※よく似たタイトルの漫画とは一切関係がありません。
今の時代、オタクだって恋をする。
恋人がいるオタクだって、そんなに珍しいわけじゃない。
さあ恋せよオタク。
と、雑誌の恋愛記事が煽る様に、簡単に恋人が出来るなら世の中に苦労人などいない。
確かに本気になれば恋人が簡単にできる…者もいる。
それは美男美女で、高学歴で、仕事が出来るオタクに限った話。
彼ら彼女らは、そのハイスペックな己の個性としてオタクを持っている。
もし、ディープなオタクであったとしても、彼らは日常生活を犠牲にしていない。
バリバリと仕事をこなしつつ、己の力でこじ開けた余暇で趣味に没頭するのだ。
勤務時間中に近くの奴とオタク話をしながら作業を行い、注意力不足でミスを犯す、仕事も出来ない冴えない連中とは違う。
仕事も出来た上で、趣味にも力を注ぐ余力を持つ者と、
仕事で評価されないから、批判のない妄想に逃げ込む者では前提が違う。
仕事で成果が出ない→現実が苦しい→オタク趣味は己を否定しない→のめり込む→仕事の準備を疎かにする→仕事で成果が出ない→以下ループ…
そんな底辺にとっては、今の時代であって尚、オタクに恋は難しいのだ。
ある職場にオタク女がいた。
ドラム缶の様な体型に詰まった肉が生み出す体重は、周囲の男と並ぶほど重い。
顔はカバの様であり、当然のことながら嫌われたことはあっても、詐欺グループ以外には言い寄られたことがない。
あるオタク男が同じ職場にいた。
虫の様な顔だと言われ、身長も高くはない。
誰かに笑われた経験はいくらでもあるが、誰かを笑わせた経験はない。
素人童貞な彼はオタク女とは小中高と同じであり、学歴も同じ高卒止まりであった。
偶然にも二人を知る者が同じ職場に居た。
「いいじゃん、くっついちまえよ。余り者同士じゃねえか。
なあみんな、コイツらのどちらかと付き合っても良いって奴いる?
…ほら、いないだろ。
お互い以外に付き合える奴なんていないぞ。
だから付き合っちまえって」
こうまで馬鹿にされて、その上でその意見に従おうとしない程度には、スペックに反比例する様に彼らのプライドは高かった。
そして、お互いにこう思っていた。
((こいつよりかは自分の方が少しだけマシ))
そして、そう思うがあまり、互いを蹴落としたいという心理が働いて、どちらかが馬鹿にされるともう片方はそれに便乗した。
片方を囃し立ててもう片方をからかう。
基本的には周囲はそれを笑って肯定した。
そうすることで、馬鹿にしている側はこのやり方でなら周囲のウケが取れると学習することになった。
勿論、周囲もそれを上手く誘導しつつも、時に梯子を外す事は忘れない。
お互いを馬鹿にすることで両者の足下がお留守になった時、両方一緒に突き落とすのだ。
そうなったとしても、オタク女もオタク男もくっつくことはなかった。
互いにいつも相手を(踏み台にして自分だけでも助かりたいと)想い合っているのは明白だったのだが…。
だとしても、余り者同士ひっつこうとは、彼らは遂にしなかった。
その結果、他にくっついてくれる者も居らず、彼らはその生涯を独り身で終えた。
結論を言おう。
駄目オタクに恋は、難しい。
オタクだろうがそうで無かろうが、出来る奴は出来るし、駄目な奴は駄目