特等席で見るFGO   作:霧野ミコト

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だいぶお待たせしました。
かなり忙しくて、中々時間が取れませんでした。
人員が減るのは悪い文明。
とりあえず来月から一人新入社員が配属されるのでなんとかなりそうですがね。
出来るできないじゃなくて、動けるか動けないかレベルで人員不足でしたから。



第二話 直死の魔眼

アスファルトで舗装された車道に、聳え立つ高層建築。

 

かつての自分が居た世界を思い起こさせる現代建築。

 

まあ、時代的に言えば、実際の俺の時代よりも少し前になるんだろうが。

 

マシュを見てみれば、ひどく浮かれた様子だ。

 

壊されていない自販機やら綺麗な公衆便所を見て喜んでいる。

 

元が日本人の俺にはそれが良く分からない。

 

この体の持ち主は日本人じゃないから知っているだろうが、記憶を暴くような趣味は持っていない。

 

「あー、テステス。通信、映像、共に良好っと」

 

ロマニの姿が浮かび上がる。

 

カルデアとの通信は大丈夫そうだ。

 

「あー、やっぱりかぁ。座標の時間蓄積量から、日本の都市部だろうとは推測できたけど、まさかここまで正常な都市部とは思わなかった。これはこれで妖しすぎるぞ」

 

「そうですよね。やっぱり、普通であることが何より異常でした。通常の生命反応は先輩と私と、マッケンジーさん三名分だけ。高次の生命反応は複数、あのビルに確認できます」

 

ちらりと見るのはマンション。

 

あそこで出会うサーヴァントは俺の使う目の元となったものを持つサーヴァントだ。

 

生きていれば神様だって殺せる。

 

「これだけの都市。あんなにも多くの住宅がありながら、この一帯に人は住んでいないのです」

 

「ビル……。あの円形の建物か。奇妙なビルだけど、藤丸君、分かるかい?」

 

「あれはマンションだよ」

 

「あれが?周りのマンションとはあまりにもデザインが異なりますが」

 

確かに、他のものとは違うが、それでもマンションには違いない。

 

「とにかく、あの建物が妖しいのは間違いない。サーヴァント反応もあそこに集まっている」

 

「はい。建物の入り口までは障害は見当たりません。このまま入り口まで――」

 

マシュが言いかけたところで人影が視界に入る。

 

「入り口付近に人影があります!」

 

「動体反応も複数だ。残留思念、ゴーストの類だろう。サーヴァントと思わしきものとゴーストが戦闘しているようだぞ」

 

「急ごう!」

 

「はい、マスター!」

 

走り出す二人に俺もついていく。

 

ただ、戦闘はすぐに終わるだろうと思っている。

 

あの程度のゴーストでは彼女の足止めも出来ないだろう。

 

「なんだ、ゴーストの反応が一斉に消失したぞ?!霧散したんじゃ無くて消失。消しゴムで消すみたいに残留思念が掻き消えた。なにこれ怖い?!これじゃまるで――」

 

驚いたロマニの声が途中で止まる。

 

言ってはいけない事を言ってしまいそうなったかのような態度だ。

 

「サーヴァント反応、視認距離に入ります。アレは……女性?」

 

そこにいたのは短めに髪を切りそろえた黒髪の女性。

 

「はあ、やっすい夢。いつもの悪夢にしては質が悪いな、これ。シャレコウベの自縛霊とか時代を考えろ。今時は売りの一つもないとやっていけないぞ」

 

そういった彼女は盛大なため息を吐いた。

 

「ナイフを持った着物の少女、でしょうか。先輩、あの方は」

 

「はじめて見る顔だ」

 

「ですよね。では、まずは会話から」

 

「要らない。おまえたちと話す気はない。だって長そうだし。悪人にしろ善人にしろ、頭にナイフ(こいつ)を打ち込めばこんな現実(ばしょ)とはおさらばだ」

 

無茶苦茶だ。

 

その程度のことで殺されたくは無い。

 

「厄介ごとに首をつっこんだのはその頭だろう?綺麗さっぱり、元居た場所に返してやるよ」

 

「来ます!訳が分かりませんが、ここは応戦を、マスター!」

 

とりあえず、斬られたらアウトだ。

 

要するに接近戦は出来ない。

 

マシュと藤丸が戦うのをサポートする程度に武器を展開して射出する。

 

とはいえ、まともに通用している様子は無い。

 

まあ、もともとの戦闘能力も高いし、一般人に毛の生えた程度の今の俺の状態じゃ無理だ。

 

マシュ、藤丸も頑張っているが、相手の種が分からず対応に困っている様子だ。

 

「ドクター、解析をお願いします!」

 

攻防の一瞬の中断。

 

「何の変哲も無いナイフが、どうしてサーヴァントの肉体ばかりか、武装すら切断するのかを」

 

『……魔眼だ』

 

「ドクター?」

 

『魔術世界において魔を帯びた眼、転じて神秘を見る眼は魔眼と称される。魔術式や詠唱を用いるまでも無く。ただ“視る”だけで神秘を映すもの。ポピュラーなもので『束縛』『強制』『契約』『炎症』『幻覚』『凶運』といった現象だが、中には彼女のような特例の眼が存在する。『石化』を上回る『停止』の最上級。『死の概念』をカタチとして捉え、干渉する虹の瞳。名をつけるとしたら、直視ならぬ直死の魔眼』

 

一旦、彼はそこで区切る。

 

意図は大体分かる。

 

こちらを気にしてのことだろう。

 

『いやあ凄いね。あんなのは神霊クラスだ。相手を視るだけで殺すなんて、破格にも程がある』

 

「なんだそいつ。胡散臭い、小物臭い」

 

ただ、その言葉はばっさりと切られた。

 

「オレは英霊じゃないし、相手を視ただけで殺すとか、出来るわけないだろ。オレにできるのは死を視ることだけ。死にやすい線……えーと、要はモノの結末か。いつか死ぬことと決まっている要因、死の結果をなぞっているだけって言えば分かるか?」

 

「は、はあ……モノの結末……死にやすい線、ですか?」

 

「つまり、寿命を切っているいるんだね?」

 

「先輩、分かるんですか?!」

 

おっとこれはびっくりした。

 

割と回りくどい説明だったので、一発で理解できるとは思わなかった。

 

俺も最初は言っていることは出来なかったし。

 

「へえ、話が早いな、お前。どこぞの薀蓄屋か?気持ち悪い。すごく気持ち悪い」

 

そう言いつつ、彼女はわりと嬉しそうだ。

 

「まあいいや。そこの、全体的にすべすべしたおまえ」

 

「わ、わたしですか?」

 

「そうだよ。おまえ以外に誰がいる。おまえ、体の全部がサーヴァントじゃないな?」

 

「は、はい。わたしはデミ・サーヴァントなので、元になる肉体は人間のままと言いますか……」

 

「そうか。てっきりあの影ヤロウの仲間かと思った。そこの男も目がきらきらしてるし。おかしな妄想に取り付かれてはいなさそうだ」

 

そう言って藤丸の方を見ている。

 

ちなみに俺のことは完全に無視だ。

 

どうやら気に喰わない人間に見えるのかもしれない、というか見えるのだろう。

 

「斬りかかって悪かったな。じゃ、そういう事で」

 

「え、ちょっ、待って?!」

 

「このマンションを解体しに行くんだけど。放っておけないだろう、これ。中には気持ち悪いのがあふれかえってるんだし、放置してたら近隣住民にも迷惑だ。おまえたち、ホラー映画は?分かる?そうか、そりゃあいい。ほら、なんだっけ。死んでるのに動く人体とか、見えないくせに見えるようになった幽霊とか。そういうのが跋扈してるんだよ。サーヴァント達のせいでな」

 

「サーヴァント達のせい、と仰いましたか?」

 

「ああ、このマンションに堂々と住み着いている。おかげでココもお祭り騒ぎだ。サーヴァントってのも幽霊の類だろう?そんなのが実体化していれば、他の連中も調子に乗るさ」

 

調子に乗ってどんちゃんお祭り騒ぎ。

 

言葉面だけと見ればたいしたことがないんだけど、サーヴァントとモンスターだからそんなかわいいものじゃない。

 

「まあ、かくいうオレもここじゃあサーヴァントにされてるんだけど。おまえがデミ・サーヴァントなら、オレは擬似サーヴァントってところか。おおかた、この建物に因縁があるから引き寄せられたんだろ。ホント、いい迷惑」

 

「ひとりで平気なのか?」

 

「知るか。消えるのなら消えるで清々するよ。余計な苦労をしなくても済むしな」

 

「さ、さっぱりとしていると言うか、ご自分のことに執着がないというか。で、ですがやっぱりここで知り合えたのは何か意味があると思います。まだマスターがいらっしゃらないのなら、われわれカルデアにご協力いただけないでしょうか!」

 

「意味がある、か。縁ってヤツだな。そういうの、嫌いじゃないけど。マスターってそいつらだろ?お前達に協力したらそれこそホントにサーヴァントみたいじゃないか。オレはたまたま呼ばれただけの異邦人だ。誰に関わる気もない。ただ、あのいけすかない影ヤロウに借りを返したいだけで―――」

 

「フォウ、フォーウ!」

 

「フォウさん?!また盾にくっついてきたんですか?」

 

「…………なに、その毛玉。ふざけてるの」

 

たっぷり沈黙した後毒を吐いた。

 

ただ、顔を見れば分かる。

 

ものすごくフォウ君が気になっているようだ。

 

「これで頼れるランナーだよ、フォウ君は」

 

なぜそこでボケるのか。

 

場を和ますつもりなのだろうか。

 

「両儀式」

 

「はい?」

 

「だから、オレの名前。お前達の名前は?」

 

「はい、こちらはマスター・藤丸立香、ジョージ・マッケンジー。わたしはマシュ・キリエライトと言います。お互いの名前を確認したということは、協力してくださるのですね、式さん」

 

「まあな。考えてみれば、マスターってコトはここのサーヴァントどもと関係あるんだろ?なら、連中を追い出すのは元々お前達の仕事だ。きっかり働いていけ。少しはてつだってやるから」

 

「ネコ好きなの?」

 

「別に。ぜんぜん。あと、あのヘンなの、ネコじゃないからな。ちょっと毛並みが良くて気持ち良さそうなだけ。少しも似てないし。ネコ舐めんな」

 

分かり易い。

 

これだけ分かり易い反応をしてくれるとこちらも対応し易いから助かる。

 

三人はロマニを交えて中の状況の確認と対応を相談している。

 

さて、俺はどうしたものか。

 

式には基本的に無視されていたが、ちょくちょくこちらを見られていた。

 

ある程度気になる点があるのだろう、それが不信感になって様子見をされていると思われる。

 

距離を取るのか、それとも藤丸と同じ程度にするか。

 

距離感を間違えると面倒くさいことになりそうだ。

 

「ん?」

 

そんな折に、新しく魔力反応を感知した。

 

恐らくはサーヴァントだろうが、急に沸いて出てきたような感じだ。

 

波長としては式に近い。

 

思い当たるサーヴァントはひとりいるが、本来なら彼女はここには出ないはずだ。

 

とはいえ、それでもそれ以外に思い当たるものはいない。

 

そのあたりの処置も考える必要がある。

 

仕方が無い。

 

ここは彼女の処置を考えるまではある程度距離を取ってついていくことにしよう。

 

まとまる前に行動すると絶対おかしなことをしそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次話予定は未定です。
早めに書けるように頑張ります。
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