ちなみに次話もぐだぐだ包囲網の予定です。
要するに中篇です。
「ふふふ、まんまと引っかかったわねお馬鹿さん達」
そして満を持してと言わんばかりにメディアが出てくる。
SN勢が出てくるとは思っていたが、こういう形で出てくるとは思わなかった。
「ランサーもご苦労様、あとでパン買ってあげるわ」
「子供かオレは!でも焼きそば入ってるヤツな、麻婆は勘弁な!」
クー・フー・リン、霊基に刻まれるほど麻婆豆腐がトラウマなんだな。
まあ、あの神父のすることだから仕方ないか。
「しっかし、テメエらももう少し警戒したらどうだ?どうみてもオレの逃げっぷりおかしかっただろう?」
「くっ、わしとしたことが迂闊だったのじゃ。こんなの金ヶ崎以来の失敗なのじゃ、長政……」
がっくりと項垂れる魔人アーチャー。
まあ、この人も魔王だなんだと言われる人ではあるが、史実的には割りと部下に優しかったし、人並みの感情はあるのだろう。
「ふむ、どうやら観念したようだな。で、彼らをどうするつもりだキャスター?」
来た!
思わず叫びそうになったのを内心でとどめておく。
ここで喜んでいては訝しがられる。
「さーて、どう料理してあげようかしら」
「ごめんなさい、マスター。私がついていったから」
「いや、結局俺も着いて来てるしね。それに桜セイバーが無事だったら、ちょっとは形勢が違ったんだけどね」
背負っている桜セイバーの様子を確認してみるが反応はない。
「返事がない、ただの死に体のようじゃな。どう見ても外れセイバーです、本当にありがとうございましたのじゃ!」
まあ、聖杯戦争でおいては完全に外れだな。
宝具は神秘のない技を昇華したもので、セイバーなのに近代サーヴァントだから対魔力もない。
うん、聖杯戦争で呼んでも絶対に勝ち残れないな。
「ほほほほほ!この毛利メディナリの前には飛んで火にいる夏の虫だったわね!!」
なんだろう、メディアがフラグを立ててるような気がする。
「ところで私、ちょっと悪者っぽ過ぎないかしら?」
「毛利?」
不意に背中から声が聞こえてきた。
間違いなくこの声はさっきまで死んでいた桜セイバーの声だ。
「いや、悪者だろ普通に。だかまあ、これでオレの島津なんたらとかいう役目もお役御免ってとこだな」
「島津?」
また、ポツリと声がした。
やばい、怖い。
今すぐにでも放り捨てたいが、今それをやるとすごいブーイングが飛びそうだ。
「やれやれ。結局、私がなぜ長宗我部なのかも良く分からなかったが、そういうことになりそうだな」
「長宗我部……土佐?」
桜セイバーがするすると俺の背中から降りる。
「え、桜セイバーさんの様子が」
イリヤもようやく異変に気付いた。
「うおおおおおおお!!悲しみと八つ当たり的な気持ちを力に変えて今こそ纏いましょう、我が誓いの羽織を!薩長死すべし、慈悲は無い!」
それはニンジャスレイヤーだ、と言いたいがさすがにこの状況では突っ込めない。
「え、薩長?なにそれ?この子、急に雰囲気変わって怖いんですけど!」
まあ、さっきまで死に体だったのが息を吹き返したと思ったらぶち切れ模様なのだ、そう思うもの仕方あるまい。
「説明するのじゃ!」
「わっ?!」
びっくりするイリヤ。
なんだか、こっちに来てから驚かされたり、突っ込まされたり大変だ。
本当、戻ったら労を労って、ゆっくりと休んで貰おう。
「実はこの虚弱人斬りこと桜セイバー、その真名こそは幕末の京都にその名を轟かした薩長絶対殺すマンこと新撰組一番隊隊長、沖田総司なのじゃ!」
『唐突な真名ばらしですね!?それにしてもあの沖田総司が女の子って!?いや、このパターン慣れてきましたけども!』
アルトリアにネロ、アルテラ。
女体化サーヴァントはたくさんいるからね。
「ちなみに魔人アーチャーことわしの真名は織田ノ……」
「いまこそ薩長に鳥羽伏見の借りを返す時が来ましたよ、近藤さん!!ええ、ついでに土佐も何となく許しませんとも!」
「うむ、薩長同盟とかあるし仕方ないのだろうな。正直、長宗我部に言われても困るが」
「新撰組一番隊隊長、沖田総司!推して参る!」
ちなみに、本来新撰組は一番隊隊長なんて肩書きは無い。
なぜか分からないが、一番隊組長が正しい肩書きだ。
さて、それよりも問題は桜セイバーもとい、沖田総司だ。
意気軒昂とクー・フー・リンと打ち合っている。
島津は薩摩の人間だから仕方がないとは言え、いくら剣の天才といってもケルトの大英雄とサシの勝負は辛い上にメディアがいる。
例え、魔人アーチャーを入れても勝ちきるのは厳しいだろう。
「魔人アーチャー、イリヤ。沖田さんの援護よろしく」
「ぬしはどうするのじゃ?」
「俺?俺は長宗我部とやるよ。だから、あとはよろしく」
剣を呼び出すとエミヤへ構える。
「イリヤ。俺は君を信頼してる」
無言でこちらに来たイリヤをそっと手で制する。
「神代の魔術師とケルトの大英雄相手だ。剣の天才と神秘殺しの二人だけではきつい」
FGOの相性をもってきているとはいえ、それでも強力なサーヴァントにあるには違いない。
相性だけで勝てる相手ではない。
「俺は大丈夫。だから、頼むよ?」
ぽんと頭に手を置くと、そのまま魔人アーチャーのほうへと身体を押す。
「……うん、分かった。すぐに終わらせて手伝いに来るよ!」
一瞬の逡巡の下、こくりと頷くと魔人アーチャーと共に割ってはいる。
『ちょっと待って!一人でサーヴァントとやりあうって言うつもりかい?!さすがにそれはーー』
「さて、これでサシだ。十分に殺し合おう」
ロマニの言葉は無視。
申し訳ないが、本気の殺し合いが出来る、この千載一遇のチャンスを逃すつもりは無い。
「ふむ。見たところ、乗り気ではないと思っていたのだがね?」
「基本的には戦闘は嫌いさ。自分が戦うなんてもってのほか。サーヴァントがいれば自分が戦わなくてもいいし、そうそう死ぬことも無いしね」
今回だって相手がエミヤじゃなければわざわざ別れて戦うことなんてしなかった。
自分がサーヴァントと戦えるという確証を知らせることになるし。
ただ、その知られるリスク以上に、エミヤと戦えるということの利点が大きいのだ。
「だが、まあ、たまにはいいさ。剣は振るわねば錆付くし、死への恐怖も薄れ行く」
「後悔するなよ」
「むしろ、そちらが全力で来ないと危ないぜ?それこそ、固有結界を発動するぐらいしないと、さ!」
武器を呼び出すとそのまま射出する。
この状況で接近戦をするつもりはない。
というか、投影時に使い手の経験・記憶をも投影する百戦錬磨の相手に、自分程度の近接が通用するわけが無い。
近接の技量、贋作の質、どれをとっても俺じゃ太刀打ちの出来ない。
ただ、それでも対処法がないわけでもない。
次々と武器を呼び出すと射出する。
「ちっ。『
固有結界を発動させていない今なら俺のほうが量は用意できる。
質より量って言うのも恥かしいが、四の五の言っていられる状態ではない。
「言っておくけど、神秘の薄いなまくらだと思っていたら死ぬよ?」
眼は既に発動してある。
この場で殺してしまっては意味がないので、殺しきるような攻撃をするつもりは無いが、それでも腕の一本は貰うつもりで攻撃はしている。
まあ、それでも確実にダメージになりそうな攻撃は対処されてしまっているが。
あくまでもただ射出しているだけで、細かく操作しているわけではないので隙をついてというわけには行かない。
状況は拮抗。
いや、あちら側が3対2で数の利を生かして押している分、全体的に見ればこちらが若干ではあるが優勢か。
とはいえ、油断できるような状態でもない。
ここぞという時に場面をひっくり返すような事をしてくるのがエミヤだ。
隙を見せれば一瞬で盤面をひっくり返されるだろう。
「蛮勇なマスターと思ったが、そこそこやる」
「社交辞令なら結構。まだまだ余裕だろ?」
実際、状況は拮抗しているように見えるが、エミヤに焦りはない。
ということは、まだエミヤには固有結界を使わなくてもいい余裕がある。
まだまだ追い詰める必要がある。
射出する面を増やすとそれに合わせてグレイプニルも呼び出す。
「くっ」
射出された武器と同じくグレイプニルも断ち切ろうしたところで気付いたのか避ける。
ただ、そのせいでそれ以外の攻撃が避けきれず、かすり傷とはいえダメージを負ってしまった。
「随分と性質の悪いものを。しかもかなりの粗悪品だな」
「それは仕方がない。貴方のようにちゃんと解析して複製したものじゃないからね。だが、それでもやりにくいだろう?」
避けられたグレイプニルを回収し、再度射出する。
確かに質としてはかなり劣悪だ。
だが、それでも武器としての使用が可能であればそれでいい。
状況は変わった。
それまではただ壊せばよかったものに回避がついただけだが、ただそれだけでエミヤから余裕が消えた。
そうなれば手段は一つ。
まあ、彼のことだ、俺がそうするように仕向けていることを分かっている以上、何かしてくるだろうとは思うが。
それにしても、目の前で聞くフル詠唱はいいな。
ステラのフル詠唱を始めて聞いたときもドキドキしたが、その時以上にドキドキしている。
やはり生で聞くと違うな。
攻撃の密度を上げる。
余裕は与えない。
その瞬間に詠唱破棄して狙われかねない。
だから油断はしない。
その心臓を止めるまでは。
魔力をイリヤに送る。
固有結界が発動すれば、俺の身体の持ち主の能力では魔力パスを繋ぎきれない可能性がある。
だから、先んじて魔力切れを起こさないように流しておく。
まあ、サポートに徹してくれてるみたいだから、魔力切れの心配はなさそうだけど。
それよりもエミヤだ。
そろそろ発動しそうだ。
こちらもそれに合わせて準備をしておかないといけない。
痛いのはごめんだ。
次回、ようやくまともに主人公が戦います。
少しでもいいものがかけるように頑張ります。