半冷半燃少女は幼馴染   作:セロリ畑

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 日々の感想・評価ありがとうございます。
 励みにしながら執筆中。

 今週のジャンプは流石爆豪の一言。
 作者的には原作爆豪に一対一で勝てる同学年は居ないと思ってます。

 なるべく短くまとめたくても原作描写を入れないと話の流れが分からなくなりそうで怖いという。



6:笑顔を作ったUSJ襲撃の始まり。

「すっげー!! USJかよ!?」

 

 ドーム上の救助訓練の施設に入ったクラスメイトたちが思わずといった風に叫んでいる。

 私の身の上話のせいで重くなっていた空気が一時的に吹き飛ぶ程の衝撃が、この場所にあったらしい。

 バスからずっと私をジト目で見ている出久を除いて、皆の意識は施設に向いていた。 

 

「水難事故、土砂災害、火事……etc. あらゆる事故や災害を想定し、僕がつくった演習場です」

 

 宇宙服のような格好の人物が、こちらへ近づきながら説明を始める。

 

「その名も、『ウソの災害や事故ルーム(U S J)』!!」

 

((((ホントにUSJだった!!))))

 

「その名称は大丈夫なんですか?」

 

((((聞いちゃった!?))))

 

 よく聞いたな!? みたいな視線を皆が向けてくるけど、気になったので仕方ない。

 

「大人の事情は気にしないで!」

 

((((そしてめっちゃ誤魔化された!!))))

 

 親指を立てる宇宙服の先生らしき人。

 というかこの人、テレビで見た事がある大分有名なヒーローだ。

 

「スペースヒーロー『13号』?」

「うん。災害救助でめざましい活躍をしている紳士的なヒーローだね」

「わーー! 私好きなの13号!」

「そうなんだ」

「そうなんだ!」

 

 ぴょんぴょん跳ねてテンションを上げている麗日。

 好きなヒーローに会えて嬉しくなるのは分かる、麗日にもこんな一面があるのは微笑ましい。

 ……それはそれとして、13号の解説をしていた時も私からジト目の視線を外さない出久はそろそろ許してくれないだろうか。

 冷たい目、ではないけれど、幼馴染からこういう目を向けられるのは辛い。

 エンデヴァーの悪評を流したのは反省はしていないけど、今の出久の対応に少し後悔し始めていた。

 

 けれど、彼は優しいから。

 私が落ち込みかけているのを敏感に察知したのか、溜め息を吐いて苦笑に変えた。

 それに笑顔を返せば、少し呆れられたようだ。

 

 そんなやり取りをしているうちに、相澤先生と話していた13号が皆の方へと向き直った。

 しかし動きにくそうな格好だ。コスチュームを脱いだこの人はどんな感じなんだろう。

 

「えー始める前にお小言を一つ二つ……三つ……四つ……」

 

((((増える……))))

 

「皆さんご存知だとは思いますが、僕の個性はブラックホール。どんなものでも吸い込んでチリにしてしまいます」

「その個性でどんな災害からも人を救い上げるんですよね」

 

 出久の言葉に麗日が物凄い勢いで頷いている。酔いそう。

 

「ええ……ですが、しかし簡単に人を殺せる力です。皆の中にもそういう個性がいるでしょう?」

 

 人を殺せる力。

 その発した言葉に皆が自分の手を見たり腕を組んで考えたりしている。

 千差万別の個性とはいえ、殺傷能力があるものはそれなりに多い。

 私の氷と炎なんかは良い例で、加減を間違えばいとも容易く相手を凍死、焼死させてしまう。

 

「超人社会は”個性”の使用を資格制にし、厳しく規制することで一見成り立っているようには見えます」

「しかし一歩間違えば、容易に人を殺せるいきすぎた個性を個々が持っていることを忘れないで下さい」

「相澤さんの体力テストで自身の力が秘めている可能性を知り、オールマイトの対人戦闘訓練でそれを人に向ける危うさを体験したかと思います」

「この授業では心機一転! 人命のために”個性”をどう活用するのかを学んでいきましょう! 君たちの力は人を傷つけるためにあるのではない。助けるためにあるのだと心得て帰って下さいね。以上! ご静聴ありがとうございました!」

 

 言い切った13号がお辞儀をして、皆から拍手喝采が沸き起こる。

 どんな個性でも使う人次第。

 それを分かりやすく表現した言葉は、私の胸にしかと響いていた。

 

「さて、そんじゃあまずは……」

 

 そして良い余韻を残したまま、相澤先生が授業を進めようと口を開いた時。

 

「「……っ!」」

 

 背筋に悪寒が走り、反射的に臨戦態勢を取った。

 出久も同じように反応し、いつでも動けるモーションだ。

 

「で、デク君? 凍夏ちゃん?」

 

 麗日が困惑した声で呼んでいるが、答えられない。

 

 私たちと、相澤先生が反応したのとほぼ同時。

 階段下の広場の噴水付近に黒いもやのようなものが現れて。

 

「っ、ひとかたまりになって動くな!!」

 

 

 ――そこから途方もない悪意が溢れ出たのだから。

 

 

 

 

 

 

 噴水前に、わらわらとガラの悪そうな輩がどんどんと現れている。

 

「13号!! 生徒を守れ!!」

 

 ゴーグルを目に掛けて構える相澤先生に、私と出久はアイコンタクトと動作で優先事項の設定を瞬時に済ませる。

 

「何だアリャ!? また入試ん時みたいなもう始まってんぞパターン?」

「動かないで皆。あれは本物の敵よ」

「そういう事だ!! やはり先日のはクソ共の仕業だったか……!!」

 

 眼下に広がる光景から目を離さず、個性発動待機状態で警戒しながら、戸惑うクラスメイトたちに状況を述べる。

 先生の同意により、皆に緊張と驚愕が蔓延る。

 その中で出久は携帯を取り出し学校に連絡を取ろうとした、が。

 

「駄目だ! 妨害されてるのか、電波が繋がらない!」

「そういう個性持ちがいる、か。侵入者にセンサーが反応しないのもそのせいね」

「現れたのはここだけか、学校全体か……少なくとも此処はかなり危険だ」

「校舎から離れた隔離空間、そこに少人数が入る時間割に合わせた奇襲。決して考えなしに出来る襲撃じゃない」

「何らかの目的の為に、用意周到に画策された行為に違いない!」

 

「二人とも凄い冷静だな!?」

「この状況で落ち着けるとか大物過ぎるだろ!!」

 

 出久と考えを口に出しながらまとめていると、瀬呂と上鳴から悲鳴に近いツッコミが入る。

 慌てても良い事など何もないと知っているからこそ、平常心を保つ努力をしているのだ。

 父親に連れられて、幾度となくヴィラン退治を見学した経験が役に立っていると考えるのは、少しばかり嫌ではあったけれど。

 

 そこで油断なく敵を睨んでいた相澤先生が、私と出久に言葉をかける。

 

「状況判断が早いのは良い事だ。緑谷、轟、13号主体で避難をさせるからお前らはクラスをまとめろ」

「は、はい! けど先生は!? 一人で戦うんですか!?」

 

 出久がイレイザーヘッドの戦闘スタイルでは複数相手の正面戦闘はキツい筈だと進言する。

 先生の強さを知っている訳ではないが、あの人数を一人で捌ける自信があるのだろうか。

 

「一芸だけじゃヒーローは務まらん。13号! 任せたぞ」

 

 そう言って飛び出す姿に、私は勘違いしていた事に気がつく。

 相澤先生、イレイザーヘッドはヒーローなのだから、生徒たちを助ける時間を稼ぐ為に飛び出したのだ。

 見た目で偏見を持ったつもりはなかったけれど、当たり前の事を忘れていた自分に腹が立った。

 っと、自己嫌悪は後。

 

「出久」

 

 相澤先生を心配している出久に、声をかけて促す。

 

「っ……ごめん、避難だね。13号先生、僕と凍夏ちゃんが殿をやりますので先導をお願いします!」

「了解! 二人とも頼んだよ!」

「はい! 皆、先生に続いて避難して! 凍夏ちゃん、いつでも個性発動出来るようにお願い!」

「分かった」

「それと上鳴くん! 君の個性で学校に連絡出来ないか試して!」

「お、おう!」

 

 出久の指示に私と上鳴が頷き、動かず待機していた皆も動き始める。

 

「指示も判断もはええな緑谷!」

「模範的なリーダーシップだ!」

「デク君カッコいい……!」

「ああ、それに比べて委員長の僕は……!!」

「落ち込んでないで、今は避難を!」

 

 

「させませんよ」

 

 

 13号に続き避難を始めようとする私たちの前に、黒いもやが現れる。

 個性は転移系統か、イレイザーヘッドの抹消の隙を突いて、こちらに来れる判断力がある敵。

 何があってもいいよう、後ろにいたまま個性発動の待機に入る。

 

「初めまして、我々は敵連合。僭越ながらこの度ヒーローの巣窟雄英高校に入らせて頂いたのは……平和の象徴オールマイトに、息絶えて頂きたいと思っての事でして」

 

 ……ふざけている、ようには全く見えない。

 こいつらは本気でオールマイトを仕留める為に、わざわざ雄英高校というヒーロー科の最高峰へと殴り込みに来たらしい。

 

「本来ならばここにオールマイトがいらっしゃる筈、ですが何か変更があったのでしょうか。まぁ……それとは関係なく、私の役目はこれ」

 

 揺らぐ黒い霧に先頭の13号先生が個性の発動をしようとする。

 が、横から二つの影がもや男に殴りかかった為、静止せざるを得なかった。

 

「その前に俺たちにやられる事は考えてなかったか!?」

 

 独断専行したうち切島がそう挑発して、爆豪が鋭い目付きで睨む。

 どういう意図であれ、人を庇うように前に出る行為は立派だとは思うが、今はタイミングが悪かった。

 

「切島くんかっちゃん! 邪魔になってる!」

「駄目だどきなさい、二人とも!!」

 

 出久と13号先生の叫びに二人が気づくが、もう遅い。

 

 

「危ない危ない……そう、生徒といえど優秀な金の卵」

 

 

 黒いもやが大きく広がり、皆を包み込もうと迫る。

 これは、私の個性ではどうにも出来ないか……!

 

 

「散らして、嫐り、殺す」

 

 

 私は近くにいた葉隠を咄嗟に腕で抱き寄せて離れるように後ろに飛ぶが、間に合わない。

 

 視界の端で出久が梅雨ちゃんと峰田を引き寄せているのが見えたが最後。

 

 視界が黒く染まり、私はその場から消失した。

 

 

 

 

「わーっ!? 落ちるー!?」

「落ち着いて葉隠、掴まってて」

 

 空中から落下する感覚に、私は慌てる葉隠を庇いながら体勢を立て直して着地する。

 場所は土砂崩れが起きたような現場で、周りには敵がたくさん待ち伏せていた。

 

「へへっ、来やがったぜ! しかも女の上玉だ!」

「いいねぇ、痛めつけてから楽しめそうじゃねえか!」

 

 気味の悪い笑い方をする敵の群れ。

 腕の中の葉隠から震えるような動作が伺えたから、きっと少なからず恐怖を覚えてるんだろう。

 ねっとりとした下卑た視線は私に向けられているのであって、透明な彼女へのものではないとしても。

 

 クラスメイトを、仲間を守るために。

 

 こいつらに対して――

 

 

 

「――黙りなさい」

 

 

 

 手加減なんて、してやらない。

 

 氷結で見える範囲内全ての地面と敵を凍らせて、身動きの一切を封じた。

 

 首から下を完全に固めた今、無理に動こうとすれば……四肢が砕けてしまうだろう。

 

「な、なんだこいつ……! 移動してきた途端に……!」

「ほ、本当に、ガキかよ……いっててて……!」

「無理に動かない事をおすすめするわ…………葉隠、無事?」

「う、うん平気! てか凍夏ちゃんクソ強いな!」

「そう? けどまあ、嫐り殺すとか言ってた割に、大した事はない輩の集まりみたいだよ」

 

 抱えていた葉隠を下ろしつつ侮蔑の視線を辺りに向けてみれば、寒さで顔を震わせながら悔しそうにしている。

 

「ぐっ……さ、さみぃ……!」

「こ、こんなバケモノがいるなんて聞いてねぇぞ畜生っ……!」

 

 悪態を吐いている奴らを油断なく見回して……どうやら全員無力化出来たらしい。

 

 ……広範囲攻撃が得意な私をこんな開けた場所に飛ばすなんて、何を考えているのか。

 何も対策がなかったのは、もしや私の個性を知らなかったとか?

 生徒の個性が把握されていないなら、他の場所に飛ばされたであろう皆にも勝機はあるはず。

 

 それにしても妙だ。

 オールマイトを殺すなら、この程度のチンピラを幾ら集めたところで不可能。

 恐らくここにいるような輩は、私たち生徒用のコマでしかない訳で。

 広場に居た奴らからぱっと見たところでヤバそうだったのは、身体中に手を着けていたガリガリの男、脳味噌剥き出しの巨漢、黒いもやの男。

 そいつらの中に決定的な対策があるのか。

 

 それなら、私がすべき事は。

 

 

「ねえ、お前たち」

 

 

 目付きを鋭くして、凍った敵たちを見据える。

 癪に触るが、こうすれば父親に似た凶悪な顔になるという自覚があるから。

 

 

「そのままだとじわじわと、身体が壊死していくけど」

「ひいっ……!?」

 

 

 口元を歪めながら言えば、敵たちは恐怖の声を上げる。

 

 殺したりはしないのに、失礼な。

 

 

「私もヒーロー志望だから、そんな酷い事は……なるべく、避けたいの」

 

 

 なるべく、を強調しただけなのに、幾人かは泡を吹き始めている。

 

 

「あのオールマイトを殺せるっていう根拠……策を、教えなさい?」

「「「「はっ、はいぃぃぃ!!!!」」」」

 

 

 にっこりと笑顔を作って問いかければ、全員が知る限りの全てを吐いてくれた。

 とは言っても情報は少なく、オールマイト殺しの実行役が広間にいる事だけしか知らなかった。

 その後、後遺症が残らない程度に敵たちの氷結を溶かし、広場へと向かうべく土砂ゾーンを後にする。

 先生やクラスメイトたち、そして出久の無事を願いながら。

 

 

 走りながら葉隠に「悪の女王様みたいだったよ!」と楽しそうな声色で言われたので、頭と思わしき辺りに強めのチョップを落とした私は悪くない。

 

 

 

 

 




 悪い顔がエンデヴァーに似てる自覚があったオリ主。
 凄みがヤバそう。
 ちなみにオリ主の話し方は轟家の母、冷さんを参考にしてます。
 父と母によく似てるのは焦凍くんと一緒。
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