「とりあえず、レイシフトの準備は出来たよ。藤丸君が来れば、第二特異点へとレイシフトを行うけど準備は大丈夫かな?」
「そのあたりは大丈夫だよ」
緊急事態だった特異点Fへのレイシフトを除けば一度もレイシフトをしていない俺にとっては、正式な手順でのレイシフトは初めてのことだ。
今の言葉はドクターなりの気遣いだろう。
「それで、君のサーヴァントなんだけど・・・」
そういった彼は僕の傍にいる小さな女の子を見る。
「えっと、イリヤさんでいいんだよね?」
「はい、イリヤ、て言います。マスターさんのサーヴァントで一応魔法少女やってます」
びしっと姿勢を正すと少し緊張したように彼女は自己紹介をする。
「ああ、うん。僕はロマニ・アーキソン。気軽にロマンって呼んでくれて構わないよ」
「はい、分かりました、ロマンさん」
「うん、よろしく」
ちらりと困ったような顔でドクターはこちらを見る。
どう対処したらいいのか判断が出来ないのだろう。
「とりあえず彼女は留守番で」
サーヴァントは全盛期の姿で基本的に現界する。
だから、見た目と年齢にギャップがあることが多く、外見は若々しくても中身は老成した人物なんていうことざらにある。
だが、俺が召喚した彼女は正真正銘の小学5年生の女の子だ。
戦場へと連れて行こうなんて思えない。
「それはダメだよ。レイシフトする際の条件は守ってもらわないとね」
「ダヴィンチちゃん、こんな小さな子を戦場に連れて行くわけにはいかないよ」
「なら、新しく誰か呼ぶかい?誰か一人でもサーヴァントを連れて行ってくれれば構わないわけだからね」
それは嫌だ。
正直一人でも呼ぶのは避けたかったのだというのに、更に一人増やすなんて考えたくもない。
「サーヴァントである以上、君も戦えるだろう?」
「えっと、どれだけ出来るかどうかはわからないけど、頑張ります!」
『イリヤさんの実力の程はこのルビーちゃんが保証しますよ!大船に乗った気持ちで居て貰って構いませんよ!』
「ちょっと、ルビー?!」
イリヤがルビーの過度な期待を煽るような言葉に慌てふためく。
ただ、俺としてはプリヤのイリヤを見たことないのでどれぐらい戦えるのかは分からないけど、一応小ギルと戦って生き残ったらしいから、決して弱くはないのは分かっている。
実力の程はそこまで悲観してはいない。
ただ、さすがに小学5年生の女の子を戦わせるというのは非常に心苦しいものがある。
自分も10歳の時からやってきた経験があるから分かるけど、一般常識からごっぞりとずれる。
一般人として生きると決めたときにそのずれをすり合わせるのに苦労した記憶がある。
だから、いくら彼女がサーヴァントという別物の存在とはいえ出来れば戦わせたくない。
「彼女たちもこう言っている以上、私は連れて行くべきだと思うが?」
ただそれはあくまでもこちらのエゴである。
イリヤ自身、サーヴァントとしての役目を果たしたいみたいだ。
それを無視してカルデアに留守番させるのは彼女の存在のあり方を否定するようなものでもある。
ダヴィンチもそれが分かっているからこそ、つついているのだろう。
「君が心配したくなる気持ちも分かるが、彼女はサーヴァントだ。その心配は無用だ」
「うーん」
「小学5年生と言ってもおそらく君よりも強い。いい加減覚悟を決めたまえ」
だから、ここは頷くしかないのだが、やはりどうしても素直に頷けない。
頷きたくない。
小学5年生の女の子を戦場に送り出すような鬼畜な所業にしか思えない。
というかはたから見たらそれ以外の何者でもない。
「ダヴィンチちゃんの鬼!悪魔!ちーーー」
「藤丸立香、到着しました!」
しかしだからと言って拒否することは出来ないので頷かないといけないのだが、せめてもの嫌がらせをと思ったがそれは主人公の到着でかき消されてしまった。
「お疲れ様。ゆっくりと休みたいところすまないね」
「いえ、俺なら大丈夫です」
いかにも自分は元気ですと言うかのようににかっと笑う。
タフな行軍だったはずだが、それでもそんなことをおくびにも出さない。
「さて、それにしても、今君は私に対してなんと言うつもりだったのかな?鬼、悪魔は分かるけど、最後のは普通に人の名前だったみたいだけど?」
にっこりと笑みを浮かべているが、目が笑っていない。
「鬼と悪魔が同列に扱われたくないと訴訟を起こそうとするレベルの人です」
俺としては彼女のことはそんなふうに思っていない。
特に新しい方だと優しさがあふれてばかりだし、見目は可愛いし、むしろ天使や女神と同類だと思っている。
決して、媚を売るために言っているわけじゃない。
「ぜひともどういう人なのか教えて欲しいところだが、藤丸君も来たことだしいつまでもじゃれてるわけにはいかないか」
「え?え?」
藤丸は状況が理解できませんと言わんばかりにきょろきょろとしている。
隣にいるマシュも状況が分からず若干ながらもおろおろとしている。
「とりあえず、第二特異点からは俺も荷物運びとして一緒にレイシフトすることとなった。ただ、自分の身を守る程度の戦闘はするが、それ以外はノータッチだ。現地でのことは君に任せる」
「俺だけ?!手伝ってくれないのか?」
「前もって言うけど、俺人と話すのが苦手で大抵怒らせるから交渉ごとは向いてないんだよ。あと戦闘センスや戦術関係も壊滅的だし指揮も無理。だから、荷物持ちとしてしか手伝えないからね」
もちろん言っていることは嘘だ。
清姫にでもばれれば焼却待ったなしだが、幸いここにはいないので大丈夫だろう。
「了解。分かったよ」
一瞬、何かを考えるそぶりを見せたが口にすることはなく頷いた。
思うことがあったのだろうが、飲み込んだのだろう。
「あと、この子が俺のサーヴァントだ。イリヤ、自己紹介してあげて」
「はい。えっと、イリヤって言います。小学五年生です。マスターさんのサーヴァントで、一応魔法少女、やってます」
「え?」
再び固まる藤丸。
まあ、確かにそういう反応をしたくなるのは分かる。
見た目どおりの小学5年生がサーヴァントとして出てくるのだ、そうならない方がおかしい。
「俺としては留守番をさせたいんだけど、ダヴィンチちゃんがどうしても連れて行けと言うからさ、一緒に来てもらうことになったんだ」
そしてさらっとダヴィンチに責任を負わせる。
ただし、何も間違っちゃいないため、ダヴィンチもじとっとした目で見るだけだ。
「まあ、本人も頑張る気みたいだから連れて行こうと思うんだけど、なんと言っても小学5年生だ。だから、俺も気をつけるつもりだけど、藤丸君も頼むよ」
「う、うん。了解した。俺も気をつけるようにするよ」
「助かるよ」
基本的に自分でどうにか出来るとは思うけど、何が起きるか分からないのが現実だ。
保険は出来る限り手厚い方がいい。
何かあってからじゃ間に合わない。
「キリエライトさんもよろしくね?」
「はい。マシュ・キリエライト、了解しました」
そういえば初期のマシュはだいぶ堅いんだったっけ?
あまり覚えていないから分からない。
「新しい仲間の顔合わせも終わったことだし、そろそろいいかい?」
こほんとわざとらしい咳をするとダヴィンチが話を進めた。
四者四様の形で頷く。
「なら、ロマニ。よろしく頼むよ」
「ああ、それではグランドオーダー、開始だ」
そして、彼の言葉に合わせて俺たちの第二特異点の修正が始まった。
とりあえずなんとかまとめきれたのでアップです。
次の更新の予定は未定です。
一週間以内にはアップできると思います。
お話の方はこれからは常時こんな感じでぐだぐだと進んでいきます。
原作ストーリー本編を軽く薄くなぞる程度でがっつりと描写はないと思います。