これでもかと詰め込んだので、結構きつかったです。
そして、ギャグのはずがどうしてこうなった。
XやZは所謂ギャグキャラだ。
ぐだぐだの織田信長や沖田総司と同じくただのネタキャラだ。
だが、その設定はネタだから許されるほどの強力なもの。
当然、普通に戦えば勝てない。
「キミたち!多勢に無勢とか、ちょっとズルいぞ!」
ただ集団によるリンチと俺の武器の雨とグレイプニルがあれば関係ない。
意気揚々と声を上げていた彼女は即座に泣き言を言っていた。
「闇討ちでXを仕留めた貴様が言うことか!」
とはいえ、ネロの言うとおり自業自得。
自分が卑怯な手段をとった以上、やり返されないとは限らないのだ。
「そも、戦いを嫌うのであれば剣を置くがいい!さいわい話の通じぬXは気絶しているしな」
「結構、話し合いとか面倒ですから」
開いた口が塞がらないとはこのことだろうか。
というか、自分が置かれている状況も分かっているはずなのに、どうしてこうも強く出られるのだろうか。
「しかし、なぜXをかばうのです、リリィ。なんかそれ気になって剣が鈍ります。庇うのではなくトドメを刺せばいい。Xにとってはキミも抹殺対象に過ぎなかった。Xがキミを育てたのは脅威ではなかったから。キミなら御し易やすいと内心でほくそ笑んでいたから」
ぼろくその言い様だ。
まあ、その通りではあるのだが。
「なぜ分かるのですか?ですって?そりゃそうです、だってわたしもそう思うもん!ほんと我ながら最低のセイバーだなわたしは!」
イリヤを見て思う。
彼女は心でつっこみを入れてるはずだ。
自分で言うな、と。
「でも、これで分かりましたね?Xにとってはただの道具!宇宙船の修理を手伝わせるための、ていのいい労働力だったのだと」
そういった彼女はリリィを見る。
リリィは答えない。
いや、彼女は答える必要なんてないと感じているのだろう。
「理解したようですね。ではそこで寝ているXをサクッと仕留めてーー」
「いいえ!それは違います。Zさんはうそつきです!」
「な、なんだとぅ!?何が違うというんだ、リリィ!」
「X師匠はそういう人かもしれませんが、実際にはそうはいかなかった。だって――」
周りが息を呑む。
そして、リリィが語る言葉を待つ。
「自慢ではありませんが、
「あ、確かに!」
「そう、毎日徹夜で宇宙船を修理してくれたのはマッケンジーさんとイリヤさんです!」
「んー、身も蓋もない話ですねぇ」
こればかりは仕方ない。
彼女達では出来ない。
自分達はさっさと帰りたい。
となると、やるべきことは一つしかなかった。
選択肢なんて最初からなかった。
イリヤを見ると乾いた笑みを浮かべている。
考えていることは同じだろう。
「つまり、X師匠にとってわたしは使えないセイバー。本来見捨ててしかるべき騎士だったのです。なのに師匠はわたしを鍛えてくださいました。わたしの夢を笑わなかった。X師匠の目的が難だろうと、わたしは師匠の味方です!」
良い事を言っている。
良い事を言っているはずなのに、心に何一つとして響かない。
ただただ、徒労しか感じない。
「この
そういってきめ台詞と共にポーズを決める。
その姿は堂に入っている。
「フッ、敵ながらよく言いました!そして数で負けているのなら手はありますとも!しからばお見せいたしましょう、ヒロインZ最強の奥義。これぞ――」
その言葉と共に増えるヒロインZ。
イリヤ達の驚きの声が響く。
「見たか、セイバー忍法3wave分身の術!」
「今、忍法って言ったよ、マスター?!」
「なんの!」
イリヤの絶叫を無視するかのようにリリィがヒロインZを切り捨てる。
「そんな、数が減りません?!どうなっているのでしょう、これ?!」
「ふ、驚いていただけて何よりです。またの名を忍法セイバー無限地獄。なんでも、東洋には切っても切っても同じ顔が出る飴があるとか。それを基にしたわたしのオリジナルです」
「あ、それって金太郎飴――」
イリヤがぼそりとつぶやく。
彼女もさすがに知っていたのか。
知らないとばかり思っていたが。
まあ、それはいい。
金太郎飴が元というなら限りはある、ということだ。
ぽこじゃが無限に沸き続けるわけじゃない。
なら、やるべきことは一つ。
「リリィ、俺達が援護をする。サクッと終わらせよう」
「あっ――」
イリヤが何か察したような表情をしている。
まあ、彼女も俺と同じように徹夜でやっていたから、すぐに分かるのも当然か。
『グランドマスター、徹夜続きのせいでついにキレましたね』
「ルビー?!」
いらないことを言うなと言わんばかりの反応を見せる。
まあ、若干キレかけの俺に余計なこと言えば、それ相応の反応が返ってくるのは彼女もこれまでの付き合いで分かっている。
「俺達もそろそろゆっくり寝たいんだ」
だけど、それをする余裕は今は無い。
今の俺はすぐにでもマイルームに戻ってシャワーを浴びてさっぱりした後ふかふかのベッドでゆっくりと眠りたいのだ。
それ以外のことはとりあえず後回しだ。
「リリィ、行くぞ!」
童子切安綱を大量展開するとそのまま射出する。
遠慮する必要なんてない。
以前、ぐだぐだ本能寺イベントの際、童子切安綱を持って帰って今までロマニ達は反応を示さなかった。
俺が、持っているものが何なのか分かっていないなら、それもしかたないだろうが、二人の様子を見る限り、それがどんなものか分かっているのに、反応を示していなかった。
考えられるのは、おそらくなんらかの手段でエミヤの固有結界に入ったときの事を見ていた可能性があることぐらいだ。
あの時しか、俺は童子切安綱に関する話はしていない以上、何の反応も示さないのはあの話を聞いていたとしか思えない。
もちろん、単純に下手に俺に詮索して機嫌を損ねる事を嫌った可能性もあるが、その割りにこちらに気付かれているのを分かっていながらこそこそと探りを入れている。
そのことだけを無視するとは考え難い。
まあ、保険の意味を込めて、固有結界もどきを使うまでは余計な事を言わないようにしたため、能力の一端を知られることはなかったので別にそれぐらいは構わないのだが。
それはさておき、無限に沸くといったヒロインZも最後の一人。
その一人も、あっさりと周りの援護の中、リリィが切り捨てる。
これで無事終了だ。
なんともまあ気の休まることの無いイベントだったことだ。
ネロたちは一言残すとそのまま帰っていった。
まあ、Xのことを考えるとそちらが良いだろう。
「見てください!マッケンジーさん達に助けていただきましたが、見事Zさんを撃退しました!」
「リリィ、君が私を助けてくれるなんて……」
なんとも言えない微妙な表情を浮かべるX。
その周りに集まるリリィとイリヤ。
女子が三人集まれば姦しいというが旗から見ればただの眼福だ。
「わたしはキミに謝らなければならない。すまない。わたしは徹頭徹尾キミを利用していた」
まあ、今更といえば今更だが、一応けじめは必要だろう
「なので、キミの修行はここま――」
「はい、もちろん。これからも修行は続くのですよね、X師匠!」
「……なぜ?わたしはキミを騙していた、といったのに?」
「いえ、それは無いです。Xさんは最初からずっと信じてくれていましたから。“このセイバーなら育てても大丈夫だ”と。だからわたしも全力で戦えたのです」
捉え方が変われば意味も変わる。
まあ、かなり無理矢理な気もするが。
「だって、わたしをそこまで信頼し、評価してくださる以上、頑張らないわけにはいきませんから!」
「いや、あの、まあ、そういうふうにも取れますが」
非常に困惑した表情を浮かべるX。
まあ、ここまで純真だとは思わなかったのだろう。
「マッケンジー君。どうしよう、これ?」
「観念して修行に付き合ったらいいんじゃない?」
人間諦めが大事だ。
いや、彼女はサーヴァントだけど。
「ええ、まあ。観念しろというのは良く分かりませんが。ですが、そうですね。わたしの使命は変わりませんが、しばらくは休業とします。ドゥ・スタリオンⅡの修理が終わるまで、修行に付き合ってあげましょう」
あ、そういえばまだ終わってなかったっけ、修理。
Zを倒したら終わりと思ってたけど、これが直らないと終わらないのか。
「改めてよろしく、リリィ。これからもビシバシ鍛えますので、覚悟するように」
「ありがとうございます!宝具レベルマックスまでお付き合いくださいね、師匠!」
とりあえず、今のは聞こえなかったことにしよう。
イベント時空特有のメタ話なんて聞いてない。
とりあえず、さっさと修理を終わらせよう。
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ロマニは、ダ・ヴィンチから貰った報告書を眺めていた。
いや、眺めてすらいない。
そもそも先ほどまでダ・ヴィンチもいたのだが、上の空の状態のロマニを見て報告書を渡すとこれ以上の話を諦めて帰ってしまった。
彼は先ほどまでジョージ・マッケンジーの姿をモニターで確認していた。
今回の彼の仕事は、セイバー・リリィの特訓の手助け。
まあ、実際は並大抵のサーヴァントでは裸足で逃げ出すほどの馬鹿げた戦闘を繰り出すようなもので、胃薬を思わず握り締めるような胃が痛くなるようなものだったが。
それでも、なんとか無事に終えると、彼らは帰ってきた。
それ自体は彼にとっても喜ばしいことだった。
得体の知れない人間ではあるし、とてもじゃない協力的といえるような態度でもないが、いるかいないかで藤丸の負担が全く違うのである。
ここで彼を失うことがどれだけの痛手なのかを分かっているからこそ、胃薬を常備してでも胃痛に耐えているのだ。
ならば、何が彼をそうさせたのか。
『これで満足ですか、マッケンジー君。なんだか、あなたに乗っけられるような形で終わりましたよ』
ロマニはもう一度先ほどまでのXとマッケンジーの動画を確認する。
『ネロはいいました。今を生きるもののみが未来を変えられる、と』
『それは間違いです。わたしやリリィのようにある結末から誕生した者に、その結末は変えられません』
『リリィはこの先、立派に成長して王になったとしても、彼女の国は滅びるでしょう』
『いいですか。リリィはどうあっても運命を変えられない』
『でも、その過程だけは別だ。ゴール地点は同じでも、たどる道行は選べるのです』
『ここに滅び去る国があるとして、そのほろ日が惨いものであったのか、穏やかなものであったのかは当事者にしか分からない』
『それは未来の人間では知りようのない、当事者達だけが知る“在り方”です』
『リリィの道行きにはその可能性が満ちている。本来のアーサー王ではたどれなかった夢の終わり。歴史には残ることの無い畏怖の物語。それは彼女だけが持つ、花の旅路なのですから』
『まあ、わたしのように苦労した挙句、もっと酷いバッドエンドになることもあるのですが!』
『というワケで、リリィ共々、わたしもカルデアでお世話になりますので、今後ともよろしくお願いしますね、マスター!』
それはXのモノローグのようにも見えた。
マッケンジーはそれに何かを返すことはしなかった。
ただ、寂しそうにXとリリィ、そしてイリヤを見ていた。
彼は未来を知っている。
このグランドオーダーの答えを彼は知っている。
そんな彼は何故寂しそうに三人を見たのか。
そして、何故呟いたのだろうか。
慌てて口元を隠したので、思わず無意識のうちに口を動かしてしまったのだと思われる言葉。
幸い、ロマニとダ・ヴィンチしか気付かなかった声に出なかった言葉。
『ああ、早く死にたい』
その言葉。
彼の願いは唯一つだといった。
静かに死ぬこと。
あの言葉とあの願い。
その二つがロマニの頭の中に駆け巡り、そして悪い想像へと引きづられていく。
自分の願うグランドオーダーの完遂の失敗。
人理が焼却され、命が消えていく世界。
それが浮かんでくるのだ。
ダ・ヴィンチは言った。
藤丸たちと仲良くなったから、最悪のケースはないと。
だが、未来を知っているマッケンジーは自分の死の未来を描いている。
自分の死を知っているようにさえ見える。
ロマニは、再度身が縮む思いをした。
少し楽観視しかけていた自分に冷や水をかけられたように感じた。
目をつぶり、深呼吸をして、ようやくダ・ヴィンチからもらった報告書を見る。
そこには目新しいことは何も書いていない。
それこそ、ただ一言、『彼は自分の死ぬ間際を知っている可能性あり』と書かれている以外は何もなかった。
前書きで書いたとおり、これでSWは終わりです。
次は空の境界編です。
また、しばらく時間を頂くと思いますが、気長にお待ちいただければと思います。
応援がたくさんくればやる気があがるかも?
なんて、FGOのMADを見てテンション上げて頑張って執筆している作者でした、と。