戦闘は無事に終わった。
結果としてオルガマリーは死んだ。
いや、元々死んでいて、魂だけの状態だったのだから死んだというのはおかしいのだろう。
助けることは出来ただろうとは思う。
だが、俺には彼女を助ける理由はなかった。
かわいそうな人だとは思う。
報われるべき人なんだろうとは思う。
だけど、俺には彼女を助けないといけない理由がなかった以上、放置することにした。
自分自身、下手に手を出すつもりもないし。
大きく何かが変わったら責任取れないし。
「あ、帰るなら俺も一緒に連れてってよ」
「「え?」」
二人の声が折り重なる。
まあ、いきなり人が目の前に出てきたら驚くのも仕方ないだろう。
『え、君はジョージ・マッケンジー君じゃないか?!君までレイシフトしてたのかい?!というか、そもそも今までどこにいたの?!』
通信からは驚いたような男性の声がする。
たぶん、これがドクターだろう。
ちなみに、ジョージ・マッケンジーとは僕が転生した身体の元の主の名前だ。
一般応募のマスターであり、運悪く命が助からなかったマスターである。
「いや、やばそうだなと思ったんで隠れてました。ただ、隠れていたらそのまま置いていかれそうになったんで慌てて出てきたんですよ」
『そ、そうかい。とりあえず、今から君も帰還できるようにするね』
「お願いします」
これで置いてけぼりは阻止できたみたいだ。
自分でも帰ることは出来るだろうが、ほいほい自分の力を使って誰かに目を付けられるのも嫌だ。
壁に耳有り障子に目有りとも言われるように、下手に介入したくない自分としては目立つようなことは何もしないのが一番だ。
「えっと、俺の名前は藤丸立香っていうんだ、よろしく」
「さっき言われてた通りジョージ・マッケンジー、よろしく」
とりあえず差し出された手を無視する趣味はないので握手する。
「それにしても良く戦えたね。もしかして、そういう経験あるの?」
動き方や指示は素人丸出しの姿だった。
しかし、それでも戦う気持ちはしっかりと出ていた。
戦い方や指示出しは訓練すれば出来るようになる。
ただ、戦場で戦う気持ちをしっかりと出すことは簡単じゃない。
実際の戦場で人の生き死にを見て、竦んで動けず考えがまとめられないことなんて少なくない。
ちゃんと訓練をした人間でさえ出来ない者だっている。
「ううん、そんな経験はないよ。ただ、生き残らなくちゃと思ったから」
「そっか」
死にたくない、生き残りたいと思う気持ちは誰でもあるだろう。
そして、彼はその例に漏れずそのために戦おうと抗おうとした。
彼にとってはそれが当たり前の選択だったのだろう。
「それでも戦える勇気を持つ君は凄いよ」
死にたくないから戦いを選択することは大抵の人間がするだろう。
足が竦もうがどうしようが戦うだろう。
それが当たり前という人もいるだろう。
でも、それでも大きな力と生き残るために戦うという選択肢を取れるということは勇気だと思う。
その場で崩れ落ちて諦めないだけでも十分偉いと思う。
『準備できたよ、それじゃあ戻すよ』
ドクターの声が聞こえた。
これでとりあえずカルデアに戻れるらしい。
さて、カルデアとはどんなところなのだろうか。
少し楽しみである。