バルチック艦隊召喚   作:伊168

17 / 49
満洲軍合流

ロデニウス沖大海戦の勝利はロシア=インドシナ帝国国内で大々的に報じられた。

だが、決して、大勝利であると伝える新聞社はなかった。

 

現に穏健派の「ル・タン」などは、

 

「此度の勝利はロウリア海軍の野望を永久に打ち砕くこととなった。ロウリア海軍は再起不能、軍事行動が取れなくなったのだ。クワ・トイネ、クイラ両国の国民の喜びは並大抵のものではないだろう。だが、浮かれてはならない。敵のワイバーンによる攻撃により、戦艦4隻が炎上したのだ。損傷自体は直ぐにでも修理できるだろうが、問題は乗員である。500人余りが死傷したのだ。これでは航海はできても、戦闘は絶望的であろう。第三太平洋艦隊も未知の攻撃により動きを止められたのだ。戦争の行方はポール・ボー首相やロジェントヴェンスキー提督にかかっているだろう」

 

と報じている。だが、この記述にある軍人が怒った。フランス東洋艦隊司令長官のド・フォーク・ド・ジョンギエール少将である。

 

「ネボガトフ少将の戦術は正しかった。弾薬を節約できているだけでなく、消火も対空戦も良かった。旗艦を餌兵として、正兵を迎え撃ったことも正しい。このように無能かのように書き立てられる理由がわからない。自分に厳しすぎるのではないか。大体、フランス東洋艦隊司令長官の私がさも重要でないかのような扱いをされているのが気に食わん!」

 

と言って200ページに渡る抗議文を送ったのである。本人によると、徹夜で書いたらしい。だが、各新聞社は

 

「理性的でない」

 

の一言で一蹴し、数ページ見ただけで突き返した。少将は時間を無駄にしただけでなく、世間からの評価も下げてしまったのである。

 

この新聞がもたらした出来事はそれだけでない。どこから漏れたか、パーパルディア皇国やムーなどの列強にまで渡ったのである。それ以外でも、少なくとも、帝国周辺の地域には渡っているという。

 

 

1905年6月22日 パーパルディア皇国

 

パーパルディア皇国。第三文明圏に属する国家である。この国はそれだけでなく、列強国としてこの第三文明圏に君臨しているのだ。インドシナや満洲から見て北に位置するフィルアデス大陸の大半を席捲しており、72もの属領を持っている。

ロシア帝国はクワ・トイネより購入した地図から存在のみ知っているが、実力は知らない。位置的にも性格的にも攻撃を仕掛ける可能性があるのだが……

この国では、ロウリア王国脅威論が蔓延していたが、一方でロウリアが勝てばロデニウス大陸の権益が手に入る。また、反抗的ならば即座に攻め立てれば良い。と論じる者も少なくなかった。中には、文明圏外国脅威論まで唱える者が出てきた。

 

文明圏外脅威論を唱える者はこの海戦をロシア帝国の大勝利だと論じ、ロウリア脅威論者やロウリア派はロシア海軍の動きが止まったのだからロウリア軍は目的を半分達成しているのでロウリア軍の辛勝と唱えた。

ロウリア脅威論者とロウリア派が手を組んだのである。これにより、文明圏外国脅威論はついに相手にされなくなってしまった。

 

 

1905年6月25日

特務艦「イルティッシュ」は付近の海域を調査していた。漁師らから(漁は海図や地図がないと困難であるため漁師には余人に漏らさないことを条件に特別に渡していた)地図や海図にない陸地が有ると報告が来ていたからである。新世界で生きて行くには地理を知っておく必要もあるだろう。そうでないと他国から軽んじられる。それでは困る。という政府の意向もあっての調査である。

 

行って幾らか経った頃、陸地を発見した。こうもアッサリとは思わなかったが、なるほどこの距離なら漁師らが遭遇するのも合点が行く。

早速、調査団は上陸を開始した。念のため、武装した兵士が付いている。

 

大分進んだこと、至る所に堡塁や小銃が散見されるようになって来た。見た感じ、つい最近まで人がいたかのようだ。近くを探して見ると、武器以外にも調度品の類が見られる。ロシア製やフランス製のものも結構ある。

一体ここは何なのかと思った時、後ろで大きな足音がした。やっと一人か--調査員が怠そうに振り向いた時、

 

「貴方方は何者ですか?」

 

と一人の髭を多く生やした男が言った。その周りを見ると沢山の軍服を着た男がいる。見覚えがあると誰もが思ったが、変な誤解があったら困ると誰もが黙っていた。だが、その軍服を見た男のうち一人がが堪えきれずに、

 

「もしかして、ロシア陸軍か?」

 

と言った。すると、彼らは、突然友好的に、表情を崩して、

 

「そうだが……もしかして貴方方は……海軍か!?」

 

「そうです! ところで、貴方もしや……グリッペンベルク将軍ですか!?」

 

お前それは失礼だろう--そんな空気が一瞬出来上がるかのように思えたが、

 

「そうだが……それがどうした?」

 

の一言で打ち砕かれる。味方と分かったからには遠慮はいらない。聞きたいことを聞きたいだけ互いに聞いた。

そして、現在バルチック艦隊含むフランス領インドシナは異世界に転移してしまったので、独立国家として行動できるように、ロシア=インドシナ帝国を名乗っていること、そして今、インドシナから西方1000キロの地点に位置するロウリア王国という国と戦争になっており、陸軍が必要不可欠であることなどを知らせた。

彼ら第2軍は、クロパトキンの許可のもと、戦線に参加することとなっただけでなく、クロパトキン率いる満洲軍と一部のシベリア軍団を必要に応じて参加させるという。

 

これにどうしようもない陸戦について頭を抱えていたポール・ボー首相は歓喜し、クロパトキンは陸軍大臣兼満洲軍総司令官兼極東総督に命じられた。

そして、彼主導のもと、ロデニウス派遣軍が編成されることとなった。

 

 

 

 

 

 




200ページも何書いたんだ……
ジョンギエールさんは反日家だけど多分無能じゃないのでよろしく。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。