これは私のことを思っていってくれたことだから。
はやく会って、話してもっと仲良くなりたいな。
今は触れてくれないけれど、仲良くなったら触ってもらえるかな?
私があげた鱗だって素ででは触れてくれなかったし。
汚したくないって言ってたか嫌われてるとは思ってないけど。
でもね、いつかは…………。
ぐへへへへへへへへ。
は!
だ、誰もみてないよね!
私は周りを見渡す。
ここに誰かいたら、恥ずかしさで死にたくなっていただろう。
特にシャゲさんだったらと考えると。
うう。
〖あ、そうだ。どうせならみんなに報告しに行こう!〗
ボレアスちゃん。バルカンくんは大丈夫。グランさんにもしっかり報告しなくちゃ。
アルバは……別にいいや。
あー、でも、私が言ってる間にシャゲさんが来たらどうしよう。
入れ違いになったらすごく悲しい。
〖けど、シャゲさんなら待っていてくれるかな?〗
数日前の私ならしなかったような期待。
でも、今なら何の遠慮もなくすることが出来る。
〖それじゃあ、行ってきます〗
ここにはいない彼に向けて挨拶をし、飛び立つ。
ふふ、みんなどんな反応をするんだろうか。
私は、わくわくとドキドキを胸にまずは、ボレアスちゃんのところに向かっていくのだった。
ここまで読んで下さり、ありがとうございました。
遅くなり申し訳ありせん。
どうも作者の彼岸沙華です(定型文)。
まず初めに謝罪を。
遅くなって申し訳ありませんでした。
なにをしてたんだとかは、ここでは書くのを止めておきます。
ちなみにタイトルはノリと勢いでつけました。
エタノールファランクスは誤字ではありません。
どうでもいい事ですけど。
アネモネさん視点はリーリエのテーマを聞きながら書いてました。
雰囲気にぴったりだとは思いませんか?
それから、なんだかアネモネさんが不穏な方向に進んでる気がするんですが気のせいですよね?
はい。
それでは最後にミラルーツ様万歳‼
番外編始めました。
↓
https://syosetu.org/novel/193874/
6/14:追記
感想のアドバイスから。
一部変えました。
今後、もっと読者の皆様に対してわかりやすくなるように改善していく予定です。
また、なにか思うことばあれば、遠慮せずにメッセージや活動報告に書いて下さい。
自分に出来る限りで全力の対応をさせていただきたいと思っています。
変更点。
冒頭部分の少女の最後のセリフ。
7/3:追記
今更ですけど、章分けました。
なんで今まで気が付かなかったのでしょうか。