バルチック艦隊召喚   作:伊168

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密会

1905年5月31日 インドシナ・ハノイ

 

 

ここはベトナム、ハノイにある総督府である。インドシナ総督のポール・ボーとバルチック艦隊司令長官ロジェントヴェンスキー中将は現在最も対策すべき問題について議論していた。

それは、

⚪︎本国と物理的に切り離されているが、飽くまで一艦隊と植民地であるので行動が制約される。

⚪︎もし、この世界に元世界並みの国家があるとしたら艦艇その他兵器類が少なすぎる。

⚪︎陸軍が貧弱すぎる点。

の三点である。

 

「中将閣下、ここは一層のこと国家であると名乗りましょう。ただし、国家元首は……共和制であるので我が国ということはできないでしょうから……ロシア皇帝が国家元首である帝国というのはどうでしょうか……要するにインド帝国のようにするということなのですが」

 

ロジェントヴェンスキーはこれには概ね賛成であった。この世界には文明が存在し、義勇艦隊によると戦列艦すらも存在している。ならば国際的交流もあって当然であり、明文化されていなくとも慣習法として国家としか外交しないなどがあれば、圧倒的不利になることは明白である。だからここは国家であると名乗り、帰った際には向こうも異変を知っているはずであるから上手く説明すれば良いのだ。

 

「そうしましょう。国名はロシア=インドシナ帝国で如何ですか?」

 

「それで良いでしょう」

 

と案外早めに決まった。だが、ここですぐに建国をしたりはしない。そんなことをすれば、民主的政治を求められるのは明白、国家でない今でこそ常識の範囲内であるが好き勝手できるのだ。

 

次に議論されたのは海軍力増強である。

その内容は、戦艦2隻、巡洋艦8隻、駆逐艦16隻、砲艦22隻、潜水艦42隻の建造。爆撃用の硬式飛行船20隻の建造、偵察航空機の開発(最優先)、戦闘航空機及び爆撃航空機の開発、対空兵器の開発、酸素魚雷の開発、などなどである。これを艦船建造は2年、その他は最長5年で計画している。

特に論点になったのは潜水艦と戦艦の建造である。

 

「潜水艦42隻だが、この数は2年で可能なのか? 人材も金もかなり消費するだろう」

 

「可能です。ソム級潜水艦ならば、軽装備ですので。人材は現地人を待遇改善や特別俸給などで募集すれば相当な数が集まるはずですし、金は貴方の統治のお陰で収益がかなり良くなっているので、足りるかと」

 

中将が「貴方の統治」というところだけ口調を変えたのを聞いて、ポール・ボーは顔を顰めた。自分の統治は現地民には厳しい者であるということを批判された気がしたからである。

 

「では戦艦の方ですが、回転砲塔、中間砲の撤去、主機をレシプロではなく蒸気タービンに変更という所ですが、利点がわかりません。艦橋での測量議を基にした射撃管制はわかるのですが」

 

利点と聞かれて中将はなぜか苦虫を潰したようになった。そう、この設計は(設計とも言えるかわからない適当なものだが)彼の厳しい航海や、旅順艦隊の敗北を元に考えたものなのだから。

 

「回転砲塔ならば、片舷砲戦での火力の効率が良いですし、黄海のようにトーゴーターンをされた際に従来より大きな反撃を与えることができるようになります。中間砲は無論効率から。タービンについては、レシプロよりも速度が上昇するからですね。そこに艦艇をスズを使った塗料で塗るというのはフジツボによる速度減少を防ぐためですが、何故これほど拘るかと言いますと艦隊戦で有利ですし、長旅も早く済ませることができるからです」

 

ポール・ボーは全面的に納得した。完成するかは別としてだが。

続いて、陸軍の戦力だが、これはどうしようもないということになった。一応、機関銃の生産は行われることになった。

 

1905年6月1日

 

今日この日、ポール・ボーによりロシア=インドシナ帝国の建国が宣言され、憲法は一部除いてフランス準拠、臨時首相にポール・ボーが、ロジェントヴェンスキーは海軍大臣兼バルチック艦隊司令長官となった。

また、投票は現地民以外により行うということになった。




短くてすみません。
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