特等席で見るFGO   作:霧野ミコト

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異動のあれこれをしながらなんとか時間を作って更新しました。
誤字脱字等あるかもしれませんが、その時はご指摘をば。
時間を見つけて直しますので。
ただ、次に時間がとれるのはいつになるやら、ですが。
とりあえず、今の状況と今後の予定については活動報告にでもあげときますので、気になる方はそちらでご確認お願いします。



幕間

「お、おのれ、良いノッブめ……」

 

もはやここまでと言うかのように膝をつく悪いノッブ。

 

「だが、わたしは貴様らに負けたのではないぞ。わしの心の中にある良きノッブに敗れたのじゃ。それに、わしはまた必ず現れる……」

 

いや、普通に袋叩きにあってたんですが、とつっこみたいところをぐっと我慢する。

 

下手につっこんでさらにぐだぐだになると目も当てられない。

 

「そう……おまえ達が大地への感謝を忘れたときとかにな!」

 

自称第六天魔王なのに、何故大地が関係するのか。

 

そのあたりもつっこみたいが、無視だ。

 

もう全部無視でいい。

 

「えっと、消えちゃったね」

 

「そうだね、帰ろう」

 

「茶器とかもいっぱいもらったし、ダ・ヴィンチさんも喜んでくれるかな?」

 

「喜んでくれると思うよ」

 

個人的にはその価値が分からないので、本当のところは良く分からないが、興味を引いていたし、喜んでくれるのではないだろうか。

 

『うん、その空間も消滅が始まったみたいだ。気をつけて戻ってきてくれ』

 

ロマニの声にほっとする。

 

これで無事に終わった。

 

さすがに、これ以上のどんでん返しはないはずだ。

 

なかったよね?

 

少しばかり不安になる。

 

「うむ、わしの力もようやく完全に戻ったようじゃ。ふはははは!これで貴様らも本当の本当に用済み……」

 

「そういうのもういいですから」

 

思わず身構えそうになったが、沖田の一撃が綺麗に入った。

 

うん、やっぱりなんだかんだ言って、よく息のあったコンビだ。

 

「あ、皆さん、今回はお世話になりました。今度は是非私達の世界に遊びに来てください。大戦真っ最中ですけど」

 

一瞬コハの方かと思ったが、どうやら帝都の方らしい。

 

コハの方とは違って、ガチのシリアスだから、今回みたいなことはないだろうが、それはそれで疲れそうだ。

 

「うむ、本来交わることの無い世界じゃったがおまえ達は気に入ったのじゃ!もしわしを召喚するようなことがあったら第六天魔王の力、存分に振るってやろう」

 

「そうですね、確率はとても低いでしょうが、その時は私もあなたにこの剣を預けましょう」

 

「その時はよろしく頼むよ」

 

まあ、サーヴァントはイリヤで十分だからこれ以上呼ぶこともないし、もし出会ったとしてもそれは終局特異点でのことだろう。

 

「さようなら、沖田さんに信長さん!お昼ごはんのたくあん美味しかったです!」

 

「ふふ、それではまたどこかで逢いましょう!」

 

「うむ、短い間じゃったが良き采配であったぞ。では、さらばじゃ!」

 

織田信長のその言葉は嬉しかった。

 

初めての複数のサーヴァントの指揮だった。

 

まだまだ、反省材料はいくらでもある。

 

視野の狭さなんか特にそうだ。

 

それでも、そんな自分の采配でも認めてもらえた。

 

それが少し嬉しかった。

 

さすがは天下に名高き英傑だ、アフターサービスに余念が無い。

 

消え行く二人を眺めながら、そんなふうに思いながら俺たちはカルデアに帰った。

 

これで終わりだと思った。

 

思っていたのに。

 

「おう!おまえ達、元気にしておったか?」

 

「信長さん?!」

 

イリヤの悲鳴があがる。

 

「お久しぶりです、皆さん。実は今度は私の悪い心が暴走をですね……」

 

「帰ってください!」

 

イリヤの悲痛な叫びが響く。

 

「もう勘弁してください」

 

俺自身も泣きそうになる。

 

なんだこれ。

 

本当に、なんだこれ。

 

「ホントいろいろすみません」

 

「是非もないネ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「豆大福を用意したんだが、食べるかな?」

 

ダ・ヴィンチはそう言うとロマニの机にそっと盆をおく。

 

そこには言ったとおりの豆大福と煎茶が置いてあった。

 

「ありがとう。疲れた頭には、糖分が助かるよ」

 

「うむ、確かにその通りだ。というわけで、私も頂こう」

 

彼女も自身で用意したものをつまむ。

 

二人がいる場所はロマニの私室なため、周りには誰もいない。

 

熱いお茶をすする音が少しする程度だ。

 

「オケアノスの方はどうにかなりそうだな」

 

あらかた食べ終えてお茶で流した後、ダ・ヴィンチが口を開く。

 

「うん。あっちの方は順調ではないけど、二人の頑張りもあってなんとかなりそうだね」

 

相手が相手なだけに厄介ではあるが、藤丸とマシュの頑張りのおかげでなんとかなりそうではある。

 

もちろん予断は許さない状況であることには間違いないし、少しのミスですべてが水の泡になる可能性だってある。

それがロマニの現状の判断だ。

 

「問題は彼の方だよね」

 

「ああ。まさかサーヴァントと一騎打ちをやってきて平然と戻ってくるとはね」

 

「彼の自信がいったいどこから来るのかと思っていたけど、まさかね」

 

ロマニが振り絞って出した声には疲れが見える。

 

ただでさえイレギュラーな状態なのに、それを引っ掻き回すようなイレギュラーが更にあるのだ、心の休まる時があるはずもない。

 

「一応、こちらでも解析したが、そのほとんどが大したものではなかったよ。サーヴァントを捕えていた縄と一騎打ちした後に持ち帰った刀以外はね」

 

「ちなみにその二つの解析結果は?」

 

「刀の方はおそらくよく似たものがヒットしたからからこちらだろうとは思うよ」

 

「纏めてくれたんだ。後で確認できるから助かるよ」

 

受け取った資料を確認する。

 

「童子切安綱」

 

「かなり精巧なものだ。本物かと見間違いそうにもなったが、恐らくは投影品だろう。若干の違いがある」

 

「性能的には?」

 

「本物と同等品だな」

 

「うわぁ」

 

ロマニの顔が歪む。

 

「あと、縄の方だが、こっちは骨が折れた。そして、確証もない」

 

「解析は出来たんでしょ?」

 

「出来たが、童子切安綱のようにはうまく当てはまるものがなかったんだよ。ただ、性能から推測は出来る。恐らくはグレイプニルだろうよ」

 

「そりゃ千切れないわけだ」

 

悪いノッブに集中砲火をしている時、繋ぎとめていたもの。

 

聖杯によるブーストがかかっているのをものともしない能力だったが、それなら納得が出来るというものだ。

 

「それにしても童子切安綱とグレイプニル。どうしてここまで品質に差があるのかな?」

 

「そのヒントはこれさ」

 

彼女がそういって出したのは一枚のデータディスク。

 

「これは、彼とのリンクが切れたときの音声データ」

 

「なっ?!」

 

「まあ、実際はわざと切った時の、というのが正しいんだけどね」

 

「レオナルド!」

 

「ああ、君に黙ってやったのは悪かったと思っているさ。でも、チャンスだと思ったのさ。彼があれだけ固有結界の展開を求めた理由はなんなのか、それが分かれば彼の正体に近づくと思ってね」

 

「だからといって、そんな無茶を!」

 

「特異点Fで彼は存在証明をされていなかったのに最後まで無事だった。なら、今回も無事だろうと思ってのことさ。それにおかげで情報は取れた。こいつを聞いてくれ」

 

『さて、君の望みどおりにしたんだが、どうするつもりかね?』

 

「っ!……雑音が混ざっているけど、なんとか声は聞こえるね」

 

もう少し問い詰めたいところだが、自身でも隠された情報が少しでも手に入ることの有用性は理解できた。

 

許してはいけないことなのだろうが、四の五の言っていられる状況でもない。

 

ぐっと言葉を飲み込む。

 

聞こえてきた声はノイズが多少混じっているにいるが、聞こえないほどではない。

 

『戦闘中に事細かに語るヤツがいるかよ!』

 

『無駄な事を』

 

『俺にとっては無駄ではないんでね!』

 

そして響くのは何かが砕ける音ばかり。

 

『ふむ、少し痛い目を見ないと分からないか』

 

しかし不意に音が変わる。

 

砕かれるような音でなく、何かに跳ね返されたような音に変わる。

 

『ふむ、防御実験は大丈夫そうだな』

 

『貴方の目でも見抜けないのなら、隠蔽も十分か』

 

『随分と硬いな。落とせると思ったのだがね』

 

『俺程度の近接技量で近づくんだ、相応の準備はしないとね』

 

「もしかして、高性能の防具もこのときは展開していたのかな?」

 

「または元から展開していたか、だな」

 

そういったダ・ヴィンチは一旦音声データを止める。

 

「ああ、そうか。隠蔽していると言っていたね。そうなると今もつけている可能性があるわけか」

 

「ただし、解析は出来ていない。ただ、彼が常に使っていた武器のランクはC+。恐らくはその程度の攻撃であれば防げるのだろうね。それ以上は何かしらの対策が必要みたいだね。こんなふうにさ」

 

そして、再び音声データを流し始める。

 

『ならばこれならどうかね?』

 

『―――偽・螺旋剣(カラド・ボルグ)

 

『ぐっ……はっ!』

 

『ふむ、わざわざ盾を出して防ぐ辺り、その防具も万能というわけではないと言うことのようだな』

 

『正解』

 

ここにロマニは来てダ・ヴィンチが言っていた事を理解した。

 

確かに、万能なものではなさそうだ。

 

ただし、それがどこまで防いでくれるのかまでは分からない。

 

『とはいえ、それでも貴方の攻撃を封殺する程度はこなせるけどね』

 

『確かに普通にやっていては、私の攻撃では通りそうも無いな。だが、防御一辺倒でいるつもりかね?』

 

『まさか』

 

『今までと比べて随分と質がいいな』

 

『まあ、どれもこれも粗悪品というわけでもないさ』

 

「おそらく、このときに出したものが童子切安綱だろうね」

 

会話の内容からしてもタイミング的にはこのときとしか思えない。

 

『それでどうするつもりだ?確かにそれは業物だ。だが、君では使いこなせまい?』

 

『ああ、確かに今の俺じゃ使いこなせない』

 

『でもね―――――――』

 

不意に大きなノイズが入る。

 

音声は乱れ、まともに聞こえなくなる。

 

「レオナルド、これは?」

 

「これは推測だが、彼が固有結界に何らかの干渉をしたのだろう。それこそ、こちらの盗聴を無理矢理遮断するほど強力な力でね」

 

「ということは、ここまでかな?」

 

「そうなるね」

 

音声データを止める。

 

もうこれ以上は雑音しか入っていない。

 

「ふう」

 

ロマニは背もたれに身体を預ける。

 

「それで今回は何が分かったんだい?」

 

「おいおい、これだけ話が聞けたんだぞ?いろいろ分かったじゃないか」

 

「いや、僕にはさっぱりだよ。それこそ分かったのは、強力な防具と強力な武器を投影することができることぐらいしか」

 

ロマニには、聞こえてきた内容的にはそれぐらいしか分からなかった。

 

「確かにそれも分かったが、今回大事なのはそんなことじゃない。気にすべきなのは、固有結界を侵食した(・・・・・・・・・)ことと、その結果としてサーヴァントを凌駕する力(・・・・・・・・・・・・)を手にしたことさ」

 

ロマニははっとしたようにダ・ヴィンチに顔を向ける。

 

「彼は今までそれだけの力を使わなかった。単純に隠していただけなのか、それとも何か発動条件があって使えないのか、というのまでは分からない。ただ、わざわざ固有結界を使わせた辺り、見られて困るものではあるには違いないんだろう」

 

確定的な情報はない。

 

ただ、いろいろと推測が出来るだけの情報は手に入れられた。

 

以前のように、全く手がかりがないというわけではない。

 

「投影の質についても、おそらくはその辺りが絡んでくるんだろうと思っている」

 

「投影の質を上げるためには、何かしら見られたら困るものがある、ということかい?」

 

「ああ。もちろん、まったく見当違いの可能性もあるがね」

 

あくまでも推測でしかない以上、大外れの可能性もある。

 

「とりあえず、それについても資料はおいておくから、目を通しておいてくれ」

 

「助かるよ」

 

「お互い様さ。じゃあ、私は失礼するよ」

 

そう言ってにやりと笑うとダ・ヴィンチは部屋を後にした。

 

 

 




これにてぐだぐだイベは終わりです。
次は、もう少しさくさく行く予定です。
じゃないといつまで経っても終わらない。
順番的にはサンタオルタ⇒SW⇒空の境界へと行く予定です。
ただし、空の境界についてはたぶんがっつりとなりそうですがね。
うん、終局特異点にたどり着くのはいつになることやら。
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