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本話より体育祭編が本格的にスタート。
氷と炎を使いこなすオリ主と、高出力のフルカウル可能な出久くんが居る体育祭は果たして。
体育祭までの二週間はあっという間に過ぎて。
通常授業は勿論、放課後は出久が前もって申請して借りた学校の施設を一緒に使わせてもらったりして有意義に調整が出来た。
クラスの皆も個人個人で出来る事をして、ついに迎えた体育祭当日。
1-Aの控え室にはおおよその生徒が集まり、緊張や興奮を抱えた表情でそれぞれの時間を過ごしていた。
そんな中、飯田が険しい顔で入口と時計に視線を行ったり来たりさせている。
その理由は、まだ姿を見せていないクラスメイトが居る事にあった。
「むぅ……もうじき入場なのだが、爆豪君が来ていないぞ。一体どうしたんだろうか」
「かっちゃんに限って遅れる事は無いと思うけど……」
飯田の言葉に、出久も少し心配そうな声で同意する。
二人が言った通り、あれでも時間には余裕を持つタイプの爆豪が未だ控え室に現れていない。
私もあの男が遅れるとは思わないが、そろそろ来なければ不味い時間ではある。
何かあったのかと、クラスの雰囲気がざわめきかけた時、控え室の扉が開いた。
飯田がそちらへ向きながら声を上げようとして。
「遅いぞ! 爆豪く、ん……」
「間に合っとるわ、クソが」
飯田の言葉が途切れたのも、仕方がない。
爆豪の身体から、蒸気が上がる程の汗が。
爆豪の目から、闘志や覇気などがほとばしっていたから。
爆豪の全身から、これ以上にない気迫を感じられたから。
そんな爆豪に近づいた勇者が一人。
言わずもがな、出久である。
「身体を温めてたんだ……かっちゃんスロースターターだもんね。はいこれ」
「あぁ? いらん世話を焼くなやクソデク……ちっ」
出久がタオルとドリンクを押し付けるように渡すと、爆豪は舌打ちしながら受け取る。
いつもなら出久の厚意を……とか思っただろうけど。
少しでも奴の気迫に当てられていた身からすれば、よく出久は近づけたな、という感想が先に出た。
「これで揃ったね、飯田くん」
「あ、ああ……よし! 皆、それでは行こうか!」
飯田の号令で爆豪の空気に少なからず呑まれていた皆が再起動する。
控え室を出て、出久と並びながらスタジアムへの道を歩く。
っと、忘れるところだった。
爆豪のインパクトでタイミングを逃していたが、伝えるなら今しかない。
「ねえ、出久」
「ん、何? 凍夏ちゃん」
「今日は、負けないよ」
好戦的な笑みで出久に宣言すれば、彼は少し驚いた顔をした後に。
「……そう、僕も全力で獲りに行くから!」
返ってきたのは、決意の籠った笑顔だった。
これまでとは違う、個性を使っての全力勝負。
今日、この体育祭で実現出来そうで、少しばかりの不安はあるけれど。
それを上回る期待や興奮が、今は不安を飲み込んだ。
「うん……わっ」
「あだっ、か、かっちゃん?」
そんな私たちの間に、後ろから割って突っ込んできた爆豪。
肩をぶつけられて痛いとか、空気を読めとか言いたかったけど。
「勝つのは俺だ」
振り向きもせず発された宣言に、私も出久も。
「爆豪にも、負けない」
「僕も君に勝つ!」
宣言し返すのは、当然の流れだった。
『一年ステージ、生徒の入場だ!!』
そして始まる雄英体育祭。
勝ちに行くのは当たり前として。
出来れば楽しく、やっていこう。
■
プレゼント・マイク先生が話題性のあるA組を過剰に持ち上げる紹介をしているのを聞き流しながら入場した後、続々と他クラスも入ってくる。
言っては悪いが、ヒーロー科以外はテンションが高そうには見えない。
さっきも、自分たちが完全に引き立て役だと呟いているのが聞こえてしまった。
宣戦布告男子のような人は少数派だったらしい、そこは少し残念で。
こういった場では全力で競いたいと思うのは、私の身勝手だろうか。
そんな事を考えている間にも、体育祭は進行する。
「選手宣誓!!」
短い鞭のようなものを叩きながら演台の上に立つのは、かなり際どいコスチュームの18禁ヒーロー「ミッドナイト」という教師。
一年の主審らしいが、18禁なのに高校にいてもいいんだろうか。
「18禁なのに高校にいてもいいものか」
「いい」
同じ疑問を声に出して首を捻る常闇に、峰田が瞬間的に反応する。
今更だけど、彼のキャラがなんとなく分かってきた。
「静かにしなさい!! 選手宣誓!!」
ざわめく生徒たちをミッドナイト先生が、もう一度鞭を鳴らして静める。
鞭と言えば扱うのが難しいらしいけれど、使いこなせればかなり相手にし辛い武器だ。
きっと彼女はプロヒーローになってからも、相当訓練を積んでいるに違いない。
「選手代表!! 1-A、爆豪勝己!!」
「えっ」
思わず声を漏らしたが、そういえば爆豪は一般入試一位通過だった。
忘れそうになるのは言動のせいだから、私は悪くない。
けれど、あいつにまともな宣誓が出来るんだろうか。
演台に上がる爆豪の背中を見つつ、不安になる。
「せんせー」
静かになったスタジアムに、爆豪の声が響く。
「俺が1位になる」
「絶対やると思った!!」
あんまりな宣言に切島が即座に突っ込むが、周りはそれどころではない。
「調子のんなよA組オラァ!!」
「何故品位を貶めるような事をするんだ君は!!!」
「ヘドロヤロー!!!!」
ブーイングが雨あられのように飛び交う。
意気込みは買う。買うけれど、A組を巻き込んでの発言は本当に止めてほしい。
今回は出久さえ頭を抱えているから、もうどうしようもなさそうだ。
「黙れ」
けれど、続く爆豪の圧を込めた声に、一瞬で場が静まり返る。
「俺が獲るのは完膚無きまでの1位だ。舐めプのカスや、腑抜けのクソカスに勝っても意味がねえ」
言葉遣いは最悪。
しかし、何かを訴えるような言い方なのは伝わっている。
「やる気のねぇクソザコ共は論外だからさっさと死ね。やる気がある雑魚だけ来い。跳ねの良い踏み台にしてやるよ」
それだけ言うと、爆豪は凶悪な笑顔を作ってから演台を降りて行く。
これは、あれか。前に出久が通訳したように言うなら。
「ヒーロー科とか普通科とか関係なく、全力でかかってこい、って事?」
「そういう事かな。もうちょっと言い方を考えればいいのに……かっちゃんらしいけどさ」
推測を口に出せば、出久が呆れたように肯定してくれる。
確かに前のよりはまだ分かりやすいけれども。
ミッドナイトにも伝わったようで、小さく溜め息を吐いてから笑みを浮かべて声を張る。
「口はものすごく悪いけど、全員に発破をかけたのは分かったわ!! 好み!!!!」
好みってなんだ。
改めて思ったけど、雄英は変わった先生が多い。
まあ主審にそう言われてしまえば、ブーイングを出していた生徒たちも多少不満ながらも黙らざるを得なかったから、今は感謝するべきか。
いや待った、何で爆豪の尻拭いに対して私が感謝してるんだ。巻き込まれた側なのに。
何がどうあれ爆豪が悪いと結論づけよう。うん。
「それじゃあ早速第一種目、行きましょう! いわゆる予選よ!毎年ここで多くの者が
ミッドナイト先生の背後に電子ディスプレイが現れて、そこに『障害物競走』と表示される。
11クラス全員でこのスタジアムの外周を回る競技で、コースは約4kmとのこと。
コースさえ守れば何をしたって構わないと言い切った先生は、どこか楽しそうだ。
開いていくゲートの前にぞろぞろと人が集まっていく。
そこまで広くないこの場所で上手くスタートを切る方法を考えて……私は一番後ろを陣取った。
身体を解しながらふと横を見れば、出久と爆豪も居て。
出久は屈伸を、爆豪は肩を回している。
そして目が合うと、出久はぐっと拳を握り締めて、爆豪は口角を上げて歯を見せながら不敵に笑っていた。
どうやら、考える事は同じらしい。
スタートゲート上部のランプが消えていくのを見ながら、私たちは構える。
最初が肝心、いち早く前に出る為には――
『スターーーート!!!!』
――スタートダッシュを決めればいい!
個性把握テストの立ち幅跳びのように、氷結で空中に道を作りながら進んで行け!
スタートと同時にぎゅうぎゅう詰めゲートトンネルの空いた上方を通過していると、後ろから二つの声が響いてきて。
「フルカウル――10%!!」
「爆速ターボ!!」
ゲートを抜けると同時に、私の横に二人が並んで跳んでいる。
言うまでもなく、出久と爆豪だ。
緑の雷光を纏いながら壁をジグザグと蹴りながら跳んできた出久と、ウォーミングアップで汗をかいたお陰で好調な爆豪の空中爆破機動は、私の空中氷結と同等以上の速度を出している。
「流石!!」
「そっちこそ!!」
「てめえらだけに上手くはいかせねえよ!!」
軽口を飛ばし合いながら、私たち三人はそのまま並ぶように走っていく。
『ターゲット、大量』
が、ゲートを抜けたすぐそこに装甲の着いたロボットが大量に現れて、私たちの進行を邪魔しようとする。
『さーて実況していくぜ! 解説アーユーレディ!? ミイラマン!!』
『無理矢理呼んだんだろが……そんでもうトップ争いが始まってんぞ』
『んあ? ……ってオオッと!? 電光石火の早業で抜け出た奴等がもう第一関門に突入してるぜ!!?』
ついでに実況の声も聞こえ始めるが、気にしない。
「邪魔!」
一帯のロボを大規模氷結で行動不能にしながら、動かなくなったロボの間を氷結ダッシュで進んでいく。
手加減要らずの範囲攻撃なら、調整無しのぶっぱでいいのでそちらへ割く分の意識を先に進む方に回せる。
「SMASH!!」
「スクラップになれやァ!!」
そして好機と言わんばかりに、出久と爆豪が自分の道を開けるようにロボを壊しながら進んで来る。
それなりに硬さも重量もあると思うのだが、私の氷結で止まっているのもあって二人とも難なく破壊していた。
『オォウ!? 第一関門ロボ・インフェルノ!! 紹介する間もなく、1-A轟、緑谷、爆豪の三人組が抜けていったァ!!』
『轟の氷結が間接的に周りの妨害になってはいるが……あいつら全員とにかく前に進む事だけを意識してるな』
『後ろには振り向かねェってか!! クールだな!!』
実況の声にちょっと気が散りそう。
プレゼント・マイク先生のテンションは実況するには良いかもしれないが、ただただ煩い。
とはいえ無視できるレベルなので気にせず前に進んで行けば、次の関門らしきものが現れた。
深い大きな穴に所々足場があって、それぞれがロープで繋がっている。
大規模な綱渡り、とでも言える障害物だ。
流石雄英と言うべきか、どうやって作ったんだろうこれ。
普通に進むなら少し手間取りそうだけど、これも私には問題ない。
「はっはぁ! 俺には関係ねーー!!」
「足場と足場を跳び移れば!!」
空中氷結でそのまま進み炎で速度も上げていると、少し遅れてきた爆豪と出久もそれぞれのやり方で個性を駆使して追い付いてくる。
『実況殺しの全力疾走!! 既にトップ三人が第二関門に踏み込んでるゥ!! けど紹介はさせてね! 落ちればアウト!! それが嫌なら這いずりな!! 第二関門ザ・フォール!!!』
この関門の紹介がされているところ悪いけれど、私はもう抜けそうだ。
絶え間なく個性を発動しながら空を飛ぶ私は、全力で飛び続けるのには手に負担があるらしい爆豪や、着地に時間を使う出久よりも、僅かに速く進める。
直線速度なら恐らく一番下の私は、今のうちに距離を稼がないといけない。
『とか言ってるうちに先頭の轟! あっちゅう間に一抜けしてんじゃねーか!!』
『全員難なく進んでいるように見える。が、轟の氷を使った空中移動、爆豪の爆破飛行、緑谷の増強での足場ごとへの跳躍、どれも緻密な調整が必要な個性の使い方だ』
『派手に見えて技巧派って事か!? すげえなイレイザーお前のクラス!! どういう教育してんだ!』
『俺は何もしてねえよ……地力を鍛え個性を伸ばし続けた奴。才能を重ね続けた奴。ただひたすらに努力し続けた奴。あいつらは全員自分で出来る事をずっと極め続けてるだけだ』
『超ストイック!! あいつらホントに高一かよ!?』
驚愕するマイク先生の声を聞き流しながら、氷結と炎熱の勢いのままに前に進む。
一足先に抜け出した私は、そのまま最後の関門へと足を踏み入れた。
『まだ後ろはロボを抜けた辺りなのに先頭は早くも最終関門!! かくしてその実態は一面の地雷原!!! 怒りのアフガンだ!!』
「雄英は何を目指してるんだろ、っと!」
地雷原を氷結ダッシュでひたすら進む。
この辺りで炎は抑えて、身体と周りの空気を冷やしていく。
速度は落ちるが、この先はここぞという時への秘策がいる。
『オイオイオイ!!? 轟、地面を氷結させて地雷を無効化!!! クレバーだけど滑るとはいえ後ろに道作っちゃってんぞ!!?』
『ちまちましてたら後ろ二人に抜かれるからだ。炎を消したのは何故か知らんが……』
「俺には関係ねえっつってんだろ!!」
「フルカウル、20%!!」
やっぱりあの二人には、地雷があろうと関係ないか。
地雷の爆発音が聞こえる事から、出久は滑りやすい私の氷結を避けて進んでいるらしい。
『空を飛び続ける爆豪はともかく緑谷!! 地雷原をひたすら直線でダァッシュ!! 地雷が爆発してもそれを勢いに変えて進んでやがるぜクレイジー!!!』
『出来るなら合理的だろ』
『これそういう問題かぁ!!?』
地雷原を抜ける手前で、直線距離を超スピードで進む爆豪と出久に追いつかれた。
「追いついたよ、凍夏ちゃん!」
「テメェ何炎消してやがる!! 舐めプしてんじゃねえぞ半分女ァ!!」
「抜かせないし、舐めプじゃない!」
『トップ3、言い争いをしながら地雷原クリア!! 後はスタジアムへの一直線での争い!! 先頭が何度も入れ替わるデッドヒート!!!! 喜べマスメディア!! おまえら好みの展開だぜええ!!!!』
最後の勝負はもうすぐ。
氷結で二人を妨害して、抜いたり抜かれたりしながらスタジアムに続く通路に差し掛かる。
ここからゴールまでは一直線。
出久も爆豪も、ラストスパートをかけにくる。
だから、ここで炎を。
個性把握テストでは止められたあれを使う。
冷やした空気を一気に温めて、膨張させた空気で飛ぶ!
私が何をするか察した二人も、最後の勝負に出てきた。
「いっ、けぇ!!!」
「大爆速ターボォ!!!」
「――30%!!!」
全員が声を上げた瞬間。
大きな爆発が通路に起こり、地面を揺らがす程の衝撃を感じた。
色々な勢いに飲み込まれるように飛ばされた私たち。
その衝撃のまま三人まとめて、ゴールのスタジアム内へと転がり込んだ。
『……何なのお前のクラス……ヤバすぎんだろ……』
『加減しろよバカ共が……』
『てかあいつら無事か!? 死んでないよな!?』
咄嗟に氷で身体を覆ったが、結構痛い。
うん、少しずつ熱が冷めてきて冷静になったけど、どう考えてもあんな閉所で使う技じゃなかった。
相澤先生が個性把握テストで止める訳だ。
そんな威力の技を近距離に人がいる状態で使うなんて愚行もいいところ。
……反省は後にして、土をはらいながら立ち上がる。
出久たちは大丈夫だろうか。
「いってて……けほっ……死ぬかと思った……はぁ…………」
「クッソが…………爆破の範囲も分かんねえで適当やりやがって…………」
煙が晴れてくると、五体満足な出久と爆豪が転がっていた。
流石に服が破けたりはしているけど、大きな怪我はなさそうだ。
『無事!! 全員なんとか無事!! 雄英体育祭初の死者が出るかとヒヤヒヤしたぜェ!!!!』
『轟と爆豪、体育祭が終わったら反省文だ』
「…………はい」
『全国中継で担任に叱られてやんの!! ウケル!!』
うぅ、これは甘んじて受けるしかないか。
私が巻き込んだのに等しい爆豪は、流石に申し訳ない。
「はあァ!? ンで俺まで!!?」
『爆発の規模と使う場所を考えろ。さっきのはお前の爆破も相乗効果での結果だ』
「――――っクソがァ!!!!」
「…………ごめん」
「半分女テメェマジで殺す死ねクソアマ!!!!」
「まあまあまあまあ!!」
謝る私に詰め寄ろうとする爆豪を出久が抑えてくれている。
けれど今回ばかりは私に非があるので、弁明はしない。
「出久も、ごめんね」
「大丈夫大丈夫! 勝負だから良いって! かっちゃんもさ! ね!?」
「良かねえよクソデク!! こちとらクソアマの適当爆破のとばっちり受けとんだわ!!」
「そこは本気の勝負だったから、って事にしようよ!!」
「指図してんじゃねえぞクソナード!!」
出久に飛び火してしまった。重ねてごめんをしなきゃ。
……そういえば、障害物競走の結果はどうなったんだっけ。
『おっと! 此処でカメラ判定による順位発表だ!!』
「っ!!」
「1位!!」
瞬時に掴み合いを止めて反応する二人。
私も結果が表示されるディスプレイを注視する。
先程の爆発の後の映像が、どういう技術なのか煙を透かして映し出されていた。
通常速度のリプレイでは全員の差が分からず、次いでスロー再生が流れる。
しかしそれでも、私たちは三人同時に入ってきているようにしか見えない。
『んんー? 俺には完全に同着に見えるな……どうなるんだこれ?』
『こういう時の為の主審だ』
相澤先生の言葉に、私たちは演台に立っているミッドナイト先生に視線を移す。
手元の端末を面白そうな顔で見ていた彼女は、こちらへと鞭を鳴らしながら告げた。
「ただいまの勝負! 判定の結果、三人とも完全な同着と見なします! よって轟さん、緑谷くん、爆豪くん、同率1位!!!!」
完全同着。
大接戦の末の結果に会場は大いに沸き上がるが、私としては何とも言えない結果だ。
出久は気が抜けたように笑い、大きく息を吐き出した。
爆豪に関しても文句の一つや二つ飛んでくるかと思いきや、舌打ちだけで済ませている。
しかし全員が一番なんて、小学校の運動会だけの話じゃなかったのか。
まあ何にせよ、1位には変わりない。
二人との決着は次の競技に持ち越しだ。
「とりあえず、お互いおめでとう?」
「はは……そうだね、おめでとう」
「んっ」
出久が拳を突き出してきたので、私もグーを出してコツンと当てる。
「次こそは俺が単独の1位だ」
そんな私たちに爆豪は背を向けて、スタジアムの壁際にもたれ掛かりながら目を閉じた。
個性を含めた身体能力に、それをコントロールする為の集中力も全力で行使していたから、次の競技までに多少なりとも回復させるのだろう。
私は個性上そこまで体力を使う訳ではないけれど、確実に消耗はしている。
出久も少し息を切らしている中、全く息が乱れていない爆豪は流石のタフネスだ。
さて、後ろを気にせず来たせいで後ろはようやく第二関門を突破した生徒が出てきた辺りか。
モニターで観戦しながら、体力の回復に努めよう。
実況が後ろの生徒たちの状況を解説するのを聞きながら、私は競技の終了を待っていたのだった。
「凍夏ァアアア!!!! 出久ゥウウウ!!!! よくやったァアアア!!!!!!」
…………何か聞いた事があるような男の声が聞こえた気もするけど、気にせず競技の終了を待っていたのだった!
ちなみに通報しようとして、出久に止められたのは余談。ちっ。
爆発さん太郎「聞いてた話と温度差ありすぎだろ」
困り顔の出久くん「意外と親馬鹿なんだよね……」
話の続きを知らないミイラマン先生「(普通に親馬鹿っぽいんだが、化けの皮を被ってるのか?)」
オチで全部持っていきたかった。
本編に関してはそりゃあ無双になるよね、っていう。
本家焦凍くんにもエンデヴァーが言ってましたが、炎さえ使えば体育祭でぶっちぎりのトップになると思います。
出久くんは個性のコントロールと上限が本家の数段上だし、爆豪もウォーミングアップして本気も本気モードなのでこれぐらいの差は出来るだろう、という思いでの展開でした。
結局最後の叫びは誰なんでしょうね?(すっとぼけ)