特等席で見るFGO   作:霧野ミコト

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第十二話 決戦

「……眩い、愛だ。ネロ」

 

一度歩み出したネロは止まらなかった。

 

敵を蹴散らし、薙ぎ払い、突き進み、その剣先はロムルスを捉えた。

 

「永遠なりし真紅と黄金の帝国。その全て、お前と後に続く者たちへと託す」

 

その表情はどこか満足げだった。

 

「忘れるな、ローマは永遠だ。故に、世界は、永遠でなくてはならない。心せよ……」

 

そして、そう言って彼は消え去った。

 

メンバーに安堵の表情が見える。

 

激しい戦いだった。

 

苦しい戦いだった。

 

だからこそ、その勝利は最高の美酒となる。

 

「いや、いや。ロムルスを倒しきるとは。デミ・サーヴァント風情が良くやるものだ」

 

しかし、それも一瞬のこと。

 

聖杯を、魔術師を探そうとしたところで現れる。

 

「冬木で目にしたときよりも、多少は力をつけたのか?」

 

レフ・ライノ-ル。

 

「だが、所詮はサーヴァント。悲しいかな、聖杯の力に勝ることなど有り得ない」

 

ただただ事実を語る。

 

確かにその通りだ。

 

ただのサーヴァントに聖杯の力を超えることは出来ない。

 

サーヴァントとて万能ではない。

 

「皮肉だなレフ教授。この時代、君のような人類の裏切り者は一人もいなかったってワケだ!」

 

「ほざけカス共。人間なんぞ初めから期待していない」

 

ぼんやりと眺めているうちに話が進んでいく。

 

まあ、レフの正体を知っているためそういい捨てる理由は分かる。

 

俺にしてみれば、レフとその後ろも十分カス共だが。

 

「君もだよ、藤丸君。凡百のサーヴァントをかき集めた程度で、このレフ・ライノールを阻めるとでも?」

 

それにしても、レフの話しっぷりは非常に腹が立ってくる。

 

出来れば今すぐぶん殴りたい。

 

ねちっこくて回りくどく嫌みったらしい言い方は、前世の上司を思い出す。

 

話すときは簡潔にしろ。

 

「お前の目的はなんなんだ!」

 

「目的はとうに済んでいる、といったはずだ。それを問うならこうだよ。『いったいどんな理念で、人類を滅ぼしたんだ?』とね!ま、問われたところで、答える道理も権利も私にはないワケだが」

 

とりあえず、イリヤに表情が見えないように身体の向きを変える。

 

とはいえ、イライラしているのは彼女に伝わってしまっているだろう、視線を感じているし。

 

「そしてやはりお前達は思い違いをしている。聖杯を回収し、特異点を修復し、人類を――人理を守るぅ?ーーバカめ。貴様たちでは既にどうにもならない」

 

自分が圧倒的上の立場にいるからこその言葉。

 

目の前で足掻く存在を侮蔑し、嘲笑し、嬲る。

 

所詮はただの使いっぱしりの存在でしか過ぎないのに。

 

ああ、吐き気がしてきた。

 

「抵抗しても何の意味もない。結末は確定している。貴様達は無意味、無能!哀れにも消えゆく貴様達に今!私が!我らが王の寵愛を見せてやろう!」

 

その言葉とともにレフの身体が変質する。

 

伝説上の本当の『悪魔』へと。

 

「改めて、自己紹介しよう。私は、レフ・ライノール・フラウロス!七十二柱の魔神が一柱!魔神フラウロス――これが、王の寵愛そのもの!」

 

そのおぞましい声、姿、そして存在。

 

感情のせいで身体からコントロール出来なくなった魔力が漏れ出す。

 

同時に周囲に線と点が浮かび出す。

 

無意識のうちにスイッチを入れてしまった。

 

「イリヤ、俺が魔術で示したところに攻撃して欲しい」

 

「う、うん!」

 

既に藤丸達は戦闘態勢に入っている。

 

俺も習って戦闘態勢に入る。

 

ただ、漏れ出す魔力と目を抑えることが出来ない。

 

昂ぶった感情が目の前のものを切り裂けと囁く。

 

「藤丸、防御の方が俺がどうにかする。攻撃に集中しておけ」

 

「え」

 

「イリヤ、行くよ!」

 

マーカーを射出する。

 

本来マシュがいるから防御はこちらがやる必要はない。

 

多少の露払いだけで十分だし、最初はそのつもりだった。

 

しかし、思った以上にレフに苛立った。

 

出来ることならその身を刻んでその存在を抹消してやりたいというのが本音だ。

 

それだけの力はある。

 

しかし、そんなことをこんなところでしてしまうわけにいかないし、何より情けなさ過ぎる。

 

自分の努力で勝ち取ったものならまだしも、単に他人に貰った力だ。

 

そんなもので偉そうに暴れるのはあまりにも情けなさ過ぎる。

 

ただの虎の威を狩る狐に過ぎない。

 

だからの折衷案。

 

レフは殺さないが、レフの攻撃は殺す。

 

「そこ!」

 

レフから放たれた攻撃は俺が放ったマーカーに導かれたイリヤの攻撃で打ち消される。

 

「増えるぞ!」

 

「うん!」

 

それは数が増えても同じ。

 

攻撃の密度が濃くなり、それに合わせてマーカーも増やす。

 

だが、イリヤはそれについてくる。

 

俺の出した指示通りに攻撃を殺していく。

 

数が増えた分だけ消費が大きく疲れるだろうが、それでも彼女は俺の指示に応えてくれる。

 

ならば、こちらもマスターとして彼女が魔力切れを起こさないように、逐一魔力は供給しておく。

 

「あ、マスターさん!」

 

「マーカーを見ろ!」

 

攻撃の一部がこちらへと向かってくる。

 

的確に攻撃を撃ち落すのが煩わしいのだろうが、そうしてくることなんて予想済みだ。

 

出した剣を投げてその攻撃をかき消しつつ、しっかりと他の攻撃への対処もしておく。

 

確かに、かなり厳しい攻撃であるには違いないが、反応できないものではない。

 

攻撃もただの魔術に過ぎない。

 

英霊の技術から来る反応することも厳しい攻撃とは違って、反応が出来るため対処も出来る。

 

これならばまだロムルスの攻撃の方が対処しにくかった。

 

何より魔神柱はその場から動かないのだから、ただのでかい的でしかない。

 

俺たちで攻撃の雨を止めてしまえば、目の前にあるのはただのサンドバッグだ。

 

思うが侭に殴られるだけだ。

 

もう、レフに勝ち目はない。

 

 

 

 




A班の評価が上がるにつれて相対的に上がるレフの評価。
初期のレフってすごい小物臭しかしなかったのに。
ただ、正直、今でもやったことは凄くても小物臭が凄くするような気はする。
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