奉仕部の別れの続きです

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奉仕部、最後の依頼

雪乃からの依頼。雪ノ下グループの不正を暴く。

 

 

 

幡乃が持ってきたデータは十分だったが、これをすぐに検察に持っていっても、握り潰されるだけだ。それほど、雪ノ下グループは強い。

 

まずは、事故について調べよう。幸い、警察組織に知り合いはいる。連絡を取り、自宅へ来てもらう。

 

川崎「なぁ、由比ヶ浜。小さい雪ノ下がいるんだが…。」

 

結衣「うちの娘だよ」

 

川崎「えっ!いつ産んだの?」

 

結衣「違うよ。養子だよ」

 

川崎「て、ことは雪ノ下の…。」

 

結衣「そうだよ」

 

川崎「雪ノ下と葉山の娘かぁ」

 

結衣「父親は隼人君じゃないよ」

 

川崎「えっ!」

 

結衣「目は誰かさんにソックリだよ。可哀想に」

 

八幡「おい!」

 

川崎「えっ!比企谷、お前!」

 

結衣「沙希、違うの。私達が付き合う前の話なの…。」

 

結衣が丁寧に説明する。

あまり、納得出来ない川崎だったが、話が前に進まないので、渋々納得してくれた。

 

川崎「で、私にどうしろって?比企谷の子供産めばいいの?」

 

八幡「勘弁してくれ」

 

結衣「ヒッキー!浮気!キモイ!」

 

八幡「結衣のそれ、久しぶりに聞いたわ」

 

川崎「ははは、冗談だよ」

 

姿勢を正し、川崎の方に向きなおす

 

八幡「実は、あの事故の真相を知りたいんだ」

 

もともと、正義感が強かった川崎は、公務員という安定収入もあって、警察官になったのだ。

 

しばらく考えたあと

 

川崎「私も疑問があったんだ。ちょっと調べてみるよ」

 

八幡「すまん、川崎。俺だけでは、どうにもならん」

 

深々と頭を下げる。

 

川崎「やめてくれよ。でも、比企谷に頼られるのも悪くないな。」

 

少しお互いの近況を話したあと、川崎を玄関の外まで送る

 

八幡「じゃあ、無理しない程度に頼む」

 

川崎「わかってるよ。私も左遷されたくないからな」

 

八幡「ありがとう、川崎」

 

川崎「任せろ」

 

八幡「愛してるよ」

 

川崎「バ~カ、由比ヶ浜に言ってやりな」

 

八幡「心配するな、毎日言ってるよ」

 

川崎「はいはい、ご馳走さま」

 

川崎は手を振りながら帰って行く。

 

結衣「また浮気?ヒッキー、キモイ!」

 

八幡「ちげ~し、今日2回目だよ」

 

結衣はクスクスと笑う。

 

俺は家に戻りスマホを取りだし、小町に電話する

 

小町『お兄ちゃん?どうしたの?』

 

八幡「おぅ、たまには遊びにこいよ。ちょっとニュースがあるから」

 

小町『もうお義姉さんから、聞いたよ。でも、幡乃ちゃんに早く会いたいな。あ、今の小町的にポイント高い』

 

八幡「おぉ、高いぞ。色々すまんな。大志は近くにいるか?」

 

小町『早く大志君と電話番号交換しなよ』

 

小町『ちょっと待ってね』

 

大志『お義兄さん、どうしたっすか?』

 

八幡「早く小町と別れろ」

 

大志『ヒドイっす。別れないっすよ!』

 

小町は川崎の弟の大志と結婚した。最初は反対したが、真っ直ぐで誠実なやつだ。それに負けたのだ。姉弟でそんなところはよく似ている。

 

八幡「冗談だよ。お前の姉ちゃんに頼み事をしたんだが」

 

大志『珍しいですね』

 

八幡「あぁ、今回ばかりはな。込み入った話は出来ないが、川崎が無理しないように、見ていてくれ」

 

大志『わかりました。…、姉ちゃんがお義兄さんに惚れるのも、なんかわかりましたよ』

 

八幡「昔の話だ。くれぐれも、よろしく頼む。」

 

大志『わかったっす』

 

電話を切ると、結衣と幡乃がこみらを見ている。結衣は幡乃の目線までかがむ。

 

結衣「幡乃、あなたのお父さんは、こんなに優しい人なんだよ」

 

幡乃のは頷く。

 

八幡「恥ずかしいから、やめてくれ」

 

照れ隠しをしながら、結衣に語りかける。

 

八幡「次は、結衣の力を貸してもらうぞ」

 

結衣「私に何が出来るかなぁ」

 

八幡「三浦、海老名、一色…。連絡取れるか?」

 

結衣「たぶん、大丈夫だよ」

 

次は女性のコミュニティを使って…。

 

後日、人に聞かれるとマズイので、カラオケボックスに集合することになった。

 

カラオケボックスの部屋で一人で待っていると、最初に来たのは一色だった。

 

一色「お待たせしました」

 

八幡「遅ぇんだよ。」

 

一色「こういう時は、今来たところって言うんですよ!」

 

頬を膨らます一色

 

八幡「あざとい、あざとい」

 

久しぶりのやりとりに笑う二人

 

一色「皆さんは、まだなんですか?」

 

八幡「まだ来てないな」

 

一色「はっ!密室で二人きりになって、私を口説くつもりですか!不倫ですか!結衣先輩に悪いので無理です、ごめんなさい」

 

八幡「なんで、フラれなきゃならんのだ。結衣も遅れて来るよ」

 

一色「先輩、幸せそうですね」

 

八幡「そうだな。俺には勿体ない家族だ。それに釣り合うように、頑張っているよ」

 

一色「先輩、変わりましたね。

前は「勿体ない」で終わってたのに…。悔しいけど、格好良くなりました。」

 

八幡「妻帯者に言うなよ。危うく惚れちまう」

 

そんなことを言っていると、扉が開く

 

三浦「なに浮気してんのヒキオ。信じられないし。結衣にチクるよ」

 

一色「三浦先輩、聞いてください。先輩が私を口説こうとするんです」

 

八幡「一色、あざといんだよ。三浦、断じて違うからか」

 

焦る俺を見て、二人はクスクスと笑う

 

三浦「冗談だよヒキオ。アンタが結衣にベタ惚れなのは知ってるし」

 

一色「先輩、なに本気にしてるんですか」

 

八幡「やめてくれ、心臓に悪い」

 

三浦「結衣と海老名はまだ来てないの?」

 

八幡「結衣は遅れてくることになってる。海老名さんは…。」

 

言いかけると、扉の向こうに影ふたつ。

 

海老名「はろはろ~」

 

戸部「ちぃ~す」

 

八幡「なんで戸部がいるんだ?」

 

海老名「実は、戸部君と婚約したんだ」

 

三浦「マジ!おめでとう」

 

戸部「いや~。マジがんばったしょ」

 

八幡「何年越しだ?まぁ、おめでとう」

 

海老名「戸部君居たら、マズかった?」

 

八幡「いや、戸部も一緒に聞いてもらって大丈夫だ」

 

一色「それで、どうしたんですか?私達を集めて」

 

事故に偽装した殺人とは言えない…。

 

まずは、確認事項から

 

八幡「雪ノ下が家の為に俺たちから引き離されたのは知ってるな」

 

一同が頷く。続けて

 

八幡「葉山と雪ノ下の結婚もその一部だ」

 

三浦がうつむく

 

八幡「雪ノ下と葉山の事故は知ってるな」

 

三浦「隼人…。」

 

八幡「すまんな。三浦。」

 

うつむく三浦に謝罪し、続ける。

 

八幡「その事故に少し疑念があってな…。確実な話ではないんだが」

 

みんなが驚きこちらを向く

 

八幡「今、川崎にも探ってもらっている」

 

海老名「それならヒキタニ君が動けばいいんじやない?検察官だよね?」

 

八幡「そう出来れば簡単だが、相手はあの雪ノ下グループだ。政治家とのパイプもある。握り潰されて、俺も左遷されて終わりだ。」

 

一色「じゃあ、どうすれば…。」

 

八幡「それで、女性三人に来てもらった。戸部もいるがな」

 

戸部「ヒキタニ君、それは冷たいっしょ」

 

八幡「まぁまぁ」

 

三浦「それで、あーし達にどうしろと?」

 

八幡「あぁ、女性特有のコミュニティを使って、噂を拡散して欲しい。」

 

海老名「でも、それで噂が拡がるかなぁ」

 

八幡「だから、不本意ではあるが、不倫や離婚話のもつれとかで話をして欲しい。女性はそういう話好きだろ?」

 

三浦「ヒキオ、アンタねぇ」

 

三浦が俺を睨み付ける。

 

八幡「すまん」

 

戸部「優美子待った!不本意ってことは、そういう話で二人は死んだ訳ではなさそうだね。」

 

八幡「戸部にしては鋭いな」

 

戸部「しては、は余計しょ」

 

海老名「戸部君、今は週刊誌の記者やってるんだ」

 

八幡「以外だな」

 

戸部「今のヒキタニ君の話だと、裏があるんだよね?」

 

八幡「さすが記者。バレちゃ仕方ない。その通りだ」

 

一色「また先輩は、隠れて動くつもりですか」

 

八幡「ちょっと訳ありでな。ただの事故ではない可能性ってことで、察してくれ」

 

一色「まぁ、そうですけど…。」

 

戸部「記事にていい?」

 

八幡「まだ早いな。あまり早いと潰される。噂が少し浸透してから、頼む」

 

戸部「特ダネ期待してるよ、ヒキタニ君」

 

八幡「みんな、お願い出来るか」

 

海老名「戸部君がノリノリだからね」

 

一色「先輩、デート一回ですよ」

 

八幡「結衣に聞いてくれ」

 

三浦「ね、ねぇ」

 

八幡「三浦、ツラいなら断ってくれていいぞ」

 

三浦「隼人の弔いになるかな?」

 

八幡「あぁ、なるさ」

 

三浦「じゃ、じゃあ、あーしもやる」

 

話が終わると、扉が勢いよく開く

 

結衣「みんな、やっはろー」

 

結衣と幡乃が入ってくる。

幡乃の髪型がいつもと違う。お団子にアホ毛が…。

 

一色「結衣先輩と同じ髪型、可愛い。…。アホ毛は余計ですけど…。」

 

三浦「結衣、その娘…。」

 

結衣「ソックリでしょ、ゆきのんに」

 

三浦「隼人と雪ノ下さんの…。」

 

結衣「ははは、隼人君ではないんだよ…。」

 

三浦「えっ?」

 

海老名「じゃあ、父親は?」

 

八幡「俺だよ」

 

一同驚愕。まぁ、そうだよな。

 

一色「先輩、リアルにヒドイです。」

 

三浦「ヒキオ、アンタねぇ」

 

戸部「これだけでも、スキャンダルっしょ」

 

八幡「聞いてくれ。まず、この娘の歳を考えろ」

 

海老名「結衣とヒキタニ君が結婚する、随分前の子供になるよね?」

 

八幡「卒業式の日に、一晩だけ雪ノ下と恋人になった。その時の子供だよ。それ以降、雪ノ下に会ってない…、会えてないから、子供がいるなんて、俺もついこの前知った。それを知らしてくれなかった。知らせられなかった。それを思うと…。はっきり言う!間違いなく俺の…、俺と雪乃の娘だ」

 

涙が出そうになるのをこらえる。

あの時のことを思い出すと、何も出来なかった自分に腹が立つ。

 

結衣「八幡とゆきのんの子供なら、私も愛してあげられる。だから引き取ったんだ」

 

三浦「結衣がいいなら…。」

 

すると、幡乃は俺と結衣の袖をひっぱり

 

幡乃「今は、結衣母さんと八幡父さんの娘だよ」

 

結衣「その為に、この髪型にしたんたよね。はたのん可愛い」

 

そう言うと、結衣は幡乃に抱きついた。

 

幡乃「お母さん、その呼び方やめて。それと近い」

 

その母娘のやりとりを見て思い出す…。奉仕部の部室で、仲良く話す結衣と雪乃…。「ゆきの~ん」「由比ヶ浜さん、その呼び方やめていただける。それと近いわ」少しだけ本物に近づけたと思っていた日常を…。

 

一色「…先輩?」

 

海老名「ヒキタニ君…。」

 

三浦「ヒキオ、アンタ泣いてるの」

 

知らないうちに、涙が頬をつたっていた。

 

八幡「す、すまん」

 

結衣が泣きながら抱きついてくる

 

八幡「おまっ、みんなの前だろ」

 

結衣「ヒッキー!たぶん同じことを感じたと思う」

 

アダ名で呼ばれドキッとした。

 

結衣「あの頃は、ヒッキーがいてゆきのんがいて、私がいて…。」

 

八幡「…結衣」

 

結衣「でもでも、今は八幡がいて幡乃がいて私がいて、みんながいる。沙希だって、手伝ってくれてる。だから、だから…。」

 

八幡「ありがとう、結衣。その通りだ」

 

結衣を抱き締める

 

一色「はいはい。お熱いですね」

 

一色の一言で離れる。お互い顔が赤い

 

海老名「薄い本のネタにしていい?」

 

八幡「やめて、恥ずかしくて死ねるから。BLは卒業したのか?」

 

海老名「BLも描いてるよ。久しぶりのトベハチ…。愚腐腐」

 

八幡「旦那になっても、スタンス変わらないんだな」

 

みんなが笑う

 

 

解散になる間際、幡乃が三浦のところへ行く

 

幡乃「お姉さんが優美子さん?」

 

三浦「そうだよ」

 

幡乃「写真の通り、綺麗なひと…。隼人父さんが前に、写真を見ながら、すまないって言ってた」

 

三浦が膝から崩れ、その場に座り込む。

 

三浦「隼人が…。隼人が…。」

 

幡乃「お姉さん?」

 

三浦「ありがとう。伝えてくれて」

 

八幡「三浦…。」

 

三浦が下唇を噛み、立ち上がる。

 

三浦「ヒキオ、終わったら全部話すし」

 

八幡「あぁ。そんで、みんなで墓参りに行こうぜ」

 

三浦「アンタ、格好良くなったね。今なら惚れそうだわ」

 

八幡「やめてくれ」

 

結衣「優美子!」

 

三浦「冗談だし」

 

結衣がムクれてる。

 

幡乃「お父さん、モテモテだね」

 

八幡「そんなことねぇよ」

 

結衣「お父さんは、ラノベの主人公と同じだから」

 

幡乃「?」

 

八幡「幡乃に言ってもわからんだろう」

 

一色「昔は「鈍感系」も付きましたけどね」

 

八幡「勘弁してくれ」

 

この日は、ここで解散になった。

 

次の手も考えている。ひさしぶりにアイツと遊んでやるか。

 

次の休日、ゲームセンターで待ち合わせ。

喧騒の中、恰幅の良い眼鏡の男が近づいてくる。

 

八幡「よぅ、剣豪将軍。元気だったか?」

 

材木座「はっはっはー、お前こそ息災であったか八幡大菩薩!」

 

マッ缶とコーラで乾杯する。

 

材木座「して、今日はどうしたのだ?」

 

八幡「新刊のダメ出し」

 

材木座「はぅ!」

 

八幡「ウソだよ。面白かったぞ」

 

材木座は小説家になっていた。高校時代、あんなラノベを書いていたとは、今や想像出来ない。

 

八幡「実はだな…」

 

あらましを説明する

 

材木座「ふむ、事実は小説より奇なりか」

 

八幡「この内容を小説にして欲しい。だが、日の目を見ることはない形になるが」

 

材木座「ふむ」

 

八幡「匿名のweb小説家が、小説投稿サイトに投稿した形にする」

 

材木座「なるほど」

 

八幡「そのwebサイトをリンクやSNSで拡散する」

 

材木座「なるほど、面白い」

 

八幡「ただ、原稿料が出せない」

 

材木座「なにを言っている!我が盟友よ!」

 

八幡「なっ!」

 

材木座「そんな物はいらん!魂の友と雪ノ下嬢のためだ!」

 

八幡「材木座、お前…。」

 

材木座「奉仕部には、ラノベを添削してもらった恩がある。それが返せるなら、お安い御用よ」

 

八幡「すまんな」

 

材木座「それに、お主に頼られるのも悪くない」

 

八幡「お前、そんなキャラだったか?」

 

材木座「けぷこん、けぷこん。」

 

八幡「方向修正早いな」

 

材木座「生徒会長選挙を思い出すな」

 

八幡「あぁ。あの頃の悪巧みとはレベルが段違いだがな」

 

小説が投稿出来るようになるまでは時間がかかる。噂の浸透と相まって、いいタイミングになるはず。

しばらくは静観しるしかない。

 

数日たったある日、懐かしい顔と出くわす。

 

???「はちま~ん」

 

八幡「と、戸塚か!久しぶりだな」

 

戸塚「高校卒業依頼だね」

 

戸塚にも頼んでみるか…

 

八幡「この後、時間あるか?」

 

戸塚「大丈夫だよ」

 

人の少ない公園のベンチに腰掛ける

 

先に、戸塚が喋りだす

 

戸塚「雪ノ下さんと葉山君は、残念だったね…」

 

八幡「…あぁ」

 

戸塚「それと、良くない噂が…」

 

八幡「どんな噂だ?」

 

戸塚「離婚話のもつれの無理心中だとか…。SNSでも、話題になってるよ。八幡知らなかったの?」

 

噂が浸透してきている。

 

八幡「戸塚、ありがとう。実はだな」

 

今までのあらましを説明する

 

戸塚「そんなことが…。」

 

二人ともうつむく

 

戸塚「僕にも協力出来ることがあったら、言ってね」

 

思考を巡らせる

 

八幡「戸塚、ひとつ頼まれてくれるか?」

 

戸塚「もちろん」

 

八幡「連絡先を教えてくれ。後日

、材木座から連絡させる」

 

戸塚「なんで、材木座君なの?」

 

八幡「俺と直接連絡取り合ってると、目をつけられる可能性があるからな」

 

戸塚「なるほど」

 

八幡「お願いしたいのは、文章の入力とネットへの投稿だ。材木座には、その文章の依頼をしている。それを、ネカフェでやってもらいたい。出来るか?」

 

戸塚「任せてよ」

 

八幡「すまんな。久しぶりに会ったのに、こんなこと頼んじまって」

 

戸塚「八幡の為だけじゃない。由比ヶ浜さんや雪ノ下さんや葉山くんの為でもあるんだから」

 

八幡「そういってもらえると助かる」

 

戸塚と別れ、材木座と連絡をとる。戸塚との話を伝え電話を切る

 

2、3日すると、川崎から連絡が来た

 

川崎『比企谷?私だけと。アンタ、何かやった?』

 

八幡「なんのことだ?」

 

川崎『警察に例の件について問い合わせが来るんだけど』

 

狙いどおりだ

 

八幡「その件に関して、話がある。少し会えるか?」

 

川崎『あぁ、いいけど。大丈夫なのかなぁ』

 

八幡「じゃあ、小町と大志を連れて家に来い。義兄弟で会うなら問題ないだろう」

 

川崎『わかった。由比ヶ浜と娘に

、よろしくな』

 

八幡「りょーかい」

 

戸部に連絡するか

 

八幡「戸部か?」

 

戸部「ヒキタニ君、GOサインかい?」

 

八幡「あぁ。ただ戸部の名前だと勘ぐられるとマズイ」

 

戸部「わかってるよ。任せてよ」

 

八幡「あぁ、頼むぜ」

 

週末、川崎たちが家に来た。

 

結衣「みんな、やっはろー。幡乃も挨拶して」

 

幡乃「やっ…。こんにちは」

 

八幡「幡乃、偉い。マネすると、アホになるぞ」

 

結衣「アホじゃないし。ハッチー、キモイ」

 

川崎「相変わらずだな」

 

小町「結衣さん、やっはろー。幡乃ちゃん、はじめまして」

 

幡乃「はじめまして」

 

大志「お義兄さん、お久しぶりっす」

 

八幡「大志、早く別れろ」

 

川崎「大志をいじめるな」

 

大志「別れないっすよ。なんか、挨拶みたいになってますね、これ」

 

幡乃がクスクスと笑う

 

八幡「結衣、川崎と話があるから、リビングに居てくれ」

 

川崎「由比ヶ浜、ちょっと旦那借りるよ」

 

結衣「浮気しちゃダメだよ」

 

八幡「大丈夫だよ」

 

結衣「ハッチーが大丈夫でも、沙希が誘惑するかも」

 

川崎「由比ヶ浜と幡乃ちゃんに恨まれたくないから、しないよ」

 

二人で書斎に入る

 

川崎「署内は大騒ぎだよ。問い合わせがあったあとに、週刊誌の報道だろ?」

 

八幡「あぁ、作戦通りだ」

 

川崎「えぇ!」

 

川崎が驚きの声を上げる

 

八幡「噂のでもとは、三浦と海老名さんと一色だ。週刊誌の方は、戸部がいる。web小説も知ってるか?」

 

川崎「あぁ」

 

八幡「あれは材木座が書いて、戸塚がwebにアップした」

 

川崎「なにそれ?私の知らないうちに…」

 

八幡「川崎も動きやすくなっただろ」

 

川崎「確かに、そうだけど。高校時代の比企谷の交遊関係フル活用だな」

 

八幡「正直、ちょっと悩んだよ。みんなを巻き込んでもいいのかと。これは、俺ひとりではどうにもならないしな。頼らせてもらったよ」

 

川崎「ひとりでやったりしたら、枕元に雪ノ下が出て、罵倒されるぞ」

 

八幡「雪ノ下に会えるなら、それも良かったかもな」

 

川崎「比企谷…」

 

八幡「でも、アイツにはゆっくり眠ってほしいからな」

 

川崎「悪いな。変なこと言って」

 

八幡「気にするな。で、警察はどう動くんだ?」

 

川崎「あぁ。事故の再捜査は決まったよ。下調べしてたら、テンポは早いよ」

 

八幡「川崎、もっと警察が騒ぎになるネタをぶちこむぞ」

 

川崎「まだあるのかい?」

 

八幡「あれは、事故でも無理心中でもない。殺人だ」

 

川崎が目を見開く

 

川崎「本当なの?」

 

八幡「雪ノ下グループの不明瞭な会計データがある。調べれは、政治家への裏金も出てくるはずだ。それを持って内部告発しようとしてたのが雪ノ下だ。その矢先に事故死。話が出来すぎている」

 

川崎「でも、証拠がないよ。車も解体されてるだろうし…」

 

八幡「そこは優秀な日本のお巡りさんに任せる。雪ノ下からの依頼は、雪ノ下グループの不正を暴くことだからな」

 

川崎「比企谷、それでいいのか?」

 

八幡「よくはないさ。あとは、雪ノ下の両親の心に訴えるさ。孫が可愛くない祖父母はいねぇよ」

 

川崎「なるほどね。そこまで考えていたんだな」

 

八幡「まぁな。」

 

川崎「次はどうするんだい?」

 

八幡「週刊誌に不正会計データの一部をリークする」

 

川崎「大きく動くだろうね」

 

八幡「うちも忙しくなる。まぁ主に特捜がな」

 

川崎「事故の方は私ががんばるよ」

 

八幡「無理すんなよ」

 

川崎「アンタもね」

 

リビングから、結衣がお茶が入ったと声をかけてくる

 

八幡「行くか。よろしく頼むぜ、ブラコン」

 

川崎「アンタもしっかりしなよ、愛妻家の子煩悩」

 

八幡「シスコンで言わないんだな」

 

川崎「どう見ても、今のアンタは由比ヶ浜と幡乃ちゃんにベタ惚れだろ?」

 

八幡「違いないな」

 

週刊誌の報道が出ると、TVが騒ぎだし、事態は大きく動き出した。特捜が雪ノ下グループの本社に家宅捜索が入り、雪乃の父親や政治家が逮捕された。

 

こんなにハマるとは思わなかった。

 

雪ノ下の父親が保釈されたタイミングで、雪ノ下家にアポを取る。

幡乃を連れて行くと言ったら、あっさりOKが出た。

 

結衣と幡乃を連れて雪ノ下家に向かう。

 

八幡「外堀を埋めて、真田丸も潰した。さぁ、本丸だ」

 

結衣「なにそれ?」

 

八幡「すまんな。難しいことを言った」

 

幡乃「母さん、知らないの?」

 

結衣「知らないの、私だけ!」

 

八幡「徳川が大阪城を攻めた話だよ」

 

結衣「し、知ってるし」

 

幡乃「さっき、知らないって言った」

 

結衣「うぅ」

 

八幡「結衣、ありがとう。肩の力が抜けたよ。さすが、俺の嫁さんだ」

 

結衣「そうかなぁ、えへへ」

 

幡乃「ラブラブなのは、後にしてください」

 

八幡・結衣「はい」

 

雪ノ下邸に着き、応接に通される途中、陽乃さんが手を振っている。

 

八幡「陽乃さん、いつ帰ってきたんですか?」

 

陽乃「昨日だよ」

 

八幡「ご両親とは?」

 

陽乃「君たちの後の方が話しやすいかな」

 

八幡「そうですね」

 

陽乃「うちのラスボスは手強いよ」

 

八幡「でしょうね。昔は中ボスですら、歯が立たなかったですから」

 

陽乃「そんなんで、太刀打ちできるの?」

 

八幡「道中にレベルアップしましたし、仲間の協力もありました。なにより、今はパーティーを、組んで挑めますから」

 

陽乃「言うねぇ。じゃあ、任せたよ」

 

八幡「うっす」

 

結衣がこちらを覗きこむ

 

結衣「陽乃さんとの話の方がわかりやすかった」

 

八幡「そうか?じゃあ、次は結衣にわかりやすく…。」

 

応接室の扉の前に立つ

 

八幡「さぁ、魔王の間に入るぞ」

 

結衣「うん」

 

幡乃も頷く

 

ノックをして、返事を確認して入る

 

八幡「失礼します」

 

結衣も幡乃も同様に挨拶をする

 

???「幡乃ちゃん、久しぶりね。こっちにおいで」

 

年配の女性が声をかける。雪乃の母親、幡乃の祖母だ

 

しかし、幡乃は俺と結衣の手をしっかり握り首を横に振る

 

八幡「挨拶も無しに、それですか」

 

俺も幡乃の手を強く握る

結衣が不安そうな顔をしている。仕切り直すか

 

八幡「雪ノ下のお母さんはお久しぶりです。お父さんは初めましてですね。比企谷八幡です。こっちは妻の結衣」

 

結衣がお辞儀をする

 

八幡「そして…」

 

俺が言い終わる前に

 

幡乃「比企谷幡乃です」

 

しっかりと雪ノ下の両親を見つめながら言った。

 

雪ノ下父「どういうことだ!」

 

雪ノ下の父親が怒りを込めて言う

 

八幡「どうもこうも、そのままです。幡乃は俺の、俺たちの娘ですから」

 

雪ノ下父「貴様ぁ…!」

 

八幡「貴様だと?俺の、俺たち愛する雪乃を奪ったヤツが…」

 

マズイ。感情的になりそう、そう思った瞬間、結衣が俺の肩に手を置く

 

結衣「八幡…」

 

俺を諭すように声をかけてきた。息をひとつ吐く。頭を切り替えよう

 

八幡「その話は、後程。本題は雪ノ下雪乃から、メッセージ動画を預かっています」

 

雪ノ下の両親の眼の色が変わる

 

八幡「タイミングは一段落したらとだけで、俺に一任でした。この五人との指示だったので、俺もまだ見ていません」

 

持参したノートPCを取り出し、ソファーに腰掛け動画を再生する

 

あの頃より、大人になった、さらに綺麗になった雪乃の姿が映し出された

 

雪乃『これを見てくれているということは、私は居ない、そして区切りがついたのね。比企谷君、由比ヶ浜さん、ありがとう。父さん、母さん、ごめんなさい。どうしても、止めたかったの。私にバレるようなら、いずれ公の場にこの事態がさらされる。なんとか、私の手で止めたかったけど…。これだけは言いたいです。憎くてやったのではないのです。仕事をするようになり二人の大変さがわかるようになり、尊敬出来るようになったから…。私がもっと上手に出来ていれば良かったと後悔しています。比企谷君、由比ヶ浜さん、幡乃にお願いがあります。父さんと母さんを許してあげてください。私もこれ以上は望みません。

それから、幡乃。これからとこで暮らして行くか自分で決めなさい。比企谷君や由比ヶ浜さんは引き取るって言い出しそうだけど、最後は貴女の意志で決めなさい。

 

………。最後に…八幡、 私を愛してくれてありがとう。今までもこれからも、愛しています』

 

雪乃のメッセージは、そこで終わった

 

 

八幡「お願いか…。結衣、幡乃。それでいいか?」

 

結衣は大粒の涙を流しながら頷いた。

幡乃の方に目を向けると、うつ向いて唇をかみしていた。

 

八幡「幡乃、泣いていいんだぞ」

 

すると、俺に抱きついて、わんわん泣いた。

 

八幡「雪ノ下さん、俺たちはこれ以上は何も言いません。雪乃の気持ちは伝わったはずです」

 

父親はうつ向いたまま、母親はハンカチで涙をぬぐっていた。

 

すると、幡乃は立ち上がり

 

幡乃「お祖父さん、お婆さん、お世話になりました。私は八幡父さんと結衣母さんと暮らします」

 

雪ノ下の両親は一瞬、驚いたが

 

雪ノ下父「幡乃の意志なら仕方ない」

雪ノ下母「…。わかったわ」

 

俺も立ち上がり、結衣も立ち上がるように促す

 

八幡「幡乃は俺と結衣でしっかり育てます」

 

雪ノ下父「お願いします」

 

雪ノ下の両親が深々と頭を下げる

 

八幡「まぁ、幡乃の祖父母は変わらないので、たまには会ってやってください。いいよな、幡乃?」

 

幡乃に目をやる

 

幡乃「また会いに来ます」

 

八幡「では、今日は失礼します。これから、刑事訴追になると思います。落ち着いたら、幡乃とまた来ます」

 

応接を出ると、陽乃さんが待っていた

 

陽乃「大丈夫だったみたいだね」

 

八幡「あとはお願いします」

 

雪ノ下邸を出ると結衣が、実家に寄ると言ってきたので、俺は先に家に帰った。

書斎に入り、机の引出しの手紙いて、を取り出す。あの日、幡乃から渡されていた手紙…

 

比企谷八幡様

 

面と向かってしまうと、上手く伝えられないので、手紙にしました。

私は、比企谷八幡のことが好きです。嘘でも罰ゲームでもないです。貴方なら、こんな俺なんて言いそうですが、そんな貴方だからこそです。私と貴方は似ている様で全く似ていない。そんな貴方に惹かれました。貴方もわかっていてわからないフリをしてると思いますが、由比ヶ浜さんや一色さんも同じ想いだと思います。でも、あの二人にも負けないほど貴方が好きです。返事を頂けると、嬉しいです。

敬具 雪ノ下雪乃』

 

卒業式のあとに、俺に渡すつもりであっただろう手紙…。

 

手紙に思いを馳せていると、結衣と幡乃が帰ってきた。すると、結衣が書斎に来た。

 

結衣「ハッチー、一人の時に読んで」

 

手紙を渡された

 

『for ヒッキー

 

顔を見てると、上手く伝えられないから、手紙を書きました。

私はヒッキーのことが大好きです。嘘とか罰ゲームじゃないよ。ヒッキーはこんな俺なんてとか言いそうだけど、ヒッキーだからなんだよ。私とヒッキーは正反対なのに、どこか似ている気がして、惹かれいたんだと思う。ヒッキーもわかっていてわからないフリをしているんだと思うけど、ゆきのんやいろはちゃんもおんなじ想いだとおもう。でも、二人には負けないくらいヒッキーが大好きです。返事がもらえたら嬉しいな。 from 由比ヶ浜結衣』

 

 

同じような内容の手紙…。笑っているのに涙が出てくる。全然似てないのに、よく似てる雪乃と結衣。二人の想いを胸に…。奉仕部はこれで、お役御免かな。

 

さぁ、墓参りの予定を立てなくちゃ

 

 


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