東方鍛冶録   作:苦労バラン

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第2話です。ここらかは夜になるので永夜異変が本格的に始まります。
今回から次話にかけて赤芽が妖怪としての本能を出すので楽しみに
ではどうぞ


永夜異変弐

「はぁ~やっと終わった。」

西の人里から疲れたように出て来た赤芽、竹林で迷ったことで着くのに時間がかかり帰るのが夜になってしまったのだ。今宵は満月空には立派な月が浮かんでいる。

「家に着くの遅くなっちゃうなこりゃ、まあ理恵さんに夜兎ちゃんの事は頼んであるから大丈夫か、しかし、今日の月はなんか変なの?。」

人から見ればいつもと変わらない月だが妖怪から見れば何か可笑しい。

月は普段とても綺麗であり人や妖怪は月を見ながら月見酒を飲む。それは月の魔力に囚われて居るからだ。月は夜の闇を照らす道標になる一方人や妖怪を狂わせる事もある、嘗て神々が地上を去る前、月の魔力に囚われて狂った人間や妖怪は数多くいた。地上の人間は知らないことだが、今の月には月夜見尊がいる。月夜見尊は月に自分の納める国を作り月が地上に発する狂気を押さえているそうでもしなければ今の地上の人間や妖怪は再び発狂する。それはさておき、今宵の月はいつもと違った。

「、、、?、、、ぐ!?なんだ、これ、、頭、、、痛い、、、ぅぅぅ、、、厭だ、、、僕の、、、誰だ、、、お前、、、煩い、、、助けて、、、師、、匠、」

突然頭を抱えて蹲り苦しみ出す赤芽、彼女を覆うように黒い影のようなものが現れる。

数分後影が消えた場所には赤芽で無い妖怪がいた。

上半身は赤黒い猪の皮を被り顔の殆どを覆っており隙間から片目が覗いているだけあり、その目も普段の黒目とは違いまるで血の色のような紅眼である。またその目からは普段の優しさは感じられず誰にでも向けるでもない殺気と狂気が覗いている。また爪は鋭く伸び辺りに殺気を漂わせている。

「、、、、オナカスイタ。」

そう言うと赤芽、いや妖怪一本ダタラは自分が背負っていた箱や被っていた編み笠を投げ捨ててすぐ其処にある人里に向かった。この人食い妖怪には偽物の月に気をとられていた境界の賢者は気づかなかった。

 

 妖怪山奥の屋敷

ゾク

「!!!」

「!?」

妖怪山の山奥にある日本屋敷の住人である鬼神夫婦は遠くから感じられた殺気を感じ取った。

「刃、今のは、一体、、?、、刃?」

コンガラはついさっき感じ取った殺気を夫も感じ取ったか同意を求めたが、刃の方は別の何かに気をとられているようだった。

「まさか、、、そんなはずは、、「刃!!」!?、何だコンガラ?」

「何だ?じゃない。お前さっきの気配の主を知ってるな?。」

「、、、あぁ、、あれは、バカ弟子だ。」

「あの子の事か、だがこんな殺気を出せる子だったか?。」

「いや、バカ弟子にはこんな殺気を出す事は教えてない。不味いぞこれは。」

そう言うとその場から立ち上がり何処かへ行く刃。

「何処行く気だ。」

「バカ弟子の所だ、あのバカ弟子拳骨一個じゃすまさんぞ。じゃあ、行ってくる。」

大急ぎで屋敷から出て行く彼には何処か焦りが見えた。




おはようございます、こんにちは、こんばんは、
苦労バランです。
特に今回は言いませんが次回をお楽しみにと言うことで。
次回はちょっとグロ描写が入るので苦手な方はご注意下さい。

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