半冷半燃少女は幼馴染   作:セロリ畑

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 感想ありがとうございます。
 当たり前ですが競技中は甘え描写が書けないので甘々不足気味。けど隙あらば甘えさせます。

 今週のジャンプの自信のある感じの出久くんが、今作出久くんのイメージとぴったりで悶えました。カッコいい!

 それでは騎馬戦回。
 


14:らしくないけどらしい騎馬戦。

 暑苦しい父親らしきナニカの存在を記憶から消去した頃合い。

 スタジアムへ帰ってくる生徒たちがちらほらと現れだした。

 B組の男女の後に機動力の高い飯田や常闇、瀬呂などが来て、続く人もA組B組のヒーロー科がおおよその割合を占めている。

 例の宣戦布告した普通科男子の姿もあったので、やはり実力はあるらしい。

 見たところそんなに身体を鍛えているようには見えないが、個性が強力なのだろうか。

 

『さあ! トップがあれ過ぎて実況が上手くいかなかったが続々とゴールインしてるぜ!! 1位以下の順位は後でまとめるからとりあえずお疲れ!!』

『実況が上手くいかなかったのはお前がトロトロしてたからだろ』

『こいつぁシヴィー!!!!』

 

 解説の二人が漫才しているのを聞き流しながら戻ってきた生徒たちを見ていると、たったかたったかと足音が近寄ってきた。

 

「デク君、凍夏ちゃん……めっちゃ速かったね!」

「この個性で遅れをとるとは……やはり僕、俺はまだまだだな……」

「麗日さん、飯田くんも」

「お疲れ様、お茶子」

「凍夏ちゃんもおつかれさまー……やっぱ二人ともすごいねえ! 1位おめでとう!」

「ありがとう、頑張った」

「シンプルや! でも真理だよね!」

「うん……うん?」

「うん? あ、八百万さんめっちゃフラフラしとるね」

 

 麗日たちと話している途中、やけにボロボロの八百万が視界の端でフラフラとしているのが見えた。

 どうしたのかと思えば、背中……というかお尻にボコボコの峰田が頭のやつで引っ付いている。なんだあれ。

 

「一石二鳥よ! オイラ天才!!」

「くぅ……こんなハズじゃあ…………サイッテーですわ!!」

 

 ……成る程、どんな障害も安定して通れる八百万に寄生した感じか。

 それもありだとは思う。体力を使わない頭の良い方法だ。

 

 けど、それはそれとして。

 

「えい」

「えっ」

 

 八百万を巻き込まないように峰田を氷結させて、炎で彼女から分離する。

 その場に更に氷結で固定し、峰田のオブジェが完成した。

 息だけは出来るから、まあ死にはしないだろう、多分。

 

「大丈夫?」

「は、はい。申し訳ありません…………けれど轟さんの手を煩わせずとも、自分で何とかしましたのに」

「友達でしょ。手助けぐらいするよ」

「ーーっそっ、そうでしたわね! ありがとうございますっ!!」

「うん」

 

 ぱぁっと表情の晴れた八百万に、ぎゅっと手を握られる。

 こうも嬉しそうにされると、こっちも嬉しくなるから良い。

 多分出久たちにも微笑ましげに見られている事に気づいてないんだろうけど、八百万のこういう所は嫌いじゃない。

 あ、気づいて顔を赤らめた。可愛い。

 

「轟さん、()()()()()()()には溶かしてね」

「はい」

 

 ミッドナイト先生にも言われたので、()()()()()()()()あれは放置しておこう。

 

 

 それから普通科やサポート科の生徒たちも戻ってきて、何かしらでリタイアした者以外がスタジアムに揃った辺りで障害物競走の終了が告げられる。

 峰田を解凍しながら聞いていると、42位までが予選通過だと開示される。

 そういえば上位何名が第二種目に進めるかは言われてなかったっけ。

 私たち1位三名と、4位の塩崎というB組女子に始まり42位の青山までが予選通過になる。

 その青山はお腹を押さえてぷるぷる震えているけど、大丈夫なのか。

 ともあれ、A組は全員通ったらしくて良かった。

 

 さて、いよいよ次からが本選だ。

 はりきって司会進行を務めているミッドナイト先生が宣言する。

 

「さーて第二種目よ!! 私はもう知ってるけど~~~~……何かしら!?」

 

 彼女の背後のモニターからドラムロールのような音を鳴ったかと思えば、『騎馬戦』の文字が表示された。

 

 二種目は個人競技ではないらしい。爆豪が露骨に舌打ちしたのが聞こえた。

 

「参加者は2人から4人のチームを自由に組んで騎馬を作ってもらうわ! 基本は普通の騎馬戦と同じだけど、一つ違うのが先程の結果にしたがい各自にポイントが振り当てられる事!!」

 

 騎馬戦のルールが説明されている中、私は騎馬戦の例の図に気を取られていた。

 なんで優に200kgを越えていそうなオールマイト(後に聞いた出久ぺディアによると現在255kg。全盛期は274kgだったとか)が騎手で、13号先生とスナイプ先生、プレゼント・マイク先生が騎馬をしているんだろう。

 確かに騎手は強いかもしれないが、明らかにバランスが悪いと思う。

 突っ込みたかったけど、色々な考察でざわめく生徒をミッドナイト先生が黙らせているタイミングだったので、無理そうだ。

 

「そして与えられるポイントは下から5ずつ! 42位5ポイント、41位が10ポイント……といった具合よ」

 

 なら1位は210ポイントか。

 結構細かい計算をして騎馬を――

 

 

「そして1位に与えられるポイントは、1000万!!!!」

 

 

「えっ」

「いっ!?」

「へぇ?」

 

 ……まさかの桁が跳ね上がった。芸能クイズ番組みたい。

 

 ぽかんとする私、目を丸くする出久、面白げに口を歪ませた爆豪。

 私たち三人に、他の生徒の視線が集中する。

 

「……の、つもりだったんだけど、1位が三人という事で、一人333万ポイントに変更します!!」

 

 視線は減らなかったがポイントはちょっと減った。けど誤差の範囲内だと思う。

 1万ポイント分は無かったことにされたらしい。割り切れないから仕方ないけれども。

 

「そんな訳で、上位の奴ほど狙われちゃう……下剋上サバイバルよ!!! 上に行く者には更なる受難を! 雄英に在籍する以上何度でも――」

 

 

「待てや審判」

 

 

 説明するミッドナイト先生の言葉を遮って、爆豪が口を挟む。

 何かを企んでいる……というか良いことを思い付いたと言わんばかりの悪い顔だ。

 

「ちょ、ちょっと、まだ話の途中……」

「本来なら1位は1000万なんだな? なら話は簡単じゃねえか……デク、轟、俺の馬になれ」

 

「……えっ」

「……あー、成る程」

 

 爆豪の爆弾発言に、会場がざわめき始める。

 出久は納得したらしいが、私には意味が分からないし、爆豪らしくないとしか思えない。

 この男、さっき私たちに次は単独一位とか宣言してこなかったか。

 

「凍夏ちゃん、かっちゃんはポイントを分散するのが気に食わないんだよ」

「1位の価値が下がるよりは、テメェらと組んで格の違いを見せつけた方がマシだ」

「……そういう事ね」

 

 それなら確かに爆豪らしい。

 確実にトップに君臨し続ける気な態度に少し呆れるが、こいつの気持ちは分かった。

 馬になれ、なんて言い方と下にする前提なのが多少気に食わないけれど。

 

 その提案に乗るのは、悪くない。

 

 出久を見れば異論無さげに頷いたので、私も頷き返した。

 

 

「私は構わないよ」

「やろうか、かっちゃん」

 

「はっ! っつー訳だ審判、これで1位の騎馬は1000万で文句ねえな」

「勝手に決めないの全く…………けど、そういう青臭いのは、好み!!」

 

 決定事項のように告げる爆豪にミッドナイト先生は溜め息を吐いたが、それはそれで面白いと思ったのか笑みを浮かべながら鞭を振るう。

 今更だけど、結構主審の自由に出来るのか。

 

「という訳で、1位が全員同じチームになったので、そこを1000万ポイントとします!! あ、後一人入れるけどその場合は別にプラスになるわ!!」

 

 そういえばチームは四人までか。

 今のままだと出久が前衛で私が後衛だろうけど、騎馬を安定させる為にはもう一人ほしい所ではある。

 ただ、この間違いなく狙われるチームに入ってくれる猛者が現れるかどうかは別として。

 

 そこからミッドナイト先生が細々としたルールを語ってくれた。

 制限時間が15分。騎手はそのチームの合計ポイントの表示されたハチマキを着けてそれを奪い合う。

 0ポイントでもアウトにはならないらしいので、かなりの混戦が予想できる。

 個性もありらしいが、あくまでも騎馬戦なので悪質な崩し目的なのは一発退場になる。こら爆豪、舌打ちしない。

 

 けどまあ、だとしてもこのルールなら。

 

 

「それじゃ、これより15分! チーム決めの交渉スタートよ!」

 

 

 私たちに、敗北はありえない。

 

 

 

 

 1位チームに入れてくれという猛者は居ないと思っていた……のだけど。

 

「凍夏ー! 私も入れてよ!」

「爆豪! 俺なら倒れねえ騎馬の力になれるぜ!!」

「一位の人! 立場を利用させて下さいな!!」

 

「人気だね」

「僕はともかく、凍夏ちゃんとかっちゃんが居るしね……」

「うるせえぞ!! 散れやクソ共が!!!!」

 

 

 わらわらとそれなりに人が集まってきている。

 狙われても勝ち抜けると思われたのか、売り込みが強い。

 安全パイとはまでは言えないが、逃げ続ければ勝てる騎馬なら、それはそれで楽ではあるし。

 爆豪がそんな消極的な策を取るかは別としても。

 

 確実に私たちと組む気が無いのは……何やら私や出久に強い視線を送ってくる八百万と飯田、後はB組に例の普通科男子ぐらいか。

 

 あと出久、その自分はともかくっていう言い方は好きじゃない。

 間違いなく私や爆豪より人望があるんだから、もっと自信を持ってほしい。

 

 こほん、今はそれよりこっちだ。

 

「どうするの?」

「んーと、かっちゃん?」

「こういうのはテメェの仕事だろがクソデク……!!」

「えっ、僕が選ぶの!?」

「要りそうなのが居ればだ!! 居なきゃ殺しとけ!!!」

 

 わらわらと人に募られてカリカリしている爆豪に怒鳴られた出久は、考え込むように手を口元に当てた。

 そのままいつものブツブツが始まるのかと思いきや、少ししてすぐに顔を上げる。

 

「よし、決めた! ……麗日さん! 良かったら僕たちと組んでくれないかな?」

「えっ!? わ、私でいいの?」

「うん。麗日さんの個性なら僕たちの騎馬の不安を消せそうなんだ」

「デク君……分かった、頑張る!」

 

 出久が集団の後方で控えめに主張していたお茶子を指名した。

 私たちの騎馬の不安と言えば……ああ、成る程。

 ベストは八百万だけど、彼女が誘えないならお茶子の個性がベターだ。

 

「凍夏ちゃんもよろしくね! 爆豪君も!」

「うん。頑張ろう」

「足引っ張ったら殺す」

 

 他が少し肩を落として去る中、お茶子が私と爆豪にも麗らかに挨拶する。

 すぐに死ねとか殺すとかいう爆豪、それ系のワード禁止したら喋れなくなるんじゃないだろうか。

 そういう個性が居たら試してほしい、などと考えていたら出久が微妙な目でこちらを見ている。

 私の思考が変な方向に行ってる時によく向けられる視線だ。以心伝心みたいでちょっと嬉しい。

 あ、呆れた顔になった。

 

 

 それから作戦を話し合っていると制限時間となって、他の騎馬もチームが決まったようだ。

 

 

『さぁ起きろイレイザー! 15分のチーム決め兼作戦タイムを経てフィールドに12組の騎馬が並び立った!!』

『…………なかなか面白ぇ組が揃ったな』

 

 

 と、同時に実況が復活した。

 正直存在を忘れかけてた。相澤先生も寝ていたみたいだし。

 怪我が治ってないのだから無理はしないでほしい。

 何を考えてプレゼント・マイク先生は引っ張ってきたのか……と思ったが、本人には出来ないまともな実況に必要だったんだとすぐに思い至った。

 

 

『よォーし組み終わったな!!? 準備は良いかなんて聞かねえぞ!!』

 

 

 さて、始まるようだし、意識を切り替えよう。

 

 私たちの騎馬は騎手が爆豪。

 前衛が出久、左後ろがお茶子。

 そして右後ろに私。

 

 この布陣なら、私たちは負けない。

 

 

『行くぜ!! 残虐バトルロイヤルカウントダウン!!』

 

 

「凍夏ちゃん、最初はお願い」

 

『3!!!』

 

「任せて」

 

『2!!』

 

「かっちゃんと麗日さんも、準備しててね」

 

『1……!』

 

「指図すんなわーっとるわ」「っうん!」

 

 

『START!』

 

 

 さあ、騎馬戦を始めよう。

 

 

 

 

『さァ! スタートと共に1位の騎馬が一斉に狙われて……オォオオ!!?』

『マジで加減抜きだな……』

 

 

不動氷陣(ふどうひょうじん)

 

 

 スタートの合図と同時、私は右足を中心として広範囲氷結を繰り出した。

 予測して避けようとした騎馬もいたが、私には関係ない。

 

 

「よ……容赦ねぇ…………」

「くっ……こ、これは排気筒(マフラー)どころか……」

「ゆ、指一本、動かせませんわ……!」

 

 

 騎馬戦のフィールド内に居る全ての騎馬のメンバー全員を、首の下まで氷結する。

 

 大規模氷結と精密な制御を必要とするが、周囲を囲まれた時に一気に拘束出来る、USJでも使った私の技の一つだ。

 しかもあの時より、氷の密度を高くしている。

 芦戸の酸や青山のレーザーでも暫くは突破出来ない筈。

 流石に私たちの騎馬も少し凍っているが、そこは炎で溶かせば問題なし。

 

 ちなみにそれっぽい技の名前は、個人的に考えたもの。

 後に出久から「常闇くんが喜びそうな名前だね」と言われた。どういう意味だろう。

 

 炎を調節しながら自分たちに付いた氷を溶かしきったので、皆に伝える。

 

 

「よし、動けるよ」

「うん。それじゃあ麗日さん」

「らじゃー!」

 

 

 お茶子が自分を除く三人に触れて、重力を無くす。

 これで準備は全て整った。

 

「オッケーだよ皆!」

 

 

「んじゃまあ……死にさらせや!!」

 

 

 物騒な言い方はさておいて、私たちは他のチームへと駆け出した。

 

『オイオイオイオイ!!? 爆豪チーム、轟がエリア内の騎馬どころか地面まで全部を凍らせたと思ったら、他のチームのハチマキを取りに行ったぞ!? 守りに入るどころか超攻撃的じゃねえか!!』

『選手宣誓で言ってただろうが。完膚無きまでの一位を獲るって』

『そーゆーことか!! 向上心高過ぎんだろ!!!』

 

「くっ、黒影!」

「ア、アイヨ!」

「しゃらくせぇ!!」

「ヒャン!?」

 

 幾人か動ける者が居ても、爆豪ならば心配は要らない。

 これでも、こいつの戦闘センスは認めている。

 一対一でこの男に勝てる相手は、私の見立てでは居なかった。

 

「ば、爆豪来たぜ!」

「くぅ、間に合わない……上鳴さん!」

「ぐぐぐ……む、無差別放電……130万ボルト!!」

 

 おっと、それでもこの騎馬だけは要注意だ。

 切島が騎手で、前から飯田・八百万・上鳴のチーム。

 対電気に対しては、流石に私たちも防ぎようがない。

 けど、その時の為のお茶子の個性だ。

 

「飛ぶよ! フルカウル、20%!!」

 

 出久が騎馬ごとジャンプして、広範囲の放電を避けた。

 お茶子一人分の重量なら、出久の個性で十分な高さへ飛び上がれる。

 着地は私の炎の推進力を使い、なるべく勢いを殺す。

 まだ放電の危険性はあっても、避けられるのを警戒して簡単には使えなくなった筈。

 ……いや、もう気にしなくても良さそうだ。

 

 

『圧倒的!! 爆豪チーム、凍らせた騎馬からどんどんハチマキを奪っていくゥ!!!! しかも今の上鳴の放電が氷から伝わって他の騎馬全部シビれてんじゃね!!?』

『苦し紛れの攻撃が逆に爆豪チームを有利にさせちまったな。焦った切島チームの失態だ』

『いやいや、マジで全獲りあんぞこれ!!』

『実況が遅い。見てみろ』

 

 

「ぐっ……畜生……!」

「はっはぁ!!! これで、最後ォ!!!!」

 

 絶縁シートが間に合わず、痺れた切島から爆豪がハチマキを奪う。

 

 試合時間はまだ5分と経っていない。

 けれどこれでもう、12チーム全部のハチマキが揃った。

 見渡す限り、どのチームにも動く気力は無さそうだ。

 爆豪もそう思ったのか、ミッドナイト先生へハチマキを突き出して叫ぶ。

 

「オラ審判! 俺らの勝ちで終われや!!」

「……そうね、これ以上は時間が勿体無いか。オーケー! 第二種目騎馬戦!! 爆豪チーム1位で一旦終了!!!」

「しゃあああああ!!!!」

 

 主審の宣言と爆豪の雄叫びに、どういう展開になるのかとざわめいていた会場のボルテージが一気に沸き上がった。

 こういう言い方はあまり好きではないけれど、格の違いを見せつけるような戦いばかりになってしまった。

 

『圧倒的!! もう一度言おう、圧倒的ィ!!! 第一種目に引き続き、轟、緑谷、爆豪の三名が、他を寄せ付けない圧倒的な力で最終種目進出ゥゥ!!!!』

『うるせぇ……轟、早めに氷を溶かしとけ』

「はい」

 

 先に騎馬を崩してから、凍らせた騎馬をフィールドごと熱で溶かしてゆく。

 動けるようになった皆は、一様に悔しそうな顔で項垂れていた。

 何か言おうにも、勝者の私たちに掛けられる言葉は無い。

 出久も同じ思いなのか、少し辛そうな顔をした後、私やお茶子に向き直った。

 

「凍夏ちゃん、麗日さん、お疲れ様」

「うん、出久もお疲れ」

「お疲れさまー……何か私そんなに役に立ててない気がするけど……」

「何言ってるのさ、上鳴くんの放電は麗日さん無しじゃ避けれなかったよ」

「そっ、か。うん、ありがとうデク君!」

 

 

「さて! それじゃあ爆豪チームは一抜けとして……残りの11チームでもう一度騎馬戦をやります!!」

 

 お互いの頑張りを称えあっていると、ミッドナイト先生が他の生徒たちへと宣言している。

 流石に最終種目が四人だけなのは少なすぎるから、救済措置といったところか。

 

 私たちは先に休憩に入って良いとの事で、気合いを入れ直している皆を横目にスタジアムを後にしようとした。

 

 

「おい」

 

 

 けれど爆豪に呼び止められて、出久やお茶子も振り返る。

 

「どうしたの? あ、かっちゃんもお疲れ様」

「あんな程度で疲れちゃいねえよクソが。それより、次だ」

 

 騎馬戦で圧倒した事すら歯牙にもかけず、先を見ているらしい爆豪。

 次の最終種目。内容は変われど、毎年個人戦をやっている。

 

 

「テメェら全員ぶっ倒して、そんで俺がトップだ」

 

 

 瞳をギラギラさせながらそういう爆豪に、出久も負けじと言い返す。

 

 

「僕も今までとは違う……全力でかかってこい!」

「はっ、上等だ……!」

 

 

 挑発的な笑みで告げられた出久の言葉に、凶悪な笑顔を浮かばせた爆豪。

 真っ当なライバル、そう見える二人は楽しそうだった。

 

 ちなみに私は特に何も言う気はないので、居心地が悪そうなお茶子の隣で終わるのを待っている。

 

「な、何か私、場違いだなぁ……」

「気にしなくていいと思うけど」

「う、うん……って凍夏ちゃんは気にしなよ!?」

「わ」

 

 そんなに大声で驚かなくても。

 確かにさっきから、何か言いたげな出久と爆豪の視線を感じなくもないんだけど。

 始まる時に言ったし、何度も意気込むのは性に合わない。

 

 けれどまあ、今日ぐらいはそういうのもありか。

 私は二人に向き直り、真っ直ぐ目を見て気の強い感じの笑みを浮かべる。

 

 

「私も負けな――」

 

 

 そして言葉を言いかけた所で。

 

 くぅー、と、私のお腹が鳴った。

 

 

「「「…………」」」

 

 

 出久も、お茶子も、爆豪さえも何とも言えない顔をしている。

 

 うん、流石にタイミングが悪かった。

 

 けど、とりあえず一言。

 

 

「ご飯食べに行こう」

 

 

 結構体力を使ったから、お腹が空いた。

 

 そう言うと出久と爆豪は脱力したように肩を落として、お茶子は吹き出した。

 

「まじでか凍夏ちゃん……!」

「ンだコイツ……!」

「めっちゃマイペースや!!」

 

 締まらなかったのは、反省してます。

 

 

 




 オリ主ちゃん、真面目な時もマイペースの化身。

 ちなみに実際は氷は電気を通しにくい物質らしいです。
 水の時から言える事ですが、中に混ざった不純物があるから通電しやすいというだけで、不純物が無ければ逆に通しにくいとか。
 今作では氷を通じての部分もありますが、そもそも上鳴の放電範囲が広かったのも通電の原因になってます。マイク先生の実況は半分正解半分間違いみたいな感じ。
 
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