特等席で見るFGO   作:霧野ミコト

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というわけで、空の境界コラボです。
元の小説を読んでいませんが、ここで式さん、『』さん、ふじのんの良さをしれた、素敵なイベントでした。
以前あとがきでがっつり行くと言ったとおり、ガッツリといく予定です。
ただ、自分が思ったよりかはスムーズに行きそうな気もしますが。



第四章 空の境界/the Garden of Order
第一話 いつもより静かなカルデア


温かい。

 

芯までどろどろに腐ってしまい、冷たくなってしまった心にそっと熱が入る。

 

「あら。また(・・)、ここにお客様が来るなんて、どんな間違いかしら」

 

声が聞こえる。

 

穏やかな声が聞こえる。

 

「夢を見ているのなら、元の場所にお帰りなさい」

 

たおやかな声音が心地良い。

 

「ここは境界のない場所。名前を待つアナタが居てはいけない世界よ?」

 

ああ、ずっと聞いていたくなるような声だ。

 

「別に来たくて来たわけじゃないんだけどね」

 

だけど、それは許されない。

 

「求めて来たわけではないの?なら――」

 

ふふっと彼女は静かに笑った。

 

「縁を結んでしまったのはこちらの方みたい。今のうちに謝っておくわ、――君」

 

呼ばれた名前はかつての名前。

 

妖術師の家系として生まれ、しがない中小企業のサラリーマンとして死んでいった人間の名前。

 

「私は眠っているから外のことは分からないけれど、何が起きたのかは予想できる」

 

さすがは根源と行ったところだろうか。

 

まさか、自分のあり方を見抜かれるとは思わなかった。

 

「どうせまた斬った張ったの、ロマンスの欠片もない事件でしょう?」

 

確かにロマンスはない。

 

あるのは、ただ終わりの物語だ。

 

「災難ね、死にたがりのマスターさん。私がどうにかしてあげたいところだけど、それは望んでいないんでしょう?」

 

自分の結末は自分で決める。

 

彼女に静かに終わらせてもらうのも確かに魅力的だし、早く終わらせたいとも思う。

 

だけど、藤丸たちの行く末を見たいとも思う。

 

あのロマニが、決断するほどの思いを見せた彼らの歩みを見たいのだ。

 

だから、彼女の申し出は嬉しいが、お断りさせて貰う。

 

「せめて、貴方の悩みの種ぐらいどうにかしてあげたいところだけれど、どうやら私でもどうにも出来ないようね」

 

ただ、自分の邪魔な能力ぐらいはと思ったが、どうやらそれもダメみたいだ。

 

まあ、ここでの俺と彼女の格の差のせいだろう。

 

俺の知っている本当の彼女(・・・・・)であれば、たぶんどうにか出来ただろうが、ここではどうしようもない。

 

彼女の力を十全に発揮したとしても無理なのだろう。

 

「私のことより、貴方のことをあれこれとお喋りしてみたいところだけれど、残念。もう夜が明けてしまいそう。夢は終わる頃みたい」

 

ということは、そろそろ俺も眼が覚めるのだろう。

 

藤丸はちゃんと見れたのだろうか。

 

いや、最初に『また』と言った辺り大丈夫だろう。

 

そうそう境界に来れる人間はいない。

 

それこそ、人理が焼き尽くされたこの世界で、いける人間など藤丸ぐらいだろう。

 

「もしまた会える事になったら、その時は、どうか私の名前を口にしてね?」

 

ああ、たぶん会えるだろう、このまま行ったら。

 

だけど、きっと、俺は彼女の名前を呼べないだろう。

 

呼んだら最後、未練になってしまいそうだ。

 

 

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

 

 

 

『まだ夜も明けてないのにすまないね、マッケンジー君』

 

声が聞こえた。

 

目を開くといつものマイルームだった。

 

「しかし異常事態でね、無理を承知で通信したんだ。すまないがすぐに管制室に来て欲しい」

 

せっかくの気持ちのいい夢を見たというのに、最悪の目覚めだが仕方ない。

 

それに、あの夢を見たということはこの後の展開も知っている。

 

だから、声の主に起こったところで仕方が無い。

 

手早く身支度を済ませると管制室へと向かう。

 

やりという言うべきか、カルデア内はいつもより静かだ。

 

「こんばんわ、マッケンジーさん」

 

「ああ、お疲れさん」

 

管制室のドアの前で藤丸とマシュと出会う。

 

どうやら今回は彼らも一緒みたいだ。

 

まあ、無事に第四特異点の人理修復をなし終え、今は待機状態なため動くことが出来る。

 

「ああ、三人揃って来たね。マッケンジー君、キミのサーヴァントは?」

 

中に入るとロマニが待ち構えていた。

 

「サーヴァントとはいえ、小学5年生だ。こんな時間にたたき起こすわけにはいかない。後は、俺が自分の意思で契約したサーヴァントではない。だから連れてきてない」

 

イリヤはまだ夢の中だろう。

 

そんな時に、たたき起こして連れて行くのはあまりにも酷だ。

 

「必要になったら呼んだら良いさ」

 

「早速だがモニターを見てくれ。世界地図の日本あたりね」

 

一瞬逡巡したが、それでも進めることにしたみたいだ。

 

「特異点Fですか?その座標の聖杯は回収したはずですが」

 

「フユキの方じゃない。その隣。妙な揺らぎがあるだろう?これは数日前から観測されていたものでね。はじめは極小さな誤差で特異点F修復の揺り戻しだと楽観していた。けどそれにしてはいつまで経っても消えない。それでシバの角度を変えて見たら」

 

「生命反応があります!この座標は燃え尽きているはずなのに!」

 

モニターを眺める。

 

この先の展開を知っている人間にとって、その行為自体は無意味だが情報の刷り合わせは必要だ。

 

なにせ、全てを覚えているわけではない。

 

「ああ。それだけじゃないぞ。生命反応は数えるほどだが、動態反応はそれこそ数え切れないほどだ。おまけにシバをどういじくってもこの座標の規模も時代も読み取れない。完全にブラックボックス、この座標にレイシフトしないと何も分からない状態だ」

 

「いつもの事ですよね?」

 

しかし、藤丸はあっけらかんとしてそう言った。

 

恐怖心はあるはずだ。

 

彼はどこまでいっても一般人だ。

 

だけど、それと同時に必死になって生き残るために戦える人間でもある。

 

だからこそ、精一杯立っているのだろう。

 

「うん、まあ端的に言えばその通り。頼もしいな、藤丸君!色々と説明する気まんまんだったけど、要は当たって砕けろって事さ」

 

「あの、ドクター。先ほどの言葉の説明を求めます。生命反応が少なく、動体反応が多い。これはどういうことなのでしょう?」

 

「それは私から説明しよう!深夜の出勤だろうとも、輝く美貌でハイレクチャー。誰が呼んだかキューブ大好きお姉さん、購買部のダ・ヴィンチちゃんさ!」

 

うっさいぞ、おっさん。

 

そういってやりたいが、仕返しが面倒なのでやめておく。

 

天才的な頭脳から繰り出される、地味な嫌がらせとかされたらたまらないし。

 

ガツンとくるものならガツンとやり返せば良いけど、策謀とか使った地味なヤツは俺では仕返しできない。

 

「こんばんは、ダ・ヴィンチちゃん。では、具体的な説明をどうぞ」

 

「生きてはいないのに動いているものがモリモリいる。つまりゾンビが山ほどいるってことさ。まあ、今更ゾンビなんてフランスにもいたし、君達は見慣れているだろうからそこは良いとして」

 

ゾンビ、ねぇ。

 

こちらに来て、だいぶ経ったおかげで見慣れては来た。

 

ただ、それでも今でも出来れば見たくないものではある。

 

しかし、確実に殺そうと思うとちゃんと見ないといけない以上どうしようもない。

 

おかげで気分悪くなるし、武器も汚れるから基本的に使い捨てのものしか使えない。

 

非常に困った相手だ。

 

「問題は他にもあるんだ。七つの特異点が人類史という巻物に出来た染みならあの特異点もどきは穴と言える。どんな理屈かさっぱり分からないんだけど、サーヴァントを引き寄せては閉じ込めている」

 

思い出されるのは汚部屋。

 

そして、アベンジャーブーティカ。

 

記憶に残っているのはこの二つ。

 

いや、あほ毛ハンターの元ネタも確かここだったはずだ。

 

「サーヴァントを閉じ込める、ですか?」

 

「そうだ。ここに来るまで、カルデアがいつもより静かだったと気付かなかったかい?君達が召喚に成功し、契約を結んだサーヴァント達。彼らはカルデアから魔力提供を受け、この基地にそれぞれ存在の基点を作っている。言ってしまえば一時的な受肉だね。サーヴァントを呼び出すたびにマスターが魔力を使っていたら干からびてしまう。なので、カルデアでは少しでも負担を減らすよう、その電力の四割をサーヴァント達との契約維持に使っている。彼らはこの探索、グランドオーダー発令中に限り、カルデアをホームにしてくれているんだ」

 

まあ、魔術師としてはそれこそ落第級のマスターだ。

 

普通に契約していれば身が持たない。

 

仕方の無いことだ。

 

「うんうん。あ、私は別だよ。カルデアの火が落ちても体を維持できるからね」

 

「コホン!そんなサーヴァント達なんだが、この揺らぎが現れてから何名か消失してしまった。彼らは自発的にこの揺らぎに向かい、そして戻らぬものとなったんだ」

 

「戻らぬもの。つまり消滅してはいない?消滅したのではなく、あちらに留まっているのですね?」

 

「その通り。契約は生きている。あのおかしな穴にレイシフトした英霊達は自分の意思であちらに残っている。あるいは――」

 

「戻れない状態。囚われている、という可能性があるのですね」

 

「そういうことだ。この揺らぎは人理定礎とは全く関係ない。放っておいても特に害は無い……はずだ。だが、サーヴァント達が帰ってこないのも事実。君達三人にはこの座標の調査をして欲しい。特異点以外のレイシフトは特例で前所長の承認がないと許されない事態なんだけど、やってくれるかい?」

 

「もちろん、ドクター!」

 

大きな声で答えたのは藤丸。

 

通常特異点以外のイベント時空は俺の仕事なのだが、どうやら今回はそうではないみたいだ。

 

まあ、自分の契約したサーヴァントを連れ戻すという仕事である以上、本人を無視するわけにもいかないからこういう形にしてるのだろう。

 

「ありがとう。本当に頼もしい限りだ。マッケンジー君も構わないかな?」

 

「ああ」

 

「では早速、レイシフトを開始する。三人とも準備を。あちらでは何が起きているのか分からない。こちらからのバックアップもできない。くれぐれも行動は慎重に。あと、これはボクなりの仮説というか予想なんだけど、藤丸君には馴染みのある風景かもしれない。その時はマシュに色々教えてあげてくれ。きっとそういうのは見たことがない()だから」

 

ロマニの言葉に、マシュが不思議そうにする。

 

まあ、確かにこれから目にする風景は彼女には縁がなかったものだ。

 

「なに、言ってみれば分かるさ。ではレイシフト、スタート!」

 

そして、俺達はレイシフトをした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




『』さんを書いている時が一番楽しかった。
うん、ああいうたおやかな女性って憧れますよね。
次話の予定は未定です。
なんだかんだと今月も週末に予定ががっつり入っていますので。
なので、気長に待っていただけたら、と思います。
後、UAが50,000突破しました。
総合評価も500目の前。
ひとえに読んでくれて、影ながら応援してくれてる人のおかげです。
なので、もし総合評価が500を超えれば、UA50,000&総合評価500突破記念に、空の境界コラボが終わり次第、本編関係なしのおまけを余裕があれば書こうかなと思っています。
もし、何かしらの要望があって、それが自分でも対応できそうなものであればやるかもしれません。
今のところ何も考えていませんからね。
なので、もしよければ何かネタになりそうなものがあれば、感想にでも書いていただければと思います。
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