カードファイト!!ヴァンガードG 孤独の先の、愛の物語   作:リー・D

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クロノ君とトコハちゃん愛の物語第1弾。
ただしトコハちゃん登場しません。
彼女の登場までしばらくお待ちください。

Pixivとのマルチ投稿になります。
あちらも見てください。


クロノが見つけたもの

俺の名前は新導クロノ。

宇宙飛行士を目指す晴見高校3年生だ。

現在俺は常連のカードショップ、「カードキャピタル2号店」にて冬の大学試験のための受験勉強を行なっている。

 

「えーっと、この問題に必要な公式は……これか?」

 

「惜しいね。正確はこっち。でも解ける様になってきたじゃないか」

 

「そうか」

 

こいつの名前は綺場シオン。

中学の時の同級生で、一緒にチーム「トライスリー」として活動した俺の親友だ。

俺の友人の中でもトップクラスに頭が良いから、こうして勉強を見てもらっている。

 

「ホント、お前も成績良くなったな。U-20終了時じゃあ下から数えた方が早かったのによ」

 

「うるせえぞカズマ!」

 

俺の方を叩きながら話しかけてきたのは東海林カズマ。

高校のクラスメイトでチーム「ストライダーズ」の仲間だ。

不良っぽい外見とは裏腹に成績が良いため学校のテスト勉強は主にこいつが担当している。

愚痴ってるとドアが開いて眼鏡をかけたエプロン姿の人が入ってくる。

 

「クロノ君、カズマ君。そろそろお勉強を終了して仕事に戻ってください」

 

「分かりました。シンさん」

 

新田シンさん。

この店、「カードキャピタル2号店」の店長であり、俺とカズマの雇い主だ。

俺たちはこのカードキャピタルでバイトとして働きながら、勉強させてもらっている。

みんなが集まりやすい所で勉強した方が良いだろうと言うアドバイスが有ったが、どうやら俺には有効だったみたいだ。

 

「それじゃあ僕は、ここで失礼するよ」

 

「ああ。シオン、サンキューな」

 

「そう言うなら、もっと集中して欲しいね。最近気が散っていることが多くなってるよクロノ」

 

「え、またか?」

 

ここのところいろんな奴に同じような指摘をされる。

俺、そんなにも気が散ってるか?

 

「自覚が無いようだね。大体4月に入ったあたりからかな。またボーっとすることが多くなっているよ。定期的にそうなる病気なのかな君は」

 

「そういえば、2年前に鬼丸カズミくんがこの店に来たのも、この時期でしたね」

 

そういえばそうだった。

鬼丸カズミさんは2年前突然この店に来て俺とファイトした人だ。

カズマとはこの人との再戦を目指してU-20と言う大会に出場するためのチームメンバー集めで出会ったのだ。

鬼丸さんがカズマのお兄さんだと知ったら時は驚いた。

現在はヴァンガード普及協会、ドラゴンエンパイア支部、ぬのばたのクランリーダーを務めている。

U-20終了後、しばらくの間は弟のカズマに対して過保護なくらい絡んでいたが、最近は落ち着いてきたらしい。

頭も良いため、たまに勉強を見てもらっているのはカズマにはナイショだ。

 

「まっ、今回は違うみたいだけどね」

 

「何がだよ」

 

ジト目になってシオンを睨みつける。

だがシオンは軽く流すように笑ってる。

ちなみにカズマは何も分かっていないみたいに首を傾げている。

前から思ってたが、お前天然だろ。

 

「誰が天然だ! そんなんじゃねえよ!」

 

あれ? 声に出てたか?

 

「しかしクロノ。宇宙飛行士になって宇宙に行き、最終的に惑星クレイに向かうって言う立派な目標はクロノ自身が決めたことだよ。ちゃんと集中できるよう自分の気持ちを整理し直すことだね。それじゃ、僕はこれで」

 

「ああ。またよろしく頼むな」

 

「それともう一つ」

 

 

「もうすぐトコハの誕生日だけど、プレゼントは僕がまとめて送るから、用意できたら言ったくれ」

 

そう言いながらシオンは帰って行った。

俺は、その言葉になんて答えたか自分でも覚えてなかった。

ただ淡々と仕事していたことは覚えてる。

 

「クロノ君、カズマ君。お疲れ様です。今日はこれでお終いです。二人とも帰ってくださって大丈夫ですよ」

 

「そうですか。お疲れ様です。カズマ帰ろうぜ」

 

「ああ。お疲れ様でした」

 

ギーゼとの戦いから約1年。

あの頃と大きく変わらない俺の日常。

でも、今の俺には大きな目標がある。

だから、あの時とはなにもかも違うはずだ。

 

「終わったかクロノ」

 

「親父?」

 

考え事をしながら着替え終わると、店の入口には俺の父親、新導ライブがいた。

 

「なんで親父が店にいるんだ?」

 

「お前を迎えに来た」

 

どう言うことだ?

今日は夜に出かける予定があるとは聞いていないのに。

 

「クロノ、これから一緒に食事に行くぞ」

 

「……は?」

 

「場所は、行ってからのお楽しみだ!」

 

「待てよ! どう言うことかちゃんと説明しろ!」

 

「それも向こうでしてやる。良いからついて来い」

 

そう言いながら親父は車を持ってくるために駐車場に行った。

 

「……なんなんだよ。親父の奴」

 

「良いじゃねえか。家族との時間は大事にするべきだぞ」

 

「カズマ」

 

「気をつけろよ。また学校でな」

 

「ああ。またな」

 

家族との時間を大切にか。

カズマが言うと説得力あるな。

そんな事を考えながら店の前で待っていると親父が車を持ってきたので、入ることにした。

しばらくすると立派なレストランがあるホテルにたどり着いた。

親父は俺だけを入口に下ろして車を止めに行った。

そしてーー

 

「来たわね。クロノ」

 

「ミクルさん。こんな所で食事なんてして、仕事は大丈夫なのかよ」

 

「大丈夫だから来たのよ。家族との時間は大切にしなきゃいけないしね」

 

新導ミクルさん。

俺の叔母さんであり、保護者だ。

親父が去年帰って来るまでの13年間、俺にとって唯一の家族として、ずっと俺を守ってくれた大切な人だ。

本当にミクルさんには感謝しかしていない。

この人がいてくれたから俺はここにいるんだ。

そのミクルさんが今回の食事会を計画したのなら付き合わないなんて選択肢は存在しない。

 

「それに今日はスペシャルゲストがいるのよ」

 

スペシャルゲスト?

一体誰が……

 

「やあ、クロノ君」

 

「久しぶりだね、クロノ」

 

「シンさんにミサキさん!? どうしてここに?」

 

「だーかーら、スペシャルゲストだって」

 

ミクルさんが改めて紹介するように二人の隣に立った。

いつのまにか親父も来ており、急かされる様に建物の中に入った。

レストランでは予約された席に座ることになっており、順番は俺の隣に親父とミサキさん。

ミクルさんは親父の隣でシンさんはミクルさんとミサキさんの間に座ってる。

心なしかミクルさんとシンさんの席が近い気がする。

やはり気になるので隣にいるミサキさんに聞いてみることにした。

 

「ミサキさん。今日集まった理由聞いてますか?」

 

「ううん。私も何も聞いてないんだ。ただシンさんに大事なことだから来て欲しいって言われただけ。店の方はもう閉めたから代理たちを一箇所に集めてから来たんだ」

 

「そうですか……」

 

戸倉ミサキさん。

シンさんの姪であり、ショップ「カードキャピタル」全店のオーナーを務めている。

美人で優しいけど、おっかなくてシンさんを尻に引いてる凄い人だ。

ちなみに代理とは、新田家で飼っている3匹の猫だ。

初代店長代理は1号店に、2代目店長代理はもう1匹と一緒に2号店にいるキャピタルのマスコットだ。

 

「……知りたいのなら、まずは落ち着きな。急がば回れと言うでしょ」

 

「そうです……ね」

 

ミサキさんの言葉もあり、運ばれた料理を素直に楽しむことにした。

値段が高い分とても美味しかった。

今度できる限り再現してトコハに食べさせてみよう。

……なんであいつに食事出したいんだ?

そして、デザートが来たタイミングでーー

 

「クロノ君。ミサキ。今日は二人にお知らせがあります」

 

シンさんが真剣な表情で話し始めた。

親父とミクルさんは同調するように笑顔を見せた。

どんな話しだよ。

 

「お二人にはナイショにしていたのですが、僕とミクルさんは付き合っていたのです」

 

「ああ、やっぱりそうなんだ」

 

え?

初聞きなんですけど。

てかミサキさん知ってたのかよ。

そう言う報告はもっと早くくれよ!

 

「落ち着いてクロノ。教えなかったのは、クロノが夢に向かって一所懸命だったから邪魔しないようにと思ったからよ」

 

「じゃあなんで今更報告したんだ?」

 

「それはですね。僕たち結婚することにしたんです」

 

……はい?

 

「今、なんて?」

 

「だから、私とシン君は近いうちに結婚するの。あの家からも出て行くことになるから寂しくなっちゃうわね」

 

……ミクルさんが結婚?

シンさんが相手なのは兎も角、ミクルさんがあの家からいなくなっちまう?

そんなあ。

せっかく家族で暮らしていたのにまた離れ離れになるなんてーー

 

「……そんなの……そんなの嫌だ!」

 

俺は勢いよく立ち上がった。

他の人からも視線を感じるが構わず叫んだ。

 

「いきなりそんな事言われて、納得できるわけないだろ! なんなんだよこの展開!」

 

「クロノ落ち着け!」

 

親父に咎められるが構わず続けた。

 

「俺の知らないところで勝手に決めて、いきなり押し付けて、またいなくなるのかよ! そんな未来、俺はいらねえ!」

 

叫ぶと同時に俺は出口に向かって走っていた。

 

「クロノ!」

 

ミクルさんの声が聞こえる。

でも止まれなかった。

今、ミクルさんの顔は1番見たくなかったから。

 

 

 

 

どのくらい走ったか自分でも分からない。

気が付いたら俺は川の上を通る線路の下で疼くまっていた。

あの態度は、我ながらガキっぽい行動だったと思う。

でも、未だに処理しきれない。

今日のミクルさんたちの行動が10年以上俺の前に姿を現さなかった親父と重なってしまったから。

でも、ミクルさんを悲しませてしまった。

素直に謝ることも、祝福することもできないけど、ミクルさんを悲しませたくない。

 

「俺、どうすれば良いんだよ。分かんねえよ。教えてくれよ。何時もみたいにさ。

……トコハ……」

 

「クロノ君?」

 

この声はーー

 

「やっぱりクロノ君だ。どうしたんだい、こんな所で」

 

「アイ、チ……さん」

 

そこには、笑顔でこちらを見る先導アイチさんがいた。

こんな時まで笑って挨拶してくるあたり、やっぱり凄い人だと思う。

 

「アイチさんこそ、なんでこんな所にいるんですか?」

 

「僕は、今日飲み会でその帰り。ちょっと酔っちゃったから、酔い覚ましも兼ねて歩いていたんだ」

 

よく見るとアイチさんの顔は赤い。

確かに酔ってるようだ。

 

「それでクロノ君こそ、どうしてこんな所にいるんだい?」

 

「それは……」

 

話そうと思ったが、言葉に詰まってしまう。

やっぱ俺って情け無い。

 

「? 僕相手じゃあ話しづらいかな?」

 

「いえ、そう言うわけでは……ただ、自分が情けなくて」

 

「そう思っているのなら、後は君がほんの少し勇気を振り絞るだけだよ。それまで待つから、少しづつ話してみて」

 

「でもアイチさん。帰らなくて良いんですか?」

 

「困ってる後輩の相談に乗るのも先輩の務めだよ。家には今連絡入れたから大丈夫」

 

笑顔でスマホを見せてくるアイチの姿が少しだけ可笑しく思ってしまった。

気が付いたら、俺は笑っていた。

 

「うん。クロノ君は落ち込んだ顔は似合わないね。もう一度聞くよクロノ君。どうしたんだい?」

 

笑顔で聞いてくるアイチさんに対して俺は先程までの出来事を話した。

自分が情けなくて、謝りたいけど謝れなくて悔しい気持ちがある事を。

 

「そっか。クロノ君は寂しかったんだね。大切な人がそばから離れてしまうことが」

 

「はい。俺どうしたら良いんでしょう」

 

「……クロノ君。君はミクルさんと一緒に暮らせなくなることが永遠の別れになるように感じてしまったんだよ。どんな理由であれ、君のお父さんがいなくなってしまったように」

 

……そうかもしれない。

俺はあの時確かに、親父とミクルさんが重なってしまい、冷静な判断が出来なくなってしまったんだ。

 

「クロノ君。ミクルさんが君の普段の生活からいなくなってしまうのは確かだけど、ミクルさんは幸せになる為にシンさんのもとへお嫁さんとして出て行くんだ。だったらーー」

 

……そうだ。

誰よりも俺の事を大切に思ってくれたミクルさん。

そのミクルさんが自らの幸せを掴みとろうとしているんだ。

だったら、俺がすることはーー

 

「ありがとうございます。アイチさん。俺、ミクルさんに謝ってきます」

 

「答えが出たみたいだね。うん。それを伝えておいで。ただ、行く必要はないと思うよ」

 

「えっ、それっt「クロノーー!」」

 

この声はーー

 

「クロノ!」

 

「ミクルさん!」

 

俺を見つけたミクルさんが近づいてきて、俺を抱きしめた。

その目には涙が溢れていた。

 

「クロノ、クロノ! ごめんなさい、ごめんなさい! 私、あなたのこと見てるつもりで、何にも見えてなかった! あなたの為だと思った行動で、あなたを傷つけた! 本当にィ、ごめんなさい…」

 

少しずつ声がかすれながら必死に謝るミクルさんに、俺も涙が出てしまった。

同じように抱きしめながら、俺も声を出した。

 

「俺の方こそ、ごめんなさいミクルさん! ワガママ言って、ミクルさんたちに迷惑かけてごめんなさい!」

 

抱きつかれて久々に嗅いだミクルさんの匂いはとても安心できるものだった。

泣き疲れて、少し離れた。

ミクルさんのためにも言うべきことは言わなきゃ。

 

「ミクルさん!」

 

「なあに、クロノ」

 

その目はとても安心する。

ずっと俺を愛してくれた目だ。

 

「結婚おめでとう。必ず幸せになって」

 

「うん! ありがとう! 私、絶対に幸せになるね!」

 

ミクルさんの泣き顔はとても嬉しそうで綺麗だった。

 

 

あの後、アイチさんに謝ってから俺たちは親父の車で俺たちの家に帰った。

親父にも謝って、今度はちゃんと家族で話し合って、次の日に改めて婚約パーティーを開くことにした。

後から聞いた話だけど、アイチさんは直後に酔いが回ってしまい、ミサキさんに回収されてそのまま新田家に泊まったらしい。

翌日の朝、ミサキさんの肌がとてもツヤツヤしていたらしいけど何があったのかは聞く気はない。

そして、その日の夜ーー

 

「ミクル、シン、婚約おめでとう!」

 

『おめでとう!』

 

シンさんの家で俺たちはミクルさんたちの婚約を祝うパーティーを開いた。

参加者は前回のメンバーにプラスして何故かアイチさんとその妹のエミさんがいた。

 

「なんでアイチさんたち居るんですか?」

 

「ふっふっふ。それはね、アイチとミサキさんは結婚を前提とした交際をしてるから、もう家族も同然ってことだよね」

 

「えっ。そ、そうですね」

 

「だったら、アイチの家族は私の家族! だから私も参加してお祝いすることにしたの」

 

何か超絶理論を聞いた気がする。

エミさんって、ナギサさんやトコハと比べて大人しい人だと聞いていたけどそんなことないな!

よく考えたらアイチさんのこと呼び捨てにするぐらい大胆不敵な人だ。

このぐらいごく当然なのだろう。

現にアイチさんとミサキさんは呆れかえっているだけでそれ以上何も言わないし。

そんなこと考えているとーー

 

「クロノ、ちょっと良いかしら」

 

ミクルさんが話しかけてきた。

 

「何だよ、ミクルさん?」

 

「ねえ、クロノ。あなた私に幸せになってって言ったよね。私はね、クロノとシン君が居れば幸せだなって言えるわ。じゃあ、あなたの幸せはなんなの?」

 

俺の幸せ。

 

「あなたにとって共に笑い、泣いて、励まし合う事が出来る人。もう答えは出ているでしょ」

 

そんな未来で俺が一緒にいたい人、そんなの1人しかいない!

アイツが、トコハが俺の側にいてくれたら、俺は今此処にいるんだ。

そうだ! 俺はーー

 

「俺にとってずっと一緒にいたい人は、唯一人、安城トコハだけだ。だから俺、アイツに伝えてくる!」

 

顔を上げ、拳を強く握りしめた状態で高らかに宣言する。

ミクルさんは嬉しいそうに笑顔を向けてくる。

 

「頑張りなさい、クロノ。あなたのその思いきっとトコハちゃんに伝わるわ」

 

しかし此処でアイチさんが水を差してくる。

 

「でも彼女フランスだよね。どうやって伝えるの?」

 

「今度のアイツの誕生日に俺はパリに飛ぶ! そこで伝えてくる! 俺の全部を!」

 

「学校サボるんだ。宇宙飛行士への道が遠ざかるかもしれないよ」

 

「そんなもの後で取り戻す! 俺はーー1秒でも早くトコハを手に入れたいんだー!!」

 

この宣言を聞いた瞬間、アイチさんは笑顔になりーー

 

「分かった。じゃあ君はするべき事をするんだ。学校への対応、フランスへのルートは僕たちが決めるから心配しないで」

 

「良いんですか? そんなに任せてしまって」

 

「もちろん。僕は君に惑星クレイに降り立つと言うか夢を託したんだ。その夢を叶える為に必要は事なら何でも手伝うよ。だから、頑張って」

 

「はい! ありがとうございます!」

 

折角背中を押してもらったんだ。

アイツに気持ちを伝える為に、出来る事は全てやろう。

待ってろよ、トコハ!




続きは2日後に投稿予定です。
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