カードファイト!!ヴァンガードG 孤独の先の、愛の物語 作:リー・D
数話続きます。
帰国した翌日、腫れた頬の痛みに耐えながらクロノは登校した。
教室に行く前に職員室で担任の先生にあいさつしに行った。
クロノ「おはようございます。2日も休んですみませんでした」
担当「おはよう、新導。報告では普及協会の仕事を手伝ったらしいが、何があったのかは聞かん。授業の内容は友人たちから聞くんだな。それと、もうこんなことはやるなよ。内定に関わるからな」
クロノ「はい。以後気をつけます。失礼します」
頭を下げて職員室から出て行ったクロノは、教室に向かい、カズマと合流した。
カズマ「おお、クロノ。お帰り。どうしたんだ、その顔。湿布まで貼って」
クロノ「おはよう。ちょっと昨日いろいろあってな。少し腫れてるだけだから大丈夫だ」
カズマ「ふ~ん。でもそんな顔じゃバイトは無理だろ。店長には俺から言っておくから勉強に集中しろよ」
そう言って、カズマはクロノ用と書かれたノートを置いて自分の席に戻っていった。
クロノ「……ありがとな、カズマ」
クミ「クロノ君、おはよう! 今日のぐるぐるは少し萎んでますな~。顔の湿布はどうしたの? 怪我なら心配だぞい」
クロノ「おはよう、岡崎。さっきカズマにも言ったが大丈夫だよ」
クミ「そうですかい。クロノ君が帰ってきたのならトコハちゃんも居るよね。今日は久しぶりに2人でコロッケパン食べるぞ~!」
元気なクミに少しだけ苦笑しながらクロノは安心した。
先日の件を引きずってはいない様だ。
クロノ「……岡崎、昼休みに少しだけ話そうぜ。いろいろと」
クミ「およ。分かったぞい」
手でグッドマークを作って、岡崎も席に戻っていった。
2日ぶりの授業はいつもよりも集中できた気がしたクロノだった。
そして、昼休み。
ヴァンガード好きーズの3人は購買でパンを買い、食べていた。
カズマ「お前、今日はパンなんだな」
クロノ「昨日いろいろとあって、買い物する暇なかったからな。岡崎今良いか?」
クミ「なんだぞい?」
クロノ「この間は悪かったな。いや、それだけじゃない。お前の気持ちにあの時まで気がつかずに無意識でお前を傷つけた。ホント、ごめん」
クロノは立ってクミに頭を下げて謝る。
そんなクロノにクミは――
クミ「みんなー。聞いて欲しいぞ~」
突然教壇に立ち、クラスにいる人たちに語りかけた。
クラスメイトやその友達たちは何か分からず、それぞれささやきあっている。
クミ「あそこにいる新導クロノ君は、昨日まで学校サボって、好きな人に告白してきたんだぞ~。凄いよね~」
クロノ「岡崎!?」
クラスメイトたち『なにーー!!!???』
クミ突然の爆弾投入にクロノは驚き、クラスメイトたちは嫉妬や激怒、絶望を味わった。
実際に「新導やつ彼女ができただと!?」、「私狙ってたのに!」、「新導め、なんて羨ましいんだ!」などと言った声が教室中に広がっている。
クミ「ふっふっふ。さ~て、クロノく~ん。向こうで何があったのか、く・わ・し・く聞かせてもらおうか~」
そのクミの言葉を合図にクラスメイトたちが立ち上がり、クロノに迫っていく。
クロノは後退り、教室から出て行こうとする。
カズマ「どこ行くんだよ、クロノさんよ。逃げるなんて男らしくないぜ」
クロノ「カズマ。てめぇ」
しかし、それを読んでいたカズマによって阻まれ、羽交い絞めにされてしまう。
その間にもクミと級友たちは目を光らせてクロノに迫る。
もはや絶体絶命のその時、救世主が舞い降りた。
教師「授業を始めるぞ。……君たち、何をしているんだい? 昼休みは終わったぞ。席に着きなさい。」
級友たち『はーい』
クロノ「た、助かった」
カズマ「ふっ、逃げられると思うなよ。クロノ」
クミ「逃がさないぞい。クロノ君」
いまだに威圧感のあるオーラを、肩を掴む友人たちから感じ取り、クロノは冷や汗を大量にかいてしまう。
他のクラスメイトたちも横目でクロノを見ることが多く、その視線が恐ろしくてクロノはろくに授業に集中できなかった。
そして、全ての授業が終了し、下校可能になった時、クロノは大急ぎで帰ろうとした。
カズマ「言っただろ、逃がさねえって」
しかし、ドアから遠い席だったのが運のつき。
カズマを始め、全クラスメイトに囲まれ、クロノの逃げ道は無くなった。
首を振って逃げ道を探していると、後ろから指でつつかれたので、振り返ってみると。
クミ「クロノ君。は・な・し・て・く・れ・る・よ、ね?」
そこには般若の面を被ったバトルシスターがクロノに機関銃を向けていた。
正確にはそんなイメージが見えるほど恐ろしい笑顔をしたクミがいるだけなのだが、クロノは恐ろしくて本気でおびえてしまう。
クロノ「や、やめろ。岡崎」
カズマ・クミ「「ふふふ」」
級友一同『しんど~』
クロノ「あ、あああ」
うわああああ!!!!
その日、春見高校3年A組は1人を除いて、1つになった。
クミ「じゃあ今、クロノ君はトコハちゃんと一緒に住んでいるんだね」
クロノ「はい。その通りです」
対してクロノの目は死んでいた。
級友たちの拷問がよっぽど恐ろしかったらしい。
カズマ「いきなり、殴られるとか。クロノも大変だったんだな」
級友男A「だが、美人の彼女と同棲だと! 羨ましいぞ、新導!」
級友女C「新導君って、料理得意なんでしょ。そんなもの毎日でも食べられるなんて、安城さんが妬ましい!」
級友男B「それよりもさ、新導君。もうその彼女さんとは寝たの?」
ぶううーーー!!!
クラスでも彼女持ちとして有名なBが突然のとんでも発言に全員が言葉を失った。
それに反応したのはクロノも同様だった。
級友男D「B、おま、なんてことを」
級友男B「いや、だって、両思いでしかも同棲中でしょ。手を出さないほうが不健全だと思うけど」
級友男A「いや、お前と一緒にするなよ」
そうだ、そうだとクラス中がうなずく中、クロノは別のことを考えていた。
クロノ(寝る? 寝るって。あ、あああ///)
思い出すのは昨晩の暖かさと今朝のこと。
クロノ『トコハ、まったくなんて格好してるんだか。ここまで無防備だと襲うぞ』
クロノ「う、うわあああーーー!!」
クロノの顔がこれ以上ないぐらい真っ赤に染まりながら、荷物を抱えて走り出した。
突然のことだったので、誰も止める間もなくクロノは去っていった。
級友男B「……ふむ。新導君は予想以上に初心だったね」
カズマ「いや、お前。明日クロノに謝れよ」
他の全員も頷き、Bは少しだけ困ったような声を出して誤魔化した。
その日以降、Bの人気はガタ落ちしたらしい。
そのころ、クロノは家にたどり着いていた。
クロノ「た、ただいま」
トコハ「お帰りなさい、クロノ。今日もお疲れ様」
エプロン姿のトコハが出迎えてくれた。
良く似合うエプロンをつけたその姿は、これまでクロノがほとんどあじわった事のないシチュエーションだったこともあり、輝いて見えた。
トコハ「クロノ? 何か疲れてるように見えるけど、どうしたの?」
トコハがクロノを覗き込んだ瞬間、クロノは彼女を抱きしめた。
トコハ「く、クロノ!? ど、どうしたの? 恥ずかしいよ///」
クロノ「トコハ。ただいま」
しかもトコハの身体中を撫で回している。
クロノ「ゴメン、トコハ」
トコハ「な、何が?」
クロノ「たぶん俺、今のままじゃ、お前をまともに見えない」
トコハ「はい?」
クロノ「今日さ、岡崎のせいでクラスの連中から俺らのこと尋問されたんだけどさ」
トコハ「クミちゃん……何やってんの」
バカ騒ぎです。
クロノ「そこでさ、お前と寝たって聞かれて。恥ずかしくて逃げたんだ」
トコハ「いやいや、何聞かれてんのよ。あと、昨日も一昨日も一緒に寝たじゃん」
クロノ「でもあくまでも同じベッドで寝ただけじゃん。そして気づいたんだ。あ、俺今のままだと、これ以上進むの無理だって。今だってお前がまともに見えない」
新導クロノ、超純真。
クロノ「だから少しずつお前の体に慣れていこうかなって」
トコハ(……クミちゃん、今度コロッケパン奢らせる)
トコハは親友への殺気に目覚めた!
しかし、クロノの撫で回しはまだ続いている。
トコハ「クロノ落ち着いて。うぅん。い、いや。私は、クロノの彼女だけど、これなんか違う。や、やるなら、ベッドの上で」
クロノ「せめてもうちょっと」
トコハ「く、クロノのバカーー!」
その日とてもスナップのきいた、いい音が新導家に響いた。
次の日、クロノの左頬にとてもきれいな紅葉があったという。