カードファイト!!ヴァンガードG 孤独の先の、愛の物語   作:リー・D

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番外短編集最後の話です。
順番を変えたため、少しだけ編集しています。


番外編:トコハとシオン

パーティーから数日後、キャピタルでのバイト中、シオンはトコハと話すことにした。

謹慎が解けた後、店が空いている時間を見計らって2号店があるビルの屋上にトコハを呼び出した。

 

シオン「ごめんね、トコハ。忙しいのに無理言って」

 

トコハ「そう思うのなら、さっさと終わらせましょう。それで、何が聞きたいの?」

 

シオン「前から気になっていてね。君がクロノのことが好きな理由。そして、今君がここに居る理由がね」

 

シオンの真剣な眼差しを見て、トコハは考えるように目を閉じて言葉と紡いだ。

 

トコハ「……最初はね、クロノが私を私として見てくれたのが嬉しかったの。不器用な優しさと見たことのない笑顔。私の知らないクロノの顔。それをもっと見たくて興味を持った。イカサマ事件の時のクロノの悲しそうな顔を見たときは、そんな顔見たくないって思った。チームとして行動する中でもいろんな表情を見せてくれる、新導クロノがいつの間にか私の中でとても大きくなっていた。それが、私の恋の始まり」

 

シオンもそれは知っていた。

トコハが誰よりもクロノを見続けていたから、トコハに恋心が芽生えていると。

そんなことを考えていると、でもね、とトコハが続ける。

 

トコハ「恋人になって、一緒に暮らして行く中で気づいたんだ」

 

シオン「何を?」

 

トコハ「クロノは、まだ救われていない」

 

真剣で、とても悲しそうな顔でトコハは言った。

その言葉はシオンにとっても見過ごせるものではなかった。

 

シオン「どうしてそんなことが言えるんだい? 彼は今、幸せ最高潮だろ? ライブさんは帰ってきたし、ミクルさんは結婚するし、なによりも、君と言う恋人ができたんだから」

 

トコハ「うん。今はね」

 

シオン「今は? まさか未来にまた不幸が訪れる可能性の話をするのかい? それこそナンセンスだろ」

 

彼の恋人、蝶野アムのような悲劇が起こらないとは言わないが、あくまでも可能性の話だ。

そんな未確定なことを吟味してもしょうがない。

 

トコハ「違うわよ。もっと単純な話。クロノはまだ心の病が完治してないのよ」

 

シオン(心の病。またの名をトラウマ。確かにクロノの幼少の頃からの生活を考えると持っているとみて間違いないね)

 

トコハ「また再発して自分を卑下して幸せの拒絶をされたり、余裕のない生活をされると困るのよ。特に私と子どもたちが!」

 

シオン「まって、トコハ。子どもたちって、まさか君たちもう?」

 

さっきまでシリアスな雰囲気のはずだったのに突然の爆発発言にシオンはうろたえてしまう。

 

トコハ「そんなわけないでしょ。将来の話よ。絶対生むから!」

 

シオン「そんな、恥ずかしげもなく……」

 

強気にとんでもないことを言うトコハにシオンは項垂れて何とも言えなくなってしまう。

 

トコハ「私がクロノを幸せにしちゃうんだから。そのためには私と離れて暮らしても問題ないようになるところからスタートね。パリで生活しても1月に数日はクロノと会わないと。結婚後はプロやめるから何か別の仕事考えなくちゃいけないし、やることはいっぱいね」

 

シオン「やれやれ。君、計算高くなったね。これも愛の力かな。ところで、プロ止めて良いのかい? リーグ優勝が君の目標だろ?」

 

トコハ「もちろん優勝するわよ。来期以降の安城もとい新導トコハは無敵なんだから! ささっと第2リーグ全勝して、クロノが大学を卒業するまでには第1リーグで優勝してやるわ。アイチさんたちに沢山ファイト申し込んで、櫂さんやガイヤールさんとの勝率も上げることが出来れば、優勝は目の前よ。そうすれば何の心残りもなく引退できる。後はクロノとの結婚生活が満喫できる~♪ あははは~♪」

 

当然のように新導性を名乗り、魔境で有名なユーロ第1リーグの優勝を簡単に言ってしまうトコハにシオンは呆れを通り越して笑ってしまう。

 

シオン(これはもう、2人を無理に切り離したら両方駄目になるやつだね。絶対に死なせないようにしないと)

 

この後、シオンは綺場財閥に籍を置く警備会社にクロノとトコハの護衛を任せることを決めた。

親友2人を必ず守るために。

 

クロノ「おーい、トコハー。そろそろ戻ってくれよー」

 

トコハ「分かった~。えへへ。ク~ロ~ノッ♡」

 

シオンがそんな決意をしているとクロノが屋上まで上がってきた。

トコハを呼びに来たのだが、返事と同時にトコハはクロノに飛びついた。

 

クロノ「また抱きつくな~///! シオン居るだろ!」

 

トコハ「良いのよ。見せつけてやれば♪ 私がクロノの物だってシオンが高らかに証明してくれるわ」

 

クロノ「お前この間抱きついたり、体触るの拒否ってただろ。どうしたんだいったい?」

 

トコハ「だってあの時は、せっかく食事作って待ってたのに、クロノ動こうとしなかったし、雰囲気的にも叩いてでも落ち着かせなきゃいけないと思ったんだもん。でも今は触って良いの♡ クロノに私の匂い擦りつけてあ・げ・る♡」

 

この時、シオンの目にはトコハから際限なく飛び出てくるハートマークが見えたらしい。

心なしか周りの空気もピンク色に見える。

 

クロノ「おい、シオン! 助けろよ!」

 

シオン「いやいや。無茶言うなよ、クロノ。この開花でパワー10万超え且つ完全ガード封じを3列全てに与えたトコハの攻撃を僕如きが止めれるわけないだろ。もう存分にイチャついてくれ」

 

クロノ「せ、せめて仕事が終わってからでお願いします」

 

トコハ「ぶー」

 

仕方がないので渋々トコハは離れてクロノと共に店内に戻るために階段を降りていく。

 

シオン「やれやれ。僕の親友達はとんだバカップルだね」

 

そんな2人を見てシオンは苦笑してしまう。

 

シオン「でも、やっとクロノが掴んだ望む未来なんだ。僕も僕にやれることを全力で行って、この未来を守ろう。クロノとトコハ。2人は僕のチームメイトで、最高の親友なんだから」

 

新導クロノと安城トコハ。

2人の恋人は多くの人からその幸せを願われている。

それは、ヴァンガードが築いた絆。

遥かなる未来への可能性そのものだから。




今回で短編集は終わりですが、番外編は続きます。
続きもお楽しみください。
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