半冷半燃少女は幼馴染   作:セロリ畑

33 / 35
 
 感想・評価ありがとうございます。
 この頃よくわからない時間に寝落ちる事が増えた作者は元気です。

 職場体験編スタートです。
 オリ主ちゃんのヒーロー名決定回。
 掲示板の方が進んでませんがその内しれっと更新するのでご了承下さい。


職場体験編
28:休み明け。皆の反応とコードネーム。


 出久と一緒に轟家で過ごす二日間の休日が終わり、体育祭後初めての登校日。

 雨が降る中をお母さんたちに見送られつつ家を出て、相合傘で二人寄り添って雄英へ向かっていると、色々な人たちに声を掛けられた。

 

「最強カップルだ!」「相合傘してるの可愛い!」「凍夏たんかぁいい」「かぁいい」

「体育祭凄かったな!」「二人ともサインください!」「緑谷きゅんはあはあ」「はあはあ」

「朝から見せつけてくれるぜェーゥグボホォ!!」「汚ぇ!」「何吐血してんだよ」

 

「一気に有名人になっちゃったね……」

「あはは……まあ、覚悟はしてたよ……」

 

 通学路から電車の中まで休む暇がなかった私たち。

 駅などの開けた場所ならともかく、ぎゅうぎゅう詰めの電車内で騒がれるのは流石に辛いものがある。

 

 体育祭でのあれこれで有名になった私たちは、とあるメディアがネットで評した「最強カップル」の異名で知られているらしく、大体その名称で呼ばれてちやほやされた。

 思いの外応援してくれる人が大半で、老若男女問わずたくさんの人たちからエールを貰ったのは嬉しい誤算だ。

 ……時々睨んだり舌打ちしてくる人も居て、少し悲しくなったりもして。

 多くのエールの中で直接何かをしてくる事はなかったけど、少なからず反感を買ってしまう行いだったのが再確認出来てしまったから。

 

 それでも、出久はそんな人たちにも人畜無害の柔らかい笑顔を向けている。

 本当に……ここまで格好いい所を見せて、どれだけ私を好きにさせちゃえば気が済むんだ、この大好きな彼氏さんは。

 一人で悲しいなんて考えている暇があるなら、私も同じぐらい綺麗な対応をすれば良いんだ。

 だからと思い、周りに満面の笑みを向ければ、何故か一斉に顔を逸らされてしまった。悲しい。

 

 

 そんなこんなで応対しながら、人が少ない雄英付近まで来れば、ようやく一息吐ける。

 仕方ないとはいえ、朝からちょっと疲れてしまった。

 

「凍夏ちゃん、大丈夫?」

「ちょっと疲れちゃった。出久は?」

「僕もちょっとだけ。トップヒーローになったらこれが日常になるんだろうし、慣れなきゃね……」

 

 苦笑する出久に、私も小さく笑みを溢す。

 常に将来の事を考えて、糧にしようとする姿勢は彼らしい。

 私も見習わなきゃ、と気合を入れていると、後ろからバシャバシャと誰かが規則的に走ってくる音が聞こえた。

 

「何呑気に歩いてるんだ!!」

 

 続く声に二人で振り向けば、雨の中を全身に雨具を着て走る飯田の姿。

 

「遅刻だぞ! おはよう緑谷君、轟君!!」

「カッパに長靴!!」

 

 そのまま私たちを追い抜いていく彼に、何となく追走する。

 遅刻と言うけど、まだ余裕があるような。

 

「遅刻って、まだ予鈴五分前だよ?」

「雄英生たるもの十分前行動が基本だろう!!」

「あ、そういう事ね」

 

 ヒーロー科の模範であろうとする飯田らしい理由だった。

 雨の中を急いで滑ったら危ないとは思うけど、その為の長靴か。

 どこまでも真面目な友達に、小さく笑ってしまった。

 

 と、そこで走っていた飯田が何故か立ち止まり、こちらを向いた。

 

「そうだ、二人が交際を始めたと聞いたよ。おめでとう」

「あ、う、うん。ありがとう」

「ありがとう飯田。知ってたんだ」

「それはそうだ。というか、知らない人は殆ど居ないと思うが」

「まあ、ね」

 

 うん、ニュースや記事にもなっているのだし、当たり前か。

 でも……飯田が祝福してくれるのは、少し予想外。

 真面目な彼は、ヒーローを目指す者が恋愛にうつつを抜かすなど! なんて言うようなイメージがあったんだけど。

 それを問えば、飯田は小さく笑いながら教えてくれた。

 

 

「確かに一部では不純異性交遊などとも言われていたが、俺は君達の関係をそれなりに深い所まで知っているんだ。交際には何の問題も無いと思っているよ」

 

 

 ――これは、かなり嬉しい。

 つまり、私と出久なら恋人になっても勉学に影響が出ないと、心配は要らないと信頼されてるって事。

 

 本当に、私たちは良い友人を持った。

 

 

「っ……飯田君の信頼を、裏切らないようにするから!」

 

 

 出久も泣きそうな顔になりつつ、力強い笑みを浮かべていたから。

 

 

「うん。私も出久も、これからも変わらずヒーローを目指して頑張るね」

 

 

 私も、同じような笑顔でそう告げた。

 

 

「ああ! 友として仲間として、ライバルとして励んで行こう!」

 

 

 そう言って、改めて走り出した飯田に……ふと、出久から聞いて、ニュースで見た事件を思い出す。

 

 インゲニウムが、彼の兄が敵に襲われた件は、どうなったんだろう。

 

 出久も思い至ったらしく、下駄箱で靴を履き替える飯田に少し躊躇い気味に問いかける。

 

 

「あの、飯田君……その、お兄さんは」

 

「兄の件なら心配ご無用だ」

 

 

 台詞を被せるように言い切る彼は、分かりやすく作り笑顔で。

 

 

「要らぬ心労をかけてすまなかったな」

 

 

 謝罪を述べて、それ以上の追求を拒んでいたから。

 

 私も出久も、背を見せた飯田に声を掛ける事が出来なかった。

 

 

 

 

 小さな不安を残しつつも、今はまだどうしようもないと結論付けて、職員室で反省文を提出しに行く。

 受け取った相澤先生(怪我が治ったらしく、包帯が無くなっていた)は「今後、羽目を外し過ぎないように」とだけ言い、それ以上の説教は無くて。

 冬美姉さんからあの男と共に後処理の打ち合わせをしていたと聞いている私たちは、ただただ感謝を込めて頭を下げた。

 

 

「あ、来たぜ! 最強カップルのお出ましだ!」

 

 

 始業ギリギリに教室に入れば、談笑していた皆が一斉にこちらを向いた。

 その勢いのまま、私と出久の元へ皆が集まってくる。

 男子勢は出久を、女子勢は私を捕まえて周りを囲んできた。

 

「凍夏ちゃんおめでとー!!」

「緑谷から大体聞いたよー!! 恋人になれて良かったね!!」

「あ、ありがとう」

「おめでとう凍夏ちゃん。お似合いで素敵なカップルだと思うわ」

「ウチもそう思う。おめでと」

「え、えへへ、嬉しい」

「轟さん! お付き合いを始めてどういった変化があったのか、私とても気になりますの!」

「私も! 後で色々聞かせてもらうからね凍夏ちゃん!」

「う、うん、分かった……」

 

 勢いが、勢いが凄い。

 芦戸や葉隠はいつもこんな感じだからともかくとして、耳郎や梅雨ちゃんがここまでぐいぐい来るとは。

 お茶子と八百万も鼻息荒いし、正直ちょっと怖い。

 

 

 出久に助けを求めようにも、あちらはあちらで男子に囲まれているから無理だし。

 女子より人数が多い分、あっちの方が大変そうだ。

 今も上鳴と瀬呂に肩を組まれて引き気味の苦笑いを浮かべているけど、大丈夫だろうか。

 

 と、そんな私たちを救うかのようにチャイムがなる。

 流れるように席に着く皆に続き、解放された私と出久もようやく座れた。

 静かになったと同時、相澤先生が教室へ入ってくる。

 

「おはよう」

「「「「おはようございます!!」」」」

「相澤先生包帯取れたのね。良かったわ」

 

 梅雨ちゃんが明るい声で先生の復帰を喜ぶ。

 私たちを守っての怪我だったし、治ってくれて本当に良かった。

 

 ただ、右目の下に傷痕が残ってしまっているのが気になる。

 目に関する個性の相澤先生に、何か影響がなければ良いんだけど。

 

「婆さんの処置が大ゲサなんだよ。んなもんより今日の“ヒーロー情報学”、ちょっと特別だぞ」

 

 先生の言葉に、教室が緊張に包まれる。

 あれ、何かこういう状況に既視感を感じる気が。

 

 

「『コードネーム』ヒーロー名の考案だ」

「「「「胸ふくらむヤツきたああああ!!!!」」」」

 

 

 あ、このパターンか。納得。

 っていうかなんで皆言葉を揃えて叫べるんだろう。やっぱり打ち合わせしてるのかな。

 私も混ぜてほしいのに……誰が主体でやってるのか知らないや。

 後で誰かに聞いてみよう。芦戸とか上鳴辺りに。

 

 ざわめく教室を、相澤先生が個性を使いながら一睨みして静まらせる。

 

「……というのも、先日話した『プロからのドラフト指名』に関係してくる」

 

 そこから続く先生の話は、父からも知識として聞かされていた事で。

 

 指名が本格化するのは経験を積んで即戦力となる二、三年生からで、一年の今来た指名は将来性への期待や興味のようなもの。

 それが卒業までに削がれた場合、一方的なキャンセルなんて事もよくあるとか。

 大人は勝手だなんて峰田が溢していたが、私からすれば当たり前だと思う。

 そうは居ないだろうけど、貰った指名に満足して胡座をかく人も居るかもしれない。

 指名をハードルとして捉えられず、プルスウルトラ精神を忘れて成長を続けないようなヒーローの卵など、羽化出来る筈もないのだから。

 

 とはいえ、私と出久は卒業した後はエンデヴァー事務所に入る予定なので、あまり関係が無い。

 私たちやあの父親が曲がるとは考えられないので、言ってしまえば今更な話だ。

 

「で、その指名の集計結果がこうだ。例年はもっとバラけるんだが、今年は三人に注目が偏った」

 

 相澤先生が黒板にA組の指名件数のグラフを表示させる。

 内訳は以下の通り。

 

 

 轟 3200

 緑谷 2448

 爆豪 2032

 常闇 380

 飯田 274

 八百万 249

 上鳴 98

 麗日 70

 切島 68

 瀬呂 24

 

 

「にっ、にせんよんひゃくよんじゅうはちー!!?」

「デクの下だァ……!!?」

 

 出久と勝己が、それぞれ驚きと悔しさの混じった叫びをあげる。

 うん、彼に興味を持った2500人近くのプロは良い判断だ。

 私も結構指名を貰ってるけど、それより出久が評価された事が嬉しい。

 

「2位3位逆転してんじゃん」

「色々過激だったからっしょ。そりゃビビるわな」

「あんぐらいで過激とかビビってんなよプロが!!」

 

 爆発頭を更に爆発させるかのように勝己ががなる。

 絶対そういうところだと思うけど、言ってこっちに矛先が向いてもあれだし、黙っておこう。

 

「流石ですわ、轟さん」

「ん、ありがとう。八百万も良かったね」

「ええ……轟さんの十分の一以下ですけれどね……」

 

 たくさんの指名があったのにも関わらず、八百万は何やら重い溜め息を吐いている。

 悔しそうというか何というか、思い詰めている様子、というのか。

 私の3200は親の話題もありきでの結果だと思うし、単純な比較にはならないんだけどな。

 

 一喜一憂するクラスを見ながら、相澤先生が話を続ける。

 

 

「これを踏まえ……指名の有無に関係なく、所謂職場体験ってのに行ってもらう」

 

 

 職場体験。そのフレーズに皆がそわそわし始める。

 名前だけ聞くと楽しそうだけど、要は現場を見て来いって訳なんだろう。

 

「お前らは一足先に経験してしまったが……プロの活動を実際に体験して、より実りある訓練をしようってこった」

「それでヒーロー名か!」

「俄然楽しみになってきたァ!」

「まァ仮ではあるが、適当なもんは……」

 

 

「付けたら地獄を見ちゃうよ!!」

 

 

 相澤先生の言葉を引き継ぎ、教室に一人の先生が入ってくる。

 体育祭でもお世話になった、ちょっと過激な女性ヒーロー。

 

 

「この時の名が! 世に認知されそのままプロ名になってる人多いからね!」

「「「「ミッドナイト!!」」」」

 

 

 そう、18禁ヒーローのミッドナイトだ。

 ちなみに本名は香山睡(かやま ねむり)さんという。可愛い名前だと思う。

 

「まァそういう事だ。その辺のセンスをミッドナイトさんに査定してもらう」

 

 俺はそういうのできん、と言いながら寝袋を手に取る相澤先生。

 もしかしなくても、香山先生に丸投げして寝るつもりらしい。

 

「将来自分がどうなるのか、名を付けることでイメージが固まりそこに近付いてく。それが「名は体を表す」って事だ。“オールマイト”とかな」

 

 それだけ言い終えると教室の隅で寝袋に入る相澤先生。

 完全に引き継いだらしく、早くも目を閉じて眠りに入っていた。

 病み上がりで体力が戻ってないのかも。ゆっくりしててください。

 

 

 

 それからフリップが配布され、考える時間が与えられる。

 とはいえ私のヒーロー名は決まっているので、書いてからぼんやりと待っていた。

 

 そして15分程が経過して、香山先生が口を開く。

 

 

「じゃ、そろそろ出来た人から発表してね!」

 

 

 先生の言葉に、なにやらクラスがざわめき始める。

 何のざわめきかと考えている内に、トップバッターの青山が前に立つ。

 

 

「行くよ。輝きヒーロー“I can not stop twinkling”」

「「「短文!!!」」」

 

 

 長めのヒーロー名に、皆からツッコミが入る。

 私は青山のキャラに合ってると思ったけど、あれは駄目な例になるのか。

 

 

「そこはIを取ってCan'tに省略した方が呼びやすい」

「それね、マドモアゼル☆」

 

 

 ホントだ、呼びやすくなる。キャントストップトゥインクリング。

 世間から呼ばれる時は更に略されてしまうかもだけど、良い感じに変えられている。

 流石香山先生。こういうセンスもプロ的なんだ。

 

 ……何故か空気は固まっているけど。どうしたの皆。

 

 

「じゃあ次アタシね! エイリアンクイーン!!」

「2!! 血が強酸性のアレを目指してるの!? 止めときな!!」

 

 

 続く芦戸が発表すると、更に空気が変になった気がする。

 発表しづらい空気というか、誰も行く勇気が無い感じ。

 

 よく分からないけど、私が行っても良いのかな?

 

 

「ケロッ、じゃあ次私良いかしら」

「「「「梅雨ちゃん!!」」」」

 

 

 あ、梅雨ちゃんに先に行かれちゃった。

 

 そして壇上へ向かう彼女に、クラスの皆が勇者を見るような視線を向けている。

 本格的に私だけ何も分かってない空気だ。しょんぼり。

 

 

「小学生の時から決めてたの。フロッピー」

「カワイイ!! 親しみやすくて良いわ!! 皆から愛されるお手本のようなネーミングね!」 

「「「「フロッピー!! フロッピー!!! フロッピー!!!!」」」」

 

 

 皆の雰囲気が明るくなって、フロッピーコールが巻き起こる。

 よく分からないまま、よく分からない状態が終わってしまった。

 ……まあいっか。フロッピー可愛い。

 

 

 それから皆が次々とヒーロー名を発表していく。

 

 切島の「烈怒頼雄斗」に始まり、「イヤホン=ジャック」「テンタコル」「セロファン」「テイルマン」「シュガーマン」「ピンキー」「チャージズマ」「インビジブルガール」など、どんどん皆らしい名前が出されていって。

 

 何となくタイミングを逃した私は、少し考えてから待つ事にした。

 トリを飾りたい訳じゃないけど、残りが少ない方がゆっくり言えるだろうし。

 

 それに……どうせなら、出久と同じタイミングが良いかな、なんて。

 

 その出久も、既にヒーロー名は決めている。

 

 始まりは良くない意味で、最近良い意味に変えられた、あのあだ名。

 

 正直複雑な気持ちではあるけど、出久にとってのヒーロー名なら、あれ以上のものは無いと私も思う。

 

 

 と、その出久が行くみたいだ。

 

 教壇に上りヒーロー名を書いたフリップを出すと、皆から戸惑いの声が上がった。

 

 

「緑谷!?」

「いいのかそれで!?」

「一生呼ばれ続けるかもしれねえんだぜ!?」

 

 

「うん。このあだ名、今まであまり好きじゃなかった」

 

 

 穏やかな声で語り始める出久に、教室が静かになる。

 

 

「名前のもじりから始まって、木偶の坊って意味で使われて……でも、雄英に入学した日に意味を変えてくれた人が居たんだ」

 

 

 柔らかい声と表情で一瞬だけ、目をある人に向ける。

 

 すぐに視線を外したけど…相手は言わずもがな、麗らかなあの子で。

 

 

「それが僕には結構な衝撃で、嬉しかった……まるで、今までの僕も肯定されたような気がしたぐらいに」

 

 

 ある意味では私すら否定していた部分を肯定されたみたいな、出久にとって青天の霹靂だった事。

 

 少しだけ彼女に嫉妬を覚えて、それ以上に嬉しさを感じた。

 

 だって、距離が近かった私には出来ない方法で、あの子は……お茶子は、出久を救ってくれたんだから。

 

 大好きな人を助けてくれた、私の大切な友達。

 

 

 

「だから――これが僕のヒーロー名です」

 

 

 

 お茶子が意味を変えた、頑張れって感じの「デク」。

 

 

 未来の平和の象徴となる、最高のヒーローの名前だ。

 

 

 

 

 さて、それじゃあそろそろ私も行こう。

 

 出久と入れ違うように前に出て、フリップを教卓に出しながら口を開く。

 

 

 

「轟凍夏――ヒーロー名は『ヒエン』」

 

 

 

 氷と炎で、氷炎(ヒエン)

 

 半冷半燃をそのままに、名を体に表したもの。

 

 少し地味めかもだけど、良い感じに決めれたと思う。

 

 

「シンプルイズベストって感じね! 個性も分かりやすくて良いわ!!」

「ありがとうございます。幾つかの意味を込めてこの名前にしました」

「そうなの?」

「はい」

 

 

 ヒエン。この名前にはたくさんの思いを込めている。

 

 まず、さっきも言ったように氷と炎。私の個性、私の一部としての名前。

 

 次いで、素早く軽やかに飛ぶ燕……所謂()()のような速さで敵を倒せるように、との意気込み。

 

 

 そして最後に、寒空で泣いてる子を冷えないように……()()()ように手を差し伸べるヒーローになりたい、という信念。

 

 

 ちょっと駄洒落っぽいかもしれないけど、説明した時に笑ってもらえるぐらいが良い。

 

 なんて、少し照れながら説明すれば、皆もうんうんと頷いてくれた。

 

 

「カッコいいじゃん凍夏!」

「そんなに捻ってない感じなのにめっちゃ捻って考えてるセンスが凍夏ちゃんらしいや!」

「将来をしっかり見据えていてグッド! 素敵な名前ね!!」

「ふふっ、ありがとうございます」

 

 

 芦戸やお茶子、香山先生の称賛の声に、表情を崩しながら笑みを返す。

 

 自分の思いを受け入れてもらえて、素直に嬉しかった。

 

 

 

 今日より、私は「ヒエン」となる。

 

 

 職場体験は勿論これから先、ヒーロー関連の活動を行う時は、この名前がヒーローとしての自分を指し示す。

 

 

 暴れる敵から人を守ったり、捕まえるのは当たり前として。

 

 どんなに小さな助けを求める声にも、反応出来るヒーローを目指し、改めて頑張っていこう。

 

 

 そして、次期平和の象徴となる「デク」の隣に寄り添い。

 

 

 二人でどんな困難にも立ち向かい、笑顔で人々を救う――最高のヒーローになるんだ。

 

 

 席に戻る途中、にこやかな表情の出久とコツンと拳を重ね合いながら、決意を新たにしていた。

 

 

 

 







 それから皆のヒーロー名も粗方決まり、残す所一人となる。

「それじゃ、最後は爆豪くんね」
「あァ」

 ずんずんと教壇に上がった勝己は、ダン! とフリップを立て掛ける。

 書かれた名前は……「グラウンド・ゼロ」。


「爆心地! 全ての真ん中にいるって志かしら?」
「俺はオールマイトを越えるヒーローになる。どんなヴィランも俺が中心に倒してトップに立つ」


 ギラついた目で不遜に言い切る勝己。

 態度はどうあれ、上昇志向の彼らしさを表したヒーロー名だと思う。


 ……ただ、正直まともな名前が出てきてちょっと驚いてたり。

 何というか、こう……。


「勝己はもっと暴力的な名前にすると思ってた。爆殺王とか」

((((滅茶苦茶ブッこんできた!!))))

「…………どうせ却下されんだろーが」
「うん、そういうのは止めた方が良いわね」

((((マジでする気だったのか!! てかよく分かったな!!?))))


 皆が凄い顔で見てくるけど、なんだろう。

 ふと出久を見ると、引きつった笑いをしていたので、何か変な事を言ってしまったらしい。

 首を傾げながら勝己を見れば、鼻で笑われてしまった。何故。




 オリ主ちゃんのヒーロー名「ヒエン」と同時に爆豪のヒーロー名「グラウンド・ゼロ」も決まりました。
 堀越先生の初期設定で、他の二次創作でもよく使われている「爆心地」を英語に。
 そのままでも良かったんですが、英語にした方がかっこよかったのでこうしました。
 
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。