【アンコもどき小説】やる夫と叢雲とステンノは世界を渡りながら世界の危機を回避するようです   作:北部九州在住

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みらいからの使者 その2

『みらい』の警戒ぶり 100でバリバリ警戒

 結果 48

 

自衛隊の警戒ぶり  100でバリバリ警戒

 結果 9

 

 みらいにとっては運が良かったというのだろうか。

 冬木の聖杯戦争後で魔術を始めとしたオカルトを自衛隊及び政府が許容しており、富山と新潟の県境で発生したタイムトラベル事件もあった事で『みらい』の遭難と救援もありえるよなという空気で現場に向かっていたというところだろう。

 一方の『みらい』側だが、遭難して戻ったと思ったら自分たちの違う日本の上に微妙に時間がずれているので、警戒しているのは仕方ないのだろう。

 結果、不信感のある『みらい』に対して、あくまで身内の救援という姿勢を崩さないこちらの海自という形で事態が推移する。

 俺たちが房総半島沖で第43護衛隊の『いそゆき』と『はるゆき』に合流したのはそんな状況だった。

 

「状況は?」

 

 叢雲とステンノとマシュを伴って艦橋にやってきた俺は、新島副長補佐の報告を受ける。

 他の護衛艦との連携なんて俺には無理だから、新島副長補佐に丸投げである。

 なお、ドレイク船長は聖杯知識なのか新島副長補佐の手ほどきを受けたのか適応しているのが凄い。さすが伝説の船乗りである。

 

「現在位置は房総半島の南方200キロ沖を南東方向に単縦陣を組んで進んでいます。

 先頭が『いそゆき』で次が『はるゆき』。この『叢雲』が一番最後ですな。

 『みらい』は南鳥島の北西200キロを北西方向に単艦で進んでいます。

 おそらく明日には会合できると思われます。

 また、『みらい』の上空には硫黄島からP-3Cを飛ばして、上に張り付かせて何かあった時のために備えています」

 

「向こうからは何か言ってきたか?」

 

「状況の説明と、補給を求めています。

 あと、負傷者が居るらしく、帰港後の検査および入院を求めてきました」

 

「?

 あの船、ヘリが降りれる場所はあるのか?

 無くてもヘリのピックアップで南鳥島なり硫黄島に搬送して、飛行機で本土に送れば良いんじゃないか?」

 

「それが、なんだか特殊な患者らしく、大日本帝国海軍の軍人を名乗っているとかで。

 今、政府も自衛隊も摩訶不思議を受け入れざるを得ないという事で、そのあたりを入即出司令より説明していただけると助かるのですが」

 

 あー。

 つまり、1942年のミッドウェーからの帰りという訳だ。

 それだったら元の時代に帰れば良いものを。

 このオカルト絡みの色々を説明できる高官に俺はいつの間にかなってしまったらしい。

 

「それについては了解したが、今の俺の立ち位置はどうなっているんだ?」

「第一護衛隊群の隊司令扱いだと思いますが、市ヶ谷の横槍で内局の参事官になるという話もあるとか」

「つまり、何も決まっていない訳だ」

「そうとも言いますな」

 

 あの聖杯戦争のおかげで、よほど色々と揉めたらしい。

 内局の参事官というのは、防衛庁の自衛官でない高級官僚達の牙城であり、正規自衛官ではない俺からすれば、ある意味一番説得力がある場所ではある。

 これで時計塔の事を隠した英国留学経歴あたりが色々と邪魔になるのだが。

 日本の官僚の学閥の主流は東大だからだ。

 それで参事官というのは強烈に他の官僚を刺激する。

 まぁ、叢雲がいるから現場の方が都合がいいのだが。

 

「立ち位置についても了解した。

 向こうも本土に着いてしまえば、いやでも納得するだろうな」

 

 俺は考えるのをやめることにした。

 組織的ごたごたに絡んで最大の目的である核ミサイル阻止ができないなんて事だけは避けたいのだが。

 

「そういえば、帰り道で見つけた戦国時代からの遭難者。

 あれどうなったの?」

 

 あの連中も帰せる可能性が無いわけではない。

 多分、冬木の大聖杯近くで見つかったゲートが鍵なのだろう。

 カルデアのコフィンで送れるならばそれが一番手っ取り早いのだが、あれは魔術師限定なんだよなぁ。

 俺がそんな事を考えている間、叢雲の疑問にも新島副長補佐はすらすらと応える。

 

「検査と事情聴取中ですね。

 この件もそうですが、色々あり過ぎで政府もてんてこ舞いなのでしょうな。

 米軍は若狭湾のテロ事件のミサイル流出で動けず、向こうの大企業が私兵を日本に送ったとかで、内調が大慌てだとか」

 

「どこだ?

 その私兵を送りつけた連中は?」

 

 メシア教徒の尖兵かと思った俺の思惑は大きくハズレたが、もっとやばい名前が出てきた。

 

「世界的製薬大企業のアンブレラ社ですよ。

 冬木のテロに対して医療支援を行うという名目で、アンブレラ社の日本法人の要請という名目で実際支援物資も送ってきたのですが、その輸送スタッフが明らかにカタギでなかったとか」

 

 バイオハザードも混ぜたのかよ。あの駄女神。

 わからない風を装って全部理解したステンノが微笑む。

 

「がんばれ♥」

 

 これほど嬉しくないがんばれはなかった。

 『みらい』との合流は何事も問題なく進み、『みらい』は叢雲の後ろについて横須賀を目指すことになった。




この世界の世紀末予定
 英国   第二次アシカ作戦
 米国   バイオハザード
 日本   女神転生

 基本逃げ場は無い。


『いそゆき』『はるゆき』
 はつゆき型護衛艦。
 この時期の汎用護衛艦の二隻。
 叢雲より大きいが、『みらい』より小さい。

内局の参事官
 防衛庁長官官房参事官。
 課長級だが、現場から市ヶ谷詰めになる。
 最終的には、自衛隊のオカルト部署の初代局長にというオファー。 


証拠写真
https://twitter.com/hokubukyuushuu/status/1099412183748771840

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