ワールドリワインド   作:恒例行事

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地獄へ⑦

 二十三

 

 司令部に向かう道中、合計三体のトリオン兵に遭遇した。居住区に侵入したトリオン兵が二十体で俺たちが討伐したのが合計四体だから残り十六体か。その程度の数だったら他の正規兵がどうにかしてそうだな。

 

 居住区以外――まぁ普通の施設がある場所とかはどうなってるのか不明だ。無線から連絡来ないが、壊れてることは無さそうだし恐らくまだ緊急を要する状況じゃないんだろう。

 

 

「右に跳んでください!」

 

 

 後ろを走る空腹少女が叫び、その声に疑問を抱く前に右に跳躍する。直後先程まで走っていた場所に対して何発もの砲撃が飛んでくる。背筋が凍るような感覚を受け、その感覚に従い動く。右に左に斜めに後ろに。ありとあらゆる動きで砲撃を回避。

 

「私が前に出よう、回り込んでくれ」

 

 トリオン体を唯一持つアレクセイが前に出て敵の注意を惹く。その隙に空腹少女と俺で左右に分かれて移動を開始。

 

 

 ――瞬間、背筋が凍るような感覚が襲ってくる。ゾワリと鳥肌が立ち今すぐ逃げろと脳が警告してくる。後ろに飛び跳ね、その直感に従う。

 

 

 何だ、視界がズr

 

 

 

 

 

 

 

 二十四

 

 ――瞬間、背筋が凍るような感覚が襲ってくる。後ろじゃダメか。なら次は右だ。敵がどこから仕掛けてきてるかわからない今、とにかく何度も繰り返すしかない。

 

 右に避けて――クソ、また視界

 

 

 

 

 

 

 

 

 二十五

 

 ――瞬間、背筋が凍るような感覚が襲ってくる。右でもダメ、か。この視界がズレるのは一体何なのか、それを知る必要が先にあるか?まぁでも先に逃げる場所を試す。一撃回避さえしてしまえば次から確定で回避できるから

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 二十六

 

 ――瞬間、背筋が凍るような感覚が襲ってくる。左も駄目。なら次は前だ。後ろ左右がアウトって事は意外と範囲広いのか?砲撃か……それとも、長い剣でも振り回してるのか。姿を隠して潜んでいるのかのどれかになる。一番確立が高いのは砲撃だが、視界がズレるという事象と関連しない。切断されているのか?だとすれば斬撃系統になるな。

 

 一先ず前に踏み込み、どうなるかを確かめる。視界はズレないな、あれでも足が動か

 

 

 

 

 

 

 

 

 二十七

 

 ――瞬間、背筋が凍るような感覚が襲ってくる。前に踏み込むと胴体と下半身で真っ二つにされた。こりゃ斬撃で間違いなさそうだな。ただ問題としては姿が視認できないところにある。遠距離から斬撃を飛ばす……か?あり得ない話じゃない。空腹少女だって射程伸ばしてたしな。

 

 俺達みたいなミソッカス軍団じゃなくて天賦の才をもってトリオン量も多いとかいうガチの天才がやれば普通に強い。ただせめて斬撃が飛んでくる方向を読まなきゃいけない。

 

 前に踏み込み、先程は胴体を真っ二つにされたので身体を前に沈めて回避する。瞬間頭の上をチリッという音と共に刃が駆けて行った。お、俺の髪の毛が……。

 

 跳んできた方向は前――これで前方にいるのは確定。空腹少女だったら回避できるかもしれないが、アレクセイは多分回避できないな。早々に殺さないと味方への被害が多そうだ。

 

 背筋にゾワッと感覚が来たので横に跳ぶ。縦に真っ直ぐ斬撃が飛んできた。どうやら一本ずつしか飛ぶ斬撃は出せないらしい。なら好都合、癖を掴んで一気に詰める。屈みながら前に進む。屈んでいるという事は、敵は必然的に縦か横の一閃で来るしかない。

 

 縦に来るとすれば横に身を回避すればいいだけなので、俺だったら放たない。どちらかと言えば回避が難しい横で斬る。斜めと言う線も捨てきれないが、その時はその時。次に対応しよ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 二十八

 

 ――瞬間、背筋が凍るような感覚が襲ってくる。うへ、斜めに斬ってきやがった。横だと思ったんだがな……まぁ切り替えろ。先程と同じで前に飛び込みながら屈み初撃を回避。今回は髪の毛は減らなかった。ただでさえ白髪が増えてんのにこれから更に薄くなってたまるかよ……!

 

 縦の一撃を回避し、次に備える。左斜めの斬撃だったから――あれ、受け止めれる物じゃないのか、これ。一旦試してみるか。

 

 斜めに放たれる一撃を手に持った剣で斬る。一瞬籠めたトリオンで十分、斬撃を分断して回避できた。おお、これでいいじゃん。さて、本体はどこにいるのか――居た。建物の陰からこっちに向かって斬撃を放ってたらしい。こそこそしやがってこの野郎。

 

 再度放たれる斬撃だが、その程度見てから回避できる。スッと身体を横に逸らしつつ駆ける。発見されたことに気が付いたのか、慌てて後ろに下がる。もう遅いぞ、この距離なら逃さな

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 二十九

 

 ――瞬間、背筋が凍るような感覚が襲ってくる。もう一人いたのか。建物の上からこっちをずっと見てやがったな。つーことは下の斬撃野郎は一番の本命で、保険として上にバックアップ要因が居たって感じか。うーむどうするか、遠距離攻撃できる装備なんて贅沢な物無いしな。

 

 建物の上に居ることが分かってるなら最初から向かうのもいいか。とりあえず前に屈みながら駆けて回避、建物を横目で確認すると確かに屋根の上に居た。あんな堂々と居たら狙撃飛んできそうだけどな。

 

 さっきの感じからして、こいつも砲撃タイプで問題ないだろう。斬られたような死に方じゃなかったし、先に接近して仕留めるか。足場を作るために、斬撃を回避してから地面を思いっきり踏みつける。巻き上がった砂に隠れて一気に建物へ肉薄する。

 

 ゾワッという感覚と共に斬撃が飛んでくるのを肉眼で確認したので、さらに加速して斬撃を回避。建物に足をかけ、一気に駆け上がる。建物の上に居るトリガー使いがこっち目掛けて銃を構えるのを視認し、更に飛び跳ねる。空中で身動きが取れなくなると困るので先程蹴り上げていた外壁を足場に更に加速しガンナーの首を切断する。

 

 トリオン体が解除された瞬間更にもう一閃ぶち込んで確実に殺す。首と胴体が分かれたのを確認し、斬撃飛ばしの方に向かう。向かおうと駆け出した瞬間、ゾワッと背筋が凍るような感覚がしたので急いで飛び退く。

 

 俺の居た場所を建物ごと斬る斬撃が飛んできたが何とか回避、下を見てみるとアレクセイと戦っていた奴がその斬撃に当たっていた。何だ、敵国に来てるくせに連携取れてないな。

 

 そのまま真下に落下し空腹少女と斬り合ってるやつを上空から襲撃、頭から真っ二つにする。トリオン体が解除されるその瞬間にもう一度斬り殺し、後は残った斬撃野郎を殺して終わり。

 

 まだ対人戦は少ししかやったこと無いが、少しずつ慣れてきた。剣についた血を振るって落とす。

 

「やはりレーダーをある程度無効化できる様だな。仮に感知できていれば通信が入る筈……この感じだと、本部がどうなってるかわからないな」

 

 間に合う事を祈るしかないな、兎に角向かうか。

 

 

 

 司令本部に到着すると、既にトリガー使いは全員捕縛されていた。あれ?もしかして一人残らず殺したの俺達だけ?ま、まぁ反撃される可能性あったし仕方ない。

 

 居住地区の制圧も終わり、大きな損害は無かったそうだ。精々数人死んだ程度で、まだ前線を支えるという役目は十分果たせる――そうアレクセイは若干苦い顔で言っていた。

 

 今回もそう苦労せず乗り越えられたことに内心安堵する。何度死んでもやり直せるとは言え、繰り返しの場所はわからないのが不安で仕方ない。その内、取り返しのつかない場所でやり直すことになるのでは――切り替えろ。

 

 そんな先の事を考えていても仕方ない。そうだ見据えるべきなのはそんな場所じゃない。頂点だ。今回殺した程度の雑魚相手が頂点だと思うな。

 

 もっとだ、もっと強くならなければ。

 

 一度も死ぬことが無いくらい。

 

 

 

 

 

 


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