アルデバランから都市部を焼き尽くしたと報告を受けたアデムは都市部の制圧に軽騎兵200と歩兵600を残りは全て港湾部へと向かわせた。港湾部へ向かった部隊の指揮官は勿論アデムである。
炎上した「ブイヌイ」から乗員の救助をしていた第三太平洋艦隊は現地民との協力のもと、「ブイヌイ」の消火活動に勤しんでいた。
協力のお陰かなんとか火勢が弱まった。その時、馬共々汗を流し、駆けつけて来た現地の兵士らしき者が現地民に何やら慌てた様子でまくし立てるように何か言った。すると突然現地民が蜘蛛の子を散らすように逃げて行ったではないか。第三太平洋艦隊の乗組らは驚いて甲板上に出た。
なぜ逃げたのか--その答えはすぐに出た。
甲板上の一人が遠くを指差して、
「敵だ!」
と叫んだ。普通ならつまらん嘘をつくなと殴られるのが普通だが、彼は視力が良く、さっき現地民が逃げていったという要素を考えると、寧ろ船員は先程の殺気立った表情に戻り、機銃や機砲を構えた。
「撃ち方始め!」
の命令を乗組はまだかまだかと首を長くして待った。
目を凝らせば、前方に砂塵が見える。薄っすらと騎兵や歩兵が見えるではないか。
「撃ち方始め!」
ついに命令が下った。始めに発砲したのは戦艦インペラートル・ニコライ1世であった。一番戦力が高いものから発砲させるつもりか、発射されたのは305ミリである。
艦が黒煙に包まれると、彼方の陸地も大きく土を巻き上げて大爆発した。地面は深く抉られ、近くにいたロウリアの兵は何があったかも分からず、死んだ。
艦上で歓声が上がる。アンコールを求めるかのような歓声である。それに応えるかのように、ゲネラル・アドミラル・アプクラシンから254ミリが発射された。先ほどよりは小さいが、またも地表が表情を歪める。
命中しだすともう止まらない。ありったけの砲から黒煙が上がる。数分の後、一旦砲撃がやんだ。目の前には最早、敵兵は見えないではないか。ネボガトフはここまで殺すとはとも思ったが、何もわからずに死んだだけ幸福なのかとも思った。少なくとも戦闘の域を逸脱しているということは胸を張って言える。
マイハーク海岸にてアデム隊は壊滅した。ロシア海軍死者はワイバーンの攻撃を含めて4人。アデム隊は少なくとも6000人が戦死、アデムは破片に片腕を奪われ、腹を貫かれ、命からがら馬丁とともに逃げて行き、都市部の部隊も撤退していった。
クワ・トイネ政府はこの大勝利を受けて、この謎の艦隊と親交を結ぶことを画策した。
翌日、第三太平洋艦隊は工作船「クセーニャ」に「ブイヌイ」の修理を任せて、義勇艦隊とともに石炭を探すべく停泊した。すると運がいいことにこの地はクワ・トイネという国家であり、その隣国クイラには黒い石や黒い水があると分かった。黒い石は石炭ではないかという希望が芽生えたのだ。
そして、ついにクイラに派遣された者たちがそれを発見した。しかも、ジョンブル共に抑えられており、ありつけなかった良質な石炭であり、ただで譲ってくれるというではないか。
第三太平洋艦隊は満足して、電信で本国にこの事を伝えた。本国からは、
『近いうちに国交を結ぶ可能性がある』
と返答が来た。これで石炭に悩むことはないだろう。ネボガトフは久し振りに笑顔を見せた。
やった!国交樹立だね!
もう少しで大海戦です!