カードファイト!!ヴァンガードG 孤独の先の、愛の物語   作:リー・D

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クロノくんとトコハちゃん、愛の物語第3段!
この話のもう1つのサブタイトルは「クロノ試練再び」です(←待て)



クロノとトコハの気持ち

ヴァンガード普及協会パリ支部にて行われたユーロ第2リーグフランス予選。

リーグ本戦の最後の1枠を賭けた戦いが決着を迎えようとしていた。

 

櫂「オーバーロードでアタック!」

 

トコハ「……ダメージチェック。ノートリガー、です」

 

MC「決まった!! 今期のユーロリーグ本戦への最後の切符を手にしたのは、櫂トシキ!!! 彼の伝説がまた新たに切り開かれようとしています!」

 

櫂とトコハのファイトは櫂の勝利で幕を閉じた。

それは同時に、トコハの今期ユーロリーグが全て終了したことを意味していた。

 

 

安城トコハは中学卒業と同時にフランスにある普及協会パリ支部に留学し、世界中のファイターたちと交流する道を選んだ。

その中でプロファイターとなる選択を行い、昨年は初出場でありながらベスト16までたどり着いた期待の新人として順調なスタートを切ったのだ。

しかし、今期は一転して敗北の連続。

本戦出場が絶望的でありながら最後の希望を賭けた対戦に挑んだものの、その相手がリーグ優勝経験もある櫂トシキだったのは最悪だった。

しかもファイトはトコハのトリガーチェック全てでノートリガー。

得意のブルームでパワーを上げての攻撃も全ていなされてしまう。

とてもではないが良いファイトだったとは言いがたいものになってしまった。

マネージャーを務めているアカネも落ち込むトコハに掛ける言葉が見つからずに黙ってしまうほどだった。

そんなトコハに櫂は声を掛けることにした。

 

櫂「安城、少しいいか?」

 

トコハ「はい。なんでしょうか櫂さん?」

 

櫂「もうすぐお前の誕生日だと聞いた。折角だ。ヨーロッパ中の仲間たちを集めてパーティーを開こうと思う。お前は大丈夫か?」

 

トコハ「私の誕生日を? そんな、ご迷惑掛けちゃいますよ」

 

櫂「気にするな。俺が開いたほうが良いとイメージしただけだ」

 

トコハ「はあ、イメージですか」

 

櫂「場所はお前のマネージャーにでも相談する。来るかどうかはお前が決めろ」

 

そう言って櫂は去って行った。

控え室に1人残されたトコハも荷物をまとめて帰宅した。

帰宅後、アカネの用意した食事を取り、自室に戻ったトコハは1枚のカードを見ていた。

 

トコハ「クロノ……。なんでこのカードくれたのよ。待てなくなっちゃうじゃない」

 

そのカードは《クロノ・ドラン》。

かつて新導クロノが心を通わせ、共に戦った相棒と言えるカードだ。

彼が持っていたそのカードは、どんな原理かは不明だが、姿を《クロノ・ドランG》へと変え、今は《クロノ・ドランZ》となり今もクロノの元にいる。

にも関わらず、彼女はドランのカードを持っているが、このカードはクロノがトコハにあげたものなのだ。

 

トコハ「何が扱いに困ったからあげる、よ。激レアカードなんだから普及協会に売ればとんでもないお金になったでしょうが。こんなもの渡されて……期待しちゃうじゃない///」

 

そう、安城トコハは新導クロノが好きなのだ。

ヴァンガードを楽しむクロノを見てそれまでの印象がガラリと変わり、トライスリーでチームとして共に活動するなかで彼の優しさと苦悩をしった彼女はもっとクロノを見てみたいと思うようになっていった。

 

トコハ「ぶっきらぼうのくせに面倒見が良くて、自炊してるから料理も上手で、そのくせ1人で抱え込むことが多いから無茶しまくって。ホント目が離せない。……クロノぉ。好きだよ。大好きなの。……会いたいよ」

 

ベッドに顔を押し付け彼女は泣いた。

そんな様子をドアの隙間からアカネが見ていた。

 

アカネ「トコハちゃん。やっぱりあなたは帰ったほうが良かったんじゃあ。でも、あの子が自分で決めたことなのよね。クロノ君の大学合格が決まったら会いに行って告白するって。その時のために、隣に立つのに相応しい自分になれるようにプロで頑張るって」

 

もう一度彼女の部屋を覗くと、泣き疲れたのか普段着のまま彼女は寝てしまった。

その傍には、ドランのカードとその成長後の姿、《クロノジェット・ドラゴン》のカードがある。

 

アカネ「今のあなたは自信を持って彼に会いにいけるの? そのカードたちはまるであなたを心配している様にしか見えないわよ」

 

不安と悲しみ、その両方が彼女たちを襲い、お互いにぎこちない時間が過ぎてしまう。

そんな日が数日続き、トコハの誕生日である4月17日になった。

その日トコハはパリ支部でティーチングファイトを行ったが、やはり力が入らず遊びに来ていたハイメを心配させてしまった。

夕方となり、アカネの家でパーティーが開かれることになったが、トコハは家に戻らず1人公園でスマホの中にある写真、特にクロノと笑いあって撮った写真を見てため息をついていた。

 

トコハ「クロノ。「なんだよ」えっ!?」

 

振り返るとそこには私服で荷物を抱えた新導クロノがいた。

 

トコハ「な、んで。ここにクロノが? これって、夢?」

 

先ほどまで思いをはせていた人を目の前にしてトコハは混乱してしまった。

しかし、そんな疑念はクロノの次の行動が許さなかった。

 

クロノ「トコハ。会いたかった」

 

なんとクロノはトコハを抱きしめたのだ。

この行動にトコハはさらに混乱。

顔を真っ赤に染め上げてしまう。

 

トコハ「えっ、えっ!? く、クロノ!? 何!? どうして!?」

 

クロノ「お前テンパリすぎ。言ったろ。会いたかったって。俺、お前に伝えたいことがあるから。どうしても直接会って」

 

クロノが伝えたいこと、それがなんなのか、トコハには分からなかった。

混乱は疑念へと変わり、そして不安になってしまう。

 

トコハ(伝えたいこと、まさかもう誰かと付き合うことになったとか)

 

聞きたくない言葉を想像し、トコハは――

 

トコハ「い、いや!」

 

クロノ「トコハ!?」

 

クロノの腕から逃れ、この場を離れようと逃げ出す。

急な行動にクロノは驚き、一瞬動けなくなってしまったが、すぐに正気を取り戻し、トコハを追いかける。

 

クロノ「おい待て、トコハ!」

 

トコハ「いやー! 来ないでー!」

 

唐突に始まった追いかけっこだが、そこは男と女。

慣れない道だが、川の付近まで来たあたりでクロノはトコハに追いつき捕まえた。

それでもトコハは逃げようと泣きながら必死に抵抗する。

 

トコハ「離して、離してよ!」

 

クロノ「おい、トコハ落ち着いて俺の話を聞け!」

 

トコハ「いやー! 聞きたくない、聞きたくない! クロノの好きな人の話なんて聞きたくない!」

 

クロノ「はあぁ!? なんの話だ! そんなに聞きたきゃ聞かせてやるよ! 俺の好きな人はだな――」

 

トコハ「いっ――『ガバァ』!!??」

 

なお抵抗を続けようとするトコハもクロノに強く抱きしめられた瞬間、言葉を失った。

トコハの抵抗が弱まったところでクロノが言葉を続ける。

 

クロノ「俺が好きなのはトコハ、お前だよ」

 

トコハ「えっ、う、嘘」

 

クロノ「嘘じゃねえよ。そんなこと言いにわざわざフランスまで来ねえよ」

 

抱擁していた腕の力を強くして、頬を真っ赤に染め上げながら、クロノはさらに言葉を紡ぐ。

 

クロノ「俺が、この世で1番好きで、一緒にいたいと思う人は、トコハ。お前だけだ。この言葉を伝えるためだけに俺はこの場所に来たんだ。だからトコハ、俺と、付き合ってくれ! 俺の帰るべき場所になってくれ」

 

そう言いながらクロノは懐に手を入れ、取り出した物をトコハに渡す。

手を開いて渡されたものを見つめると、それは指輪だった。

 

トコハ「これって……」

 

クロノ「母さんが俺のために残してくれた物だ。親父が母さんに送った婚約指輪。今度は俺がそれをお前に送る。その意味わかるよな」

 

確かにその意味はトコハにも分かった。

しかし――

 

トコハ「な、何でクロノはこれを私にくれるの?」

 

それでも泣き続けるトコハ疑問をぶつける。

クロノが来た真意、クロノが大切な指輪を渡してくれる理由を聞くために。

 

クロノ「トコハ。実はさ、ミクルさんがシンさんと結婚することになったんだ。俺さ、そんなミクルさんの姿を見て、お前に同じような顔をさせてやりたいって思った。俺の悩みも辛さも、喜びも楽しみもすべてお前と共有したい。俺が宇宙から、そして惑星クレイから帰ってきたときにトコハが待ってる家に帰りたい、そう思ったんだ」

 

だから、とクロノはさらに言葉を紡ぐ。

 

クロノ「俺の恋人に、そして家族になってください」

 

その言葉を聴いて、トコハの涙は止まった。

そして次の瞬間、顔を真っ赤に染めながら、溢れんばかりの涙を流し始めた。

さすがにこれは予想外でクロノも焦ってしまった。

 

クロノ「と、トコハ!? 嫌だったか?」

 

トコハ「違う! ちぃがうの~。わ、わらし~」

 

涙のせいでとても言葉が言えてない。

そんなトコハをクロノは黙って抱きしめた。

トコハもそんなクロノの優しさに甘えて泣き続けた。

しばらくして、トコハが泣き止み、目を真っ赤にしながらクロノの顔を見る。

 

トコハ「く、クロノ! 私、あのね!」

 

そんなトコハをクロノは優しく見つめる。

穏やかなその目にさらに顔を染めながら、トコハは言葉を紡いだ。

 

トコハ「私も、クロノが好き! クロノ以外となんて嫌! ずっと、ずっとクロノと生きたい! クロノに抱きしめて欲しい! だから!」

 

そこでトコハもクロノに抱きつく。

互いに力をこめて抱擁し合い、トコハは言った。

 

トコハ「私をクロノのお嫁さんにしてください」

 

その言葉を聴いた瞬間、クロノとトコハは顔を見つめあう位置まで戻し、そして互いの唇を合わせた。

……それはほんの一瞬だったが、2人にとっては長い時間のように感じられた深い、深いキスだった。

 

クロノ「トコハ」

 

トコハ「クロノ」

 

もう言葉は要らない。

ただ互いの名前をささやき合い、ここに生まれた1組の男女は抱擁とキスを繰り返すのだった。

 

 

しばらくして落ち着きを取り戻した2人は恥ずかしいのか少し距離を取った。

そこでトコハは今日のパーティーのことを思い出していた。

 

トコハ「ねえ、クロノ。この後どうするの?」

 

クロノ「どうするって、とりあえずアカネさんにお前と付き合うって報告してから、決めようと思ってたぞ。すぐに日本に帰る必要も無いし」

 

トコハ「それ、大丈夫なの? 飛行機の時間とか、学校の勉強とか」

 

クロノ「飛行機のほうは大丈夫だ。シオンのやつが貸してくれた飛行機を岩倉さんが操縦して来たから。その岩倉さんにも数日はこっちにいるから帰るときに連絡入れれば乗せてくれる。勉強のほうは……なんとかするさ」

 

笑いながらそう言うクロノの姿にトコハも可笑しくなって笑ってしまう。

 

トコハ「なら、私の家に来て。今日、櫂さんがね、私のために誕生日パーティーを開いてくれてるの」

 

クロノ「そうか。なら、来てくれた人たちに報告するのを兼ねて、今日はトコハとアカネさんの家にやっかいになるか。明日のためにも少しでも長く一緒に居たいしな」

 

トコハ「うん。じゃあ、案内するね」

 

トコハが歩き始めると、クロノが何かを思い出す。

 

クロノ「あ、思い出した」

 

トコハ「なに?」

 

クロノ「トコハ、誕生日おめでとう」

 

笑顔で包装紙が包まれた箱を出してトコハに渡す。

トコハはそのプレゼントを見て。

 

トコハ「ありがとう」

 

今日1番の笑顔をクロノに見せたのだった。

 

 

その頃、アカネの家ではトコハの誕生日パーティーのために仲間たちが集まっていた。

 

ハイメ「アカネ~、トコハはまだ来ないの?」

 

アカネ「トコハちゃんも1人で考えたいことがあるのよ。私たちはあの子の帰りを待ちましょう」

 

トコハの悩みを知っているアカネは心配しながらも待つ選択をした。

そんなアカネをハイメは苛立った。

しかし、そんなハイメを咎める声が入る。

 

ジリアン「ハイメ。いくら心配だからってアカネさんに八つ当たりしないの」

 

シャーリーン「大丈夫。全てが解決しなくても、今出せる答えを持って帰ってくるから~。ハイメも安心しよ」

 

ハイメ「でもぉ。やっぱり心配だよ。ミゲルの時だって、ここまででは無かったのに。10連敗以上重ねるなんて」

 

レオン「確かに今の彼女に風は吹いていない」

 

ハイメ「マスターレオン」

 

レオン「しかし、風が止むのは嵐の前触れでもある。ひと時経てば、彼女はもっと大きく成長できる。我々にできるのは、それを待つことだけだ」

 

このレオンの言葉はハイメを納得させるものではなかった。

ハイメはその矛先をレオンに向ける。

 

ハイメ「……俺たちでは彼女に風を送ることは、彼女を元気にさせることはできないと?」

 

レオン「そうだ。それは俺たちの役目ではない」

 

ガイヤール「アカネさん。彼女の悩みは分からないのですか?」

 

オリビエ・ガイヤールもまた、彼女が心配だったので、櫂の誘いを受けてアカネの家にお邪魔することにした1人だ。

そばにはライバルであり、かつてカトルナイツの仲間だったネーブもいる。

 

アカネ「知ってるけど、残念ながら言ったところで解決策はでないわよ」

 

ネーブ「それでも言って欲しい。我々は少しでも多く彼女のことが知りたいのだ」

 

彼らの真剣な表情に耐えられなくなってきたアカネだが、そんな彼女に救いが舞い降りるかのようにドアのベルが鳴った。

 

アカネ「はーい。どちらさま?」

 

岩倉「こんばんは。アカネ様でございますね。わたくし、シオン様の執事を務めております岩倉と申します」

 

アカネ「岩倉さん。ああ、トコハちゃんのチームメイトのシオン君の執事さん! トコハちゃんから話は聞いています。こんばんは。でも、今日は何の御用ですか?」

 

岩倉「本日はトコハ様のお誕生日ということで、シオン様を始め、日本の方々からの誕生日プレゼントをお持ちいたしました」

 

そう言って岩倉は後ろに控えていたトランクケースを見せた。

その中にはシオンやクミといった日本の仲間たちからのプレゼントが入っていた、

 

ハイメ「ハートにキター! 凄いよこの量。トコハはみんなに愛されているのがビンビン伝わってくるよ。アカネ、早くトコハに連絡入れて。アミーゴたちからのプレゼントを見たらトコハの悩みもなくなるよ!」

 

アカネ「ええ、そうね。ありがとうございます、岩倉さん。折角ですので、トコハちゃんの誕生日パーティーに参加していただけませんか?」

 

岩倉「おや、よろしいのですかな?」

 

アカネ「もちろんです。知り合いが1人でも増えればトコハちゃんも喜びます」

 

岩倉「では、お言葉に甘えて。おや、櫂トシキ様。お久しぶりでございます」

 

櫂「ああ、久しぶりだな」

 

岩倉はドラエン支部主催のクエスト復興祭にて櫂と伊吹相手にファイトしたことがあるのだが、その強さから櫂に覚えられたのだ。

 

岩倉「櫂様がお料理の担当ですか、わたくしにも手伝わせてください。こういった仕事は見てしまうとついやりたくなってしまうのです」

 

櫂「いや、今日は俺がやる。あんたに俺の料理を見せてやる!」

 

2人の間に稲妻のような何かが走ったが、今回は岩倉が櫂に譲る形で決着がついた。

そして――

 

トコハ「アカネさん。ただいま!」

 

アカネ「おかえりトコハちゃん。あら、答えが出たの? 凄く嬉しそうな顔してるわよ」

 

トコハ「えーっとね。答えが見つかったと言うか、答えの方が来てくれたっていうか」

 

どこか歯切れが悪く、そして頬が赤く見える。

 

トコハ「アカネさん。みんな。今日は紹介したい人がいるの」

 

ハイメ「紹介したい人? いったい誰だい?」

 

トコハ「入って良いわよ」

 

そう言われてドアが開かれる。

そこには頭かいて照れくさそうにしているクロノがいた。

 

ハイメ「あれ、クロノじゃないか。どうしてここにいるんだい? だいたい僕と君はアミーゴで紹介する必要は無いよね?」

 

トコハ「フッフッフ。改めて紹介するね。私の彼氏、新導クロノです」

 

『え?』

 

事情を知る岩倉以外が驚く。

 

岩倉「クロノ様。トコハ様。ご交際おめでとうございます。早速ですが、シオン様にご報告致しましょう。おふた方、はいチーズ」

 

トコハ「ブイ!」

 

カシャっと岩倉の携帯のカメラが鳴る。

トコハはクロノの首に抱きつく形でブイサインを取り、クロノは照れてしまって特にポーズはとれてなかった。

 

トコハ「岩倉さん。良い感じに撮れました?」

 

岩倉「ええ。とても幸せそうな写真が撮れました。すでにシオン様にお送りしましたので、日本の皆様に伝わるのは時間の問題でしょう」

 

アカネ「えーっと、トコハちゃん? あたなクロノ君と付き合ってるの? 何時から?」

 

トコハ「さっき」

 

クロノ「つい先ほど、俺が告白して、返事をもらえたので付き合うことになりました。改めてよろしくお願いします、アカネさん」

 

笑顔で簡潔に説明するトコハともう少し詳しく経緯を伝えたクロノ。

2人の嬉しそうな顔を見て、アカネも嬉しそうに返事をする。

 

アカネ「そう、分かったわ。ずっと心配してたのよ。実はお互いにすれ違っているんじゃないかって。でも2人の思いは通じ合っていたのね。本当に良かった。クロノ君、トコハちゃんをよろしくお願いするわ。トコハちゃん、こんな良い男捕まえたんだから、絶対に幸せにならなくちゃ駄目よ」

 

トコハ「違うよアカネさん。私は幸せになるんじゃないよ。もう幸せなの。今もこれからもクロノと一緒にいられる。同じ時間を分かち合えることがとっても幸せなの。だから、心配しなくても大丈夫」

 

溢れんばかりの笑顔をアカネに向け、トコハは言った。

その笑顔には確かな確信に満ちた幸せそうなものだった。

そんな彼女をここにいる仲間たちも祝福する。

 

ガイヤール「おめでとう、安城さん。新導クロノだったね。始めまして」

 

クロノ「ど、どうも。お噂はかねがね聞いています」

 

ガイヤール「はっはっは。それは嬉しいな。機会があれば是非ファイトしよう。何も考えず、ただ純粋に」

 

クロノ「はい。是非お願いします」

 

ネーブ「そのときは俺も参加させてもらおう。初めて会うな新導クロノ。俺はネーブ。ユーロリーグの高嶺の花を奪っていくんだ。絶対に手を離すなよ」

 

クロノ「もちろんそのつもりです!」

 

シャーリーン「2人ともおめでとー!」

 

ジリアン「お幸せに!」

 

レオン「フッ。彼女に訪れた風は、春に満ちる恋の嵐だったか。新導クロノ、お前が起こした風だ。決して見誤るなよ」

 

クロノ「はい。俺はトコハと幸せになるって決めてますから」

 

櫂「ならば、俺の本当の料理でこの場を最高潮まで盛り上げてやる!」

 

そう言われてテーブルを見てみると、バースデイケーキを始めとして美味しそうな料理の数々が並んでいた。

トコハが歓声をあげ、料理を頂こうと思ったところに待ったをかける者がいた。

 

ハイメ「……めない」

 

ガイヤール「? ハイメ何か言ったか?」

 

ハイメ「認めなーい!」

 

その名はハイメ・アルカラス。

ずっと黙っていた彼が2人の関係を認めないと駄々こねる。

 

ハイメ「トコハ! 何でクロノを彼氏なんて言うんだ! 君はミゲルのことを忘れるって言うのかい?」

 

トコハ「はあ? 何言ってるのよハイメ。私が何時友達のミゲルのことを忘れるなんて言ったのよ」

 

アカネ「今友達って言ったわね」

 

クロノ「少なくともアンテロにとっては友達で終わった仲ですけどね」

 

ミゲル・トルレス。

彼はU-20初代チャンピオン、チームオーガの1人であり、鬼丸カズミのチームメイトだ。

しかしトコハが会った彼は自身の分身と言えるユニット《竜胆の銃士 アンテロ》に体を貸している状態であり、本来のミゲルは彼女との接点は一切ないのである。

そんなアンテロはトコハにプロファイターへの道を示してくれた大切な人であり、今では彼女のデッキにGガーディアン《絆の守護銃士 アンテロ》として宿り続けている。

 

トコハ「だいたい彼は純粋な目で私を見てくれて、プロの道を示してくれた優しいファイターだったけど、彼が私の心に残っていたのは会って2日で死んでしまったからよ」

 

ジリアン「まあ、友達になってから数日後に死亡報告を聞けばショックは大きいでしょうしね」

 

シャーリーン「しばらく心に釘が刺されたような痛みがあっても仕方ないか~」

 

トコハ「私、中2の時にはもうクロノのこと好きだったからね」

 

クロノ「えっ、なにそれ。初耳だけど?」

 

アカネ「ちなみにクロノ君は何時からトコハちゃんのことが好きだった?」

 

クロノ「たぶん中3の、ストライドゲート事件が終わった後ですね。一通り事件が終わったので余計なことを考えずにトコハを見たときの姿が可愛くて。気がついたら好きになってました。夢に向かって真直ぐなトコハが眩しくて、告白なんてできませんでしたが」

 

ネーブ「予想以上に純真だったか」

 

ハイメ「くぅ。たとえ、両片思いだったとしても、ミゲルの思いを無視することは許さない!」

 

トコハ「私とミゲルがくっつく可能性があったことを否定はしないけど、少なくとも今ここにいる私はクロノのことが大好きで、ミゲルとの絆を今でも忘れていないわよ。私は安城トコハ。ユニットと死してなお絆を結んだ乙女よ」

 

ちなみにドランは彼女のことを「ユニットと死して尚失われる事無き絆を結んだ稀有な先導者」と称しているため、少し違っていたりする。

 

アカネ「そもそも、惑星クレイの住人と関わること自体珍しいのに、その死を知るなんて稀なんてレベルじゃないわよね」

 

クロノ「ドランは稀有な先導者って言ってたけど、正直俺と同レベルで希少価値が高いですよね。トコハとアンテロの関係って」

 

自信満々なトコハに逆に呆れるアカネとクロノ。

確かにユニットの完全召喚を代償なしで行える「特異点」となりえた素質を持ったクロノも稀有な存在ではあるが、トコハとアンテロの関係はそれとは違う意味で稀有だろう。

 

トコハ「それにミゲルはずっと私のことを見守っていてくれる。私が自分の意思で選択したことならミゲルはそれを応援してくれるわ。このカードこそ、その証よ!」

 

そう言ってトコハが取り出したのは、アンテロの「有り得たかもしれない未来の可能性」を宿したカード《絆の守護銃士 アンテロ》だ。

このカードはユーロリーグでも度々トコハのピンチを救ってくれている。

まさに2人の絆が生んだ奇跡のカードだ。

 

ハイメ「でもそのカードはミゲルとトコハにある誰にも入り込めないほど確かな絆の証じゃないか! クロノはそこに入り込もうとしている。トコハはそれを許すの?」

 

しかし、ハイメが認めようとしない理由もこのカードにあった。

両者の考えはすれ違い、譲ろうとしない。

もはや衝突は避けれそうにない。

ハイメはカードを懐から取り出した。

 

ハイメ「クロノ! トコハを奪う気なら俺は絶対に許さない! ファイトだ! 俺が勝ったらトコハのことは忘れるんだ! ミゲルのために!」

 

トコハ「ちょっと待ちなさいよ。私の意思を無視して決めるなんて、幾らなんでも横暴よ」

 

ハイメ「うるさい! トコハは黙ってて! これは俺とクロノの戦いなんだ!」

 

トコハ「いいえ、黙らない! そんなにファイトしたいのなら私とファイトして!」

 

そう言ってトコハもデッキケースを取り出し、ファイトテーブルを展開した。

 

クロノ「なんで床からテーブルが上がってくるんですか?」

 

アカネ「あら、最近はたとえ道の真ん中でもファイトテーブルが展開されるじゃない。家の中ならあっても不思議じゃないわ」

 

クロノ「いや、幾らなんでも道の真ん中や普通の家の中にはありませんって」

 

トコハ「ハイメ、あなたが勝ったらさっきの条件でクロノとファイトして良いわ。でも私が勝ったら、これ以上ミゲルを言い訳にして駄々こねない。良いわね」

 

ハイメ「俺は駄々なんてこねてない! 全てはミゲルのためだ!」

 

ガイヤール「どう見てもただの言い訳にしかみえないな」

 

櫂「まったくだ」

 

他の全員もうなずくがハイメは無視してFVをテーブルに置く。

トコハも置いた後2人は手札をそろえ、準備が完了した。

 

2人「「スタンドアップ! ヴァンガード!!」」

 

ハイメ「士官候補生アンドレイ」

 

トコハ「クロノ・ドラン」

 

櫂「クロノ・ドランだと!?」

 

ハイメ「そのカードはアミーゴしか持っていないはず!?」

 

クロノ「俺がトコハにあげたんだよ。ギーゼとの戦いの後にな」

 

トコハ「ハイメ、あなたは私とミゲルに誰にも入り込めない絆があると言った。でもそれは、クロノとドランにもある。2人の友情に私の入り込める隙間なんてない。でもそれを広げることはできる。私も、クロノを通してドランとの絆を得た。その絆の力であなたを倒す!」

 

そう言ったトコハの言葉を聞いて、クロノは1枚のカードを取り出す。

そのカードは《竜胆の銃士 アンテロ》。

 

クロノ(俺も、このカードを持っていればトコハを通して、ミゲルの思いを受け継ぐことができると思ったからな。でも今は、俺は俺の意思でトコハと一緒にいたい。だから、アンテロ。このカードを通して俺を見てくれ。必ず、トコハを幸せにするから)

 

ハイメ「ライド!」

 

トコハ「ライド!」

 

ハイメ「ライド! 《嵐の覇者 サヴァス》」

 

トコハ「ライド。クロノの想いよ、私に力を! 《クロノジェット・ドラゴン》!」

 

レオン「ギアクロニクル、そしてクロノジェットも一般流通はされているが、あのイラストは新導クロノが持っていたもの以外で見たことが無いな」

 

クロノ「はい。あれも俺が持っていたものをトコハに渡したものです。ただ、あげたのはドラン1枚とクロノジェット4枚なので、残りカードはトコハ自身が集めてデッキを組んだことになりますね。俺も今日までトコハがあのデッキを組んでいることを知りませんでしたし」

 

ネーブ「もしやサプライズのつもりだったのでは?」

 

正解である。

トコハはクロノに告白した後に行うファイトで使うためにこのデッキを組んだのだ。

 

トコハ(最初の相手はクロノって決めてたのに、ハイメが酷い事言うから我慢できずに使うことにしたのよね)

 

トコハ「ストライドジェネレーション! 《時空竜 クロノスコマンド・ドラゴン》!」

 

レオン「あのデッキには安城トコハから新導クロノへの熱い想いで満ちている。風は吹き方によっては火を大きくする。此度新導クロノが起こした風によって彼女の闘志は最高潮の業火となって燃え盛る」

 

櫂「今のあいつを止められるやつなど誰もいない」

 

ハイメ「くそ、強い」

 

ハイメ(それでもミゲルのためにも……)

 

レオン「ハイメ・アルカラス!」

 

苦戦するハイメにレオンが怒りの声を掛けた。

困惑する表情でレオンに振り向くハイメ。

 

レオン「お前は何故、己の心に嘘を吐く。なぜミゲルと言う男を言い訳にする」

 

ハイメ「なっ!? 俺がミゲルのことを考えていないって言うのですか!?」

 

レオン「そう聞こえなかったか? 今までの自身の言葉を良く思い出してみろ!」

 

この言葉を聞いた者たちはここまでのハイメの台詞を思い出してみる。

クロノとトコハの関係に口を出すのは良いが、その理由は全てミゲルのことなのだ。

自分ではなく、ミゲルが反対しているように言うがつまりハイメは自分自身の言葉でトコハを説得していないのだ。

レオンはそこに憤りを感じている。

 

トコハ「ハイメ、あなたが私とクロノの関係を反対するのは勝手だけど、ミゲルの想いまで捻じ曲げないで。私を説得したのなら、あなた自身の言葉で、あなた自身の意思で言って。でなければ、このファイトにだって勝てないわよ!」

 

ハイメ「……俺は、ミゲルを言い訳に……。そうか、俺は自分に嘘を吐いていたんだ。アミーゴたちのことを祝福したい気持ちと反対したい気持ちが有って、自分じゃ説得できないからミゲルのことを利用した。ははは、これじゃミゲルに顔向けできないね」

 

自分の行動を悔やみながら、少し涙を溜めてハイメは笑った。

そんな様子を全員静かに見守る。

しばらくして、笑い終わったハイメは改めてトコハに向き合う。

 

ハイメ「トコハ。俺は自分にもミゲルにも嘘を吐いた。本当にごめん。だから、今からは君たち2人の気持ちが本物であるか確かめるためにファイトを続ける。俺に見せてくれ、トコハの想いを」

 

トコハ「うん。私はこのファイトで、今の私の全てをぶつける。来なさいハイメ、あなたのターンよ!」

 

ハイメ「俺のターンだ! スタンド&ドロー! ストライドジェネレーション、《嵐を統べる者 コマンダーサヴァス》! さあ、アクアフォースの連続攻撃防ぎきれるかな? サヴァスの効果で《戦場の歌姫 パンテア》をコールし、後列からアタック」

 

アクアフォース得意のウェーブによる連続攻撃。

だが、トコハはギアクロニクルの特長を生かしてハイメの思惑の上を行く。

 

トコハ「ジェネレーションガード、《時空竜 ヘテロラウンド・ドラゴン》その効果でパンテアの前のユニットをデッキに戻す。そして、相手はデッキの1番上を見て、そのカードをコールする」

 

ハイメ「くっ、《ケルピーライダー ヴァラス》だ。ならばサヴァスでアタック!」

 

トコハ「完全ガード」

 

ハイメ「トリガーを乗せて、アタック!」

 

トコハ「ガード」

 

ハイメ「届かなかったか。だけど、まだ終わってないよ。さあ、トコハ今度は君のストライドを見せてくれ!」

 

トコハ「クロノ力を貸して。今こそ示せ、われらの真に望む世界を! ストライド・ジェネレーション! 《クロノドラゴン・ネクステージ》! ストライドスキルでリアガード1体退却。そしてコールよ」

 

アカネ「トコハちゃんってば、ネクステージ買ってたのね。結構高いはずなのに」

 

ネーブ「クロノジェットの未来の可能性と最初に銘打たれたユニットだ。やはり使いたかったのだろう」

 

ガイヤール「運が良ければクロノ君がネクステージを出した次のターンに自分がネクステージを出せるからね。ミラーマッチのときに狙ってみるのも面白いんじゃないかな」

 

からかう様にガイヤールとネーブの言葉に頬を赤めるクロノだが、盤面を確認して声に出さずともトコハを応援する。

そんなエールに応えるようにトコハはリアから攻撃を開始する。

 

ハイメ「その攻撃は通せないな。ガード」

 

トコハ「次よ、ネクステージでアタック!」

 

ハイメ「完全ガード」

 

トコハ「トリプルドライブ。ゲットスタンドトリガー。効果は全てさっきのリアへ。さらにネクステージの効果でクロノジェットをスタンド。もう一度アタック!」

 

ハイメ「ジェネレーションガード」

 

トコハ「ツインドライブ。ゲットクリティカルトリガー。最後の攻撃、いっけーぇ」

 

ハイメ「ここまでか、なら最後はヒールトリガーに賭ける!」

 

しかし最後のダメージで出てきたのは、《嵐を越える者 サヴァス》だった。

これによりハイメの敗北は決定、トコハの勝利で幕が閉じた。

トコハは嬉しさを表すようにクロノに抱きつき、体全体をクロノに押し付けた。

 

トコハ「クロノ! 私勝ったよ! 褒めて、褒めて」

 

クロノ「分かった、分かった。だからあんまり体を押し付けるな(胸がー、胸がー。柔らかい!)」

 

岩倉「ほっほっほ。クロノ様もまだまだ初心ですな」

 

敗北したハイメは2人を見て、自分の中に現われた感情に向き合った。

 

ハイメ「そうか、俺は2人に嫉妬してたんだ。それを認めたくなかったんだ。でも、あんな関係見せられたら祝福するしかないじゃないか……」

 

そんなハイメの肩に手を置く人物がいた。

ハイメが振り向くとそこには櫂がコップを持った状態で立っており、コップをハイメに手渡した。

 

ハイメ「……よーし。アミーゴたちー! 今日はトコトン飲むぞー!」

 

 

その声が合図になったのか、全員が櫂の作った料理を食べ、用意されていた酒やジュースを飲み始めた。

悲しみのあまりハイメが盛大に酔っぱらってしまって大暴れするが、ガイヤールとネーブに取り押さえられ、クロノとトコハに被害が及ぶことは無かった。

料理もなくなったありで、気絶したハイメをガイヤールとネーブが連れて帰り、蒼龍の3人はシャーリーンが酔ったため彼女を引き連れて帰った。

クロノと共に皿洗いをした櫂が持ってきたお皿を回収した後帰ると、アカネがパリの夜で酒盛りの続きをすると言って出て行き、岩倉が付き添いした。

クロノとトコハは残ったゴミを袋に入れて片づけたが互いに会話は無かった。

ようやく訪れた2人だけの時間に双方とも気恥ずかしくなってしまったのだ。

 

トコハ「く、クロノ。お風呂入る? 日本のものほどしっかりしてないけどちゃんと入れるよ」

 

クロノ「あ、ああ。じゃあお先に使わせてもらうぜ」

 

トコハ(今のうちに部屋片づけないと)

 

クロノが風呂から出たあたりでトコハの片付けも終わり、入れ替わりでトコハもお風呂に入り、トコハが出たところでクロノが話しかけた。

 

クロノ「……じゃあ、俺ソファーで寝るから」

 

トコハ「ちょっ、ちょっとまってよ。なんでソファー?」

 

クロノ「だって余分な布団なんて無いだろ」

 

トコハ「無いけど、えーっと、クロノ。一緒に寝よ」

 

突然の爆発発言にクロノが噴出したあげく顔を真っ赤に染める。

 

クロノ「はあ!? お、お前何言って///」

 

トコハ「いっ、言っとくけどエッチなことは駄目よ。とにかく、クロノは私の彼氏なんだから私の部屋に来る」

 

その勢いに圧倒され、言われるがままにクロノはトコハの部屋に入ることになった。

既に片づけがされた部屋は綺麗で、トコハらしい可愛い部屋だった。

 

トコハ「さっ、クロノこっち入る」

 

クロノ「あっ、ああ。ん? ベッドの下のこれって?」

 

トコハ「あ、あああ/// クロノ、それはだめ!!」

 

ベッドの下からクロノが取り出したのは所謂抱き枕だった。

しかし注目するべきはそのカバー。

それはなんとクロノが描かれたものだったのだ。

 

クロノ「え、トコハこれって……」

 

トコハ「///」

 

顔どころか体全体をこれ以上ないぐらい真っ赤に染めたトコハが絶句。

クロノもなんとも言えない雰囲気になってしまった。

 

トコハ「ち、違うのよ! これがあればクロノが夢に出てきてくれるかもなんて思ってないからね! 一昨年のU-20で撮られた写真がカッコよかったから枕カバーにしてもらってなんかしてないからね!」

 

盛大に弁解と言う名の自爆をしたトコハ。

 

クロノ「ぶっくくく、あっははははは。お前ってホント面白いな」

 

そんな彼女を見てクロノは本気で笑ってしまう。

トコハはこんなクロノを見て、違う意味で顔を真っ赤に染めた。

 

トコハ「ちょっと笑わないでよ! デリカシー無いわね。クロノ馬鹿!」

 

クロノ「落ち着けよ。悪かったって。ほら、トコハ来いよ」

 

いつのまにかベッドの上に座っていたクロノが両手を広げてトコハを招く。

トコハの怒りはまだ収まっていないので、しばらくソッポを向いていたが、それでも招き続けるクロノに根負けしたのか、「えい」っとクロノに抱きついた。

そして少し安心したのか、トコハが話し出した。

 

トコハ「クロノ。私ね、今も今日のことが夢じゃないかって心配なの。朝起きたら、また独りぼっちに戻ってしまうんじゃないかって」

 

クロノ「夢じゃないさ。俺は此処にいるぞ、トコハ」

 

トコハ「うん。でもやっぱり心配。だからクロノ、起きても私が起きるまで傍にいて。朝1番にクロノにおはようって言わせて」

 

クロノ「いいぜ。俺も明日の朝はトコハの顔を見て、トコハにおはようって言いたいからな」

 

トコハ「ありがとう。クロノ大好き」

 

クロノ「俺も好きだよ。だから、おやすみトコハ」

 

トコハ「うん。おやすみクロノ」

 

そう言ってトコハは眠りに就いた。

クロノはそんなトコハの髪を撫で、彼女が疲れていたのだと実感した。

 

クロノ「トコハの体って、こんなにも小さかったんだな。いや、俺がでかくなったのか。小さくって、柔らかくて、良い匂いがする。こうしていると安心するな。ありがとなトコハ。俺を好きになってくれて。おやすみ、明日も明後日もその後もよろしくな」

 

クロノも眠り、お互いに体をより密着させた。

その寝顔はとても穏やかなものだったという。

 

余談だが、2人は部屋の電気を消さずに寝てしまった為、アカネが戻って来た時にも点いたままだった。

そのため、部屋を覗いたアカネが2人の姿を目撃し、写真を撮って仲間たちに拡散したのを2人が知ったのは日本に帰ってからだった。




とうとうクロノ君がトコハちゃんに告白。
しかし物語はまだまだ続きます。
次話もお楽しみください。
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