【アンコもどき小説】やる夫と叢雲とステンノは世界を渡りながら世界の危機を回避するようです   作:北部九州在住

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冬木市の一番長い夜 その4

 時間は少し遡る。

 忍野メメと俺はこんな会話をしていた。

 

「そもそも怪異って何だと思うかい?」

「また、いきなりの話だが、人にとって理解出来ないモノって線じゃないのか?」

「だったらこんな話を振らないさ。

 怪異ってのは、理解できないモノを『人が納得できるようにした』モノの総称なんだよ。

 たとえば、寝ていたら枕が返っていた。

 これは妖怪の仕業だと人間が『納得』する。

 そうやって昔の人達は、ありとあらゆるわけのわからないモノを怪異として、または神様としてカテゴライズしていったという訳だ」

 

 そこで忍野メメは火のついていないタバコを灰皿に捨てる。

 その目は窓の外の特大の怪異になるだろう叢雲の船体に向けられていた。

 

「つまり、西洋魔術だろうが異世界魔術だろうが、ことこの国では怪異としてカテゴリーされたが最後、大体対処できるよねという訳だ。

 ありがたい事に、神様だけで八百万も居るからね。この国は」

 

 大聖杯をぶっ飛ばすのはいい。

 問題は、大聖杯から出た泥と大聖杯に残っている魔力だ。

 これを日本の『怪異』として処理する。

 やろうとしているのは桜塚星史郎が陸耳御笠を召喚した事と実は変わらないのは内緒だ。

 

「弾は?」

 

「注文通り二発。

 なんであんな形なのかい?」

 

 ロリンチちゃんがタクティカルアーマーを眺めながら疑問を口にした。

 ロリンチちゃんによる魔術加工が無ければ、あの形にはできなかったからこちらとしては大助かりである。

 

「怪異封じの基本は、『類似』と『対抗』なんだよ。

 怪異の正体は何であれ、それによる現象は現実として発生している。

 その発生した現象から、怪異の正体はこれだと決めつけて、怪異そのものを用意した物の怪なり神様なりに当てはめるのさ。

 そうなったら、あとはもうこっちのもの。

 八百万と無駄にある神様の方程式の中からそれに対抗する式を用意して、退治するなり封じてしまえばおしまいという訳だ」

 

 俺は遠目で炎上する円蔵山を眺める。

 この国にはその土地土地の逸話があり、神話があり、神様がある。

 冬木市がこの場所にある事がこのインチキを可能にする。

 

「これは藤丸立香が撮影した大聖杯の映像写真。

 飾りにどういう意味があるかしらんが、女性像をつけてくれたのはこちらとしては大助かりだ。

 女性の神様として扱えるからな」

 

「女性神……あの形……あっ!」

 

 聖杯からの知識から該当するものに気づいたロリンチちゃんが絶句する。

 というわけで、ネタバラシタイムとしよう。

 

「この冬木市の隣には、宮津市というのがあってだな。

 そこの観光名所に天の橋立ってのがあるんだな。

 この観光名所、日本神話においてはかなり大事なところでな。

 イザナギとイザナミの国生みは、天の浮橋に立って天の沼矛をまだ何も出来ていない泥をかき混ぜてこの国を作り上げた訳だ。

 一発目は天の沼矛を模しているんだ」

 

 もちろん、それだけで術を終わらせるのは『もったいない』。

 日本神話を舐めたらいけない。

 類似と対抗で繰り返された対処式はほぼ無数にある。

 

「他にもある。

 今度は仏教伝来後の話だ。

 海に住む龍神様が暴れて困ると言うわけでこの二柱が文殊菩薩に頼み、この龍神を鎮めたとある。

 二発目の弾が如意を模しているのもこの逸話が原因さ。

 で、この龍神様に模された神様の一柱が瀬織津姫と言ってな」

 

 ここでタクティカルアーマーの方の準備ができたらしい。

 無線からパイロットの声が入る。

 

「司令部へ。

 こちら豪和一尉。

 タクティカルアーマー及び、レールガンの準備は終了した」

 

「了解した。

 始めてくれ。

 全員サングラスをつけろ。

 目をやられるぞ」

 

 サングラスをかけてそのままロリンチちゃんに向けて微笑む。

 はたから見ると、幼女に媚びを売るようで通報案件である。

 

「あとは結果を見てくれ」

 

 若狭湾には3つの原子力発電所がある。

 関西電力美浜原発、大飯原発、高浜原発で、そこから作られる電力は数百万キロワットにも及ぶ。

 他の地域で停電しないようによその電力をかき集めたり他の発電所を動かしてこの瞬間だけ何とか電力を確保し、その電力を容赦なくこのレールガンにぶち込む。

 狙いは大聖杯の女体像の下腹部。

 卑猥な気もするがこの国の神話だから仕方ない。

 大聖杯をイザナミに、こちらのタクティカルアーマーをイザナギに例えての国生み作業だ。

 

「発射カウントします。

 10、9、8……」

 

 実験中隊の村井沙生二尉の声が聞こえる。

 なんかうちの痴女と声が似ているような気もしないではないが、空似だろう。

 

「3、2、1、0!!」 

 

「発射」

 

 豪和一尉の淡々とした声の後、ものすごい豪音と閃光が一直線に円蔵山中腹に突き刺さり、鈍い轟音がしばらくしてからこちらに届く。

 さすが学園都市製のレールガン。

 破壊力なら桁違いだ。

 

「二発目発射」

 

 淡々とした声の後、また先程の閃光と轟音が轟く。

 

「こちら上空のヘリ。

 溶岩が!

 あの炎上した溶岩が消えたぞ!!」

 

 うまく行ったらしい。

 呆然とするロリンチちゃんにネタバラシの続きをするとしよう。

 

「国生みの神話だが、最初にできた子供はヒルコとして流された。

 この神様は一説では卑弥呼の別称ではないかという説がある。

 そして、卑弥呼が神格化した神様が、この国の三貴子の一柱。

 もちろん、強引なこじつけだから、その強引さをきっちりと結びつける必要があった。

 龍神様でもある瀬織津姫は、この神様と関係が深い。

 ついでに言うと、龍神様のご利益には浄化ってものがある。

 一発目で、ヒルコとして生まれたお方は二発目によって、自分がヒルコではなくあのお方だと認識、正確には誤認した訳だ。

 これが日本式怪異の祭り方という奴だな」

 

 俺の言葉をロリンチちゃんどころか誰も聞いていないのはある意味当然だろう。

 今、俺たちはこの地に神が降りてくるのを目の当たりにしているのだから。

 朝焼けと共に降りてきたそのお姿は幻想的で神秘的であり、光り輝く古代の巫女姿でその女神はこの地に降り立ち、俺に向かってこう言った。

 

「我が名はアマテラス。

 我を呼んだのはお前か?

 人の子よ」

 

 あ。

 これ高位分霊だ。

 俺でも制御できん。




証拠写真
 https://twitter.com/hokubukyuushuu/status/1088294560340402177

とりあえず能力はあとで考えよう。
 所属は天津神だよなぁ。これ。

アマテラスのレベル173。
 これ裏ボスレベルだよなぁ……
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