特等席で見るFGO   作:霧野ミコト

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第十七話 窮地?!ぐだぐだ包囲網

「くっ、この私が負けるとは」

 

魔人アーチャーの一撃を食らって膝を付くアルトリア。

 

勝敗は決した。

 

ただでさえ神秘に強い上にここではFGOの相性が影響してるから、セイバーであるアルトリアでは魔人アーチャーの相手が厳しいのは仕方ない。

 

 

「朝ごはんを3杯で我慢したのが敗因でしょうか」

 

だから、断じてそんなしょうもない理由ではない。

 

「ところでーー」

 

「介錯してあげてくれ、桜セイバー」

 

「え?あ、はい」

 

「ちょっと待ーー」

 

もう聞きたくなかった。

 

これ以上、『Fate』の顔である彼女に哀愁漂う言葉を言わせたくなかった。

 

「きょ、強敵だったね、マスターさん」

 

「ああ、強敵だった」

 

アルトリアの非常に不服そうに消えて言った姿が見えた気がするが気のせいだ。

 

あの高潔な騎士王が勝負に負けて無様な姿を見せるわけがない。

 

だから、ここは無理矢理でも流してしまおう。

 

「それにしてもサーヴァントの皆、ちょっと様子が変だよね?」

 

無理だった。

 

まあ、ここまでおかしなことになってしまっている以上、流してくれるわけもないだろう。

 

「どうやら召喚時にわしが生前無意識下で敵と認識していた武将の因子が加わっておるようだな」

 

「また、あなたのせいですか」

 

疲れたような表情でため息をつく桜セイバー。

 

まあ、腐れ縁みたいなところもあるし、そういう気持ちになっても仕方ないだろう。

 

『大変だ。すぐにその空間から離れるんだ!』

 

「うわっ?!いきなりどうしたんですか、ロマニさん?」

 

『うん、寝起きのけだるさから、何気なくそのあたりの構成を調べたんだけど。結論から言おう。そこにはとある粒子が蔓延している』

 

知ってる。

 

そうでなければ、サーヴァント達があそこまでおかしくなるわけがないし。

 

『サーヴァントの霊核に感染して悪影響を及ぼす特殊且つ面白い粒子がね!』

 

「ええ!?それってどんな悪影響なんですか?」

 

『ステータスの弱体化、記憶の改ざん、霊核の磨耗とかいろいろ悪影響があるけど一番顕著なのは……』

 

イリヤのごくりと息を飲む音が聞こえる。

 

確かにここまででロマニの言ってることは割りと大事だ。

 

『残念になる!!』

 

「え?ざ、残念?」

 

困ったような顔をしてイリヤが固まる。

 

『うん、残念になる』

 

「た、確かに言われみると、さっきの上杉さんといい以前のサーヴァントの人たちといい……」

 

はっとしたような顔でイリヤがこちらを見る。

 

「マスターさん、あんなふうになる前にここを離れよう!」

 

先ほどの惨状を思い出して、それが自分に降りかかると思ったのだろう。

 

すごい代わりのみの早さだ。

 

まあ、あんなふうになるのは誰だってごめんだろうが。

 

「いや、すでにイリヤも汚染されて……」

 

「ええ!?ど、どこがおかしいのかな?ルビー、私どこかおかしくなってる?うー、お風呂に入って洗い流せば消えるかな……」

 

『どうでしょうかね。イリヤさんも時々ポンコツなところがありますから、仮に汚染されてても分かりませんね』

 

「失礼な事を言わないでよ!ポンコツな時なんてないよ!」

 

半分は自分のせいなんだが、どんどんぐだぐだになってきているな。

 

「あれ?でも、桜セイバーさんと魔人アーチャーさんは別に変わってないよね?」

 

「うむ、わしらは特に変化がないようじゃな」

 

「そうですね。私もいつも通り吐血する程度ですし」

 

『うーん、二人は元々残念ってことかな?』

 

「「え?」」

 

ぐだぐだ時空の人だから仕方ないよね。

 

「さて、そろそろ進もうか。さっさと終わらせよう」

 

と言ってしまうと殺されかねないので、さっさと次へ行ってしまうのが最良だ。

 

『それがいいね。ちょうど近くでサーヴァントの反応も確認できるし、そっちに行ってみたらどうだい?』

 

ロマニがいらぬことを言ったからだと言いたい所だが、言えばまた余計にこじれそうだからこの際流しておこう。

 

「なんか釈然とせんが、仕方ない行くかのう」

 

「そうですね。さっさと終わらせてしまいましょう」

 

色々と思うことはあるようだが、収めてくれたらしい。

 

すたすたと歩き出した二人についていく。

 

それよりも問題は次の相手だ。

 

義経と弁慶、アーラシュと来た後の今回。

 

相手はダレイオスとメドゥーサ、アルトリア。

 

確か、初期のイベントのはずだから、出せるサーヴァントも少なかったはず。

 

当然、SNサーヴァントはアルトリア以外にもいたはずだ。

 

一応、自分もプレイしてクリアしているが、さすがにこと細かく覚えていない。

 

まあ、廃棄孔アンドロマリウス戦は自分でどうにかするつもりだし、仮に多少終わり方が違ったとしても修正さえ出来れば十分なのでそこまで気にする必要もないだろうが、不安感があるのも事実。

 

せめて、自分が使っていたスマホがあれば確認できるのだが、さすがにそんなものは持ってきていない。

 

それにそれが見つかって見られたら最後、ひどいネタばれになってしまうので、あっても持ち運ぶことも出来ないが。

 

「マスターさん、考え事ですか?」

 

「うん、まあ頭が痛いことが続いてるからね」

 

『あんまり悩んでいると禿げちゃいますよ』

 

「ちょっとイリヤ、ルビー貸して?へし折るから」

 

『おっと、またしてもルビーちゃんは地雷を踏み抜いちゃいましたかね?!』

 

どうやらハゲネタでまた弄ろうと思っているのだろうが、そうは問屋はおろさない。

 

別に俺は禿げてはないが、ハゲハゲと連呼するのはあまりにも禿げている失礼な話だ。

 

だから、二度とそんな事をいえないように身体に覚えこませないといけない。

 

「もうルビーは変な事を言わないでよ!すみません、マスターさん。ちゃんと私が言って聞かせるんで」

 

「ルビーが言うこと聞くかね?」

 

「え、えっと……ちゃんと言って聞かせれば大丈夫です。たぶん……」

 

イリヤの目が泳ぐ。

 

自信は全くないようだ。

 

『おおっと、イリヤさんからの信頼が薄くて、ルビーちゃんちょっと寂しいです』

 

「だって、ルビー、私が言ったこと無視するときあるし、滅茶苦茶することもあるから」

 

そういったイリヤがじと目で見る。

 

まあ、普段が普段な以上仕方ないよね。

 

「というわけで、へし折るから貸してね?」

 

「それはダメ!確かにルビーは私の言ったことは聞かないし、変なことはするけど。でもへし折るのはダメだよ」

 

『イリヤさん……』

 

ちょっと嬉しそうにつぶやくルビー。

 

まあ、なんだかんだと仲がいいペアであるのは知っている。

 

と言うか、こうなりそうなのは予想していたし。

 

「なら、イリヤに任せるよ」

 

「ありがとうございます!」

 

ぱっと花が咲くような笑顔を浮かべる。

 

うん、やっぱりイリヤには笑顔が似合う。

 

「あと、ルビー?イリヤの信頼を損ねるようなことはもうしないでね?」

 

ただ、ルビーには釘を刺す必要がある。

 

というか、これを言いたいがためにこの問答をしていたというわけでもあるし。

 

『これは一本取られましたね、グランドマスター』

 

「さてね」

 

とぼけたふりをしてごまかす。

 

話している間にだいぶ距離を歩いた。

 

もうそろそろサーヴァントとエンカウントする頃合だろう。

 

「てなわけで、その心臓おいてけやぁ!!」

 

「うわああああああああ!!わしの心臓がああああああ!!」

 

というか、エンカウントした。

 

こちらのやり取りに聞き耳を立てながら、どんどん進んでいた魔人アーチャーの絶叫が響く。

 

台詞的に島津なんだろうが、見た目はクー・フー・リンだ。

 

「ま、まだ取られてませんよ!とにかく迎撃を!あれ?桜セイバーさんは?」

 

「すみません、今回は病欠でお願いします……こふっ?!」

 

吐血して座り込む桜セイバー。

 

割としゃれにならない事態だ。

 

「そんな……。ランサークラス相手なのに、セイバーさんがいないと!」

 

『桜セイバー使いにくすぎなんじゃが』

 

「ついにロマニさんまで汚染されてる」

 

『カルデアはしっかり隔離したはずなのに。ダ・ヴィンチちゃん、ワクチンの作成お願いします!』

 

「ええい!頼りにならん人斬りめ……」

 

挙句にぐだぐだばたばたとしだす。

 

「ん?あ奴、逃げてゆくぞ?」

 

戦闘態勢を取ったかと思ったら即座に引き返す。

 

「ちっ、物見の報告より数が多いじゃねーか。こりゃ、一旦退くしかねえな」

 

数の多さに形勢不利と見ると退避するつもりみたいだ。

 

さすがはケルトの勇士、状況判断の早さと良さは的確だ。

 

「なんだか分からないけど、チャンスだよね、これ!行こう!」

 

けれどチャンスと言われてはたと思う。

 

本当に、あのケルトの大英雄がこんなことをするだろうか。

 

確かにこの場での判断は的確だが、それ以前の判断が……

 

「ぐずぐずするでない、わしに続けい!人斬りもさっさと回復せんか!使えないサーヴァント扱いされてしまうぞ」

 

「強いサーヴァント、弱いサーヴァントそんなの人の勝手。本当に強いマスターならですね……こふっ!?」

 

「とにかく安静にしていて?!」

 

とりあえず、桜セイバーを担ぐとさっさと行ってしまった魔人アーチャーを追いかける。

 

「あーあ、素直に追いついちまったか……」

 

「ふははははは!追い詰めたぞ、島津なんたら!さて、覚悟して貰おうかのう!」

 

「おう、覚悟しな……テメエらがな」

 

クー・フー・リンの言葉に合わさって放たれる砲撃。

 

ということは、エミヤか?

 

剣を使うアーチャーが弓を使うとは卑怯である。

 

「なんじゃこの矢?の雨は!?中入りか!?あ、中入りと言うのは奇襲とかそういう意味でじゃな」

 

「いや、そういうのは今はいいんじゃないかな?!」

 

イリヤのツッコミが入るがその通りだ。

 

今は正直どうでもいい。

 

ただ、エミヤが出てきてくれたのは朗報だ。

 

ようやく、自分の認識を上方修正(・・・・)できる。

 

なんとかしても彼をこちらに呼び込まないといけない。

 




CCCイベが終わると今度はホワイトデイイベ。
新茶メインのお話でしたが、個人的にはちょうどいい塩梅のボリュームのテキスト量のお話だったのではないかと。
CCCコラボのガッツリの後なだけに、あまり多すぎると疲れますしね。
個人的には男性サーヴァントの中でも好きなサーヴァントなので、新茶の幕間を見ているようで楽しかったですね。
ただ、ホワイトデイイベももう間もなく終わり。
次は、第四章実装ですかね?
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