【アンコもどき小説】やる夫と叢雲とステンノは世界を渡りながら世界の危機を回避するようです   作:北部九州在住

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育成が追い付かない……


まだまだ続く猫の手の確保 その5

 そろそろ組織の育成を考えて、スカサハ師匠を呼ぶことにする。

 もちろん、クーフーリンは懸念の声をあげる。

 

「大丈夫か?

 前も失敗しただろう?」

 

「言うな。

 言霊となってまた失敗したらどうする?」

 

 前回、スカサハ師匠を呼ぼうとして、ダヌ様を呼ぶという大トラブルを引き起こしてえらい事になったのである。

 という事で、万一を考えてダヌ様も連れての召喚である。

 前回と同じくスカアハを購入して聖杯を混ぜ混ぜして……

 

「あっ」

 

 おい。前回も聞いたぞ。

 ヴィクトルよ。

 最大限の警戒を皆がする中、こんな言葉と共にカツカツとヒールの音が。

 

「というわけで、新たな装いだ。

 これは……そう、バニーガールというものだな。

 前々より興味はあったが、なるほど……。

 実に動きやすいな、これは」

 

 な ん だ こ れ は ?

 

 見なかったことにしたかったが、能力は優秀なので麻帆良学園に送り込むことにした。

 あそこならば問題ないだろう。バニーぐらいは。

 なお、「ちゃんとした服を着てください!」と麻帆良学園風紀委員からおしかりを受けた結果、マント露出痴女とおっぱいタイツ師匠のどちらがいいという斜め上の返答が返された結果、お目付け役の入江省三から正式に抗議が届いたことを報告しておこう。

 

 

 

「助けて!

 また変な特異点に捕まっちゃって……」

 

1 ローマ攻略中

2 ローマ攻略後

3 オケアノス攻略中

4 オケアノス攻略後

5 ロンドン攻略中

6 どないしよ?

 

4 オケアノス攻略後

 

 グランドろくでなしことマーリンが加入したカルデアはその攻略の速度を進めたらしく、オケアノスまで突破したらしい。

 このあたり、時間軸がずれているのだなというのが分ったが、そんなカルデアがみょうちきりんな特異点に捕まったそうだ。

 で、オルガマリー・アニムスフィアから送られた画面を見ると、見慣れたというか見たくなかったSAN値直葬の建造物が。が。

 

「なにあれ?」

 

 呆然としている叢雲に俺とステンノとマシュは頭を抱えながらハモった。

 

「「「チェイテピラミッド姫路城」」」

 

 見たくなかったというか、トラウマになっているというか。

 メンタルをリセットして、ぐだ子を探すと……

 

「なんか、サーヴァント増えてね?」

「それも相談したかったのよ。

 いつの間にか増えていて……大丈夫なの?」

「サーヴァントについては大丈夫でしょうよ。

 彼女は、そういう意味でも強い」

 

 というか、もっと増えないとこの先困るのだ。

 という訳で、頑張れ……ん?

 

「何だかえらく日本鯖が多いな?」

 

 伊吹童子まで居るのか。

 たしか、茨木童子と酒呑童子も居たな。

 最初に呼んだのが沖田さんだった……目の錯覚かな?

 沖田さんも二人いるぞ???

 

「彼女、魔人さんって名乗っているんだけど、沖田総司なのよね」

 

 メガテン世界で魔人は凄くまずいのだが。

 とはいえ、言ってオルガマリー・アニムスフィアの胃を痛める必要もないだろう。

 あ。誠の旗が立った。

 

「俺が新選組だぁぁぁ!!!!!」

 

 土方歳三だけでなく斎藤一も居るのかよ。

 というか、あそこで暴れているの、天狗のような気がするが……

 

「あの人、鬼一法眼さんと言って、牛若丸の師匠なんだって。

 この特異点の攻略に協力してもらっているんだけど……」

 

 すっとデビルアナライズを向けた。

 こんな文字が出てきた。

 

『幻魔 クラマテング レベル80』

 

「大丈夫ですよ。

 きっと」

 

 俺は見なかったことにした。

 けど、相手の方が一枚上手だった。

 

「ほぅ。

 こちらは中々偉くなっておるではないか。

 弟子よ」

 

 どこから湧いてきたというか、できるよなぁ。このぐらい。この人なら。

 画面を見てみると、画面の中でも鬼一法眼がこちらのカメラに手を振っていた。

 

「向こうに全力を注いでくださいよ。師匠」

 

 その呼び名は自然と出た。

 向こうとある意味同存在だからこそ、こういう場所でデータのフィードバックが発生するのだ。

 で、それにこの師匠は気づいたと。

 

「弟子を取ると言った以上、一人も二人も同じだ。

 ましてや、世界は違うが同存在ならば、君も僕の弟子だ。

 という訳で、コンゴトモヨロシク」

 

 これも麻帆良学園に投げよう。うん。

 心の中でそう決意したのだった。

 なお、麻帆良学園においての評判は初等部を中心に偉く良かったらしい。

 

 帰り道、ランダムエンカウントで悪魔に出くわす。

 俺ぐらいの厄持ちになると、悪魔の方が近寄ってこないので、寄ってくるのは特級の厄でしかない訳で。

 鬼一法眼が楽しそうに笑う。

 

「ここは弟子の手前、僕のかっこよい所を見せておこうか……」

「待て待て。

 わえは争うつもりはない」

 

 『わえ』……だと……?

 嫌な予感がびんびんするのにも関わらず、目の前の悪魔は楽しそうに自己紹介をする。

 

「わえはヴリトラじゃ。

 まったく……いや、わかってはおる。

 貴様はただ、信じておるだけなのじゃろうな。

 何をか、誰をかは定かではないが。

 確かなのは、その信が潰えたとき、人は魔に喰らい尽くされるということじゃ。

 後悔せぬように、せいぜい必死に足掻いてみるのじゃな。き、ひ、ひ、ひ!」

 

 呆然とする一同を尻目に、それが分るステンノが翻訳してくれた。

 

「つまり、貴方の所に特大の厄があるから、特等席で見物させてねって事」

 

「言うなよ。

 自覚しているんだから……」

 

 俺が天を見上げて黄昏るが、目の前のウリドラは帰る気配がなかったというか、やっぱりついてきた。

 その厄の意味は霞が関のオフィスにて判明する。

 頼りになるスーツ姿の孔明先生と陳宮先生が暗い顔で報告してくれる。

 その報告後俺も同じ顔になったのは言うまでもない。

 

「メシア教徒の過激派が日本の新興宗教の施設を襲撃。

 死傷者を出したのだが、その新興宗教で崇められていた少女の行方が分からない」

 

「現在のメシア教の過激派の考えを推測するに、その少女が本物で彼女を聖女に仕立て上げるのではというのが我々の結論だ」

 

 その連れ去られた少女のファイルがテーブルに置かれる。

 名前の欄に殺生院キアラと書かれていた。


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