顔がそっくりさんの番外編ともしもの話   作:ポポビッチ磯野

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お久しぶりです(2回目)時間差でお送りします。
口調とはなんだったのか


★3:暁の星は空に呑まれるか

 

 

 

 

 

 

 

ある母親の日記

 

 

 

 

こんにちは、なんておかしなはじまり方かしら?

でもこれは日記でもあるし、あなた達に宛てた手紙でもあるからいいわよね

 

じゃあまず、私はマルドリード・ヘティカよ

みんなは縮めてヘカって呼ぶわ。

それからお腹にいる坊やは、名前はエクトルにしようと思うの

 

“ポートガス・D・セヴァ・エクトル”

 

これが坊やの名前、父親の姓よ

もし似た名前を聞いた事があったら、きっとお父さんのことね、彼有名すぎる海賊だから!

有名だからこの名前は普段名乗らないこと!

私の姓で過ごすように。

 

もしどうしてもって言うなら

坊やが自分や周りの人を守れるくらい強くなったら、名を改めてもいいわ。

 

 

それからごめんね

彼は、坊やのことを知らない。

私だってお店の女将さんに言われて初めて気が付いたんですもの。

でも後悔してないわ、私、坊やが産まれてくるのが楽しみよ。

 

はやく会いに来てね、坊や

そしたらお父さんのこと教えてあげるから。

 

 

 

 

 

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目の前のガキは面白いくらいに顔を青くして、耳を塞いだ。

何かとてつもない秘密を告げられると感じ取ったのだろう

 

 

そんなものは無駄だ、オレの勘が間違いなくあの火拳のエースの息子だと判断した。

 

 

顔立ちは瓜二つと言っても良い程似ており、違うのはその瞳と父親より少ないそばかすくらいか。

オレを見る目には、懐かしくも憎らしい”弟”と同じ恐れが浮かんでいる

 

「う、ぁ…」

 

オイオイ、そんなに怖がるなよいじめたくなる、なあ?

 

「フッフッフ、逃げたきゃ逃げても良いぜ?」

「————に、逃がさないの間違いだろ…!」

 

 

なるほど、物わかりの良いガキだ

”今は”逃げないらしい、まあ逃げるなら縛り付けるだけだったが、抵抗しないならそのほうが御しやすい。

 

「でも、俺は黙って利用なんかされてやらないからな!賭けで勝負しろ!!」

 

ほお、賭けとはまた面白れぇ

じわりと溢れたファミリーたちの殺気を片手で制止しながら、内容を待った

 

「二年、その間にアンタを倒す奴が現れたら、俺の勝ちだ、俺の事はキレイさっぱり諦めてもらう!」

「貴様!!若様が倒される訳ないでしょう!!」

 

一気に殺気立ち、ついに部下達が武器をとり群がった、それでもなお一歩も引かなかったあたりあの男の血を引いているなと、また笑みがこぼれる。

 

「でオレが勝ったら、何をくれるってんだ?」

「アンタが勝ったら俺をやる、アンタが望むように道化でも駒にでもなってやる!!」

 

まあそれしかないだろうな、このガキには海賊王の系譜であるからこそ価値がある

ソレ以外にこのガキにはなんにもありゃしねぇ、ただのガキなら道ばたに転がる小石と同じだ。

 

くつくつと喉奥から笑いが溢れる

 

世間が、海軍が、世界政府が”鬼の血筋が途絶えたと”ぬか喜びしている裏で、再び海賊王の血筋が世に解き放たれる。

なんて愉快なことか。

 

天竜人が恐れるDの一族が、人々が忌諱する海賊王の子孫が手に入るならこの賭けに乗らない手はない。

 

だが、そうだな

 

「いいぜェ乗ってやる、ただし期限は一年だ、二年も使えねぇガキを面倒見る気はない」

「———わかった…俺だってあと一年でアンタの顔を見なくて済むんならその方が良いね」

 

真っ青を通り越した白い顔で、震えた手足でそのガキは笑って啖呵をきった

この場の人間に誰一人敵いやしないはずだ、今なお武器を向けられて気を失わず立っている。

間違いなく従える側の人間だ、ますます面白い。

 

「スタートは明日からでいいだろ、それくらいは大目に見てくれるよな?」

「いいだろ—————引け」

 

小さな身体に向けられていた武器が下げられ、息をついたあと手を差し出してくる。

 

 

「勝負が決まるまで、対等だっていう握手だ」

「フッフッフ!オメェがいい駒になるのを楽しみにしてるぜぇ?」

 

 

 

 

 

嗚呼、本当に愉しみだ。

 

 

 

 

 

 

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「ここがアンタの部屋よ、好きに使うと良いわ!けど、逃げようだなんて思わない事ね」

「あとで食事を運んでやるやん!」

 

ベビー5とバッファローはそう言うとさっさと部屋から出て行って、俺はふらふらとベッドに倒れ込んだ。

 

 

 

 

——————・・・・ぁぁぁあああぁぁぁ!!!!!!

 

 

 

怖かった!!怖かった!!!めっっっっちゃこわかったあああ!!!!!!!!

 

え?なんで俺五体満足なんです???

すごい俺、すごすぎる、やけくそだったとはいえあの場を乗り切ったのがマジすごい。

 

というか、大丈夫だよね?一年以内にルフィ来るよね、ね?

じゃないと俺ドフラミンゴの傀儡になって世界ころ☆ころ作戦を手伝うはめになっちゃうよおおおお!!!

 

マジ神様仏様ルフィ大明神さまお願いします!!(拝)

 

とりあえず明日から何するか考えよう

屋敷を歩き回る許可もらってまずは情報収集だ。

まああの人なら特に問題なく許可されるだろ、俺としても研究や取引やらを邪魔して今のなんとかもぎ取った価値を下げられない。

 

この価値が下がるってのはファミリー内での生存率の低下を指してる。

どうしても生き残る、そのために俺は見捨てなきゃいけない。

 

この国に囚われてる国民(おもちゃ)たち、パンクザハードの子供たち、それから人間屋に売られている人たち

俺は、見て見ぬふりをするしか出来ない。

だから許して欲しいとは言えない、でも俺はもうあの人たちを悲しませたり、心配させるのはこれっきりにしたいんだ。

 

俺のことは恨んでくれていい、でも“おれ”のことは許してくれこの子は俺じゃないから。

 

 

 

俺が拘るのもドフラミンゴもあれば面白くていい手札と言うだけで、トラファルガー・ローのような特殊な能力者じゃないからだ

 

一度区切りをつけるためにはぁとため息をつきながら、寝返りをうつ

大人でも広すぎるベッドに居心地の悪さを感じてソファーにシーツを持ち込んで横になった。

 

それでもまだ余裕があるんだからどれだけでかいんだこのソファーというかいい匂いだしふわ、ふわ...

 

 

うんちょっとだけ休憩...しよ...

 

 

ほらおれがんばったからね、うん

 

 

 

 

 

 

 

若様に言われた通り食事を持っていけば子供の姿は見えず、気配を辿ればソファーで丸くなって眠っていた。

 

父親はああだし、母親は死んだと言っていたあたり人攫いに会うまでは一人で暮らしていたのだろう。

 

しかしここは生まれ育った家ではないというのに、若様が許して与えた部屋で堂々と寝転けるとは、胆が据わっている。

 

「起こすやん?」

「放っておきましょ、お腹が空けば起きるわ」

 

備え付けのテーブルに食べ物を並べてさっさと部屋を出る。

「せいぜい私たちの足でまといにならないようになさい」

 

 

 




どうもポポビッチ磯野です!!
番外編筆のったのとちょっと書いてたのでさくっと書きました。
筆が遅い理由のひとつに取捨選択が下手くそなんですよねぇ...いらない文捨てられなくて、余計に増やしちゃったりして。
ううううんまあこれはやっぱり他の活字となみないとダメですね...精進!


今回は暁の星2話からの続きでミンゴ視点、主人公、ベビちゃんです。
ベビちゃん口調わからないっす...すみません。

なんとか生き残る取引を取り付けた男主ですが、やっぱり一歩間違えたらデットエンドの予感がすごい。圧もすごい。
この後はまあ日常なので麦わらの一味が来るまで飛ばそうかなあと考えてます。


それではまた次のお話で!o,+:。☆.*・+。






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